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After Story 2
星流SIDE 1
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初めて好きになったのは翠葵だった。
初恋もキスも失恋も全て翠葵が教えてくれた。
だが、S〇Xは先輩だった。
αは子孫を残す為に性欲が強いが、それは先輩にも当て嵌るらしい。
「ちょっ、もう、無理ですって。抜いて下さい」
「ヤダ、まだしたい」
あざとく頬を膨らまかしても可愛くありません。
って美形だから気持ち悪くはないけれど。
未だに心は翠葵を好きなままだが、数え切れない位抱かれ大切に扱われているからか
「分かりましたよ。疲れましたのであと10分だけですよ?それ以上は僕の体力が持ちません」
僕は彼を受け入れる様になっていた。
大体この人ズルいんだよ。
頭脳・運動能力・性格・人付き合い、全てにおいて完璧なクセに、僕が側に居ないと寂しいって甘える。
二人っきりの時はまるで小さな子供みたいで、どっちが年上だよ?って言いたくなる始末。
人前では物凄く格好良くて尊敬出来る憧れの存在になるのに、何このギャップ。
僕の前でだけ甘えたになるとか、可愛過ぎる。
何この人、僕を殺す気?
萌え死ぬわ、コノヤロウ。
出逢ったのは高1だったが、早いもので先輩は大学生に、僕は高3になった。
来年僕が高校を卒業したら、籍を入れる事が決まっている。
「北原会長」
呼ばれ振り向く。
3年になると同時に僕は生徒会会長に就任した。
一般的にΩは劣等種と決め付けられ、差別やイジメの対象に陥りやすい。
だが僕はΩだから仕方ない。そう考えるのはおかしいって感じた。
何もせずに落ちこぼれのレッテルを貼られるのも、先輩のお荷物になるのも嫌だ。
ジムに通いながら、雨天時以外欠かさず毎日先輩と朝食前に家の周辺と公園でランニングもした。
頭脳明晰な先輩に家庭教師をして貰い、苦手科目を全て克服した。
嘆きたくなる位全く筋肉は身に付く気配がないが、スタミナ・体力は維持出来ているし、運動能力も向上した。
成績も常に学年トップをキープしている。
Ωでも努力すれば伸し上がる事が出来る。
αじゃない事を理由に全てを諦めてはいけない。皆見習って日々を頑張りなさい。そういう意図を込めて、学校側から僕は生徒会会長に推薦された。
実際どうでも良かったが、特別断る理由もない。
分かりました。頑張ります。
そう返事し会長になった。
「星流、これ確認して貰って良い?」
「流石翠葵仕事が早いね」
会計になった翠葵は作業のスピードが速い上に正確だ。
絶対に提出期限を過ぎる事がない。
「斑鳩この前のまだ出来てないの?」
「三輪風紀との話し合いはどうなった?」
生徒会は会長 = 僕・副会長 = 三輪・書記 = 斑鳩・会計 = 翠葵の計4人で構成されている。
仕事の出来る翠葵と違い、副会長の三輪と書記の斑鳩は常にヤル気がなくいつも期限ギリギリで仕事を終わらす。
やれば出来るのに困った人達だ。
「じゃ、仕事終わったから部活行ってくる」
「うん、ありがとう。行ってらっしゃい、頑張ってね」
会計の仕事を終えると直ぐに翠葵は弓道部に向かう。
自分の仕事が終わった僕は予習復習をしながら残りの二人の仕事終わりを待ち、全員の作業が片付き次第下校する。
お陰で毎日帰りが遅いのだが
「お疲れ様星流」
良い感じで先輩が迎えに来れる時間になるので毎日一緒に帰宅している。
「そろそろ学園祭だな」
他校はまだまだだが、我が校の学園祭は5月中旬にある。
理由は2つ。
1つ目は少しでも早く新入生に学校の事を知って貰う為。
2つ目は3年生の為。
余り遅い時期にすると受験の追い込みと重なり、心から楽しむ事が出来ない。
高校生活最後の文化祭なのにそれでは残念だ。
なので少しでも心にゆとりがある時期にしてしまおう。
学校側の配慮で決まったらしい。
先輩は去年会長を務めていたので、色々アドバイスをくれる。
