甘すぎるのも悪くない

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甘くとかして

はじめての(R18

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 涼しい部屋で素肌同士を密着させることがこんなに気持ちいいと知ったのは、最近のことだ。
 夏の暑さは嫌だけど、先輩の体温は大好き。
 
 ローションを手に取って、お互いの熱を扱く。ぬるぬるして気持ちがいい。
 昨日お風呂上がりに放置していたバスタオルがソファの背にかけてあったから、身体の下にはそれを敷いてある。いくら垂れても大丈夫だ。

「気持ちいい……。ね、先輩……このまま、奥触っちゃだめ?」
「この体勢じゃしにくいんじゃないか? それに……その、これだとなんか……入るとこ見えて、怖い」
「先輩、可愛い……」
「ばっ、馬鹿、お前は指入れられる時のあの恐怖を知らないから!」
 
 よほど恐怖を感じてるらしい。それにしてもいつも3分は酷い。カップラーメンじゃないんだから、探れるものも探れない。
 こうやって触りながらなら、気も紛れていいかと思ったんだけど。
 
 でも……何度もキスをしながらこうして触り合っていると、本当に気持ちがいい。
 先輩の指が素肌を這うのも、先輩の感じている顔を見るのも興奮する。
 
「それに、お前の方が可愛い」
  
 そう言って先輩はおれの耳を噛んだ。噛むなって言うくせに、先輩はよくこれをやる。低い声が耳に入ってくると、それだけでイケるんじゃないかと思う。
 もっとリードしたいのに、いつもおればっかり気持ちよくなっていて悔しい。
 
 おれは報復のように、先輩の鎖骨を強く吸い上げた。
 
「跡つけるなって……」
「先輩ならキスマークがついていたところで、男の勲章みたいなものでしょ?」
「男につけられたキスマークが勲章になるかよ」
「……男で悪かったですね」
「あー、もう、そういう意味じゃないって。お前がつけた跡だと思うと、なんか恥ずかしいんだよ、ちょっとは判れ!」
 
 かっと頬が熱くなる。うわ、先輩なんか、凄いこと言っちゃってる……。
 おれのキスマークだと思うと恥ずかしいとか、やばい。
 
「こんな台詞で大きくしてんなよ、ああ、もう……」
「す、すいませ……」
 
 照れ隠しだろうけど、それはおれも恥ずかしい。身体素直に反応しすぎ、おれ。
 だめ。だめだ。先輩が可愛すぎてだめ。身体全部舐めつくしちゃいたい。
 
「ここなら元から赤くなってるから、強く吸い上げても大丈夫ですよね」
「あれ。後輩くん野獣モード?」
「誰のせいですか、誰の」
「俺だよな」
「だから責任とって、食べられてください」
 
 おれはそう言って、甘そうな胸の赤色をちゅっと吸い上げた。
 先輩はいつもくすぐったがるだけだったし、今日もそうだと思ってた。先輩自身もそうだと思っていたに違いない。
 
「あっ……」

 あがった声に、おれと先輩は同時に顔を見合わせた。
 先輩は真っ赤になって口唇を押さえてる。
 
「あの、もっと……して、いいですか」
「わ。ちょ、まっ……待って、後輩くん!」
 
 今度は悲鳴に近い切実そうな声を上げているけど、おれはもう止まらなかった。
 先輩の腕は今やおれを愛撫するためじゃなく、押し返すために使われている。だからおれの熱は放り出されたままだ。でももうそんなの、どうでもいい……。
 
「っ……う、待て……って」
 
 さっきのように喘ぎはしなかったけど、押し殺しているのが逆に色っぽくてまいった。
 は、は、は、と荒い息遣いがリビングに響く。おれは夢中になってそこを舐め続ける。
 おざなりになりそうだった下肢への愛撫も再開する。手の中の熱は今にも弾けそうなほど膨らんでいた。
 乳首を甘く吸い上げながら指先で熱の先端を刺激すると、先輩は呆気ないほど簡単に吐精した。
 今まで何度もしてるけど、先輩がこんなに早かったの初めてだ……。
 一番初めにした時なんて、口でしてたって全然イカなかったのに。
 
