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7th sense
7th sense 3
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「もしかして、あのときしゃべってたのは、本当に酒井さんだったかもしれないって、思ったりするってことだよ。如月さんに酒井さんの霊が乗り移ったとか」
「そんなこと、あるわけないじゃない」
「おれも信じられないけど…」
「だいたい、如月さんとあずさってなんの絡みもなくて、話したことすらないはずよ。
あれは、如月さんが航平くんのこと好きで、ずっとストーカーしてたのを、あずさのせいにして話したんだわ」
「ほんとにそうかな?」
「そうに決まってる。
酷い話よね。
あんなふざけたしゃべり方で、あずさのフリして告白するなんて。
あずさが、かわいそう過ぎる。
死んでまで利用されるなんて。
如月さんのことは前から変な人だと思ってたけど、あそこまで性格曲がってるとは思わなかった。人として最低!」
「いや。
如月さんがあんなことするはずないよ。なにか理由があるんじゃないかな?」
「、、、航平くん。如月さんのこと、好きなの?」
「えっ?
どうしてそうなるんだ?!」
「だって…
如月さんって華奢で小さくて、すっごい綺麗な子じゃない。
航平くんって、ああいう『守ってやりたい系』の、儚げな美少女が、好みなのかなって思って、、、」
そう言ってミクは視線を逸らし、短いスカートの上に置いた両手をギュッと握りしめて、可愛く拗ねる。
「わたし、、、
如月さんやあずさが羨ましいのかもしれない。
女の子のわたしから見ても、あずさって可愛い子だったし、性格もいちずで、ちょっと勝ち気なとこも手応えあってよかったし、、、
航平くんがあずさのこと好きになるのも、当たり前、、、」
ミクは軽く唇を噛み、目を伏せながら続ける。
「わたしはふたりみたいに、美人でも可愛くもないし。
こうして、航平くんといっしょにいる資格なんて、ないなぁって思っ…」
「そんなの、関係ねぇよ」
「…」
ミクの言葉を遮り、航平くんは強い眼差しで彼女を見つめる。
一瞬、驚いたように目を見開いたミクは、憂いのある表情で、彼を見返した。
ミクの得意技、誘惑光線だ。
こんな色っぽい眼差しを向けられたら、男子はたまらないだろう。
案の定、航平くんはうろたえた様子で頬を染め、ミクから目線を逸らせ、たどたどしくフォローした。
「あ、安藤さんって、男子から人気あるよ。
仕草とかしゃべり方とか、女の子っぽくて可愛いし、とっても話しやすいし、、、」
ミクはかぶりを振った。
「別に、たくさんの男子にモテたいなんて、思ってないし。
ただ、、、」
「ただ?」
「たったひとりの好きな人から、振り向いてもらえれば、それでいい」
そう言ってミクは瞳を潤ませ、意味深に航平くんを見つめた。
今度は航平くんも、視線を逸らせなかった。
長いこと、ふたりは見つめあったまま、、、
なんか、イヤ~な展開。
「、、ごめん。
わたし、、、
航平くんに、嘘ついた」
ポツリとミクが言った。
「え?」
意外な告白に、航平くんは驚いた。
「『わたしのこと、あずさだと思って、キスして』って、こないだ航平くんに言ったじゃない?」
「あ。ああ、、、」
「わたし。全然、あずさになりきれてなかった」
「え?」
「安藤未來として、航平くんのキス、受け入れちゃったの」
「…」
「ごめんなさい。これじゃあ、あずさに怒られるわね」
、、、そりゃ、怒るわ!
『酒井あずさとして』ってミクが言うから、あたしだって不本意だったのを、無理矢理納得させたっていうのに、今さら『あれは安藤未來だった』だなんて、いったいなんなのよ!
だけど、そのあとの航平くんの言葉は、さらに怒りを増すものだった。
つづく
「そんなこと、あるわけないじゃない」
「おれも信じられないけど…」
「だいたい、如月さんとあずさってなんの絡みもなくて、話したことすらないはずよ。
あれは、如月さんが航平くんのこと好きで、ずっとストーカーしてたのを、あずさのせいにして話したんだわ」
「ほんとにそうかな?」
「そうに決まってる。
酷い話よね。
あんなふざけたしゃべり方で、あずさのフリして告白するなんて。
あずさが、かわいそう過ぎる。
死んでまで利用されるなんて。
如月さんのことは前から変な人だと思ってたけど、あそこまで性格曲がってるとは思わなかった。人として最低!」
「いや。
如月さんがあんなことするはずないよ。なにか理由があるんじゃないかな?」
「、、、航平くん。如月さんのこと、好きなの?」
「えっ?
どうしてそうなるんだ?!」
「だって…
如月さんって華奢で小さくて、すっごい綺麗な子じゃない。
航平くんって、ああいう『守ってやりたい系』の、儚げな美少女が、好みなのかなって思って、、、」
そう言ってミクは視線を逸らし、短いスカートの上に置いた両手をギュッと握りしめて、可愛く拗ねる。
「わたし、、、
如月さんやあずさが羨ましいのかもしれない。
女の子のわたしから見ても、あずさって可愛い子だったし、性格もいちずで、ちょっと勝ち気なとこも手応えあってよかったし、、、
航平くんがあずさのこと好きになるのも、当たり前、、、」
ミクは軽く唇を噛み、目を伏せながら続ける。
「わたしはふたりみたいに、美人でも可愛くもないし。
こうして、航平くんといっしょにいる資格なんて、ないなぁって思っ…」
「そんなの、関係ねぇよ」
「…」
ミクの言葉を遮り、航平くんは強い眼差しで彼女を見つめる。
一瞬、驚いたように目を見開いたミクは、憂いのある表情で、彼を見返した。
ミクの得意技、誘惑光線だ。
こんな色っぽい眼差しを向けられたら、男子はたまらないだろう。
案の定、航平くんはうろたえた様子で頬を染め、ミクから目線を逸らせ、たどたどしくフォローした。
「あ、安藤さんって、男子から人気あるよ。
仕草とかしゃべり方とか、女の子っぽくて可愛いし、とっても話しやすいし、、、」
ミクはかぶりを振った。
「別に、たくさんの男子にモテたいなんて、思ってないし。
ただ、、、」
「ただ?」
「たったひとりの好きな人から、振り向いてもらえれば、それでいい」
そう言ってミクは瞳を潤ませ、意味深に航平くんを見つめた。
今度は航平くんも、視線を逸らせなかった。
長いこと、ふたりは見つめあったまま、、、
なんか、イヤ~な展開。
「、、ごめん。
わたし、、、
航平くんに、嘘ついた」
ポツリとミクが言った。
「え?」
意外な告白に、航平くんは驚いた。
「『わたしのこと、あずさだと思って、キスして』って、こないだ航平くんに言ったじゃない?」
「あ。ああ、、、」
「わたし。全然、あずさになりきれてなかった」
「え?」
「安藤未來として、航平くんのキス、受け入れちゃったの」
「…」
「ごめんなさい。これじゃあ、あずさに怒られるわね」
、、、そりゃ、怒るわ!
『酒井あずさとして』ってミクが言うから、あたしだって不本意だったのを、無理矢理納得させたっていうのに、今さら『あれは安藤未來だった』だなんて、いったいなんなのよ!
だけど、そのあとの航平くんの言葉は、さらに怒りを増すものだった。
つづく
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