はりぼてスケバン

あさまる

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「あぁ、引き止めてしまってすまなかったな……。」

「良いさ、またな。」
そう言うと、双葉は今度こそ戻って行くのであった。

「……あぁ、そうだな。またな、だな。」


段々と小さくなっていく彼の背中。
そんなものを、いつまでも見ている心司であった。

言いたいことはまだ山ほどある。
しかし、言うべきことは言った。
今度こそ、帰っていく心司であった。

内部の揉め事は、少しでも早く解決出来るに越したことはない。
双葉が三花に対する抑止力となると言ってくれた。

これで、反華子勢力は大人しくなっていくか、解散していくことだろう。
そして、彼女の地位は安定していくはずだ。
そうなれば、きっと自ずと外部に関することに意識を割くことが出来る。

外部に関すること。
つまり、白辰高校との関係だ。

「まだまだやらなきゃいけないこと沢山あるねー。……まぁ、今日のところは早々に寝て……明日から考えよーっと……。」


翌日。
登校した華子に、予想外のことが起きていた。

皆への挨拶。
そして、教室で一時限目の準備をしていた時であった。
校内放送。
スピーカーから流れたものは、ある生徒を呼び出すものであった。

それこそ、華子であった。
そして、呼び出された場所は生徒指導室だ。
しかし、彼女自身何も心当たりがない。

「姐さん、何かやったんっすか?」

「……いや、心当たりないんだけど……。」

「もっと胸張って……誇って良いんっすよ!?」

「いやいやいや!呼び出しなんて誇れないよ!?」
さも当たり前かのように丸雄が言っている。
しかし、絶対に彼の言動はおかしいはずだ。

彼女なりに声を荒らげる。
いくら黒龍高校に少なからず染まってしまったとはいえ、華子には自信を持って否定出来た。

「……心当たりがない……?」
ボソリ。
呟くように二人の会話に入って来たのは亥玄であった。

「う、うん……そうなんだ。」

「……そうか。なら、一緒に行くぞ。」
亥玄が言う。

「え?い、一緒に?な、何で?一人でいけるよ?」
困惑する華子。
当たり前だ。

呼び出されたのは彼女だけ。
それなのに、彼は着いて来ようとしている。
しかし、そうしようとしているのは、彼だけではなかった。

少数しか出席していない。
そんなクラスメイト達の中の大半が席を立ち、華子に近寄る。

「……お前はここの頭だ。万が一があったらどうする?」
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