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☆Happy birthday to...
しおりを挟む外ではザアザアとクラッカーのような雨が騒いでいた。ピカピカ、ゴロゴロとイルミネーションが夜空に飾られる。
目の前にはべったりといっぱい塗ったクリームのケーキ。それにロウソクをたくさん突き立てた。君はいつもの困った顔で、ちょっと多すぎるけどねと笑う。
マッチで1本1本火を点けていく。今この部屋を照らしているのは、ゆらゆらと揺れるロウソクだけだ。少しあっつい。
苺は邪魔だから潰してしまおう。チョコレートのプレートもいらないから捨ててしまおう。ほら、綺麗になった。
今日は私の誕生日。私が生まれた日。7年前のこの日に、この世に出てきたらしい。この日を嬉しく思っているのは君だけ。祝ってくれたのは君だけだ。7回目で初めて君が祝ってくれた。
苺を捨ててしまったから飾りが足りなくなってしまった。そうだ。同じ赤を乗せれば綺麗になる。赤でデコレーション。とっても可愛くなった。私の誕生日ケーキに相応しい。
――それで、私は何をお祝いしているんだろう?
なんのためにケーキがあるのだろう?
私はどうしてここにいるのだろう?
君が言った。
「誕生日おめでとう」
その言葉に全部分かった。だから私は君にこう言う。
「誕生日おめでとう」
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