59 / 70
10th sense
10th sense 5
しおりを挟む
ええええええええ~~~!!!!
なんなのよ?!
『オレは怖くて、あそこに行けなかった』って、、、
航平くんにはなにもしてないのに、どうして怖がられなきゃいけないの?!
しかも。
『ミクちゃんのことは、オレが守るから』?!
もしかして、あたしって悪役?
、、、ひどい。
ひどすぎるっ!!
下級霊の言うとおり、やっぱりあれはミクの計算のうちだったんだ。
あたしのこと思うフリを見せつけて、航平くんの気持ちをしっかり掴んじゃった!
ミクめ、、、
許さない!!
ミクだけじゃない。
航平くんだって!
葬式のあと、あたしのためにあんなに泣いてくれたのに。
あたしの写真をこっそり持ってたりするほど、あたしのこと好きだったのに。
こんなに簡単に心変わりするなんて。
絶対に許さない!!
あたしの怒りをよそに、ふたりは長いことキスをしてた。
愛おしそうに、航平くんは両手でミクをギュッと抱きしめる。
「あぁ、、、」
ミクは切なそうに息を漏らす。
ようやく唇が離れ、航平くんはミクを見つめた。
「好きだよ。ミクちゃん」
優しくささやく航平くん。
嬉しいような悲しいような、複雑な表情で航平くんを見上げてたミクだったが、その大きな瞳には、みるみる涙が溜まっていった。
「ごめんなさい。航平くん」
うつむいて顔に手を当てたミクは、小さく声を震わせた。
「わたしたち、、、 もう会わない方がいい」
「、、、え?」
航平くんが驚いて固まった隙に、ミクは腕からスルリと逃げて二•三歩離れ、背中を向けて言った。
「わたし、、、
幸せ過ぎて、あずさに申し訳ない。
航平くんの隣にいるのは、ほんとはあずさのはずだったのよ。
なのに、ちゃっかりわたしが、航平くんと仲良くなっちゃって。
わたし、死後の世界なんて、信じてなかった。
だから、あずさが死んでしまって、航平くんとつきあうことになっても、彼女に悪いなんて思ってもなかったし、むしろ航平くんの心の支えになりたいって思ってた。
でも、もしあずさが今もこのあたりにいて、成仏できずに彷徨ってるなら、もう無理。
わたしたちのことを見て、あずさはきっと怒ってると思う。
わたしのこと、恨んでると思う。
そんなんじゃ、怨霊になるのも、当たり前。
だってわたし、あずさを裏切ったんだから!
あずさが怨霊になったのは、わたしのせい! わたしが悪いのよ!」
「、、、ミクちゃん、そんなことないよ!」
興奮したように早口でまくしたてるミクに駆け寄り、航平くんはうしろから抱きしめた。
落ち着きを取り戻したミクは、うなだれて言った。
その声は涙で震えてる。
「わたし、あずさをこれ以上裏切れない。
わたしたち、今でも親友だもん。
親友から好きな人を奪うなんて、やっぱりできない。
わたしが身を引けば、あずさも恨む気持ちがなくなって、航平くんもきっと元気になれるだろうし、あずさだってちゃんと成仏できるかもしれない。
それしかもう、わたしがあずさにしてあげれることは、ないの。
それしかないのよ」
静かにそう言い終えると、ミクはそっと航平くんの腕をほどいた。
ビルの向こう側に沈みかけた夕陽の最後の残光が、ミクの顔に深い陰影を刻んでる。
航平くんを振り返り、ミクは寂しそうに微笑んだ。
「送ってくれて、ありがと」
「…」
「今日はここでいい」
「…」
「さよなら」
「…」
なにも言えないまま、小さくお辞儀して小走りに駆け去っていくミクを、航平くんは見送ってるだけだった。
『やった! とうとうあの女から、航平くんを取り戻した!
ミクのヤツ、いい気味!』
そういう思いとはうらはらに、あたしのなかに、なにかもやもやしたものが立ちこめてくる。
ほんとにこれで、よかったんだろか?
あたし、、、
なにか大切なこと。
忘れてるんじゃないだろうか?
つづく
なんなのよ?!
『オレは怖くて、あそこに行けなかった』って、、、
航平くんにはなにもしてないのに、どうして怖がられなきゃいけないの?!
しかも。
『ミクちゃんのことは、オレが守るから』?!
もしかして、あたしって悪役?
、、、ひどい。
ひどすぎるっ!!
下級霊の言うとおり、やっぱりあれはミクの計算のうちだったんだ。
あたしのこと思うフリを見せつけて、航平くんの気持ちをしっかり掴んじゃった!
ミクめ、、、
許さない!!
ミクだけじゃない。
航平くんだって!
葬式のあと、あたしのためにあんなに泣いてくれたのに。
あたしの写真をこっそり持ってたりするほど、あたしのこと好きだったのに。
こんなに簡単に心変わりするなんて。
絶対に許さない!!
