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18 Rip Stick ~before side
Rip Stick 11
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「ん~… あなたのプライベートには、首突っ込みたくはないんだけど。お仕事に差し支えない程度に、ね」
「みこちゃんも言ってたじゃない。『適度なエッチは美容にいい』って。あたしはみこセンセイのアドバイスに従ってるだけですよぉ~」
「あなたの場合、『適度』っていうよりは、『過度』なんじゃない? 過度なエッチは、からだを壊す元よ」
「ナオミ、いいな~。モデルさんとつきあってるんだ」
ミキちゃんが興味津々な顔で、みっことナオミの会話に口を挟んできた。
「え~? あたしも期待してたんだけど、そうでもないよぉ。ナルシストで口先だけの男ばっかりだし。ミキちゃんの彼氏の方が、よっぽどいい男よぉ」
「ミキちゃんの彼氏って、去年からの?」
わたしは彼女に聞いた。地味で奥手でまじめで、おとなしそうなミキちゃんだけど、こう見えて(ごめん)彼氏がいるらしい。彼女はちょっと恥ずかしそうに、答えた。
「去年からもなにも、わたしたち、長いつきあいなんですよ」
「もう5年よね」
ナオミが補足する。
「5年?! ってことは、中学生から?!」
「ええ。一学年上の先輩だったんですけど、彼の卒業式のときに、わたしから告白して…」
そう答えながら、ミキちゃんの頬が、ポッと染まった。
「今じゃ結婚も考えてくれてるんですよ。彼が『大学卒業したら、すぐにでも』って」
「わぁ。すごい!」
「その日のために、ウエディングドレスを自分で縫うのが、わたしの夢なんです。そしていっしょに、小さなブティックを開きたいです。そのための貯金も、ふたりでコツコツやってます」
ミキちゃんはそう言って、ますます頬を赤らめる。
「『夢』っていうか、それってもう『目標』じゃない」
みっこもウィンクしながら、ミキちゃんに言う。
「いいなぁ。みんな若いわね~。恋バナ多くって… わたしなんか、最近めっきりフケちゃって」
みんなの話しを聞きながら、小池さんがグビグビと『午後の紅茶』を飲み、『ふぅ』とため息ついた。
「小池さんは、彼氏いないんですかぁ?」
陽気な口調でナオミが訊く。
カリスマデザイナーの小池さんに、なんて大胆な質問。まったくナオミって、畏れを知らないわよね。
「もう2年くらいかなぁ。『彼氏いない』歴」
「ダメじゃないですかぁ~。穴、塞がっちゃいますよぉ」
「こら! ナオミ。なんてこと言うの!」
「あははは。いいっていいって。セックスの仕方なんてもう忘れたし、このまま処女に戻るのもいいじゃない」
ナオミをたしなめるみっこを遮り、小池さんは愉快そうに笑う。
そのとき、『こんにちはぁ』と楽屋口から声がして、大きなデザイナーズバッグを抱えた由貴ちゃんが、わたしたちのスペースに遊びにきた。
「こないだから描いてたみっこちゃんのイラスト。完成したから持ってきました」
「え? 見せて見せて」
みっこは嬉しそうに由貴ちゃんに言う。彼女はちょっと躊躇った。
「でも、もうすぐファッションショーがはじまるのに、お邪魔じゃないですか?」
「大丈夫よ。今は本番前のくつろぎタイムだから。ね、早く!」
「ええ…」
みっこに急かされ、由貴ちゃんは恥ずかしそうに作品を広げる。そのイラストは、クリスマスリースをアレンジした模様をバックに、みっこによく似た可憐な美少女が、可愛くポーズをとっている、ふんわりとしたイメージのものだった。
「わぁ。かわいい~!」
イラストを覗き込んだ全員が、いっせいに声を揃える。
