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3rd sense
3rd sense 6
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、、、そう。
あたしの恋はもう、叶ったんだった。
航平くんはあたしのこと、好きだった。
あたしと同じくらい、航平くんはあたしを想ってくれてた。
家に行ったとき、あたしは確かにそれを感じたんだった。
すっごく嬉しい。
こんなに嬉しいことって、ない。
だけど、どんなにふたりが両想いになったとしても、あたしと航平くんは触れ合うことも、話をすることもできない。
もう航平くんが、あたしの気持ちを知ることはできない。
あたしがどんなに航平くんが好きだったかを。
中学3年のときから2年間。
ずっと航平くんが好きで好きで、夕べは遅くまでラブレター書いて、航平くんにこの気持ちを伝えたかったんだ。
そうだ!
今日こそはラブレター、渡さなきゃ!
<如月さん! あなたのこと、信じれる?!>
急き込みながら、あたしは如月の手を掴んで訊いた。
<親友の萌香もミクも、もうあたしのことわかってくれないし、今のあたしにはあなたしか頼れる人はいないのよ。力になってくれる?>
「…もちろんです」
期待に応えるかのように、如月はあたしの手をぎゅっと握り返した。
もちろんあたしたちは触れ合うことはできない。
だけど、彼女の気持ちが直接、あたしの魂に触れてきたのだ。
<じゃあ聞いてくれる? 如月さんにお願いしたいことがあるの>
「なんでしょう?」
<その、、、ラ、ラ、ラブ、、、レ、ターを、、、>
「ラブレター?」
<そう、それ。それを渡してほしいんだけど、、、 航平くんに>
「酒井さんの書いたラブレターを、浅井さんに渡せばいいのですね」
<もうっ。あんまりはっきり言うと照れるじゃない! まあ、そういうこと>
「わかりました。そのお手紙はどこに?」
<あたしの内ポケットのなか、、、>
そう言いながらあたしは胸の内ポケットに手を入れた。
、、、ない!
ポケットに入れてるはずのラブレターがない!
<あれぇ、、 ここにあるはずなのに、、、>
うろたえるあたしを見て、如月はハッと気づく。
「多分、事故当時、酒井さんが着ていた制服に、入っているのだと思います」
<、、、そっか。あたし今は幽霊だし、今着てるこの制服も実体がないのか。ほんとの制服は家にあるってことね>
「…では、酒井さんのおうちに伺っていいですか? お手紙を取りに」
<そうだね! じゃあついてきて、あたしん家はすぐ近くよ!>
そう言って彼女の前に立ち、あたしは歩きはじめた。
よかった。
なんか、希望が見えてきた。
ちゃんと足があったとしたら、今のあたしは軽やかなステップを踏んでたに違いない。
“ピンポーン”
如月があたしの家のベルを鳴らした。
インターフォンの向こうから、母の声が聞こえてきた。
『はい』
「あの… 酒井さんのクラスの如月と言います」
『…ちょっと待って下さい』
しばらくして、ドアの鍵をガチャガチャと開ける音が聞こえ、母が顔を出した。
どれだけ泣いたんだろうか?
母は顔色が悪く、目の下に隈ができてて、心なしかやせてるように見えた。
おずおずと、如月は会釈する。
「はじめまして。こんにちは」
「如月、さん? あずさの同級生?! いったいなんのご用?」
不審そうな顔で、母は如月を見た。
そりゃそうだ。
あたしは一度も、如月をうちに連れてきたことなんてないし、話題にしたことすらない。
「あの…」
如月はなかなか切り出せないでいたが、ようやく意を決して言った。
「酒井さんの制服の内ポケットに、お手紙が入っていたと思うのですけど…
それを見せていただけませんか?」
「…」
母の顔がみるみる引きつっていった。
まるで恐ろしいものを見るかのように、如月をまじまじと見つめてる。
つづく
あたしの恋はもう、叶ったんだった。
航平くんはあたしのこと、好きだった。
あたしと同じくらい、航平くんはあたしを想ってくれてた。
家に行ったとき、あたしは確かにそれを感じたんだった。
すっごく嬉しい。
こんなに嬉しいことって、ない。
だけど、どんなにふたりが両想いになったとしても、あたしと航平くんは触れ合うことも、話をすることもできない。
もう航平くんが、あたしの気持ちを知ることはできない。
あたしがどんなに航平くんが好きだったかを。
中学3年のときから2年間。
ずっと航平くんが好きで好きで、夕べは遅くまでラブレター書いて、航平くんにこの気持ちを伝えたかったんだ。
そうだ!
今日こそはラブレター、渡さなきゃ!
<如月さん! あなたのこと、信じれる?!>
急き込みながら、あたしは如月の手を掴んで訊いた。
<親友の萌香もミクも、もうあたしのことわかってくれないし、今のあたしにはあなたしか頼れる人はいないのよ。力になってくれる?>
「…もちろんです」
期待に応えるかのように、如月はあたしの手をぎゅっと握り返した。
もちろんあたしたちは触れ合うことはできない。
だけど、彼女の気持ちが直接、あたしの魂に触れてきたのだ。
<じゃあ聞いてくれる? 如月さんにお願いしたいことがあるの>
「なんでしょう?」
<その、、、ラ、ラ、ラブ、、、レ、ターを、、、>
「ラブレター?」
<そう、それ。それを渡してほしいんだけど、、、 航平くんに>
「酒井さんの書いたラブレターを、浅井さんに渡せばいいのですね」
<もうっ。あんまりはっきり言うと照れるじゃない! まあ、そういうこと>
「わかりました。そのお手紙はどこに?」
<あたしの内ポケットのなか、、、>
そう言いながらあたしは胸の内ポケットに手を入れた。
、、、ない!
ポケットに入れてるはずのラブレターがない!
<あれぇ、、 ここにあるはずなのに、、、>
うろたえるあたしを見て、如月はハッと気づく。
「多分、事故当時、酒井さんが着ていた制服に、入っているのだと思います」
<、、、そっか。あたし今は幽霊だし、今着てるこの制服も実体がないのか。ほんとの制服は家にあるってことね>
「…では、酒井さんのおうちに伺っていいですか? お手紙を取りに」
<そうだね! じゃあついてきて、あたしん家はすぐ近くよ!>
そう言って彼女の前に立ち、あたしは歩きはじめた。
よかった。
なんか、希望が見えてきた。
ちゃんと足があったとしたら、今のあたしは軽やかなステップを踏んでたに違いない。
“ピンポーン”
如月があたしの家のベルを鳴らした。
インターフォンの向こうから、母の声が聞こえてきた。
『はい』
「あの… 酒井さんのクラスの如月と言います」
『…ちょっと待って下さい』
しばらくして、ドアの鍵をガチャガチャと開ける音が聞こえ、母が顔を出した。
どれだけ泣いたんだろうか?
母は顔色が悪く、目の下に隈ができてて、心なしかやせてるように見えた。
おずおずと、如月は会釈する。
「はじめまして。こんにちは」
「如月、さん? あずさの同級生?! いったいなんのご用?」
不審そうな顔で、母は如月を見た。
そりゃそうだ。
あたしは一度も、如月をうちに連れてきたことなんてないし、話題にしたことすらない。
「あの…」
如月はなかなか切り出せないでいたが、ようやく意を決して言った。
「酒井さんの制服の内ポケットに、お手紙が入っていたと思うのですけど…
それを見せていただけませんか?」
「…」
母の顔がみるみる引きつっていった。
まるで恐ろしいものを見るかのように、如月をまじまじと見つめてる。
つづく
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