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中学生編
恐怖の克服法(R18
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黙っていた秘密を律に打ち明けたことで大分楽になった。
結局のところ問題が解決したわけじゃないけど、俺が律を大好きって気持ちに変わりはなくて……。
週が明けたらもう会いたくてたまらなくなった。
ここのところ、怯えてしまう自分とそれを律に隠すことで頭がいっぱいになっていて、そんなことを考える余裕もなかったからな。反動が来ているみたいだ。
しかもそんな時に限って、中学上がったばかりで忙しいのか平日ちっとも来てくれなかった。
俺も仕事が忙しくて実家に帰ってる余裕がない。
早く週末が来ないかと一心不乱に頑張って、そして待ちに待った週末!
『ごめん、何人かで友達の家へ泊まりに行くことになっちゃって』
そんな一本の電話で、期待が裏切られた。
律うぅぅぅ! 襲われたらどうする! お兄ちゃんとそいつらとどっちが大事だ!
……とか、言える筈もなくて。
「わかった、楽しんできてね」
見栄を張ってしまった。
それを見透かしたように、電話向こうで律が笑う。
「何だ、何がおかしい」
『前は修学旅行ってだけで泣いて大変だったのになと思って』
「お、俺だって慣れたさ。一人暮らししてるんだからさ」
『うん、そうだよね。それじゃ、また来週』
「あ……律」
電話、切れた。全然慣れてなんかない。寂しい。律……。律。
でも我慢しなきゃ。だって俺はお兄ちゃんなんだから。
一週間律に触れてなくて、身体が熱で燻ってる。
今日は律がうちに置いていってるパジャマをオカズに一人でしよう。
明日は実家に帰って久々に両親の顔を見てくるかな、この機会に。
来週になれば律もまた、平日にでも来てくれるさ。
……と、思っていたのに、律はまた平日は一日も来られないと言い出した。
鈍い俺はそこで初めて気付く。
これ、避けられてるんじゃないか?
思い当たることは多すぎても、一番可能性が高いのが、俺が律に怯えてしまうってことだ。
怯える相手と一緒にいて誰が楽しいだろう。そういう性癖の人間もいるかもしれないけど、律はサドじゃない。どちらかと言えば甘やかして甘やかして包み込んでくれるタイプだ。
年下なのに、包容力のある律に何度ときめいたか判らない。
俺は律を怖いと思っても、それでも触りたくて傍にいたくてたまらなかった。
でも律は……。俺が怯えていたら、やっぱり嫌だと思うかな。
一人ぐるぐるし始めた時、律からメール。
週末は行くからねって。
ドタキャンされないよな。避けてないよな。信じていいよな、律……ッ。
そしてまた一週間触れられない俺は悶々とソロ活動。
早く律に会いたくて触れたくてたまらない、もう限界だ。
律からキャンセルのメールは入らない。じわじわと近付いてくる熱と週末。
俺の不安とは裏腹に律はちゃんとマンションへやってきた。
インターフォンと共に律を抱き抱え、家の中へ運び込み、ベッドに押し倒して何度も唇を貪った。
「ん、ちょっ……。お兄ちゃんっ……!」
「律、律……律ッ」
「ん、ん、んっ……。は、も……仕方ないなあ……」
荒々しい俺の動きに反して律の手が優しく背を撫でる。
ようやく落ち着いたと思ったら、ぽろっと涙が零れてしまった。
「そんな寂しかったの?」
「だ、だって、こんな会えなかったの初めてじゃないか。一日、も来てくれないなんて」
「お兄ちゃんもお仕事急がしそうだったから」
「それだけ? 俺のこと避けてないか?」
つい不安を吐露してしまった。
俺の方が先に避けたくせに身勝手過ぎる。俺の馬鹿。
でも律は否定する代わりに目を泳がせた。
「あー……。うん。ただ、反省しただけだよ」
「律が反省する必要ないのにっ……」
「ホントに?」
「うん」
「じゃあ、もっとちゅってして?」
背中に手を回したまま可愛く首を傾げられ、身体が一気に熱をあげた。
「可愛い、律。好き、大好き」
頬、額、唇。顔中とにかくキスの雨を降らせた。
「ふふっ。くすぐったい。僕も大好き。会いたかったー」
ぎゅっと抱きしめられる。律の言葉がじんわりと胸に染み渡った。
良かった。律も会いたいと思ってくれてた。
律の首筋を舐めて、指先を下肢に這わせる。
「あっ……。お、お兄ちゃん……。するの?」
「嫌か? もう我慢の限界」
「ううん。僕もしたい……」
律が俺の手をとって頬にあて、すり、と擦り寄せた。親指を舐められて理性が飛びそうになる。
「して?」
可愛すぎる。
そのままお互いの指先で高めあって、俺だけ先にイッた。でも律もたまっていたのかいつもより早かった。
お互い荒い息を吐きながら、そのままベッドでキスをかわしあう。このイチャイチャタイムも凄く好きだ。
……そういえば、今日は興奮しすぎたこともあってかちっとも怖くなかったな。
会わなかったことで改善したのかもしれない。
もしかして律はこれを見越して……?
「お兄ちゃん、やっぱり抱き合うのは平気なんだね」
律に身体をこすりつけられて、ぞくりとした。
いつもなら快感になるはずのそれは、確かに恐怖を生んでいた。
律は普通にしてるのに、何でだ? 俺、どこかおかしくなってしまったんだろうか。
いくらなんでも怖がりすぎだ。これじゃ律に悪い。
「お兄ちゃんは悪くないよ」
「り、律?」
心を読まれたかのような言葉にどきりとする。
「怖いんでしょ、今」
俺は違うともそうだとも言えず黙り込んだ。
律が俺の唇に触れるだけのキスをして笑った。
その笑い方が今まで見たこともないくらい大人びていて、どきりとする。
同時に身体がかたかたと震え出す。
おかしい。……おかしい。
「だって僕は今、凄いしたいと思ってるし、するつもりだから……。だから、怖いんだと思う」
「……え?」
「不思議だね。お兄ちゃん自身はわかってないのに、身体はわかるんだ。本能ってやつなのかな」
律が俺の胸元に鼻先を擦り寄せて、すん、と匂いを嗅いだ。身体が熱くなる。けど、竦んでしまう。
そうかー。だから恐怖を感じるのか。俺がおかしくなった訳じゃなかった。
……とか落ち着いてる場合じゃない。
したいって、するつもりだって言った?
