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6th sense
6th sense 5
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<あたしだってわけわかんない。
なに? なんでこんなに手足が重いの。
全然思い通りに動かないじゃない!?>
<それはわたしのからだだからです。いきなり入ってきた酒井さんがコントロールできないのは、当たり前です。それより早く、出ていってくれませんか!>
<出ていけって、どうやればいいのよ?!
せっかく自分の言葉でしゃべれるようになったんだから、しばらくこのからだ貸してよ。自分で告るから。あなたじゃ話にならないわ!>
<それはダメです。人間に憑依するのは、あなたにとっても危険なことなのですから>
<どう危険だっての? ちょっとくらいいいじゃない。すぐに終わらせるから>
<ダメです。勘弁して下さい>
<ケチッ! どうしてもダメだっていうなら、このまま川に飛び込んで死んでやるっ!>
<ううっ… 仕方ありません。少しの間だけお貸しします。
だけど本当に、できるだけ早く憑依をやめて下さい。
自分以外の肉体に入るのは、霊にとってリスクが高いことなのです。
このままではあなたは、どんどん現世に執着してしまいますから>
<わかったわよ。用事が終わったらさっさと出てくから、説教はあとにして!>
わずか2~3秒くらいのやりとりだったろうけど、あたしたちはひとつのからだのなかで言い争ってた。
が、如月はようやく観念して、そのからだをあたしに使わせてくれることになった。
だけど、他人のからだを動かすのって、すっごく変な気分。
まるで、ぎゅうぎゅうの満員電車のなかで二人羽織でもやってるかのように、窮屈で思うように動かせない。
しかも久し振りの重力のせいか、からだが重すぎる。
如月って痩せてて背も低いから、体重だって40kgもなさそうなのに、今のあたしには40tもあるような巨大怪獣のように感じる。
指一本動かすことさえ、ままならない。
なのでとりあえず、あたしはしゃべることにだけ、意識を集中した。
「航ぺー、ふんっ。あらし、、、さ、酒井、あずさらの。
あたし、夜らべしし、、して、ラブレラー、、かっかっ、書いた、ろよ!」
ええっ?
なに、この、、、 酔っぱらいみたいなしゃべり方は。
呂律が回らない。
「航平くんに、こっこっ、、の想いを、知っれも、らいらくれ、、、
航平くんらって、あたしのころ、好きらって、言って、くれたじゃない。
ほんとに、嬉しかったんだから!」
それでもあたしは諦めずに、しゃべり続けた。
次第にコツがわかってきて、流暢に言葉が出てきはじめた。
久しぶりに人としてしゃべれるのが嬉しくて、あたしは調子に乗ってまくし立てた。
「あたし、、、
ずっと航平くんと話したかった。
なのにあたしはもう死んじゃって、航平くんとはいっしょにいられない。
あたしずっと、航平くんの隣にいたかった。
なのにもう、永遠にその望みはかなえられないの。
だからせめて、あたしのこの気持ち、航平くんに忘れないように覚えてもら、、」
「やめろよっ!!」
航平くんが絶叫して、あたしの言葉を遮った。
なんで、、、?!
「如月さん。それって、酒井さんになったつもりか?
、、、ふざけるのもいい加減にしろよ!
それ以上、死者を冒涜するなよ、、、、、、、」
航平くん、、、
手が、グーになって震えてる。
ヤバっ。
なんか、ミスったかも、、、
「嘘じゃないのよ!
あたしは正真正銘の酒井あずさなんだから」
とにかく信じてもらうしかない。
あたしは必死に訴えた。
つづく
なに? なんでこんなに手足が重いの。
全然思い通りに動かないじゃない!?>
<それはわたしのからだだからです。いきなり入ってきた酒井さんがコントロールできないのは、当たり前です。それより早く、出ていってくれませんか!>
<出ていけって、どうやればいいのよ?!
せっかく自分の言葉でしゃべれるようになったんだから、しばらくこのからだ貸してよ。自分で告るから。あなたじゃ話にならないわ!>
<それはダメです。人間に憑依するのは、あなたにとっても危険なことなのですから>
<どう危険だっての? ちょっとくらいいいじゃない。すぐに終わらせるから>
<ダメです。勘弁して下さい>
<ケチッ! どうしてもダメだっていうなら、このまま川に飛び込んで死んでやるっ!>
<ううっ… 仕方ありません。少しの間だけお貸しします。
だけど本当に、できるだけ早く憑依をやめて下さい。
自分以外の肉体に入るのは、霊にとってリスクが高いことなのです。
このままではあなたは、どんどん現世に執着してしまいますから>
<わかったわよ。用事が終わったらさっさと出てくから、説教はあとにして!>
わずか2~3秒くらいのやりとりだったろうけど、あたしたちはひとつのからだのなかで言い争ってた。
が、如月はようやく観念して、そのからだをあたしに使わせてくれることになった。
だけど、他人のからだを動かすのって、すっごく変な気分。
まるで、ぎゅうぎゅうの満員電車のなかで二人羽織でもやってるかのように、窮屈で思うように動かせない。
しかも久し振りの重力のせいか、からだが重すぎる。
如月って痩せてて背も低いから、体重だって40kgもなさそうなのに、今のあたしには40tもあるような巨大怪獣のように感じる。
指一本動かすことさえ、ままならない。
なのでとりあえず、あたしはしゃべることにだけ、意識を集中した。
「航ぺー、ふんっ。あらし、、、さ、酒井、あずさらの。
あたし、夜らべしし、、して、ラブレラー、、かっかっ、書いた、ろよ!」
ええっ?
なに、この、、、 酔っぱらいみたいなしゃべり方は。
呂律が回らない。
「航平くんに、こっこっ、、の想いを、知っれも、らいらくれ、、、
航平くんらって、あたしのころ、好きらって、言って、くれたじゃない。
ほんとに、嬉しかったんだから!」
それでもあたしは諦めずに、しゃべり続けた。
次第にコツがわかってきて、流暢に言葉が出てきはじめた。
久しぶりに人としてしゃべれるのが嬉しくて、あたしは調子に乗ってまくし立てた。
「あたし、、、
ずっと航平くんと話したかった。
なのにあたしはもう死んじゃって、航平くんとはいっしょにいられない。
あたしずっと、航平くんの隣にいたかった。
なのにもう、永遠にその望みはかなえられないの。
だからせめて、あたしのこの気持ち、航平くんに忘れないように覚えてもら、、」
「やめろよっ!!」
航平くんが絶叫して、あたしの言葉を遮った。
なんで、、、?!
「如月さん。それって、酒井さんになったつもりか?
、、、ふざけるのもいい加減にしろよ!
それ以上、死者を冒涜するなよ、、、、、、、」
航平くん、、、
手が、グーになって震えてる。
ヤバっ。
なんか、ミスったかも、、、
「嘘じゃないのよ!
あたしは正真正銘の酒井あずさなんだから」
とにかく信じてもらうしかない。
あたしは必死に訴えた。
つづく
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