スペシャルとは名ばかりの

真城詩

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スペシャルとは名ばかりの

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「あっ、や、ここってエステですよね?」
「はい、当店は仰る通りエステでございます」
ベッドが一つぽつんとおかれたその部屋でまだ幼い顔つきの男がエステティシャンとみられる男に陰部を舐め上げられていた。
「あ、いや、そういうことじゃなくて……エステってそういうサービスはしないんじゃ……?」
「いえ、当店スペシャルマッサージとしてこのようなサービスも行っております」
そこで彼は思う。スペシャルマッサージって、”そういう”ことだったのかと。

 彼は疲れ切っていた。今も上司からであろう電話は鳴り響き、早く会社に戻って来いと訴えかけてくる。しかし、会社に戻るのはごめんだった。セクハラ上司をのさばらせておくような会社など潰れてしまえばいい。そんな思いからスマホの電源を切り、それを無造作にかばんにつっこんで信号を見上げたその時だった。『男性向けエステ』そんな看板が男の目に映ったのだ。彼はふらふらと導かれるようにその看板の真下にあった怪しげな店に入り、払える範囲で一番高価なメニューを選び、店員の指示通りに服を脱ぎ、ベッドに横たわった。その時までメニュー表にあった『スペシャルマッサージ』の意味など考えてはいなかった。ただ、身体が酷く疲れていたので少しでも楽にしてくれたり癒してくれるならスペシャルだってなんだっていいだろう、と。そう考えていたのだった。

 このような店に務めさせておくには些かイケメンすぎる店員は、音を立てて陰茎を舐めしゃぶる。それは久々の快楽だった。頭は困惑しているが、身体は快楽に素直だ。彼は、店員になんだかんだ言いながらも、その身を預けていた。

「お客様……随分お疲れのようですね」
「え、あ、そうですけど……ってそういうことじゃなくてですね?」
「いえいえ、きちんと料金分はマッサージさせていただきますので!」
「えーと……」

 迷った挙句、彼は店員に全てを任せることにした。そこまで言うなら好きにしてみろ、そんな気持ちがあったのも否めない。

「おちんちん、元気になってきましたね!」
「あ、はい、そーですね」

 店員は、では……と言いながら慣れた様子で男の体にまたがった。そのまま、自身の股間から尻にまで繋がっているチャックを開けて、尻肉で器用に男性器を挟み、そのまま上下に動く。ともすれば挿入に繋がるかもしれない動き。店員は男が何かまた言ってくるだろうと予想していたが、問題の男は何も言わなかった。

「……何も言わないんですか?」
「あっ、そーっすね……何か言った方がよろしかったでしょうか?」
「いえ」

 無言で上下に動く店員の尻肉から時々男の性器が見え隠れする。その先端からは我慢汁がとろりとろりと溢れてきていた。ちゅぷ、ちゅぷと段々水音が激しくなる。男が低く呻いた瞬間、店員の尻がだらりと精液に汚れた。

「あっ! 出ましたね! では、一通りマッサージ終わったんで! お疲れさまでした! シャワー浴びて服着ていただいたらそのままお会計となります!……え? あっ……!」

 男は笑顔で勃起している自身を店員のアナルに近づけた。抵抗する店員に囁く。

「まさかこのまま帰らせるなんて酷いこと、しねーよな? 優しい店員さんよぉ……?」
「そそそそれは、別料金でっ、ふ、んぐ……」

男はこのエステに通うことを心に決めたようだった。
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