 手の中に吐き出された液体をまじまじと見ていると、先輩に軽く頬をはたかれた。
 怒っている感じじゃなくて、呆けてるおれを現実に引き戻すような感じの。
 
「まじまじ見るな、恥ずかしいから」
「だって先輩が、その……。嬉しくて」
「……俺今死にたいって思ってたけど」
「なっ、何でですか」
「だって男なのに、こんなとこ感じるなんてさ……」
「おれは嬉しいですよ、先輩が」
 
 先輩が、おれの口唇に指先をあてた。
 黙れ、ということらしい。でも仕草はとても甘い。
 
「でもさ、お前の嬉しそうな顔見てたら、なんかどうでもよくなったよ」
 
 言葉はもっと、甘かった。
 
「だから今度は俺が気持ちよくしてやる」
 
 先輩がまだイッてないおれのそれに、指を這わせる。
 すっかり煽られていたおれは、それこそ初回戦時の屈辱再びになりそうで慌てた。
 
「ま、待ってください」
「ん?」
「あの……。おれの、あとでいいんで……。もうちょっとおれを嬉しくさせてみませんか?」
 
 先輩は一瞬きょとんとしていたけど、すぐに意味が判ったらしく、臨戦態勢になっているおれのそこをちらりと見た。

「え……。ん、まあ、いいけど、お前それ苦しくないのか?」
 
 なんかもう興奮しすぎて苦しいとか苦しくないとかそういう次元じゃなくなってる。
 今日こそは先輩とひとつになれそうな予感があるからかもしれない。
 乳首で感じてくれたくらいでそこまで思える自分もアレだって思うけど、もう一つ理由がある。
 
 四つん這いになって腰を高く上げろとは言えないけど、幸い今日はソファだ。
 おれはいつものように伏せになろうとする先輩を押しとどめた。
 
「あの、先輩。足をソファの下におろして、上半身だけ前からソファにもたれてくれませんか?」
「こ……こうか? なんかこれ、恥ずかしいな」
 
 腰を高く上げるよりは下げる方が、屈辱感も抵抗感も少ないはず。
 先輩はやや躊躇っていたけど、割合素直に足をおろしてくれた。
 
 おれはローションをたっぷりとつけた手で、内腿をぬるりと撫でさする。
 
「っ、それは、くすぐったい……」
 
 押すと軽く足が開いた。それが目的だったから、くすぐったいのは、まあおいおいなんとか快感にもっていければいい。
 
「入れますね」
 
 いきなりすると怒るので一応宣言。先輩の身体に緊張が走る。
 膝で立つことで、軽く気張るような状態になるからか、指先が吸い付くように飲み込まれた。
 
「う、わ……」
 
 それが判ったのか、先輩が悲鳴のような呻きをもらす。
 腕に鳥肌が立っているから快感ではないだろうな……。
 
「先輩」
 
 この体勢だと完全に身長差を無視できる。おれは腰を屈めて先輩のうなじを吸い上げながら、ゆっくりと指を動かした。
 性急さは否めない。だって先輩、3分経ったら絶対限界だって言い出すから。
 
「こ、後輩くん、もうちょっと……ゆっくり……」
「充分ゆっくりやってます」
「嘘だ……絶対嘘」
 
 先輩がソファにがっしりと爪を立てる。
 本当ならおれにしがみついて欲しいんですよ、ねえ。
 こんな確認するような体勢じゃなくて、ちゃんと愛し合いたい。
 早くおれので……先輩の中、突き上げたい。
 
 いつもよりは探りやすいけど、結局先輩が耐えるだけの3分間が過ぎ去ろうとしていた。
 でも先輩は3分過ぎても5分経っても、いつものように暴れ出さない。
 
「……先輩?」
「耐えてたら……。お前、嬉しいんだろ……」
「う、嬉しいです」
 
 探らせてくれるのも嬉しいけどおれのために耐えようっていう先輩の気持ちが、何より嬉しかった。 
 そういえば今日は体勢が違うから、前を同時に触ってあげることもできる。
 さっきは嫌がられたけど、後ろからならいいかな。少しは気がまぎれるだろうし……。
 
