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天枝美佳絵と愛熊佐多江の日常

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今回は本当であった。
利奈と路歩子が仲良く手を繋ぎながら登校して来た姿が、佐多江の目に飛び込んで来た。

「っ!?お、おはようございます、蟻喜多さん、庵銅さん。今日も良い天気ね。」
慌てて取り繕う美佳絵。
そこに、先ほどまでの荒ぶりはなかった。

「みかえるちゃんはまた雑草取ってるの?」
美佳絵へ向け、利奈が聞く。
覗き込むように、彼女の顔を見る。

みかえるちゃん。
それが彼女のニックネームだ。

「うん。」

「そっか、いつも偉いね。」
微笑む利奈。

「あ、ありがとう……。」
可愛らしい。
美佳絵は、そんな彼女の笑みに、自身の顔に熱を帯びていくのを感じた。

「園芸部の子達もきっと喜んでくれると思うよ。」

「そ、そうかな?」

そんなやりとりを、何とも言えない表情で見つめる佐多江。
そのような表情をしているのは彼女だけではなかった。
路歩子もだ。

両者の目と目が合う。
その瞬間、双方の気持ちが通じ合う。

利害の一致。
共闘。

「利奈、天枝さんの邪魔をしては駄目。もう教室に行こう。」

「ほら、美佳絵は早く雑草を抜く!休んでる暇なんてないよ!」

路歩子が利奈へ、佐多江が美佳絵へそのような注意をする。
しかし、そんな言い方をすれば、当然両者から反発をされるだろう。

「邪魔してないよー!話してただけだよ。」

「そうよ、蟻喜多さんは私を労ってくれてるの。それに、すぐに再開するわ。」

利奈と美佳絵がそれぞれ迎撃。
しかし、それは彼女らにとっては極々当たり前な主調だろう。

「……い、良いから、利奈、行こうよ。」

「う、うるさい、馬鹿っ!佐多江のくせに生意気!」

まさかの反撃に狼狽える二人。
最早それに対する強引な言動をとる他なかった。

利奈の肩に触れ、半ば強引に彼女を歩かせる路歩子。
人である彼女を力で怪我させることなく移動させるなどアンドロイドの彼女には造作もないことであった。

「ちょ、ちょっと待ってよ!あ、あーれー……。」
段々小さくなっていく利奈の声と姿。
彼女はそのままされるがまま歩くしか出来なかったのだ。


「あ、あぁ、蟻喜多さんが庵銅さんに連れていかれちゃった……。」
一連の様子を見て、美佳絵が呟く。

二人きりになる。
これで言える。
深呼吸する佐多江。

「あ、あのさ……。」

「うん?」
彼女の言葉に反応する美佳絵。
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