「お兄ちゃんが怖くなるのはさ、初めての時に僕が傷付けちゃったからなんだよね?」
律が俺の手を取って、甲にキスする。
怖いと思っても俺が律から逃げられるはずはないし、そんな仕種にもときめく。
律の言っていることは正しい。俺が律を怖いと思っていなくても、あの時植え付けられた恐怖が身を焦がす。
「だから僕は、勉強をしました」
「勉強?」
「そう。ようは、僕とした時に痛くないって思ってもらえればいい訳でしょ? こうして引っ付けるんだから、そこまで酷いトラウマでもないと思うんだよ」
「ま、まあ確かに」
受け入れたのは俺だけど、我慢しなきゃって何度も思って、無理をした。
口から出せなかったせいで、身体の中を辛さが余計に駆け回っていたのは事実だ。
身体が痛くないことだと納得して記憶が上書きされたら、怖くなくなる可能性は高い。
「だから、今度はすっごい優しくするから、もう一度チャンスをちょうだい? 卒業まで待てない。怖がるお兄ちゃんを見ていたくないんだ」
「律……」
「あ、もちろん僕がしたいからっていうのもあるんだけど」
照れ臭そうに律が笑う。
いいんだ、その辺りの気持ちはわかるから。
「そ、それで勉強って一体どんな……」
「だから。男同士のやり方。本とかネットとかで」
律がそういう知識を得るっていうのが、なんだか凄く不思議な感じがする。
しかも、俺とするためにとか……。更に言うなら俺を抱くためにとか。
可愛い律が性的知識をたくさん持っているのがショックなのは、俺が兄馬鹿すぎるからだろうか。
「実は先週今週と、それで来られなかったんだ。あと、お兄ちゃんが欲求不満になっていたら恐怖も薄れるんじゃないかなって」
「たっ、確かに緩和されたけど、やるとか言い出されたら普通に怖い……」
「やっぱり? でも……するよ? ローションあるよね。ベッドの下」
「あ、あ、あ、待って、シャワー……」
「ダメ。間をおいたら余計に怖くなるよ」
さっきまで触れ合っていただけに、身体の準備なんてそれなりに万端だ。
乱れまくった衣服で、お互いベッドの上。性器は露出させたままだし、じっとりと湿ってる。
「でも俺、会社から帰って来たばかりで汚いし」
「大丈夫。お兄ちゃんの身体に汚いところなんてないよ!」
ありまくりですからー!
そんなきらきらした瞳で見ないでくれ、頼むぅぅぅ……!
というか、その台詞は普通俺が言うべき台詞であって。
「お兄ちゃん……」
「ッ……」
首筋を噛まれて、びくりと身体が震えた。
怖い。本当、普通に怖い。
勉強をしてきたと俺を押し倒している律が。これから再び訪れるだろう痛みが。
律を信じてない訳じゃない。でも記憶がそれを訴える。
「好きだよ。だから、させて?」
「ん……」
そうだ。俺は律が大好きだ。
怖いさ、ああ、怖いよ。仕方ないだろうそんなの。
あのあと何日尻が痛かったか。押し倒された時の苦痛も酷かったけど、トイレ行くたびに血が出て地獄の苦しみだ。
それを思い返すと逃げ出したくてたまらなくなる。
でも、俺は律が好きだから。怖くても怖くても、我慢するんだ。
たとえもう一回痛くても。気持ち良かったらそれはそれで葛藤があるだろうけど、でも、それでも!
律が俺のためになんとかしようと勉強して、欲しがってくれている……それを思うと、逃げ出せるはずなんてない。
今の俺にできるのは、震える指先でシーツを掴むことくらいだった。
こんなに怯えてしまうのは、きっと俺が……何があっても律を拒めないからなんだろう。
俺の中に逃げるという選択肢があったなら、ここまでの恐怖は生まれていなかったと思う。
律が可愛いから怒ることもできないし、全ての感情が内側に向かっていた。
望まれてしまえば拒めない。判りきってる。今だって恥ずかしくて怖くて仕方ないのに、律のなすがままになっている。
「この前さ、本当はもっと慣らしてからじゃないとダメだったんだよね」
ローションをつけた指で奥をまさぐられ、呼吸が怪しくなる。身体はガチガチに固まってる。
「力抜いて……って言っても無理か。ね、キスしよう。キスならいいよね」
「律……」
甘い唇を、恐怖から逃れるように必死で吸った。
ああ、もう初めてでもないのに、こんなんじゃ今日の方が初めてっぽくないか?
でも律は俺がこんなに情けない姿を晒していても好きと言ってくれるし、俺なんかにちゃんと勃ってくれている。俺のは恐怖で縮こまってるけど。
それに恐怖以前に、女にさせられるってことにやっぱり抵抗がある。律にはしたいって思っておきながら理不尽だけど……。
指先はこの前と違い、荒々しさをまったく感じさせない動きで中を触る。
広げようとするんじゃなく、何かを確認しているような探り方に、妙な汗が背中をつたった。
うん、そうだよな。勉強してきたってことは、いろいろと判ってる訳だ。
「痛かったら言ってね。今日はちゃんとやめるから」
「うん……」
この前と大違いすぎる。痛いって言っても、指どころかアレ突っ込んだまま抜いてくれなかったのに。
律の指先はまだ華奢で、俺の中に罪悪感が生まれてくるけれど確かに痛みはない。
優しくて甘い律の声と労るような慣らし方に、少しずつ恐怖が薄れていくのを感じる。
もしかすると、俺が律にちゃんと……気持ちを伝えられたことも、関係してるんだろうか。
「律の、触ってもいいか?」
シーツを掴んでいた指先を離して薄い肩に手を置くと、律の身体がびくりと跳ねた。
「っ……そしたら、落ち着く?」
「落ち着くかも」
「う、うー……ん」
「嫌なのか?」
「お兄ちゃん怖がらせたくないから言わなかったけど、僕も割りといっぱいいっぱいなんだよね。我慢できなくなっちゃうかもしれないから、ごめんね……」
欲望をあらわにされて、また怖くなるかと思ったのに……。俺の中には別の感情が生まれた。
いや、覚えのない感情じゃない。
律が俺に欲情を覚えて、我慢できないほど勃起させてるのが可愛くてたまらないっていうか。
とにかく、ときめいた。
「ローション足すね。指も足して平気かな」
でもやっぱり足を開かれるのは恥ずかしい。律がまた、真剣な目で見てるものだから尚更。
そんな凝視していい場所じゃない、そこは。
「気持ち良くない?」
「くすぐったくて変な感じするけど……入ったところは少し気持ちいい」
「ここかー。ここは皮膚が薄いから、触ると気持ちいいんだって」
「あのさ、別に……。痛くないって判れば、俺は気持ち良くならなくても」
