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Death Jail

2017-08-16のブログ

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     2017-08-16 16:10
         ☆無題

   ムカつく!!!!
   あのオタク、二股かけてた。

   あの顔で?
   あのキモさで?
   ありえないし!
   しかも、二股してるって事に、なんの罪悪感も持ってない。
   ありえない!!
   あんなダサそうなオタク男が、なんで二股なんかできるのよ!
   
   、、違う。
   二股なんかじゃない。
   だいたい、あたしはあいつの事、好きでもなんでもないし、
   別につきあってるわけじゃない。
   だから、二股なんかじゃない!
   だったら別に、怒る事も悲しむ事もないはず。
   あたしったら、なに熱くなってるんだろw
   あんなオタク。
   関係ない!

   なのに、、
   なに?
   この敗北感。

   あいつが罪悪感ないのは、
   あたしの事は別に、好きでもなんでもない、って証拠。
   あたしはただの家出娘。
   お兄ちゃんにとっては、厄介なだけの存在。
   そりゃ、スマホの向こうの彼女の方が、大事に決まってるよね。

   カノジョ。
   どんな人かな?
   可愛いのかな?
   いくつくらいかな?
   やっぱりオタクなのかな?
   
   あたし、、、、 バカだ。
   期待してた。
   お兄ちゃんがあたしの事、好きでいてくれてるって。
   あたしの事が好きだから、家にいさせてくれて、
   いろいろ話を聞いてくれて、よくしてくれて、
   わがままも聞いてくれて、
   原宿で高い服まで買ってくれて、
   あたしの事、大事にしてくれてたんだって。

   なのに、その期待は、あっさり裏切られちゃって、、

   やっぱり他人を信じると、ロクな事がない。
   ムカつく!
   サイテー!!
   あんなやつ、
   あんなやつ!
   死ねばいい!!!



わけのわからない動揺と、怒りと、苛立ち。
もう過去の事なのに、その件はすっかり誤解が解けてるっていうのに、栞里ちゃんのブログを読んでると、脳裏にあのときの焦りと後悔がよみがえってくる。
ぼくは恐る恐る、次の記事をクリックする。
それは自分にとって、かなり衝撃的な内容だった。



     2017-08-16 20:47
         ☆無題

   イケメンに拾われた。

   お腹すいた。
   財布にはもう、いくらも残ってない。
   オタクと別れても、行くとこなんてない。
   夜まで渋谷をうろついてて、
   近くのマクドに入って、ポテトだけ注文したけど、
   こんなんじゃたりない。

   少しずつ大事に食べてたら、男が声かけてきた。
   オタク男と違って、けっこうイケメン。
   服もブランド物だし、いい靴履いてる。
   「オレもメシまだ食ってないんだけど、いっしょにどう?」
   とか誘ってくる。
   「おごってくれるならいいよ」
   もうこっちもヤケ。
   なんでもいいから食べさせて。



     2017-08-16 23:36
         ☆無題

   なんなの? この男!!
   ホテルに連れ込むなり、いきなり服を脱がされた。
   いちおうピザの宅配電話してくれたけど、
   すぐにベッドに押し倒された。

   こいつの、でかい。
   こんなの入るわけない!
   イヤがってるあたしにかまわず、両手で押さえつけて、
   無理やりねじ込んできた。
   全然濡れてないのに、引き裂かれるみたいに痛い。
   あんまり痛くて、涙流して苦しんでるのに、
   それをヨガってるって勘違いして、
   ガンガン突き立ててくる。

   あたしの気持ちなんて、全然考えてくれてない。
   エッチって、そんな一方通行なもの?
   男はただ、ヤリたいだけ?
   女は、ガマンしてるだけ?
   しかもこいつ、なかに出しやがった。

   気持ち悪い。
   吐き気がする。
   息ができない。
   ここ数日の、ほんわかした時間が、まるで夢の様。
   あたしはまた、罪を償ういばらの日々に戻る。

   それでもあたしは、ピザを食べる。

   いつかきっと、この贖罪しょくざいも終わる。
   そう思わせてくれたのは、あのオタク。
   一縷いちるの希望があるなら、
   ここで死ぬわけにはいかないから。

つづく
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