「おい、何……っ」
「少しは異物感まぎれません?」
「ん……。そ、うだな。少しマシかも。でもすげー変な感じ……」
 
 先輩がぶるりと身を震わせる。萎えていたそれが、ほんの少しだけど硬くなった。
 
「な、なあ……。も、そろそろだめかも……」
 
 先輩の決意短すぎる。
 
「もうちょっと。もうちょっとだけ」
 
 そのまま熱を育てていると、奥に差し込んだ指先に何か触れるものがあった。
 さっきまでは全然判らなかったのに……。もしかして、ここ……。
 
「っう」
 
 先輩の背中が綺麗に反り返った。
 
「ちょ、ちょっと、待て、こ……はいくんっ」
「あ。ここですか。いいとこ……」
「嘘だろ。ギブギブ! なんかおかしいから、おかしいからよせって、たんま!」
「せっかく探り当てたのに、先輩色気ないなあ」
 
 軽く触れていたそこを、強めに指の先で押してみる。
 
「ぁっ……。っく……」
 
 先輩が小さな声を上げて、そして噛みしめた。
 言ってることは色気ないけど……口唇の端からもれる、押し殺した喘ぎは充分色っぽい。
 
「っ、んん……」
 
 俺を押し退ければこの地獄からは解放されるのに、それも考えられないのか、それとも許してくれているからか……先輩はソファに縋るようにしがみついている。
 
 おれは後ろから先輩に覆い被さって、身体を押さえつけるようにして指を抜き差しした。
 悪いけどこんな可愛いところ見せられてしまったら、逃がしてあげられない。
 
 熱い。中も、外も……。クーラーなんてまったく意味がないくらい。
 先輩の背中とくっついた素肌が、汗でぬめっていくのすら心地よい。
 
 中を探ることに熱中していて触っていなかった外側にも指を滑らせてみた。
 うわ、完勃ち……。
 いいんだ。おれに奥、探られて……気持ちいいんだ。
 先からとろとろと、先走りも零れてる。
 ローションと混じって袋のあたりまでもうぐちゃぐちゃ。
 
「あっ……。や、やばい、それ……」
 
 先輩の身体がびくびくと震える。
 今まできついだけだったそこが、指の形に合わせるみたいにしてとろけていく。興奮して、快感なんか頭から突き抜けていきそう。
 身体だけじゃなく、中もひくひく震えて指を締め付けていて、おれ、それだけで気持ちいい。締め付けられてるのは指なのに……まるで性器を挿れてるみたいだ。
 
「先輩、ここ? ここがいい?」
 
 反応する箇所を、じらすことなくダイレクトに触れつづけていると、先輩が啜り泣くような声を漏らした。
 
「はっ……。や……後輩くん、勘弁して、も……ダメ」
「それ、イカせてって意味にとってもいいですか?」
 
 先輩はしばらく何も答えずに身体をのたうたせていたけど、しっかりと頷いた。
 
「どっちでもいいから、解放してくれ、おかしくなっちまう……」
 
 涙声、可愛い。年下のおれに指入れられて、感じて喘ぐ先輩。ほんとたまらない。
 中への指を一本増やして、どろどろになっている先輩のそれを少しきつめに擦り上げた。
 
「あ、ああっ……」
 
 先端をきゅうっと絞るようにすると、先輩が今まで上げたこともないような高い声で喘いで、熱を吐き出した。
 そのままぜいぜいと肩で息を吐いている。
 
 おれは先輩の出したものを舌でぺろりと舐めた。
 前は苦いって思ったのに、今はなんだか甘く感じる。
 今日はこのまま……先輩を甘くとかせるような気がした。
 
「お、おい、後輩くん、指……」
「はい」
  
 おれはそう答えて、中に入ったままの指先を動かす。
 
「え……」
 
 先輩の怯えを含んだような声にぞくぞくする。
 うん、判ってますよ、抜けって意味だったんですよね?
 
「何してんだよ……っ」
「だってせっかく、二本入ってるのに……」
「っ……」
 
 イッたばかりだからか、先輩はどこを触っても敏感に反応をした。
 そうかぁ。開発ってこういう風にしていくんだな。
 ここも、ここも……触っても今日はくすぐったくないみたいだ。
 
「や、やめっ……う、んっ……」
 
 先輩が拒否の声を喘ぎと一緒に押し殺す。
 中はすっかり柔らかくなって、ぐちぐちと音を立てる。
 きっとおれ、割りと長い時間先輩をなぶってる。
 だってこんな、先輩……疲れてて、浅く息して……。おれのこと押し返す力も残ってないみたいだ。
 
 ああ、可愛いな。だめだ。こんなチャンス逃せない。
 もっともっと触りたい。もっともっと喘がせたい。
 先輩に……おれの、挿れたい……。

「先輩、中、凄く柔らかくなってますよ、判ります?」
「判るか……っ」
「でもほら、もう三本入っちゃいます」
「っひ……」
 
 薬指までを揃えて差し入れると、先輩の腰がむずがるように揺れた。
 
「痛くはないでしょ?」
「も、苦しいって……」
 
 先輩がはぁと大きな息を吐き出す。おれは背中にキスをしながら、指先でしっかりと先輩の中から快感を掻き出していく。
 
「あっ、あ……。や、嫌だ……」
「でも凄く気持ち良さそう」
「気持ち良くたって、辛い、んだ……って」
 
 キスしてないから、口唇が乾いてくる。おれは痛いほど堅くなった熱を先輩の腿に擦りつけて、中の熱さを想像する。
 焦っちゃだめだ。傷つける……。でも、挿れたい。
 もう指三本入ってるし、先輩も良さそうだし、平気かな……。
 
「じゃあ、指抜きますね……」
 
 おれは最後にぐるりと弧を描いてから、指を引き抜いた。
 名残惜しむように絡みつく肉の感触におれの背を快感がかけあがる。
 ここにきゅうって締め付けてもらったら、どれだけ気持ちいいだろうって。 何より先輩と、ちゃんとひとつになりたかった。
 先輩が体勢をそのままに、ぐったりとソファーに沈み込む。

 おれは落ちているシャツの胸ポケットからゴムを取り出して、こっそりつけた。
 先輩は息を整えるのに必死で気付く様子はない。
 
「瑞貴……」
 
 名前を囁いてうなじに指先をすべらせると、先輩が身体を震わせた。
 
「また、名前……。お前、大体やりすぎだって……」
 
 先輩が頭だけでおれを振り返って、ざっと顔を青くした。
 殴られるかなと思ったけど、見なかった振りでもするように、向き直った。
 
 ……いいんですか? 挿れちゃいますよ。いいなんて言うはずないって判ってるから、声に出しては聞きませんけど。
 
「え、えっと……。あれ。お前……」
 
 どうやら混乱してるらしい。でも、もう待ってあげられない。
 
「ごめんなさい」
 
 一言謝って、形のいい尻の谷間で、おれのそれを軽く擦った。
 
「ま、待て……。後輩くん」
「無理です」
 
 手で先輩の臀部を押し開く。
 腰を高く上げてもらっていればおれを飲み込むところが丸見えになるんだろうな。見られなくて少し残念。
 屈めば見えると思うけど、今のおれにそんな余裕はない。
 おれはそっと、熱をそこに押し当てた。
 先端が当たっている部分が、凄く熱い。おれので先輩を感じてる。まるで誘うように、ひくりと肉がうごめいた。
 
 あとちょっと……身体を進めたら、おれ、先輩とひとつになれるんだ。
 
「大丈夫。ちゃんとゴムつけてますから。ローションもたっぷりつけましたし」
「馬鹿、そういう……問題じゃ……。あ、嘘……入っ……っ」
 
 ほんの数センチ熱が入り込む。それだけで、きゅうっと締め付けられた。
 やばい、凄い気持ちいい……。
 
 先輩の指先がソファを掻く。それはまるで、おれから逃げだそうとしているように見える。
 でもこの体勢でそんなことができるはずもなく、先輩はおれに貫かれる。
 力が抜けたら、重力で余計おれを飲み込む結果になりますよ。
 それにできないと判っていても、そういう行動をとられるのは悲しいです。
 
「逃げないでください……」
 
 先輩の手の甲に、おれの手を重ねる。
 背中を舐めながら、もう少し腰を進めた。
 
「や、無理無理無理、絶対無理だって、こんなの!」
「無理じゃないですよ。ほら、ちゃんと飲み込んでく」
「だめ、腹……破けそう……怖い」
「可愛い、先輩」
 
 先輩がかたかたと震えて、本当に怯えているのが判った。
 それはそうだよな。今までノーマル、今日まで指の一本も中々受け入れられなかった人が、いきなりこんなの突っ込まれてるんだから。
 しかもおれ、今までにないくらい、おっきくなってる上にすっごく硬くなってる……。
 興奮しすぎて、本当、鼻血でも噴きそうだ。