上目遣いでギロリと睨まれた。
「ダメっ! よくしたいって言ったでしょ。お兄ちゃんはね、僕に対していつもそうだから……。我慢しすぎるから、怖くなったりするの!」
何も言い返せない。というか別の意味で少し怖い、律。
こんなふうに怒るところ初めて見たかも。
「でも、少し緊張とか、怖いのとかなくなってきた?」
「うん。律の、優しくしようって気持ちが伝わってくるからかな……。そりゃ、少しは怖いけど、俺は律のことが好きだから……」
でも、震えたりはしない。普通で片付けられる範囲の恐怖だ。
律にもそれが判ったのか、凄く嬉しそうに笑った。
「そう。それじゃ、もう少しあちこち触るね」
「り、律ッ……!?」
「ん……」
ちゅっと胸に吸い付かれて腰が跳ね、思わず中の指を締め付けてしまった。
そこが弱いことは律にはもうばれていて、何度も吸い上げられながら、舌先で擦られる。
「あ、あッ……」
「気持ち良さそう」
くすりと笑われて、頬が熱くなる。
恥ずかしくて身体が自然に逃げを打つ。でも、それはあっさりと律に遮られた。
「ごめんね、笑わないから逃げないで。ただ、可愛くて」
律に可愛いと言われるのはやっぱり変な感じがする。何度聞いても慣れない。
「お尻はダメ? ヨくならない?」
再びローションを足されて、指先を入れられた時だった。
快感か何か判らない感覚が身体を走る。
初めて律に入れられた時に感じた、痛み以外の感覚だ。
今日は痛みはなくて、その妙な感覚だけが身体を襲う。
これ、これって……。
「……ここ?」
「っあ、や、嫌だ、律ッ」
身体が勝手にびくびくと震える。
「違う、なんか違う。判らない、こんな……。もれそう」
「だから、前立腺だよね?」
「違う、絶対に違う。これおかしい。漏れるって。こんな感覚じゃないって。だって気持ちいいって感じじゃないしっ」
やめて欲しくて律の手首を掴むけど、離してもらえない。
痛み以上に耐えられないものがあるなんて……。
俺の手には情けないことにほとんど力が入ってなくて、律はたやすく行為を続行する。
「律、やっ……本当に嫌だッ」
「お兄ちゃんがそんな風に嫌がるの、なんか凄く興奮する」
「……待て、待てって。ホント……。嫌だよ、俺。律の前で」
「漏らしていいよ? シーツなら僕が洗濯してあげる」
落ちるキスの甘さはいつもと同じなのに、なんだかとんでもないことを言われた。
「や、めるって、言ったのに」
声が震える。喉の奥が熱い。頭がぼうっとする。
「でも痛い訳じゃないよね? ここ、すっごく柔らかくなってるし」
「ん、ん、んっ……。あッ……だめッ」
快感と言うよりはむしろ苦しくて、それをなんとか伝えようとするけどちっとも上手くいかない。 じっとりと妙な汗が滲んで、身体から力を抜くと、ようやく俺がおかしいのに気付いてくれた。
「へ、平気? ごめん、どうしよう。ちゃんと勃ってるから気持ちいいんだと思って」
おろおろと手を動かした律の腕が俺の性器に触れる。
「やっ、あああ、あッ」
その途端一気に身体から熱が迫り出して、さっきまでの息苦しさは嘘のように消えていた。
あ……。俺、イッたのか。漏らした訳じゃないけど、すっごい飛んでる。
「ごめん、り、律……」
むしろ俺が消えてなくなりたい。
律の指はまだ後ろに入ったままで、身動きすると変に身体が疼いた。
「もしかして、イケなくて苦しかっただけ?」
「え……。そ、そうなのかな。でも、気持ちいいって感じじゃ」
中を再び指先で探られて、思わず身体が跳ねた。
嘘、何だこれ……。
「っ、ん……」
やばい。気持ちいい。判る。ちゃんと快感だ、これ。
律はもう片方の手でまだ萎えている俺の熱をゆっくりと扱いてくる。
「まっ、待って……」
「中だけ触ってたからイケなくて苦しかったんだね、ごめんね。今度はちゃんとするから」
「いや、しなくていい。その、まだ身体が……ッ」
過ぎた快感は辛いだけだ。でも気持ちいいって判ってしまえば、身体は貪欲に快感を拾おうとする。
俺の様子が変わったのに律も気付いていて、今度こそやめてくれる様子はない。
「きつい、律。もう少し、ゆっくり」
「うん」
やめさせるのを諦めて要望を告げると律はあっさりと言う通りにしてくれた。
探る指先がゆっくりになって、足に律の幼い性器がこすりつけられる。その動きに頭の芯が痺れる。
そんな、我慢できないくらい俺を欲しがってくれてるのかと思うと可愛くて仕方なかった。
「お兄ちゃん、気持ちい?」
「ん……。いいよ、律」
震える手の平で律の頭を撫でると、律が嬉しそうに笑う。
「指、増やすね。痛かったら言って」
指が三本に増やされて、前立腺を緩く擦られる。
自分でも律の指を締め付けてしまうのが判った。
痛くない。気持ちいいだけ。でも中に指を突っ込まれて気持ちがいいというのは凄く複雑だ。
しかも、それをしているのが俺の可愛い可愛い弟だっていうのが。
ああ、でも……。結局、これだって律以外なら殴って蹴り倒して逃げてる。
君が俺の身体が欲しいと言うなら、複雑だけどいくらだって我慢できる。
下肢からぐちぐちと卑猥な音が響いて泣きたい気分だ。しかも気持ちいいんだ。凄く的確に、いい場所を突いてくる。
「声、我慢しないでいいよ」
「んっ……。あ、あ、あっ……、や、律……」
身体を撫でていた方の指先で唇を割られてあられもない声が出た。
可愛い、ってまたキスをされて恥ずかしさで死にたくなる。
奥からじわじわ快感がせりあがってきて声が止まらない。
「り……つ。律……好きだ、律……」
一人でする時みたいに律の名前を呼んで身を震わせる。
「お兄ちゃん、これ……つけてくれる?」
手渡されたのはSサイズのコンドームだった。
「律、これ……」
「通販で買っちゃった……。うんと、ちゃんとぬるぬるってするやつだよ」
なんか凄い興奮してきた。もう存分に性的なことをしているのに、それを改めて思い知らされるというか……。
まだ開いてないパッケージを開けて、律のそれをまさぐる。どうしてもぎこちない手つきになってしまう。
「あっ……。なんかそんな風に触られると、出ちゃいそう」
「……でも、触らないとできない」
そんな声をあげられると逆に襲いたくなってくる。本当に、何で俺が女役なんだ。
「できた……」
つやつやつるんとしてる。くわえてみたい……。でも、ねとねとしてるから、口の中に入れると変な味がするかもしれない。
