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それからの2人
痩せた身体もいいけれど
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楽しい夏休みが終わり、そろそろ文化祭らしい。律は忙しくしてる。俺も、最近仕事が忙しい。
律と一緒に暮らすようになるまでは俺は駄目な社会人だったけど、今は大分真面目になったと思う。精神的に安定して、律以外の物もきちんと見るようになったからだ。
律と釣り合うような存在でいたい。ずっと傍にいたら飽きられちゃうかもしれないから、そうならないように努力しないと。
今日は久し振りに俺の方が早く家へ帰れたから、夕飯を作ってみた。これも努力の一環。
不器用な俺が家事の中で唯一、まともにできるのがこれだ。それでも、普通よりどっちかっていうと下手ってくらい。
勉強は自分で言うのもなんだけどできる方だし要領も悪くはないのに、どうしてもこういった、手先を使う作業は苦手だった。
なら何故料理はまともにできるのか。それは勿論、律が小さい頃母親の代わりにいっぱい作ってあげたから。人間努力でなんとかなるものだ。
今日は豆腐とわかめのおみそ汁に野菜炒め、黄身の潰れた目玉焼きとちょっと焦げたハンバーグだ。
おみそ汁を味見していると、律が帰ってきた。
「ただいまー。わっ、いい匂い。今日は兄さんがご飯作ってくれたんだ」
嬉しそうな声を上げながらキッチンへ入ってきた律を見ると、やたら不機嫌そうな顔をしていた。
せっかく作ったし、嬉しそうにしてたのに、急になんだ? 俺何か使っちゃマズイ材料とか使ったのかな。賞味期限切れとか。
「律、どうかしたか?」
「兄さん……」
いきなり、腰をがっと掴まれた。
「ひ、ひゃっ、何っ……」
「痩せたでしょ。何この腰っ」
「いや、そんな変わらないって、多分。大体毎日一緒にいて、その……腰だってよく掴んだりしてるのに、何今更っ」
「おかしいな。エプロン補正かな。でも絶対これは、少なく見積もっても5センチは細くなってる」
「男なんだから、そんな簡単に……」
実は、ベルトひとつ分細くなっている。鋭い……。最近忙しくて昼食カロリーメイトやファイバー系で済ませていたからな……。
「ヤッてる時は案外気付かないんだよ。夢中だし。でも絶対痩せた。これ以上細くならないでよ、兄さんただでさえ細いんだから」
「俺はそんなに細くないぞ。人並みだ」
大体それなら、律の方が痩せてた。最近はちょっと逞しくなってきたけど。
「今は人並みとは言わないよ。細い。腕とか、ほら……。どうするんだよ。襲われた時、抵抗できないよ?」
そう言って律は俺の腕を壁に押さえつけて、キスをしてきた。今はもう、ちょっと屈んでしまえば律の顔は俺より上にある。
「ん、んんっ……」
押さえつけられてのキスはどこか苦い。俺は、律がしたいって言うなら抵抗なんてしないのに。
「抵抗なんてしないから」
「僕以外に襲われても?」
「えっ!? いや、律以外に俺を襲う人なんていないからっ!」
「そんなことない。兄さん、可愛いし。狙ってる男は絶対いっぱいいる」
「いや、いないよ。それはさすがに、その、恋人としての贔屓目が入ってるって……」
膝で中心をぐっと押されて、崩れ落ちそうになる。
「律、ご、ご飯、が……っ」
「抵抗しないんでしょ……?」
甘く囁かれて、エプロンをそのままに服だけ脱がされて、俺は夕飯の前にアッサリと美味しく頂かれてしまった。
いっぱい運動したからお腹空いたよね、と山盛りのご飯を差し出されたけど、余計に食べる気がなくなりそうだよ、律……。
でも冷めて余計に美味しくなくなった俺作のご飯でも、やっぱり美味しい美味しいと食べてくれる律を見て、俺もいつもよりたくさん食べることができた。
空腹は最大のスパイスなんて言うけれど、気遣いと愛情はそれに勝ると思った。
