ブラックアウトガール

茉莉 佳

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3rd sense

3rd sense 8

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如月は封筒を開ける。
なかから出てきたのは、、、
ドス黒い血にまみれ、グシャグシャに変わり果てた、あたしのラブレター。

<ぎゃあああああああ~~~~!!!! なんなのこれ! ひどいっっ!!!!! >

ムンクの『叫び』のように、あたしは白目を剥いて、顔面蒼白になった。
一生懸命書いたラブレターが、なんて無惨なことになってんのよ~~、、、、orz
母は説明する。
その言葉は、嗚咽で途切れがちだった。

「あずさが、事故に遭ったとき、ちょうど胸を、、、 そう、その手紙のあたり、、、 強く打って、出血して、、、
手紙も、そんなになってしまって。
あの子にとっては、大事なものなんでしょうけど、正直わたしも、、、 どう処分していいかわからなくて、、、 開封していいものかどうか。捨てるのも忍びないし…」
「…そうですね。どうしましょう… (酒井さん?)」

母に悟られないように、如月はそっとわたしに目配せする。
慌ててあたしはかぶりを振った。

<ないないないない! こんなの航平くんに渡せるわけないじゃん!!
こんな血まみれの手紙なんて、ホラーでしかないじゃん!!!
もらったって不気味なだけ!!
もういい!
航平くんに渡すのは諦めるから。
燃やして!
だれも読んじゃダメ!!
封切らないまま燃やして、なかったことにして~っっ!!!!!>

必死にあたしは訴える。
如月は母に言った。

「このお手紙は、燃やして供養した方がいいと思います」
「そう?」

納得いかない様子で、母は如月を見つめた。

「きっと酒井さんも、それを望んでいると思います。わたしにはそれがよくわかります」
「そっか。あずさも、いいお友達持ったわね。そうね。これは… 処分するわ」

悲しみを吹っ切るかのように、母は努めて明るく言って、血まみれのホラーなラブレターを再び封筒にしまい、あたしの部屋へ戻しにいった。

ほっと安心すると同時に、悲しみもこみ上げてくる。
せっかく書いたラブレターがあんなになっちゃって。
いったいあたしはどうやって、この気持ちを航平くんに伝えればいいの?
もう、どうしようもない、、、

行き場をなくしたあたしの恋は、そのときから迷走をはじめたのだった。

つづく
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