「じゃあ挿れてみてもいい? 痛かったら止めるから」
身体はすっかりほぐれてるけど、やっぱり怖いし抵抗がある。身体がこの前の痛みを覚えてる。
でも、俺は律から逃げたくない。律に与えられるものなら怖くても辛くても痛みも、どんな屈辱的な恰好もたえられる。
そりゃ、できれば抱きたいさ。でも律が俺を抱きたいって言うなら自分の希望なんて曲げてやる。
「……きてくれ、平気だから」
「うん。い、いくよ」
二人してこの前より緊張してる。
律の熱が後ろに押し当てられる感触がして、俺は思わず身を引いた。
「あ、あ、待って」
「ごめん、さすがにもう無理かも」
「じゃなくて、その、挿入する前に一回、キスして……から……」
「……お兄ちゃん、本当に可愛いね。大好き」
「ん……」
ちゅっとキスが落ちて、俺の中にゆっくりと律の性器が押し込まれていく。
極限まで開かされた足の間、見なければいいのに目が離せなくて、入っていくところをじっと見ていた。
律の性器が全体的にほっそりしているせいか、嘘のように抵抗なく飲み込まれる。
「んんっ。凄い……。中、熱くてきついよ。痛くない?」
「痛くないけど、いっぱい入ってる感じがする……」
それだけじゃない。ぬるりとしたそれが中を擦り上げる感覚に、俺は確かに快感を覚えていた。
安心させるなら、伝えた方がいいんだろう。でも、恥ずかしい……。
「この前と全然違う。ひくひくして、僕の揉んでるみたい」
軽く突き入れられて、内臓がせり上がるような感じがした。
「動いてもいい?」
「ゆ、ゆっくりなら」
「うん」
律が俺の身体にキスをしながら、抽挿を開始する。
この前は見られなかったけど……律、こんな気持ちよさそうな顔してたんだ。たまらない。
そう思うと同時、奥が律を欲しがって貪欲に締め付けてしまう。身体の変化が怖くて、思わず律にしがみついた。
「あ、あっ……あ」
「いいの? お兄ちゃん、気持ちいい? 僕も凄く気持ちいいよ」
「ん……。いい、よ、律ッ……。やっ、あぅ……」
痛いの代わりにイイと言ったあの時より、ずっと恥ずかしい。
弟のペニス挿れられて、喘いでこんな気持ち良くなって……信じられない。
でも律のそれが内壁を引っ掻く度に、俺の唇からは高い声がもれてしまう。
「律ぅ……、前も触って。いっぱいキスして……」
「可愛い」
唇までの距離をなくそうと折り畳まれた身体が、熱を余計に深く受け入れて奥がうねるのが自分でも判った。
「あ、あっ、や……ッ、ん」
悲鳴が唇に飲み込まれ、代わりにくちゅくちゅと音を立てる。
じっとりと湿った下肢が音を立てているのかキスが反響しているのか、判らなくなる。
「ん、ん、んっ……」
塞がれた唇からくぐもった吐息。相変わらず腰を絶え間無く打ち付けられ、奥をえぐられて頭の芯が痺れた。
律の……。律のが、俺の中で動いて跳ねてる。俺の身体で気持ち良くなって、こんな熱に浮されたような顔をしてる。
この前も、身体を繋げたことによる幸福感はあったんだ。でも今日はそれに加えて嘘みたいな快感まであって、どうにかなりそうだ。
前にはそんなに触れてもらえないのに、後ろだけで快感を得てるのが信じられない。
吐き出したい。触りたい。みっともない姿見せたくないのに、涙がボロボロ零れていく。
「律、律……ッ。あ、あ……」
「平気? 痛い?」
俺の涙に不安になったのか、律が動きを止める。今にも我慢できずに腰を振りたそうな顔をしているのに、ちゃんと止まってくれた。嬉しかった。
俺は首を横に振って、律の背中をぎゅうっと抱きしめる。小さな背中が愛しい。
痛いどころか、こうして止められたことで、中が疼いて律を欲しがり、思わず腰を押し付けるようにしてしまう。
「イキたい。も、イカせて、律……。前擦って……もっと、ぎゅっとしながら、して」
「お兄ちゃん……」
律が熱のこもった瞳で俺を見る。
こんな女々しくて恥ずかしいこと言ってるのに、欲情してくれてる。
だって、中で律の……大きくなった。
「うぁッ……。あ、あ、や、律……。激し」
急に激しく突き上げられる。密着した身体の間でペニスがつぶれ、激しく擦られて震える。
外と中からくる快感に、目眩がした。
飛びそうになる意識を必死に抑えながら、律の名前を何度も呼ぶ。
熱くて熱くて何も判らないけど、律が俺を求めてる……ただそれだけは判った。
「あ、あ、あっ……ん、や、イク……んんッ」
中をぎゅうっと締め付けながら吐精する。イッている間も貪欲に律の熱を締め上げるのが自分でも判った。
「っ……んぅ、お兄ちゃん、中凄い……」
律がハァハァと息を荒げながら身を震わせる。
中をいっぱいにしていたペニスが萎んでいって、律はそのままべったりと俺の身体の上で潰れた。
「り、律……。んっ……」
まだ熱が燻っている身体は乳首を甘く吸われただけで、再び勢いを取り戻しそうになる。
「気持ち良かった。今日はちゃんと、一緒にイケたね」
えへへ、と笑う律が可愛くて仕方なくて、ぎゅうぎゅうと抱きしめた。
律が軽く身を起こし、俺の中から萎えた熱を引き抜く。
きちんとつけていたから溢れてはこないけど、液体が先の方に溜まっているのが判る。
「いっぱい出てる……」
「お兄ちゃんのエッチ」
そんなの……。さっきまでの律の方がよっぽどエッチだった。
おかげで俺のもすっごい飛んじゃって、シーツも身体もすっかりべしょべしょだ。
「でも、これでもう怖くないよね? 痛くないって判ったでしょ?」
「う……。うん」
「もっといっぱいしてれば、僕のが大きくなっても身体が追い付いてくるよね」
いっ……いっぱい?
「や、あの……。次は中学卒業祝いで」
「どうして?」
「だって律は中学生だし、そういうのはまだ早いよ。律がする方だとしても」
律がじいっと俺の目を見る。こんなことをしちゃったっていうのに、律の瞳は澄んで綺麗に見える。
「でもさ、僕がしたいってねだったら、お兄ちゃん拒めないよねー」
「えっ?」
「だってお兄ちゃんは僕のこと、大好きだもんね。……違う?」
「……違わない」
痛くない気持ちいいって判ってしまった。律にもそれがばれている。
痛い頃だとしても望まれれば拒まなかったろうし……。
でも律がまさか、こんな強引なことを言ってくるなんて。俺の律が。
一体どこで育て方を間違ったんだろう……。
「大好き、お兄ちゃん」
いや、間違ってないっ。可愛い! 俺の理想通り!