由貴ちゃんは去年の『講義室の王女』のイラストのあとも、みっこをモデルにした絵を何枚か描いていて、今年の美術部の作品展にも、そのイラストを出品していた。
つづく
「みこちゃんも言ってたじゃない。『適度なエッチは美容にいい』って。あたしはみこセンセイのアドバイスに従ってるだけですよぉ~」
「あなたの場合、『適度』っていうよりは、『過度』なんじゃない? 過度なエッチは、からだを壊す元よ」
「ナオミ、いいな~。モデルさんとつきあってるんだ」
ミキちゃんが興味津々な顔で、みっことナオミの会話に口を挟んできた。
「え~? あたしも期待してたんだけど、そうでもないよぉ。ナルシストで口先だけの男ばっかりだし。ミキちゃんの彼氏の方が、よっぽどいい男よぉ」
「ミキちゃんの彼氏って、去年からの?」
わたしは彼女に聞いた。地味で奥手でまじめで、おとなしそうなミキちゃんだけど、こう見えて(ごめん)彼氏がいるらしい。彼女はちょっと恥ずかしそうに、答えた。
「去年からもなにも、わたしたち、長いつきあいなんですよ」
「もう5年よね」
ナオミが補足する。
「5年?! ってことは、中学生から?!」
「ええ。一学年上の先輩だったんですけど、彼の卒業式のときに、わたしから告白して…」
そう答えながら、ミキちゃんの頬が、ポッと染まった。
「今じゃ結婚も考えてくれてるんですよ。彼が『大学卒業したら、すぐにでも』って」
「わぁ。すごい!」
「その日のために、ウエディングドレスを自分で縫うのが、わたしの夢なんです。そしていっしょに、小さなブティックを開きたいです。そのための貯金も、ふたりでコツコツやってます」
ミキちゃんはそう言って、ますます頬を赤らめる。
「『夢』っていうか、それってもう『目標』じゃない」
みっこもウィンクしながら、ミキちゃんに言う。
「いいなぁ。みんな若いわね~。恋バナ多くって… わたしなんか、最近めっきりフケちゃって」
みんなの話しを聞きながら、小池さんがグビグビと『午後の紅茶』を飲み、『ふぅ』とため息ついた。
「小池さんは、彼氏いないんですかぁ?」
陽気な口調でナオミが訊く。
カリスマデザイナーの小池さんに、なんて大胆な質問。まったくナオミって、畏れを知らないわよね。
「もう2年くらいかなぁ。『彼氏いない』歴」
「ダメじゃないですかぁ~。穴、塞がっちゃいますよぉ」
「こら! ナオミ。なんてこと言うの!」
「あははは。いいっていいって。セックスの仕方なんてもう忘れたし、このまま処女に戻るのもいいじゃない」
ナオミをたしなめるみっこを遮り、小池さんは愉快そうに笑う。
そのとき、『こんにちはぁ』と楽屋口から声がして、大きなデザイナーズバッグを抱えた由貴ちゃんが、わたしたちのスペースに遊びにきた。
「こないだから描いてたみっこちゃんのイラスト。完成したから持ってきました」
「え? 見せて見せて」
みっこは嬉しそうに由貴ちゃんに言う。彼女はちょっと躊躇った。
「でも、もうすぐファッションショーがはじまるのに、お邪魔じゃないですか?」
「大丈夫よ。今は本番前のくつろぎタイムだから。ね、早く!」
「ええ…」
みっこに急かされ、由貴ちゃんは恥ずかしそうに作品を広げる。そのイラストは、クリスマスリースをアレンジした模様をバックに、みっこによく似た可憐な美少女が、可愛くポーズをとっている、ふんわりとしたイメージのものだった。
「わぁ。かわいい~!」
イラストを覗き込んだ全員が、いっせいに声を揃える。
由貴ちゃんは去年の『講義室の王女』のイラストのあとも、みっこをモデルにした絵を何枚か描いていて、今年の美術部の作品展にも、そのイラストを出品していた。
つづく
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