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「全裸待機とはどういう意味ですか?」
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「もっ、もちろん撮影が目的なんですよ Y(>_<、)Y」
驚いて訊いたわたしに慌てた様子で、桃李さんは説明した。
「ホテルっていっても、最近はラブホでもおしゃれな所いっぱいあって、室内撮影をしたいってときは、スタジオもいいけど、『やっぱりホテルで撮ろう』ってことになったりもするんです。天蓋つきの真っ白な姫ベッドとか、姫家具とか猫脚のバスタブとかがあると、萌えまくりなんですよ~っ (≧Д≦)ゞ」
「でも… ホテルで撮影なんて、やっぱり抵抗あるかも…」
「そ、そりゃそうですよね。美月姫はまだ未成年だし、ふつうの人からすれば、ラブホ行って撮影だけで終わるなんて、ありえないですよね (*´ω`*)」
「そう思います。ふつうは」
「実際、下心あって誘ってくるカメコさんもいるし、エッチな写真撮るのが目的の人もいるし、そういうのは気をつけないといけないんですっ。
でもヨシキさんは、そこはちゃんとしてるっていうか、レイヤーさんの嫌がることは絶対にしませんから、安心して身を任せることができるんです♪」
「桃李さんは、ヨシキさんと個撮したことあるんですか? ホテルで」
「…」
どうやらわたしの質問は、核心をついてしまったみたいだった。
湯気が出そうなくらい、桃李さんは頬をカッと赤らめてうつむき、黙ってしまった。
「あ… ご、ごめんなさい。わたし、悪いこと訊いちゃったかも」
「…いえ。いいんです」
そう答えた桃李さんは、寂しげな微笑みを浮かべて、ポツリと言った。
「桃李みたいな底辺レイヤーには、ヨシキさんとの個撮なんて、雲の上の世界なんです、、、」
「そんな… 桃李さんはポージングとかすごく上手いし、わたしなんかより完璧にキャラになりきれるのに」
「…美月姫はヨシキさんと同じセリフを言ってくれて、桃李嬉しいです。
ヨシキさんはこんなブサイクなわたしでも、とっても素敵に撮ってくれて、褒めてくれて、それだけで桃李は幸せなんです」
「…」
フォローのしようがない。
確かに桃李さんは、けっして美人とはいえず、地味で目立たない容姿ではあるし、本人もそれはよくわかっているみたい。
でも、それを補ってあまりあるくらい、性格は素直そうで明るいし、彼女と話しているのは、とても楽しい。
「美月姫もぜひぜひヨシキさんと個撮して、素敵なお写真を創りあげて下さいね (*´∀w)」
鬱な気持ちを吹っ切るように明るく微笑んだ桃李さんは、ペコリと頭を下げ、『次のコスに着替えます。ではでは、これで』と言って、更衣室に戻ろうとする。その背中にわたしは、思わず声をかけた。
「桃李さん、もっといろいろお話ししたいんだけど…」
「ほんとですか!? じゃあ、、、」
わたしの言葉に、花が咲いたような笑顔を浮かべた桃李さんは、少し考えて言った。
「アフターしませんか?」
「アフター?」
「イベントのあと、いっしょにカフェ行ったりごはん食べたりすることですよっ (*^▽^*)」
「ああ。いいですよ」
「やったぁ~! 美月姫とアフター wktk じゃあ、イベント終わって着替えたあと、入口のロビーで待ち合わせってことで」
「ロビーですね」
「すっごく楽しみですぅ♪ わたし、全裸待機してま~す o(*^‐^*)o」
そう言いながら桃李さんは、跳ねるように小走りに去っていった。
ぜっ… 全裸待機って?