あたしの怒りをよそに、ふたりは長いことキスをしてた。
愛おしそうに、航平くんは両手でミクをギュッと抱きしめる。
「あぁ、、、」
ミクは切なそうに息を漏らす。
ようやく唇が離れ、航平くんはミクを見つめた。
「好きだよ。ミクちゃん」
優しくささやく航平くん。
嬉しいような悲しいような、複雑な表情で航平くんを見上げてたミクだったが、その大きな瞳には、みるみる涙が溜まっていった。
「ごめんなさい。航平くん」
うつむいて顔に手を当てたミクは、小さく声を震わせた。
「わたしたち、、、 もう会わない方がいい」
「、、、え?」
航平くんが驚いて固まった隙に、ミクは腕からスルリと逃げて二•三歩離れ、背中を向けて言った。
「わたし、、、
幸せ過ぎて、あずさに申し訳ない。
航平くんの隣にいるのは、ほんとはあずさのはずだったのよ。
なのに、ちゃっかりわたしが、航平くんと仲良くなっちゃって。
わたし、死後の世界なんて、信じてなかった。
だから、あずさが死んでしまって、航平くんとつきあうことになっても、彼女に悪いなんて思ってもなかったし、むしろ航平くんの心の支えになりたいって思ってた。
でも、もしあずさが今もこのあたりにいて、成仏できずに彷徨ってるなら、もう無理。
わたしたちのことを見て、あずさはきっと怒ってると思う。
わたしのこと、恨んでると思う。
そんなんじゃ、怨霊になるのも、当たり前。
だってわたし、あずさを裏切ったんだから!
あずさが怨霊になったのは、わたしのせい! わたしが悪いのよ!」
「、、、ミクちゃん、そんなことないよ!」
興奮したように早口でまくしたてるミクに駆け寄り、航平くんはうしろから抱きしめた。
落ち着きを取り戻したミクは、うなだれて言った。
その声は涙で震えてる。
「わたし、あずさをこれ以上裏切れない。
わたしたち、今でも親友だもん。
親友から好きな人を奪うなんて、やっぱりできない。
わたしが身を引けば、あずさも恨む気持ちがなくなって、航平くんもきっと元気になれるだろうし、あずさだってちゃんと成仏できるかもしれない。
それしかもう、わたしがあずさにしてあげれることは、ないの。
それしかないのよ」
静かにそう言い終えると、ミクはそっと航平くんの腕をほどいた。
ビルの向こう側に沈みかけた夕陽の最後の残光が、ミクの顔に深い陰影を刻んでる。
航平くんを振り返り、ミクは寂しそうに微笑んだ。
「送ってくれて、ありがと」
「…」
「今日はここでいい」
「…」
「さよなら」
「…」
なにも言えないまま、小さくお辞儀して小走りに駆け去っていくミクを、航平くんは見送ってるだけだった。
『やった! とうとうあの女から、航平くんを取り戻した!
ミクのヤツ、いい気味!』
そういう思いとはうらはらに、あたしのなかに、なにかもやもやしたものが立ちこめてくる。
ほんとにこれで、よかったんだろか?
あたし、、、
なにか大切なこと。
忘れてるんじゃないだろうか?
つづく
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
お嬢様、お仕置の時間です。
moa
恋愛
私は御門 凛(みかど りん)、御門財閥の長女として産まれた。
両親は跡継ぎの息子が欲しかったようで女として産まれた私のことをよく思っていなかった。
私の世話は執事とメイド達がしてくれていた。
私が2歳になったとき、弟の御門 新(みかど あらた)が産まれた。
両親は念願の息子が産まれたことで私を執事とメイド達に渡し、新を連れて家を出ていってしまった。
新しい屋敷を建ててそこで暮らしているそうだが、必要な費用を送ってくれている以外は何も教えてくれてくれなかった。
私が小さい頃から執事としてずっと一緒にいる氷川 海(ひかわ かい)が身の回りの世話や勉強など色々してくれていた。
海は普段は優しくなんでもこなしてしまう完璧な執事。
しかし厳しいときは厳しくて怒らせるとすごく怖い。
海は執事としてずっと一緒にいると思っていたのにある日、私の中で何か特別な感情がある事に気付く。
しかし、愛を知らずに育ってきた私が愛と知るのは、まだ先の話。
妻がエロくて死にそうです
菅野鵜野
大衆娯楽
うだつの上がらないサラリーマンの士郎。だが、一つだけ自慢がある。
美しい妻、美佐子だ。同じ会社の上司にして、できる女で、日本人離れしたプロポーションを持つ。
こんな素敵な人が自分のようなフツーの男を選んだのには訳がある。
それは……
限度を知らない性欲モンスターを妻に持つ男の日常
親戚のおじさんに犯された!嫌がる私の姿を見ながら胸を揉み・・・
マッキーの世界
大衆娯楽
親戚のおじさんの家に住み、大学に通うことになった。
「おじさん、卒業するまで、どうぞよろしくお願いします」
「ああ、たっぷりとかわいがってあげるよ・・・」
「・・・?は、はい」
いやらしく私の目を見ながらニヤつく・・・
その夜。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる