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海部照姉妹の日常

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ただでさえ、二人はいつもスキンシップが過剰な節がある。
これ以上そんなものを認めるわけにはいかない。

背に腹はかえられない。
急いで立ち上がり、部屋を飛び出す蜜柑。

「生徒会長!」

「やっと出てきて来てくれたんですね!?」

歓喜の声が、蜜柑を包む。
しかし、そんなものは彼女にとっては些末なことであった。

あずさの蛮行は早々に解決しなければならない。
そして、利奈が帰宅する前に彼女の教室に向かわなければならない。

「私はあずさのことを何とかするから!……皆は私のお人形さ……じゃない、一年生の蟻喜多さんの足止めをしておいて!」
その場にいる彼らにそう言い残すと、蜜柑は走り去るのであった。


「お人形?」

「一年生の蟻喜多さん?」

残された生徒会のメンバーがキョトンとしていた。
そして、一拍置いた後に利奈を探す為に皆が一年生の教室へ向かうのであった。


「……でさぁ……あんたら何か言うことないの?」

所変わり、体育館裏。
ただでさえじめじめし、不愉快な場所であるが、先ほどまでの大雨で不快指数が跳ね上がっている。

地面に伏している複数の生徒達。
所謂不良に属される者達で、目の前にいる一人の女子生徒にやられたようだった。
当の彼女はギロリと鋭い視線を送っている。

「う、うぅ……。」
呻き声。
上手く話せないのだろう。

「……何?」
依然として冷たい態度。
見下ろす彼女の雰囲気は、背筋の凍るようなものだ。

「あ、あずさちゃん……もう良いよ……。」
彼女の背後に隠れるようにいた女子生徒。
そんな彼女が震える声で呟く。

「でも……。」
あずさが不服そうに言う。
彼女こそ、蜜柑の妹なのだ。

「良いよ!私、あずさちゃんが助けに来てくれただけで十分嬉しいからっ!」

「……なら良いけど……。……ほら、あんたらもそんなところで寝てたら風邪引くよ?早く帰りなよ。」
未だに泥まみれで倒れている者達に冷たい視線を送るあずさ。


少しして、彼らがのそのそと去って行った。
その間も、あずさは警戒を解くことはなく、鋭利な視線を送っていた。
姿が見えなくなり、ようやくそれが解かれた。


「あずさ!」
二人の元に届く声。
蜜柑のものだ。

「せ、生徒会長……!」

「……げっ、姉様……。」

両者がこちらへ駆けて来る彼女へ別々なリアクションをする。
憧れの含んだものと、面倒事が舞い込んで来たと思うものだ。
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