……ある一箇所を除けば……。
「ごめんね。だってお兄ちゃん可愛くて、約束しても、きっと我慢できなくなっちゃうから」
すりすりと胸に額を擦りつけられる。
我慢できなくなるくらい、律が俺を欲してくれるのは嬉しい。凄く嬉しいんだ。
「いっぱいキスしていい?」
「うん……」
俺からもしようと思ったのに、気付けば律にリードされちゃってる。
どうしてこんなに上手いんだ。中学生のキスじゃない、こんなの!
ってまあ、散々俺としてきたからなんだろうけど。でも俺は下手なままなんだけど。
「お兄ちゃんの唇、甘くて気持ちいい」
それでも律は、優しくそう言ってくれる。まさに愛。可愛い。
でも、そういうことが言える時点で余裕がありすぎ。
「っ、は……。ハァ。お、俺、も」
俺なんて腰砕けで息も絶え絶えだし。情けない。
「好き。ずっと大好きだよ。僕の、僕だけのお兄ちゃん。ちゃんとひとつになれて、すっごく嬉しい」
そう言って、ほっぺにもちゅっとされて、ああ、なんかもう抱かれる方でもいいかあ。なんて、思い始めている俺がいた。
……だって、こうなってもなんか、律は可愛いままだしさ。俺は少しも変わらず律のことを大好きだしさ。
君と一緒にいられるなら、君が俺を望むなら、いくらだって与えてあげたくなっちゃうんだよ。
もうこうなったら、いけるとこまでいってみようか。
君の望むこと全部何でもやってみせるから、いくらだってわがままを言えばいい。
お兄ちゃんが弟の面倒見るのは、当然のことだしな。
結局のところ問題が解決したわけじゃないけど、俺が律を大好きって気持ちに変わりはなくて……。
週が明けたらもう会いたくてたまらなくなった。
ここのところ、怯えてしまう自分とそれを律に隠すことで頭がいっぱいになっていて、そんなことを考える余裕もなかったからな。反動が来ているみたいだ。
しかもそんな時に限って、中学上がったばかりで忙しいのか平日ちっとも来てくれなかった。
俺も仕事が忙しくて実家に帰ってる余裕がない。
早く週末が来ないかと一心不乱に頑張って、そして待ちに待った週末!
『ごめん、何人かで友達の家へ泊まりに行くことになっちゃって』
そんな一本の電話で、期待が裏切られた。
律うぅぅぅ! 襲われたらどうする! お兄ちゃんとそいつらとどっちが大事だ!
……とか、言える筈もなくて。
「わかった、楽しんできてね」
見栄を張ってしまった。
それを見透かしたように、電話向こうで律が笑う。
「何だ、何がおかしい」
『前は修学旅行ってだけで泣いて大変だったのになと思って』
「お、俺だって慣れたさ。一人暮らししてるんだからさ」
『うん、そうだよね。それじゃ、また来週』
「あ……律」
電話、切れた。全然慣れてなんかない。寂しい。律……。律。
でも我慢しなきゃ。だって俺はお兄ちゃんなんだから。
一週間律に触れてなくて、身体が熱で燻ってる。
今日は律がうちに置いていってるパジャマをオカズに一人でしよう。
明日は実家に帰って久々に両親の顔を見てくるかな、この機会に。
来週になれば律もまた、平日にでも来てくれるさ。
……と、思っていたのに、律はまた平日は一日も来られないと言い出した。
鈍い俺はそこで初めて気付く。
これ、避けられてるんじゃないか?
思い当たることは多すぎても、一番可能性が高いのが、俺が律に怯えてしまうってことだ。
怯える相手と一緒にいて誰が楽しいだろう。そういう性癖の人間もいるかもしれないけど、律はサドじゃない。どちらかと言えば甘やかして甘やかして包み込んでくれるタイプだ。
年下なのに、包容力のある律に何度ときめいたか判らない。
俺は律を怖いと思っても、それでも触りたくて傍にいたくてたまらなかった。
でも律は……。俺が怯えていたら、やっぱり嫌だと思うかな。
一人ぐるぐるし始めた時、律からメール。
週末は行くからねって。
ドタキャンされないよな。避けてないよな。信じていいよな、律……ッ。
そしてまた一週間触れられない俺は悶々とソロ活動。
早く律に会いたくて触れたくてたまらない、もう限界だ。
律からキャンセルのメールは入らない。じわじわと近付いてくる熱と週末。
俺の不安とは裏腹に律はちゃんとマンションへやってきた。
インターフォンと共に律を抱き抱え、家の中へ運び込み、ベッドに押し倒して何度も唇を貪った。
「ん、ちょっ……。お兄ちゃんっ……!」
「律、律……律ッ」
「ん、ん、んっ……。は、も……仕方ないなあ……」
荒々しい俺の動きに反して律の手が優しく背を撫でる。
ようやく落ち着いたと思ったら、ぽろっと涙が零れてしまった。
「そんな寂しかったの?」
「だ、だって、こんな会えなかったの初めてじゃないか。一日、も来てくれないなんて」
「お兄ちゃんもお仕事急がしそうだったから」
「それだけ? 俺のこと避けてないか?」
つい不安を吐露してしまった。
俺の方が先に避けたくせに身勝手過ぎる。俺の馬鹿。
でも律は否定する代わりに目を泳がせた。
「あー……。うん。ただ、反省しただけだよ」
「律が反省する必要ないのにっ……」
「ホントに?」
「うん」
「じゃあ、もっとちゅってして?」
背中に手を回したまま可愛く首を傾げられ、身体が一気に熱をあげた。
「可愛い、律。好き、大好き」
頬、額、唇。顔中とにかくキスの雨を降らせた。
「ふふっ。くすぐったい。僕も大好き。会いたかったー」
ぎゅっと抱きしめられる。律の言葉がじんわりと胸に染み渡った。
良かった。律も会いたいと思ってくれてた。
律の首筋を舐めて、指先を下肢に這わせる。
「あっ……。お、お兄ちゃん……。するの?」
「嫌か? もう我慢の限界」
「ううん。僕もしたい……」
律が俺の手をとって頬にあて、すり、と擦り寄せた。親指を舐められて理性が飛びそうになる。
「して?」
可愛すぎる。
そのままお互いの指先で高めあって、俺だけ先にイッた。でも律もたまっていたのかいつもより早かった。
お互い荒い息を吐きながら、そのままベッドでキスをかわしあう。このイチャイチャタイムも凄く好きだ。
……そういえば、今日は興奮しすぎたこともあってかちっとも怖くなかったな。
会わなかったことで改善したのかもしれない。
もしかして律はこれを見越して……?