「細い腰の兄さんはねー……そそるとは思うし、好みなんだけど、やっぱりちょっと、不安だからさ」
ただ、その葛藤の理由だけはお兄ちゃんあんまりわかりません。
律と一緒に暮らすようになるまでは俺は駄目な社会人だったけど、今は大分真面目になったと思う。精神的に安定して、律以外の物もきちんと見るようになったからだ。
律と釣り合うような存在でいたい。ずっと傍にいたら飽きられちゃうかもしれないから、そうならないように努力しないと。
今日は久し振りに俺の方が早く家へ帰れたから、夕飯を作ってみた。これも努力の一環。
不器用な俺が家事の中で唯一、まともにできるのがこれだ。それでも、普通よりどっちかっていうと下手ってくらい。
勉強は自分で言うのもなんだけどできる方だし要領も悪くはないのに、どうしてもこういった、手先を使う作業は苦手だった。
なら何故料理はまともにできるのか。それは勿論、律が小さい頃母親の代わりにいっぱい作ってあげたから。人間努力でなんとかなるものだ。
今日は豆腐とわかめのおみそ汁に野菜炒め、黄身の潰れた目玉焼きとちょっと焦げたハンバーグだ。
おみそ汁を味見していると、律が帰ってきた。
「ただいまー。わっ、いい匂い。今日は兄さんがご飯作ってくれたんだ」
嬉しそうな声を上げながらキッチンへ入ってきた律を見ると、やたら不機嫌そうな顔をしていた。
せっかく作ったし、嬉しそうにしてたのに、急になんだ? 俺何か使っちゃマズイ材料とか使ったのかな。賞味期限切れとか。
「律、どうかしたか?」
「兄さん……」
いきなり、腰をがっと掴まれた。
「ひ、ひゃっ、何っ……」
「痩せたでしょ。何この腰っ」
「いや、そんな変わらないって、多分。大体毎日一緒にいて、その……腰だってよく掴んだりしてるのに、何今更っ」
「おかしいな。エプロン補正かな。でも絶対これは、少なく見積もっても5センチは細くなってる」
「男なんだから、そんな簡単に……」
実は、ベルトひとつ分細くなっている。鋭い……。最近忙しくて昼食カロリーメイトやファイバー系で済ませていたからな……。
「ヤッてる時は案外気付かないんだよ。夢中だし。でも絶対痩せた。これ以上細くならないでよ、兄さんただでさえ細いんだから」
「俺はそんなに細くないぞ。人並みだ」
大体それなら、律の方が痩せてた。最近はちょっと逞しくなってきたけど。
「今は人並みとは言わないよ。細い。腕とか、ほら……。どうするんだよ。襲われた時、抵抗できないよ?」
そう言って律は俺の腕を壁に押さえつけて、キスをしてきた。今はもう、ちょっと屈んでしまえば律の顔は俺より上にある。
「ん、んんっ……」
押さえつけられてのキスはどこか苦い。俺は、律がしたいって言うなら抵抗なんてしないのに。
「抵抗なんてしないから」
「僕以外に襲われても?」
「えっ!? いや、律以外に俺を襲う人なんていないからっ!」
「そんなことない。兄さん、可愛いし。狙ってる男は絶対いっぱいいる」
「いや、いないよ。それはさすがに、その、恋人としての贔屓目が入ってるって……」
膝で中心をぐっと押されて、崩れ落ちそうになる。
「律、ご、ご飯、が……っ」
「抵抗しないんでしょ……?」
甘く囁かれて、エプロンをそのままに服だけ脱がされて、俺は夕飯の前にアッサリと美味しく頂かれてしまった。
いっぱい運動したからお腹空いたよね、と山盛りのご飯を差し出されたけど、余計に食べる気がなくなりそうだよ、律……。
でも冷めて余計に美味しくなくなった俺作のご飯でも、やっぱり美味しい美味しいと食べてくれる律を見て、俺もいつもよりたくさん食べることができた。
空腹は最大のスパイスなんて言うけれど、気遣いと愛情はそれに勝ると思った。
「細い腰の兄さんはねー……そそるとは思うし、好みなんだけど、やっぱりちょっと、不安だからさ」
ただ、その葛藤の理由だけはお兄ちゃんあんまりわかりません。
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