はりぼてスケバン

あさまる

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「……。」
ゆっくりと立ち上がる華子。
そして、館内に入っていくのであった。

どこに座るべきなのだろうか。
滅茶苦茶になったそこでキョロキョロする。

クスクス……。
彼女を馬鹿にするような笑い声。
華子がその音がする方を見る。

なるほど。
先ほどぶつかって来た者達はどうやら彼女らのようだ。

恐らく何度も乱雑に染めたせいだろう。
髪は枝毛が多く、パサパサになっている。
そして、みっともなく着崩した制服、ドカッと態度の悪い座り方のせいで下着が見えてしまっている。

「……。」
なんとも下品なものだ。
すぐに視線を外し、適当に倒れている椅子を選び開いた華子。
そして、その場に腰かけるのであった。

彼女らを除けば、この場にいる生徒数は、両手の指で事足りるほど少なかった。
恐らく残りは端から出席するつもりがないのか外で喧嘩でもしているのだろう。


人数が少なかったからだろうか。
特段荒れることなく式は終了した。

「はぁ……ようやく終わった……。」
気づくと、結局華子以外の生徒はいなくなっていた。

生徒が誰もいない。
華子を馬鹿にしていた者達も、いつの間にかいなくなっていた。

この後、一度自身のクラスへ向かわなければならなかったはずだ。
そこで翌日以降の話等があるのだろう。

もうすでに期待値は最底辺まで落ちている。
しかし、何かの手違いでクラスメイトにまともな生徒がいるかもしれない。

儚い。
本当に儚い期待を胸に、華子は教室へ向かおうとした。
そんな時、彼女を呼ぶ声が背後からした。

「あー、君は新一年生か?」

「……え?」
振り返る華子。
そこにはスーツを着た青年が立っていた。

一体誰だろう?
少なくともここの生徒ではないだろう。
それならば、生徒の父兄か来賓者か?
恐らくその辺りが妥当だろう。

「はぁ、良かった。今年は真面目そうな子が一人でもいてくれて安心だ……。」

「は、はぁ……。」

「これから三年間大変だと思うけど頑張ってな。」

「は、はい。」

彼女のその返答に満足したのだろう。
彼はにっこりと微笑むと、その場から去るのであった。


「……私も行こっかな。」
ボソリ。
一人になった華子が呟くのであった。

彼女が出入口まで行くと、数名が館内の片付けをしていた。
少人数。
そして、散らかり放題。
恐らくはかなりの時間が必要になるだろう。
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