「お兄ちゃん、やっぱり抱き合うのは平気なんだね」
律に身体をこすりつけられて、ぞくりとした。
いつもなら快感になるはずのそれは、確かに恐怖を生んでいた。
律は普通にしてるのに、何でだ? 俺、どこかおかしくなってしまったんだろうか。
いくらなんでも怖がりすぎだ。これじゃ律に悪い。
「お兄ちゃんは悪くないよ」
「り、律?」
心を読まれたかのような言葉にどきりとする。
「怖いんでしょ、今」
俺は違うともそうだとも言えず黙り込んだ。
律が俺の唇に触れるだけのキスをして笑った。
その笑い方が今まで見たこともないくらい大人びていて、どきりとする。
同時に身体がかたかたと震え出す。
おかしい。……おかしい。
「だって僕は今、凄いしたいと思ってるし、するつもりだから……。だから、怖いんだと思う」
「……え?」
「不思議だね。お兄ちゃん自身はわかってないのに、身体はわかるんだ。本能ってやつなのかな」
律が俺の胸元に鼻先を擦り寄せて、すん、と匂いを嗅いだ。身体が熱くなる。けど、竦んでしまう。
そうかー。だから恐怖を感じるのか。俺がおかしくなった訳じゃなかった。
……とか落ち着いてる場合じゃない。
したいって、するつもりだって言った?
「お兄ちゃんが怖くなるのはさ、初めての時に僕が傷付けちゃったからなんだよね?」
律が俺の手を取って、甲にキスする。
怖いと思っても俺が律から逃げられるはずはないし、そんな仕種にもときめく。
律の言っていることは正しい。俺が律を怖いと思っていなくても、あの時植え付けられた恐怖が身を焦がす。
「だから僕は、勉強をしました」
「勉強?」
「そう。ようは、僕とした時に痛くないって思ってもらえればいい訳でしょ? こうして引っ付けるんだから、そこまで酷いトラウマでもないと思うんだよ」
「ま、まあ確かに」
受け入れたのは俺だけど、我慢しなきゃって何度も思って、無理をした。
口から出せなかったせいで、身体の中を辛さが余計に駆け回っていたのは事実だ。
身体が痛くないことだと納得して記憶が上書きされたら、怖くなくなる可能性は高い。
「だから、今度はすっごい優しくするから、もう一度チャンスをちょうだい? 卒業まで待てない。怖がるお兄ちゃんを見ていたくないんだ」
「律……」
「あ、もちろん僕がしたいからっていうのもあるんだけど」
照れ臭そうに律が笑う。
いいんだ、その辺りの気持ちはわかるから。
「そ、それで勉強って一体どんな……」
「だから。男同士のやり方。本とかネットとかで」
律がそういう知識を得るっていうのが、なんだか凄く不思議な感じがする。
しかも、俺とするためにとか……。更に言うなら俺を抱くためにとか。
可愛い律が性的知識をたくさん持っているのがショックなのは、俺が兄馬鹿すぎるからだろうか。
「実は先週今週と、それで来られなかったんだ。あと、お兄ちゃんが欲求不満になっていたら恐怖も薄れるんじゃないかなって」
「たっ、確かに緩和されたけど、やるとか言い出されたら普通に怖い……」
「やっぱり? でも……するよ? ローションあるよね。ベッドの下」
「あ、あ、あ、待って、シャワー……」
「ダメ。間をおいたら余計に怖くなるよ」
さっきまで触れ合っていただけに、身体の準備なんてそれなりに万端だ。
乱れまくった衣服で、お互いベッドの上。性器は露出させたままだし、じっとりと湿ってる。
「でも俺、会社から帰って来たばかりで汚いし」
「大丈夫。お兄ちゃんの身体に汚いところなんてないよ!」
ありまくりですからー!
そんなきらきらした瞳で見ないでくれ、頼むぅぅぅ……!
というか、その台詞は普通俺が言うべき台詞であって。
「お兄ちゃん……」
「ッ……」
首筋を噛まれて、びくりと身体が震えた。
怖い。本当、普通に怖い。
勉強をしてきたと俺を押し倒している律が。これから再び訪れるだろう痛みが。
律を信じてない訳じゃない。でも記憶がそれを訴える。
「好きだよ。だから、させて?」
「ん……」
そうだ。俺は律が大好きだ。
怖いさ、ああ、怖いよ。仕方ないだろうそんなの。
あのあと何日尻が痛かったか。押し倒された時の苦痛も酷かったけど、トイレ行くたびに血が出て地獄の苦しみだ。
それを思い返すと逃げ出したくてたまらなくなる。
でも、俺は律が好きだから。怖くても怖くても、我慢するんだ。
たとえもう一回痛くても。気持ち良かったらそれはそれで葛藤があるだろうけど、でも、それでも!
律が俺のためになんとかしようと勉強して、欲しがってくれている……それを思うと、逃げ出せるはずなんてない。
今の俺にできるのは、震える指先でシーツを掴むことくらいだった。
こんなに怯えてしまうのは、きっと俺が……何があっても律を拒めないからなんだろう。
俺の中に逃げるという選択肢があったなら、ここまでの恐怖は生まれていなかったと思う。
律が可愛いから怒ることもできないし、全ての感情が内側に向かっていた。
望まれてしまえば拒めない。判りきってる。今だって恥ずかしくて怖くて仕方ないのに、律のなすがままになっている。
「この前さ、本当はもっと慣らしてからじゃないとダメだったんだよね」
ローションをつけた指で奥をまさぐられ、呼吸が怪しくなる。身体はガチガチに固まってる。
「力抜いて……って言っても無理か。ね、キスしよう。キスならいいよね」
「律……」
甘い唇を、恐怖から逃れるように必死で吸った。
ああ、もう初めてでもないのに、こんなんじゃ今日の方が初めてっぽくないか?