う~ん…
なんとなくニュアンスは伝わってくるけど意味不明。
オタクの世界は奥が深い。
(ちなみに後日、『全裸待機』を検索してみたところ、
『ネットスラング。速やかに自慰に移れるよう、エロ系の作品(成人向け映像など)を万全の状態で待つこと』
と解説があり、改めて赤面してしまった)
つづく
驚いて訊いたわたしに慌てた様子で、桃李さんは説明した。
「ホテルっていっても、最近はラブホでもおしゃれな所いっぱいあって、室内撮影をしたいってときは、スタジオもいいけど、『やっぱりホテルで撮ろう』ってことになったりもするんです。天蓋つきの真っ白な姫ベッドとか、姫家具とか猫脚のバスタブとかがあると、萌えまくりなんですよ~っ (≧Д≦)ゞ」
「でも… ホテルで撮影なんて、やっぱり抵抗あるかも…」
「そ、そりゃそうですよね。美月姫はまだ未成年だし、ふつうの人からすれば、ラブホ行って撮影だけで終わるなんて、ありえないですよね (*´ω`*)」
「そう思います。ふつうは」
「実際、下心あって誘ってくるカメコさんもいるし、エッチな写真撮るのが目的の人もいるし、そういうのは気をつけないといけないんですっ。
でもヨシキさんは、そこはちゃんとしてるっていうか、レイヤーさんの嫌がることは絶対にしませんから、安心して身を任せることができるんです♪」
「桃李さんは、ヨシキさんと個撮したことあるんですか? ホテルで」
「…」
どうやらわたしの質問は、核心をついてしまったみたいだった。
湯気が出そうなくらい、桃李さんは頬をカッと赤らめてうつむき、黙ってしまった。
「あ… ご、ごめんなさい。わたし、悪いこと訊いちゃったかも」
「…いえ。いいんです」
そう答えた桃李さんは、寂しげな微笑みを浮かべて、ポツリと言った。
「桃李みたいな底辺レイヤーには、ヨシキさんとの個撮なんて、雲の上の世界なんです、、、」
「そんな… 桃李さんはポージングとかすごく上手いし、わたしなんかより完璧にキャラになりきれるのに」
「…美月姫はヨシキさんと同じセリフを言ってくれて、桃李嬉しいです。
ヨシキさんはこんなブサイクなわたしでも、とっても素敵に撮ってくれて、褒めてくれて、それだけで桃李は幸せなんです」
「…」
フォローのしようがない。
確かに桃李さんは、けっして美人とはいえず、地味で目立たない容姿ではあるし、本人もそれはよくわかっているみたい。
でも、それを補ってあまりあるくらい、性格は素直そうで明るいし、彼女と話しているのは、とても楽しい。
「美月姫もぜひぜひヨシキさんと個撮して、素敵なお写真を創りあげて下さいね (*´∀w)」
鬱な気持ちを吹っ切るように明るく微笑んだ桃李さんは、ペコリと頭を下げ、『次のコスに着替えます。ではでは、これで』と言って、更衣室に戻ろうとする。その背中にわたしは、思わず声をかけた。
「桃李さん、もっといろいろお話ししたいんだけど…」
「ほんとですか!? じゃあ、、、」
わたしの言葉に、花が咲いたような笑顔を浮かべた桃李さんは、少し考えて言った。
「アフターしませんか?」
「アフター?」
「イベントのあと、いっしょにカフェ行ったりごはん食べたりすることですよっ (*^▽^*)」
「ああ。いいですよ」
「やったぁ~! 美月姫とアフター wktk じゃあ、イベント終わって着替えたあと、入口のロビーで待ち合わせってことで」
「ロビーですね」
「すっごく楽しみですぅ♪ わたし、全裸待機してま~す o(*^‐^*)o」
そう言いながら桃李さんは、跳ねるように小走りに去っていった。
ぜっ… 全裸待機って?
う~ん…
なんとなくニュアンスは伝わってくるけど意味不明。
オタクの世界は奥が深い。
(ちなみに後日、『全裸待機』を検索してみたところ、
『ネットスラング。速やかに自慰に移れるよう、エロ系の作品(成人向け映像など)を万全の状態で待つこと』
と解説があり、改めて赤面してしまった)
つづく
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