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ハニトラリップサーヴィス4
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「お、なんだアリス。来てたのか」
「……ボス、うん。アリスは来てた」
一面白で埋め尽くされた診察室に黒い異物が一つ、否、一つというよりかは一人だ。彼女は黒で統一されたゴシックロリィタに身を包み、そこに存在している。オシュタルが幹部の一人、アリスだ。アリスは俺の女神、リキュールを興味津々にじっと見つめている。
「……リキュールが気になるか?」
「うん、ボスが気に入った女。危なくないか気を付けないと」
子どもではあるが彼女もマフィアだ。リキュールが害を為す存在ならば殺す、そんな雰囲気が漂う。
「そうか、俺のために観察してくれてんのか。でもよ、リキュールは大丈夫だぜ」
「……なんで、分かる? なんで、そう断言する?」
とても無垢とは言えない瞳でこちらを向いた。ボスである俺でさえも彼女の空気には時々、呑まれそうになる。
「っと、こりゃあアリスちゃんの機嫌を損ねちまったか?……リキュールは危なくない、俺が保証する」
「そう、分かった。じゃあ、アリスは歓迎する」
理由とは言えない答えにも彼女なりに信用に値するところがあったらしい。そのままとことこと大きいテディベアを抱えて診察室を出て行った。
「……ふぃー、漸く出ていかれましたか。いやはや、アリス様の持つ存在感には圧倒されますよ。先ほどまでわたくし、ずっと詰問されていましたので、ボスにお越しいただけて助かりました、本当に」
と、俺の後ろでオシュタルの侍医が言う。彼は闇医者でこそあるものの、見た目や喋り方などは完全にカタギの医師で、どことなくどん臭くて優しい。この界隈特有のきな臭さもなく、俺は比較的彼に心を開いている。
「リキュールの診察結果はどうだ?」
「そうですね。未だご本人様が覚醒なさっていないので問診は出来ていませんが、特に体調に異常なし、問題があるとしたら体表のかすり傷くらいですかね」
ひとまずはリキュールが健康であり、俺から情報を盗み出したがためになんのダメージも負っていないことに安心する。かすり傷は問題ない、すぐに治してやれる。
「そうか、ご苦労」
「いえいえ、ボスこそいつもお疲れ様です」
「そういうことはチェシャに言ってやってくれ」
チェシャにはいつも俺の我儘だとか失敗だとかに付き合わせて迷惑をかけている、真に評価されるべきなのはあいつだ、そう言うと彼は、はは、と笑った。
「チェシャ様にもわたくしは怖くて声なんかかけられませんね」
「あいつは良い奴だ、アリスみたいになんでもかんでも睨みつけたりしないし」
「それはアリス様が異常かと」
二人してふっ、と声を上げるとリキュールが目を覚ました。
「……ボス、うん。アリスは来てた」
一面白で埋め尽くされた診察室に黒い異物が一つ、否、一つというよりかは一人だ。彼女は黒で統一されたゴシックロリィタに身を包み、そこに存在している。オシュタルが幹部の一人、アリスだ。アリスは俺の女神、リキュールを興味津々にじっと見つめている。
「……リキュールが気になるか?」
「うん、ボスが気に入った女。危なくないか気を付けないと」
子どもではあるが彼女もマフィアだ。リキュールが害を為す存在ならば殺す、そんな雰囲気が漂う。
「そうか、俺のために観察してくれてんのか。でもよ、リキュールは大丈夫だぜ」
「……なんで、分かる? なんで、そう断言する?」
とても無垢とは言えない瞳でこちらを向いた。ボスである俺でさえも彼女の空気には時々、呑まれそうになる。
「っと、こりゃあアリスちゃんの機嫌を損ねちまったか?……リキュールは危なくない、俺が保証する」
「そう、分かった。じゃあ、アリスは歓迎する」
理由とは言えない答えにも彼女なりに信用に値するところがあったらしい。そのままとことこと大きいテディベアを抱えて診察室を出て行った。
「……ふぃー、漸く出ていかれましたか。いやはや、アリス様の持つ存在感には圧倒されますよ。先ほどまでわたくし、ずっと詰問されていましたので、ボスにお越しいただけて助かりました、本当に」
と、俺の後ろでオシュタルの侍医が言う。彼は闇医者でこそあるものの、見た目や喋り方などは完全にカタギの医師で、どことなくどん臭くて優しい。この界隈特有のきな臭さもなく、俺は比較的彼に心を開いている。
「リキュールの診察結果はどうだ?」
「そうですね。未だご本人様が覚醒なさっていないので問診は出来ていませんが、特に体調に異常なし、問題があるとしたら体表のかすり傷くらいですかね」
ひとまずはリキュールが健康であり、俺から情報を盗み出したがためになんのダメージも負っていないことに安心する。かすり傷は問題ない、すぐに治してやれる。
「そうか、ご苦労」
「いえいえ、ボスこそいつもお疲れ様です」
「そういうことはチェシャに言ってやってくれ」
チェシャにはいつも俺の我儘だとか失敗だとかに付き合わせて迷惑をかけている、真に評価されるべきなのはあいつだ、そう言うと彼は、はは、と笑った。
「チェシャ様にもわたくしは怖くて声なんかかけられませんね」
「あいつは良い奴だ、アリスみたいになんでもかんでも睨みつけたりしないし」
「それはアリス様が異常かと」
二人してふっ、と声を上げるとリキュールが目を覚ました。
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