でも律は俺がこんなに情けない姿を晒していても好きと言ってくれるし、俺なんかにちゃんと勃ってくれている。俺のは恐怖で縮こまってるけど。
それに恐怖以前に、女にさせられるってことにやっぱり抵抗がある。律にはしたいって思っておきながら理不尽だけど……。
指先はこの前と違い、荒々しさをまったく感じさせない動きで中を触る。
広げようとするんじゃなく、何かを確認しているような探り方に、妙な汗が背中をつたった。
うん、そうだよな。勉強してきたってことは、いろいろと判ってる訳だ。
「痛かったら言ってね。今日はちゃんとやめるから」
「うん……」
この前と大違いすぎる。痛いって言っても、指どころかアレ突っ込んだまま抜いてくれなかったのに。
律の指先はまだ華奢で、俺の中に罪悪感が生まれてくるけれど確かに痛みはない。
優しくて甘い律の声と労るような慣らし方に、少しずつ恐怖が薄れていくのを感じる。
もしかすると、俺が律にちゃんと……気持ちを伝えられたことも、関係してるんだろうか。
「律の、触ってもいいか?」
シーツを掴んでいた指先を離して薄い肩に手を置くと、律の身体がびくりと跳ねた。
「っ……そしたら、落ち着く?」
「落ち着くかも」
「う、うー……ん」
「嫌なのか?」
「お兄ちゃん怖がらせたくないから言わなかったけど、僕も割りといっぱいいっぱいなんだよね。我慢できなくなっちゃうかもしれないから、ごめんね……」
欲望をあらわにされて、また怖くなるかと思ったのに……。俺の中には別の感情が生まれた。
いや、覚えのない感情じゃない。
律が俺に欲情を覚えて、我慢できないほど勃起させてるのが可愛くてたまらないっていうか。
とにかく、ときめいた。
「ローション足すね。指も足して平気かな」
でもやっぱり足を開かれるのは恥ずかしい。律がまた、真剣な目で見てるものだから尚更。
そんな凝視していい場所じゃない、そこは。
「気持ち良くない?」
「くすぐったくて変な感じするけど……入ったところは少し気持ちいい」
「ここかー。ここは皮膚が薄いから、触ると気持ちいいんだって」
「あのさ、別に……。痛くないって判れば、俺は気持ち良くならなくても」
上目遣いでギロリと睨まれた。
「ダメっ! よくしたいって言ったでしょ。お兄ちゃんはね、僕に対していつもそうだから……。我慢しすぎるから、怖くなったりするの!」
何も言い返せない。というか別の意味で少し怖い、律。
こんなふうに怒るところ初めて見たかも。
「でも、少し緊張とか、怖いのとかなくなってきた?」
「うん。律の、優しくしようって気持ちが伝わってくるからかな……。そりゃ、少しは怖いけど、俺は律のことが好きだから……」
でも、震えたりはしない。普通で片付けられる範囲の恐怖だ。
律にもそれが判ったのか、凄く嬉しそうに笑った。
「そう。それじゃ、もう少しあちこち触るね」
「り、律ッ……!?」
「ん……」
ちゅっと胸に吸い付かれて腰が跳ね、思わず中の指を締め付けてしまった。
そこが弱いことは律にはもうばれていて、何度も吸い上げられながら、舌先で擦られる。
「あ、あッ……」
「気持ち良さそう」
くすりと笑われて、頬が熱くなる。
恥ずかしくて身体が自然に逃げを打つ。でも、それはあっさりと律に遮られた。
「ごめんね、笑わないから逃げないで。ただ、可愛くて」
律に可愛いと言われるのはやっぱり変な感じがする。何度聞いても慣れない。
「お尻はダメ? ヨくならない?」
再びローションを足されて、指先を入れられた時だった。
快感か何か判らない感覚が身体を走る。
初めて律に入れられた時に感じた、痛み以外の感覚だ。
今日は痛みはなくて、その妙な感覚だけが身体を襲う。
これ、これって……。
「……ここ?」
「っあ、や、嫌だ、律ッ」
身体が勝手にびくびくと震える。
「違う、なんか違う。判らない、こんな……。もれそう」
「だから、前立腺だよね?」
「違う、絶対に違う。これおかしい。漏れるって。こんな感覚じゃないって。だって気持ちいいって感じじゃないしっ」
やめて欲しくて律の手首を掴むけど、離してもらえない。
痛み以上に耐えられないものがあるなんて……。
俺の手には情けないことにほとんど力が入ってなくて、律はたやすく行為を続行する。
「律、やっ……本当に嫌だッ」
「お兄ちゃんがそんな風に嫌がるの、なんか凄く興奮する」
「……待て、待てって。ホント……。嫌だよ、俺。律の前で」
「漏らしていいよ? シーツなら僕が洗濯してあげる」
落ちるキスの甘さはいつもと同じなのに、なんだかとんでもないことを言われた。
「や、めるって、言ったのに」
声が震える。喉の奥が熱い。頭がぼうっとする。
「でも痛い訳じゃないよね? ここ、すっごく柔らかくなってるし」
「ん、ん、んっ……。あッ……だめッ」
快感と言うよりはむしろ苦しくて、それをなんとか伝えようとするけどちっとも上手くいかない。 じっとりと妙な汗が滲んで、身体から力を抜くと、ようやく俺がおかしいのに気付いてくれた。
「へ、平気? ごめん、どうしよう。ちゃんと勃ってるから気持ちいいんだと思って」
おろおろと手を動かした律の腕が俺の性器に触れる。
「やっ、あああ、あッ」
その途端一気に身体から熱が迫り出して、さっきまでの息苦しさは嘘のように消えていた。
あ……。俺、イッたのか。漏らした訳じゃないけど、すっごい飛んでる。
「ごめん、り、律……」
むしろ俺が消えてなくなりたい。
律の指はまだ後ろに入ったままで、身動きすると変に身体が疼いた。
「もしかして、イケなくて苦しかっただけ?」
「え……。そ、そうなのかな。でも、気持ちいいって感じじゃ」
中を再び指先で探られて、思わず身体が跳ねた。
嘘、何だこれ……。
「っ、ん……」
やばい。気持ちいい。判る。ちゃんと快感だ、これ。
律はもう片方の手でまだ萎えている俺の熱をゆっくりと扱いてくる。
「まっ、待って……」
「中だけ触ってたからイケなくて苦しかったんだね、ごめんね。今度はちゃんとするから」
「いや、しなくていい。その、まだ身体が……ッ」
過ぎた快感は辛いだけだ。でも気持ちいいって判ってしまえば、身体は貪欲に快感を拾おうとする。
俺の様子が変わったのに律も気付いていて、今度こそやめてくれる様子はない。
「きつい、律。もう少し、ゆっくり」
「うん」
やめさせるのを諦めて要望を告げると律はあっさりと言う通りにしてくれた。
探る指先がゆっくりになって、足に律の幼い性器がこすりつけられる。その動きに頭の芯が痺れる。
そんな、我慢できないくらい俺を欲しがってくれてるのかと思うと可愛くて仕方なかった。
「お兄ちゃん、気持ちい?」
「ん……。いいよ、律」
震える手の平で律の頭を撫でると、律が嬉しそうに笑う。
「指、増やすね。痛かったら言って」
指が三本に増やされて、前立腺を緩く擦られる。
