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11th sense
11th sense 5
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人を好きになって、だれかのことを想ってるときなんて、まるで宝石のように、キラキラ輝く。
あたし、そんなすごいことにも気づかないで、ただ、なんとなく生きてるだけだった。
もったいなかった。
もっと、ちゃんと生きたかった。
一生懸命恋をして、
人を愛して、
好きな人とむすばれて、
新しい命を育んで、、、
そんな風に生きたかった。
、、、、残存念思。
如月はそう言ってたな。
それは、生への執着だって。
死んでしまえばもう、生きてる頃には戻れない。
絶対に。。。。。。
なんか、落ち込む。
今さら生きたいと思っても、もうしかたがない。
気を取り直して、あたしはふたりの会話に聞き耳立てた。
「実はな、航平から聞き出したんだけど」
「なにを?」
「あいつ、例の写真持ってるんだ」
「例の?」
和馬くんはいっそう秘めやかな声で、ミクにささやいた。
「『セクシーショット』って、話題になったんだろ」
「えっ? まさか」
「そうなんだよ。航平のヤツ、去年の夏の宿泊研修のとき、あずさちゃんとミクちゃんと萌香ちゃんの三人が、スク水姿で写ってる例の写真を、持ってるんだ」
「ええっ?! やだ!」
「それでな。最初はあずさちゃんだけトリミングしてA4サイズでプリントして、夜な夜なおかずにしてたらしいぜ」
「おかず?」
「いや、それはいいとして、、、
そのあと、ミクちゃんとキスしてから、今度はあずさちゃんの替わりに、ミクちゃんだけをプリントしたんだってさ」
「ええっ。わたしを?」
「そのことはもちろん、だれにも話したことはなかったらしいぜ。
まあ、そりゃそうだろうな。
自分のオナネタとか、ベラベラしゃべったりしないだろ、ふつー」
「、、、、、」
「でも修羅場のとき、摩耶ちゃんはそれを、スラっと口にした。
そんなの、どんなに巧妙にストーカーしたって、わかるわけねーのにな」
「そ、そうよね」
「例えば、霊になって航平につきまとってたとしたら、そんな秘密もわかるかもしれない。
そうやって航平を一途に想ってるあずさちゃんが、怨霊になんかなったりしねーよ。
まあ、幽霊になって四六時中憑きまとうのは、ある意味、レベルの高いストーカーっていえるかもしれねーけどな」
「、、、だったらわたし、余計に航平くんとはつきあえない」
「どうしてだよ?」
「だって、デートしてる最中、いつでもあずさが側にいるってことでしょ。それを知ってて、航平くんと会うなんて。そんなの、あずさに対する裏切りでしかない。絶対できない!」
そう言ってミクは、唇を噛んでうつむいた。
そんな固い決心をこじ開けるように、和馬くんは熱を込めて言う。
「そんな風に考えんなよ!
あずさちゃんはもう、死んじまってるんだ。
ミクちゃんの親友を思う気持ちはわかるけどさ、生きてる人間同士、幸せになる方法を探そうぜ」
「、、、」
ミクは黙ったままだった。
思い詰めるように、きつく眉をひそめて、交差点の彼方を見つめてる。
ミク、、、
あんたがそれほどあたしのこと、想ってくれてたなんて、、、
そのときだった。
瞳を見開き、ミクは小さくつぶやいた。
「航平、くん!?」
その名前にハッとして、あたしもミクの視線の先を追いかける。
そこには、、、
たくさんのクルマやトラックの行き交う、交差点の向こう。
横断歩道で信号待ちしてる、航平くんの姿があった。
航平くん。
来てくれたんだ!
だけど、、、
あたしはハッとした。
その隣には、ドス黒い血にまみれた制服姿のあたし。
もうひとりの酒井あずさが立ってたのだ!
しかも航平くんのうしろに、別の黒い影が近づいてくる。
それは確か、あたしが死んだ日に出会った、あいつ。
『魔の交差点』でおじさんを突き飛ばし、あわや轢き殺しかけた、シミだらけのヨレヨレスーツを着て無精髭を生やした、地縛霊だ!!
