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それからの2人
身長とチラリズム
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追い抜かされそうだ……。そう思っていた弟の成長が、ぴたりと止まった。
こんなこと思ってはいけないんだろうけど、兄としてはちょっと安心。
いや、弟の成長を見守るのは俺にとって大事なことだし、ムキムキマッチョになったとしたって、愛せる自信がある。抱きしめてくれる腕が前より逞しくなって、ドキリとしたりもするし。
ただ、一つだけ残念なのは、律が高い所にある物を取るとき目一杯背伸びをして、それでも取れなくて、お兄ちゃん取ってぇとねだる姿が見られなくなったことだ。
今では普通にひょいっと取れちゃうもんな。そこまで差がある訳でもないから、俺に届いて律に届かないところなんて、部屋の中にはまずない。
ああ、久々に背伸びをする律が見たい。懸命に伸びをするからシャツと短パンの間に隙間ができて白い肌がちらりと見える。あの一瞬のロマンを見ることは、もうないのか……。まあそもそももう短パン穿かないけど……。
……そうだ!
「律、時計の電池替えたいんだけど。そう、それ。外してくれないか?」
「兄さんの方が背が高いんだから、自分で取ればいいのに」
「それが実は、昨日腰を痛めてしまって、あまり伸びをしたくないんだ」
「じゃ、踏み台……」
もう少し手を伸ばせば届くだろうに、昔の癖が抜けないのか、ちょっと高いところにあるそれのために、律がダイニングから椅子を持ってこようとする。
「あっ、ま……! も、もう、背が高くなってるんだから、律だって背伸びをすれば届くだろう?」
「え。そうかな……。そうかも」
今気付いた、という表情。少し嬉しそう。可愛い。
そして律は軽く手を伸ばし、時計を取った。
あれ。腹チラしない。しまった。思った以上に育っていたらしい。悔しい。
「はい。取ったよ……って、何でそんな唇噛みしめてんのさ」
「律。何も言わずに腹を見せてくれ」
「はっ? な、何急に。嫌だよ。何で急に腹なんか見せなきゃいけないの。夜いくらだって見てるじゃないか」
夜見えるのは当たり前。俺だって見せてるし。普段見られないところで見るのが、ぐっとくるっていうのに、律は判ってない。
それにいつも見てるからこそ、照れなくっていいと思うのに。
「軽く恥ずかしそうに、たくしあげてくれるだけでいいんだけど」
「兄さんってさ……。いや、もう今更か」
俺には色々させるくせに、俺だけ変態だとでも言いたいのか。酷い。
そうは言いながらも律は少し恥ずかしそうに目を伏せながら、少しだけシャツをたくしあげてくれた。
「こ、これでいい?」
「何で中にシャツを着てるんだ……ッ!」
「いや、汗かくしさ……」
残念ながらチラッとしたのは生肌じゃなくシャツだった。夜脱ぐときもそういえば着てるし、何で気付かなかったんだ。
「肌が見たいの?」
「見たい」
「わかった」
ひょいっと抱えられた。
「えっ!? 律!?」
「肌が見たいんでしょ。じゃあベッドへ直行~」
背は追い抜かされてないけど力はすっかり追い抜かされてしまった。姫抱っこは恥ずかしい。
それに、肌が見たいってそういうことじゃない!
「そうじゃなくて、俺はチラリズム的な……」
「したくないの?」
「そういう訳でも……」
「したい?」
「したいけど」
「兄さんが望むなら、服、全部脱がないでしてあげるから……しよ?」
そう言われて、ちゅっと口付けられて、俺はもう何も言えなくなってしまった。
ちらりとかいま見える肌に興奮した過去もいいけど、堂々と抱き合える今はもっといい。
こんなこと思ってはいけないんだろうけど、兄としてはちょっと安心。
いや、弟の成長を見守るのは俺にとって大事なことだし、ムキムキマッチョになったとしたって、愛せる自信がある。抱きしめてくれる腕が前より逞しくなって、ドキリとしたりもするし。
ただ、一つだけ残念なのは、律が高い所にある物を取るとき目一杯背伸びをして、それでも取れなくて、お兄ちゃん取ってぇとねだる姿が見られなくなったことだ。
今では普通にひょいっと取れちゃうもんな。そこまで差がある訳でもないから、俺に届いて律に届かないところなんて、部屋の中にはまずない。
ああ、久々に背伸びをする律が見たい。懸命に伸びをするからシャツと短パンの間に隙間ができて白い肌がちらりと見える。あの一瞬のロマンを見ることは、もうないのか……。まあそもそももう短パン穿かないけど……。
……そうだ!
「律、時計の電池替えたいんだけど。そう、それ。外してくれないか?」
「兄さんの方が背が高いんだから、自分で取ればいいのに」
「それが実は、昨日腰を痛めてしまって、あまり伸びをしたくないんだ」
「じゃ、踏み台……」
もう少し手を伸ばせば届くだろうに、昔の癖が抜けないのか、ちょっと高いところにあるそれのために、律がダイニングから椅子を持ってこようとする。
「あっ、ま……! も、もう、背が高くなってるんだから、律だって背伸びをすれば届くだろう?」
「え。そうかな……。そうかも」
今気付いた、という表情。少し嬉しそう。可愛い。
そして律は軽く手を伸ばし、時計を取った。
あれ。腹チラしない。しまった。思った以上に育っていたらしい。悔しい。
「はい。取ったよ……って、何でそんな唇噛みしめてんのさ」
「律。何も言わずに腹を見せてくれ」
「はっ? な、何急に。嫌だよ。何で急に腹なんか見せなきゃいけないの。夜いくらだって見てるじゃないか」
夜見えるのは当たり前。俺だって見せてるし。普段見られないところで見るのが、ぐっとくるっていうのに、律は判ってない。
それにいつも見てるからこそ、照れなくっていいと思うのに。
「軽く恥ずかしそうに、たくしあげてくれるだけでいいんだけど」
「兄さんってさ……。いや、もう今更か」
俺には色々させるくせに、俺だけ変態だとでも言いたいのか。酷い。
そうは言いながらも律は少し恥ずかしそうに目を伏せながら、少しだけシャツをたくしあげてくれた。
「こ、これでいい?」
「何で中にシャツを着てるんだ……ッ!」
「いや、汗かくしさ……」
残念ながらチラッとしたのは生肌じゃなくシャツだった。夜脱ぐときもそういえば着てるし、何で気付かなかったんだ。
「肌が見たいの?」
「見たい」
「わかった」
ひょいっと抱えられた。
「えっ!? 律!?」
「肌が見たいんでしょ。じゃあベッドへ直行~」
背は追い抜かされてないけど力はすっかり追い抜かされてしまった。姫抱っこは恥ずかしい。
それに、肌が見たいってそういうことじゃない!
「そうじゃなくて、俺はチラリズム的な……」
「したくないの?」
「そういう訳でも……」
「したい?」
「したいけど」
「兄さんが望むなら、服、全部脱がないでしてあげるから……しよ?」
そう言われて、ちゅっと口付けられて、俺はもう何も言えなくなってしまった。
ちらりとかいま見える肌に興奮した過去もいいけど、堂々と抱き合える今はもっといい。
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