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3rd stage

デートコースなんて思いつかない

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『よっしゃ~~!!』

心の中でガッツポーズ。
しかし、、、

勢いで誘ったものの、よくよく考えると、それってもしかして、『デート』。じゃないのか?

、、、高い。

年齢イコール彼女いない歴のぼくには、高過ぎるハードル、、、orz
そりゃ、バーチャルカノジョの『みく』となら、スマホ片手にブラブラと街をうろついて、デート気分に浸ってたけど、リアルデートはわけが違う。

どこに行けばいいんだ?
なにを買えばいいんだ?
どんな会話をすればいいんだ?

どんなに考えてみても、デートのコースなんて思い浮かばないし、想像すらできない。
いっしょに外出すれば、食事とかお茶しようって流れになるかもしれないが、ファミレスかファーストフードか牛丼屋くらいしか知らない自分には、オサレな食べ物屋なんて、テリトリー外。

せっかくの、栞里ちゃんとの初めてのデートなんだから、ちゃんとエスコートしたい。
藁《わら》をもつかむ気持ちで、栞里ちゃんにわからない様にこっそりと、ぼくはヨシキにメッセした。

「めしどこか、たのむ」

時間をおかずに、レスは来た。

『なに? 今さら電車男w』

すぐさまぼくもメッセを返す。

「明日栞里ちゃんと買い物に行く。アドバイスよろ」
『そーきたか。軍資金は?』
「10諭吉以内で?」
『厨房相手なら充分杉。食事とお茶のオプションあり?』
「たのむ」
『服のテイストは?』
「わからん」
『その子の画像ないのか?』
「ある」
『送れ』
「流出させるなよ」
『機密厳守でおK』

念を押して、さっき撮った栞里ちゃんの画像を添付して、ヨシキに送る。

『感涙! メッチャ可愛いじゃないか! 『LIZ LISA』とか、姫系が似合いそう』
「じゃあそれで」
『ホテルのオプションは?』
「ないないないない!」
『了解。あとでおすすめプラン送っとく』

そこからヨシキはプランニングにかかった様で、メッセが途絶えた。
口惜しいけどこういう問題は、やっぱりヨシキが頼りになる。

 風呂に入ってる間に、ヨシキから『おすすめプラン』が届き、とりあえず明日の買い物の問題は片付いた。
だけど、もうひとつ頭を抱える問題があった。
それは、、、
今夜、寝る場所をどうするか、だ!

 昨夜は半徹でイラスト描いてたおかげで、机で寝落ちできたが、毎日それってわけにもいかない。
こういう場合は映画なら、女をベッドで寝かせて男はソファってのが鉄板なんだろうけど、あいにくうちにはソファなんて気の利いたものはない。

「今夜の、ね、寝る場所だけど… どうしようか?」

思いあまって、ぼくは直接、栞里ちゃんに訊いてみた。
こちらを振り向いた彼女は、怪訝そうな顔をするだけで、なにも言わない。

ヤバい。
いやらしい意味にとられたのかもしれない。

「べっ、別に、へっ、へっ、変な意味じゃないんだよ。純粋にどこで寝るかって事で…」

言い訳もしどろもどろ。

「…いいよ」
「え?」
「いっしょにベッドで寝ても、いいよ」
「いっ、、、 ベッ、、、」
「なんなら抱いてもいいし」

小悪魔の様にクスリと笑って、栞里ちゃんは答えた。

ぐはっ。
嘘だろ~!
いっしょに寝るなんて、、、
想像しただけで、理性がぶち切れそうだ!

「いい、いい! ベッドは栞里ちゃんが使って! ぼくはこっちで寝るからっ。ほらっ。抱き枕もあるからっっっ!!」

慌てて美少女イラストつき抱き枕をクロゼットから取り出し、ぼくはベッドから一番遠くの離れた床にそれを置いてポンポンと叩き、自分の寝場所をアピールした。
そんなぼくを見て、栞里ちゃんはクスクス笑うだけ。
もしかして、からかわれてる?
それとも、ほんとにいっしょに寝てよかったのか?

だけどもう、『床で寝る』って言ってしまった以上、今さらいっしょにベッドでなんて言えない。

逃した魚は大きいっていうか、、、
なんか常に、自ら負け組になろうとしてる自分、、、orz


 こうして、波乱に満ちた一日が終わり、明日はいよいよ、次のステージの買い物デートへと進むわけだが、ひとつ大切な事を忘れていたのを、ぼくは当日になって気づくのだった。

つづく
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