<阿鼻叫喚のはじまりよ>
つづく
あたし、そんなすごいことにも気づかないで、ただ、なんとなく生きてるだけだった。
もったいなかった。
もっと、ちゃんと生きたかった。
一生懸命恋をして、
人を愛して、
好きな人とむすばれて、
新しい命を育んで、、、
そんな風に生きたかった。
、、、、残存念思。
如月はそう言ってたな。
それは、生への執着だって。
死んでしまえばもう、生きてる頃には戻れない。
絶対に。。。。。。
なんか、落ち込む。
今さら生きたいと思っても、もうしかたがない。
気を取り直して、あたしはふたりの会話に聞き耳立てた。
「実はな、航平から聞き出したんだけど」
「なにを?」
「あいつ、例の写真持ってるんだ」
「例の?」
和馬くんはいっそう秘めやかな声で、ミクにささやいた。
「『セクシーショット』って、話題になったんだろ」
「えっ? まさか」
「そうなんだよ。航平のヤツ、去年の夏の宿泊研修のとき、あずさちゃんとミクちゃんと萌香ちゃんの三人が、スク水姿で写ってる例の写真を、持ってるんだ」
「ええっ?! やだ!」
「それでな。最初はあずさちゃんだけトリミングしてA4サイズでプリントして、夜な夜なおかずにしてたらしいぜ」
「おかず?」
「いや、それはいいとして、、、
そのあと、ミクちゃんとキスしてから、今度はあずさちゃんの替わりに、ミクちゃんだけをプリントしたんだってさ」
「ええっ。わたしを?」
「そのことはもちろん、だれにも話したことはなかったらしいぜ。
まあ、そりゃそうだろうな。
自分のオナネタとか、ベラベラしゃべったりしないだろ、ふつー」
「、、、、、」
「でも修羅場のとき、摩耶ちゃんはそれを、スラっと口にした。
そんなの、どんなに巧妙にストーカーしたって、わかるわけねーのにな」
「そ、そうよね」
「例えば、霊になって航平につきまとってたとしたら、そんな秘密もわかるかもしれない。
そうやって航平を一途に想ってるあずさちゃんが、怨霊になんかなったりしねーよ。
まあ、幽霊になって四六時中憑きまとうのは、ある意味、レベルの高いストーカーっていえるかもしれねーけどな」
「、、、だったらわたし、余計に航平くんとはつきあえない」
「どうしてだよ?」
「だって、デートしてる最中、いつでもあずさが側にいるってことでしょ。それを知ってて、航平くんと会うなんて。そんなの、あずさに対する裏切りでしかない。絶対できない!」
そう言ってミクは、唇を噛んでうつむいた。
そんな固い決心をこじ開けるように、和馬くんは熱を込めて言う。
「そんな風に考えんなよ!
あずさちゃんはもう、死んじまってるんだ。
ミクちゃんの親友を思う気持ちはわかるけどさ、生きてる人間同士、幸せになる方法を探そうぜ」
「、、、」
ミクは黙ったままだった。
思い詰めるように、きつく眉をひそめて、交差点の彼方を見つめてる。
ミク、、、
あんたがそれほどあたしのこと、想ってくれてたなんて、、、
そのときだった。
瞳を見開き、ミクは小さくつぶやいた。
「航平、くん!?」
その名前にハッとして、あたしもミクの視線の先を追いかける。
そこには、、、
たくさんのクルマやトラックの行き交う、交差点の向こう。
横断歩道で信号待ちしてる、航平くんの姿があった。
航平くん。
来てくれたんだ!
だけど、、、
あたしはハッとした。
その隣には、ドス黒い血にまみれた制服姿のあたし。
もうひとりの酒井あずさが立ってたのだ!
しかも航平くんのうしろに、別の黒い影が近づいてくる。
それは確か、あたしが死んだ日に出会った、あいつ。
『魔の交差点』でおじさんを突き飛ばし、あわや轢き殺しかけた、シミだらけのヨレヨレスーツを着て無精髭を生やした、地縛霊だ!!
<阿鼻叫喚のはじまりよ>
つづく
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