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「最初はヨシキさんのお部屋がいいです」(性表現あり)
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まるで楽器を演奏するみたいに、ヨシキさんの指先はきめ細やかに蠢いて、からだをなぞっていく。
胸を離れた指は、お腹を伝って腰から太ももをおりていき、そこから反転して、スカートのなかへと忍び込んできた。
だれも触れたことのない秘密のクレバスを、ショーツの上からすっと、ひと撫でする。
「はぅっ…」
ピクリとからだが震えて、声が漏れる。
その反応を確かめるように、ヨシキさんはいったん指の動きを止め、じっとわたしを見つめたあと、愛しげにその部分を撫ではじめる。
熱い。
縛られて動けない。
わたしのからだじゃないみたい。
はじめて触れられた男の人の指で、わたしは痺れるような甘い感触を味わい、どんなに我慢しても声が漏れてしまう。
「ん、んんっ… いや」
「怖い? やめる?」
意地悪そうに、ヨシキさんは耳元でささやく。
歯を食いしばって、わたしは頭を振った。
「そういう意地っ張りなとこ。すごく可愛いよ」
「いじわる…」
「じゃあ、もっと先へ行くよ」
そう言ってヨシキさんは、指先をショーツのなかに滑り込ませてきた。
えっ?
なに??
今までとは次元の違う感覚が、わたしを支配する。
なにもかもが、これまで味わったことのない感覚だった。
うねるような快感の波が、次から次へと押し寄せてきて、わたしを翻弄する。
頭が朦朧としてきて、なにも考えられない。
ただ、熱く潤った雫が、下腹部に滴り落ちながら、わたしのなかに溢れて渦巻いているだけだった。
ヨシキさんの首にしがみつきながら、わたしは必死にその快感に流されまいとしていた。
「…ちゃんとしたい」
どのくらいそうやっていただろう。
指の動きを止めたヨシキさんは、真剣な眼差しでわたしを見つめると、そうささやいた。
「…え?」
「こんなクルマのなかじゃなく、ちゃんとした場所で。
凛子ちゃんとオレの、一生に一度の、大切な経験だから」
「…」
「行きたい所、ある?」
「…ヨシキさんの、お部屋」
考えのまとまらない頭で、わたしは反射的にそう答えた。
やっぱり最初は、彼の部屋がいい。
「小汚いワンルームマンションだけど。それでもいい?」
「ヨシキさんのお部屋が、いいです」
チラリとダッシュボードのデジタル時計を見て、わたしにキスをすると、ヨシキさんはわたしの服を整えてシートに座り直し、エンジンをスタートさせた。
「ここから30分くらいで着くから」
滑るようにクルマを発進させ、首都高速へ乗り入れる。
シートベルトを締めなおしたわたしは、バッグからコンパクトを取り出した。
鏡には、見知らぬわたしが映っている。
頬を紅潮させ、潤んだ瞳にぷっくりとふくらんだ唇。
乱れた髪が頬にかかり、淫靡な雰囲気を漂わせている。
こんな自分の姿は、はじめて見る。
『今ならまだ間にあうぞ。凛子!』
『全然知らない、別の凛子になってしまうぞ!』
『引き返すなら今しかないぞ!』
これからヨシキさんの部屋に行く・・・
ドキドキする気持ちとはうらはらに、『引き返せ』と、別の自分が叫んでいる。
やっぱり怖い。
わたしはいったい、どうなってしまうのだろう。
抑えようと思っても言うことをきかないわたしのからだは、どんな痴態をヨシキさんに晒すのだろうか。
このまま、帰ってしまった方がいいかもしれない。
でも、やっぱりいっしょにいたい。
いったい、どうしたら・・・
そんな葛藤に揉まれているわたしの左手を握り、ヨシキさんは愛おしそうに指に絡ませ、片手で器用に運転していた。
そんなささやかな束縛に、抵抗できない。
絡み合った指先に、わたしはかすかに力を込めた。
わたしも、自分を変えたい。
知らない自分をみてみたい。
ヨシキさんに、変えられたい!