自分でも律の指を締め付けてしまうのが判った。
痛くない。気持ちいいだけ。でも中に指を突っ込まれて気持ちがいいというのは凄く複雑だ。
しかも、それをしているのが俺の可愛い可愛い弟だっていうのが。
ああ、でも……。結局、これだって律以外なら殴って蹴り倒して逃げてる。
君が俺の身体が欲しいと言うなら、複雑だけどいくらだって我慢できる。
下肢からぐちぐちと卑猥な音が響いて泣きたい気分だ。しかも気持ちいいんだ。凄く的確に、いい場所を突いてくる。
「声、我慢しないでいいよ」
「んっ……。あ、あ、あっ……、や、律……」
身体を撫でていた方の指先で唇を割られてあられもない声が出た。
可愛い、ってまたキスをされて恥ずかしさで死にたくなる。
奥からじわじわ快感がせりあがってきて声が止まらない。
「り……つ。律……好きだ、律……」
一人でする時みたいに律の名前を呼んで身を震わせる。
「お兄ちゃん、これ……つけてくれる?」
手渡されたのはSサイズのコンドームだった。
「律、これ……」
「通販で買っちゃった……。うんと、ちゃんとぬるぬるってするやつだよ」
なんか凄い興奮してきた。もう存分に性的なことをしているのに、それを改めて思い知らされるというか……。
まだ開いてないパッケージを開けて、律のそれをまさぐる。どうしてもぎこちない手つきになってしまう。
「あっ……。なんかそんな風に触られると、出ちゃいそう」
「……でも、触らないとできない」
そんな声をあげられると逆に襲いたくなってくる。本当に、何で俺が女役なんだ。
「できた……」
つやつやつるんとしてる。くわえてみたい……。でも、ねとねとしてるから、口の中に入れると変な味がするかもしれない。
「じゃあ挿れてみてもいい? 痛かったら止めるから」
身体はすっかりほぐれてるけど、やっぱり怖いし抵抗がある。身体がこの前の痛みを覚えてる。
でも、俺は律から逃げたくない。律に与えられるものなら怖くても辛くても痛みも、どんな屈辱的な恰好もたえられる。
そりゃ、できれば抱きたいさ。でも律が俺を抱きたいって言うなら自分の希望なんて曲げてやる。
「……きてくれ、平気だから」
「うん。い、いくよ」
二人してこの前より緊張してる。
律の熱が後ろに押し当てられる感触がして、俺は思わず身を引いた。
「あ、あ、待って」
「ごめん、さすがにもう無理かも」
「じゃなくて、その、挿入する前に一回、キスして……から……」
「……お兄ちゃん、本当に可愛いね。大好き」
「ん……」
ちゅっとキスが落ちて、俺の中にゆっくりと律の性器が押し込まれていく。
極限まで開かされた足の間、見なければいいのに目が離せなくて、入っていくところをじっと見ていた。
律の性器が全体的にほっそりしているせいか、嘘のように抵抗なく飲み込まれる。
「んんっ。凄い……。中、熱くてきついよ。痛くない?」
「痛くないけど、いっぱい入ってる感じがする……」
それだけじゃない。ぬるりとしたそれが中を擦り上げる感覚に、俺は確かに快感を覚えていた。
安心させるなら、伝えた方がいいんだろう。でも、恥ずかしい……。
「この前と全然違う。ひくひくして、僕の揉んでるみたい」
軽く突き入れられて、内臓がせり上がるような感じがした。
「動いてもいい?」
「ゆ、ゆっくりなら」
「うん」
律が俺の身体にキスをしながら、抽挿を開始する。
この前は見られなかったけど……律、こんな気持ちよさそうな顔してたんだ。たまらない。
そう思うと同時、奥が律を欲しがって貪欲に締め付けてしまう。身体の変化が怖くて、思わず律にしがみついた。
「あ、あっ……あ」
「いいの? お兄ちゃん、気持ちいい? 僕も凄く気持ちいいよ」
「ん……。いい、よ、律ッ……。やっ、あぅ……」
痛いの代わりにイイと言ったあの時より、ずっと恥ずかしい。
弟のペニス挿れられて、喘いでこんな気持ち良くなって……信じられない。
でも律のそれが内壁を引っ掻く度に、俺の唇からは高い声がもれてしまう。
「律ぅ……、前も触って。いっぱいキスして……」
「可愛い」
唇までの距離をなくそうと折り畳まれた身体が、熱を余計に深く受け入れて奥がうねるのが自分でも判った。
「あ、あっ、や……ッ、ん」
悲鳴が唇に飲み込まれ、代わりにくちゅくちゅと音を立てる。
じっとりと湿った下肢が音を立てているのかキスが反響しているのか、判らなくなる。
「ん、ん、んっ……」
塞がれた唇からくぐもった吐息。相変わらず腰を絶え間無く打ち付けられ、奥をえぐられて頭の芯が痺れた。
律の……。律のが、俺の中で動いて跳ねてる。俺の身体で気持ち良くなって、こんな熱に浮されたような顔をしてる。
この前も、身体を繋げたことによる幸福感はあったんだ。でも今日はそれに加えて嘘みたいな快感まであって、どうにかなりそうだ。
前にはそんなに触れてもらえないのに、後ろだけで快感を得てるのが信じられない。
吐き出したい。触りたい。みっともない姿見せたくないのに、涙がボロボロ零れていく。
「律、律……ッ。あ、あ……」
「平気? 痛い?」
俺の涙に不安になったのか、律が動きを止める。今にも我慢できずに腰を振りたそうな顔をしているのに、ちゃんと止まってくれた。嬉しかった。
俺は首を横に振って、律の背中をぎゅうっと抱きしめる。小さな背中が愛しい。
痛いどころか、こうして止められたことで、中が疼いて律を欲しがり、思わず腰を押し付けるようにしてしまう。
「イキたい。も、イカせて、律……。前擦って……もっと、ぎゅっとしながら、して」
「お兄ちゃん……」
律が熱のこもった瞳で俺を見る。
こんな女々しくて恥ずかしいこと言ってるのに、欲情してくれてる。
だって、中で律の……大きくなった。
「うぁッ……。あ、あ、や、律……。激し」
急に激しく突き上げられる。密着した身体の間でペニスがつぶれ、激しく擦られて震える。
外と中からくる快感に、目眩がした。
飛びそうになる意識を必死に抑えながら、律の名前を何度も呼ぶ。
熱くて熱くて何も判らないけど、律が俺を求めてる……ただそれだけは判った。
「あ、あ、あっ……ん、や、イク……んんッ」
中をぎゅうっと締め付けながら吐精する。イッている間も貪欲に律の熱を締め上げるのが自分でも判った。
「っ……んぅ、お兄ちゃん、中凄い……」
律がハァハァと息を荒げながら身を震わせる。
中をいっぱいにしていたペニスが萎んでいって、律はそのままべったりと俺の身体の上で潰れた。
「り、律……。んっ……」
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えへへ、と笑う律が可愛くて仕方なくて、ぎゅうぎゅうと抱きしめた。
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