「はっ……やめ、苦し……」
「好き。大好き。凄く嬉しい。瑞貴さん……おれのものに、なって……」
「っああ……!」

 一番太い部分が入ったと思ったら、思った以上に勢いよく奥まで入り込んでしまった。
 意図せず強く突き上げる形になって、先輩が鋭い悲鳴をあげる。
 
「すご、全部入った……。痛いですか?」
「っ……い、痛い」
 
 まあこれだけ目一杯開いてれば、そうかも。
 でもさすがにここまできて、動かさずにはいられない。
 思う存分、先輩を揺さぶりたい。声とか上げさせたいし、おれに突かれてイッちゃうとこ、見たい。
 
「あ、馬鹿、動くなっ……。擦れて痛い、マジっ……」
「でもその割りにはスムーズに動きますけど」
「っく……、動かすなぁっ……!」
 
 おれのが先輩の中に入って、すっぽりと根本まで包み込まれてる。凄い。熱くって、中とろとろで……。おれは、凄く気持ちいい。想像してたより、ずっと。
 
「瑞貴……っ」
 
 ぐ、と身体を押し進めて、ゆっくりと動く。
 先輩がさっき感じてたところを突くように意識しながら腰を揺らした。
 
「っ!? んっ……、う、そだろっ……」
 
 先輩の背がびくびくと波打つ。
 
「……いい?」
「あ、あっ……、やば。やばいって……」
「いいんだ」
 
 涙声の先輩をあやすように、髪に口付ける。そのまま耳に舌を差し入れて、何度か名前を呼んだ。
 
 ああ、うしろからなの残念だな。先輩の顔が見られない。今はおれの好きな笑顔じゃないだろうけど、泣いちゃってるとことか、凄く見たい。
 
「ね、瑞貴さん。もっと感じて。もっと声上げて……」
「っあ……あ、やだ……」
「おれの……名前、呼んで?」
 
 先輩の手を、ぎゅうっと握る。奥がとけそうに熱い。中が甘くおれに絡みついて、あまりの快感に目眩がした。
 ……先に、イッちゃいそう……。
 
「っ……ぅ。んんっ」
 
 先輩がひゅっと息を詰めた。顔をぼすりとソファに埋めて、小さな声だけど確かに、けい……って言った。
 
「先輩ッ……!」
「っあ、あ、あっ……! ちょ、待っ……」

 制止の声なんか、聞こえないフリをして、腰を掴んで思い切り突き上げた。それこそ先輩がソファの上に上がってしまいそうなほど。
 
「っ、痛、痛っ……や、後輩くん、前……あたって」
 
 あ……。先輩の、ソファに擦れてる。夢中になりすぎて気付いてなかった。
 
「すいません……」
 
 おれは先輩の腰を軽く引いて、守るように熱に手を添えた。
 感じてくれてるだろうとは思ってたけど、ちゃんと硬くなっててホッとした。

「ひ、ぁっ……」

 腰を使いながら先輩のそれを扱くと、中がおれ絞り上げるようにやわやわと締め付けてくる。
 
「んんっ……。先輩、それ、まずい、ですっ」
「し、知るか! んっ、うぁっ。は、ぁあ……。後輩くっ……もう」
 
 きっと今までみたいに、やめろとか、限界とか、そういう言葉だろうなと思ってた。
 
「……イカせてくれ……、景……」
 
 頭の中が一気に煮えた。その台詞にも、はっきり呼ばれたおれの名前にも煽られて。
 
 もうあとは、荒い息遣いと水音、肌が重なる音だけがリビングに響く。
 先輩がおれの手の中に熱を吐き出して、奥を今まで以上にきゅうっと締め付けた。
 もっと耐えて、弛緩した先輩の身体を揺さぶりたかったけど、耐えられなかった。
 でもそれで良かったと思う。同時にイケて、ちゃんとひとつになれた気がしたから。
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