つづく
胸を離れた指は、お腹を伝って腰から太ももをおりていき、そこから反転して、スカートのなかへと忍び込んできた。
だれも触れたことのない秘密のクレバスを、ショーツの上からすっと、ひと撫でする。
「はぅっ…」
ピクリとからだが震えて、声が漏れる。
その反応を確かめるように、ヨシキさんはいったん指の動きを止め、じっとわたしを見つめたあと、愛しげにその部分を撫ではじめる。
熱い。
縛られて動けない。
わたしのからだじゃないみたい。
はじめて触れられた男の人の指で、わたしは痺れるような甘い感触を味わい、どんなに我慢しても声が漏れてしまう。
「ん、んんっ… いや」
「怖い? やめる?」
意地悪そうに、ヨシキさんは耳元でささやく。
歯を食いしばって、わたしは頭を振った。
「そういう意地っ張りなとこ。すごく可愛いよ」
「いじわる…」
「じゃあ、もっと先へ行くよ」
そう言ってヨシキさんは、指先をショーツのなかに滑り込ませてきた。
えっ?
なに??
今までとは次元の違う感覚が、わたしを支配する。
なにもかもが、これまで味わったことのない感覚だった。
うねるような快感の波が、次から次へと押し寄せてきて、わたしを翻弄する。
頭が朦朧としてきて、なにも考えられない。
ただ、熱く潤った雫が、下腹部に滴り落ちながら、わたしのなかに溢れて渦巻いているだけだった。
ヨシキさんの首にしがみつきながら、わたしは必死にその快感に流されまいとしていた。
「…ちゃんとしたい」
どのくらいそうやっていただろう。
指の動きを止めたヨシキさんは、真剣な眼差しでわたしを見つめると、そうささやいた。
「…え?」
「こんなクルマのなかじゃなく、ちゃんとした場所で。
凛子ちゃんとオレの、一生に一度の、大切な経験だから」
「…」
「行きたい所、ある?」
「…ヨシキさんの、お部屋」
考えのまとまらない頭で、わたしは反射的にそう答えた。
やっぱり最初は、彼の部屋がいい。
「小汚いワンルームマンションだけど。それでもいい?」
「ヨシキさんのお部屋が、いいです」
チラリとダッシュボードのデジタル時計を見て、わたしにキスをすると、ヨシキさんはわたしの服を整えてシートに座り直し、エンジンをスタートさせた。
「ここから30分くらいで着くから」
滑るようにクルマを発進させ、首都高速へ乗り入れる。
シートベルトを締めなおしたわたしは、バッグからコンパクトを取り出した。
鏡には、見知らぬわたしが映っている。
頬を紅潮させ、潤んだ瞳にぷっくりとふくらんだ唇。
乱れた髪が頬にかかり、淫靡な雰囲気を漂わせている。
こんな自分の姿は、はじめて見る。
『今ならまだ間にあうぞ。凛子!』
『全然知らない、別の凛子になってしまうぞ!』
『引き返すなら今しかないぞ!』
これからヨシキさんの部屋に行く・・・
ドキドキする気持ちとはうらはらに、『引き返せ』と、別の自分が叫んでいる。
やっぱり怖い。
わたしはいったい、どうなってしまうのだろう。
抑えようと思っても言うことをきかないわたしのからだは、どんな痴態をヨシキさんに晒すのだろうか。
このまま、帰ってしまった方がいいかもしれない。
でも、やっぱりいっしょにいたい。
いったい、どうしたら・・・
そんな葛藤に揉まれているわたしの左手を握り、ヨシキさんは愛おしそうに指に絡ませ、片手で器用に運転していた。
そんなささやかな束縛に、抵抗できない。
絡み合った指先に、わたしはかすかに力を込めた。
わたしも、自分を変えたい。
知らない自分をみてみたい。
ヨシキさんに、変えられたい!
つづく
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