どの部活に幾ら予算が必要か、空き教室の使い方、メイン会場となる体育館での進行、各クラスの企画と予算、地域ボランティア・保護者・役員の方々への対応方法、警備・運営、等々。
不安な事だらけだったが、経験者からの的確な意見や指導のお陰で心配の種が少し減った。
先輩様々だ。
「お~い、斑鳩。起きろぉ~」
寝る子はよく育つ。
その言葉の通り、斑鳩は背が高い。
初めての大きな行事の準備で目まぐるしく、気が付くともう、今日は学園祭初日。
常に眠たげな斑鳩。いつもは寝てても怒らないが、流石に今回は無理矢理頑張らせて仕事をさせた。
猫の手も借りたい位忙しかったからだ。
睡眠時間が足りず、眠たいのだろう。
今から学園祭が始まるのにうつらうつらしている。
「折角の学祭。楽しまなきゃ勿体ないぞ?」
軽く肩を揺すりながら起こす。
が
「ん~、眠い」
僕の方に倒れてきた。
ポスンッ。膝の上に置かれる頭。
あ~あ、こうなったらダメだ。
これ本格的に寝る体勢。
案の定スヤァ~、心地好い寝息が聞こえ始める。
完全に気を許して甘えてくる斑鳩は大型犬みたいで可愛いが、今はダメ。
このまま膝枕してたら僕も仕事が出来ない。
心を鬼にして
「コラ斑鳩、起きなさい。起きないと怒るぞ?」
軽く無防備な耳朶を引っ張った。
半分目を閉じたまま寝惚け状態の斑鳩を引き摺りながら向かう体育館。
ほぼ会場の準備を終わらせた翠葵に
「頑張ろうな」
頭を撫でられ
「うん」
コツン、互いの拳を合わせた。
学園祭は2日間あり、1日目は自分達だけだが、2日目は一般公開される。
最初は体育館で開祭式。
校長を含めた教師だけでなく生徒会と風紀も軽く一言ずつ挨拶をする。
「それでは皆さん。最後迄全力で楽しんで下さいね」
笑顔で閉めると
「はい!!」
物凄くお利口さんな返事が全校生徒から聞こえる。
皆ノリが良いなぁ。可愛い。
ニコニコしていると
「あんまり可愛い顔見せないで」
皆から隠す様に翠葵が僕の顔を自分の胸元に押し付けた。
生徒会と風紀は教師や来賓と同じく体育館前方の壁際に居る。
結構目立つ場所に居る為かなり注目されて恥ずかしかったが、周囲の視線よりこの行為の方が恥ずかしい。
でも嫌じゃないし、寧ろ嬉しい。
その後翠葵は周囲を牽制する様に式が終わる迄ずっと僕の手を繋いでいた。
卒業する時先輩は不本意だが仕方ないと言いながら僕の護衛を翠葵に頼み、ゴシックな首輪みたいなのをくれた。
Ωは発情期の性交時にαに項を噛まれたら自動的にその人の番になってしまう。
一度番になるとαからは出来るがΩからは解消出来ないし、解消後何も支障がないαと違いΩは悪い事尽くめ。
解消後のΩはその後誰とも番になれない。
閉経迄発情期は終わらないし、フェロモンの放出もずっと続く。
人によっては番解消のストレスとショックで精神を病む事もあるらしい。
自分以外の誰かに番にされたくない。自分の番を守る為先輩は僕に首輪を着けた。
装着したくないが、好きでもない人に無理矢理番にされるのはもっと嫌だ。
渋々出来るだけオシャレなデザインのを選んで貰い身に着けた。
因みに鍵付きなので外せれるのは先輩のみだ。
項保護の首輪装着のせいで僕はバレバレだが、プライバシー保護の為此処の学校では性別を公表しない。
別に隠す必要はないので聞かれたら普通に答えているが、余りズケズケと聞きまくると教師から注意される。
弓道部の副部長と会計を兼任している翠葵は格好良く成長し、今では可愛かった面影は一切ない。
多忙ながらも毎回成績は上位5位以内。
勿論運動神経も良い為、翠葵はβだがαだと思われている。
なので先輩を知らない人達の中には僕と翠葵を恋人同士と勘違いしている人が多い。
実際は違うのだが、勘違いさせている方が守るのに色々と都合が良い。
先輩と翠葵は否定せずそれを利用している。
会計の翠葵は学園祭の間特に大きな仕事はない。
僕の仕事の補佐と護衛の為常に側に居てくれる。
本当は副会長の三輪が補佐をするのだが
「面倒だから嫌」
想像通りの事を言われ、諦めた。
まぁ、そのお陰で翠葵と居られるから此方としてもありがたい。
ずっと手を繋いでいるから仕事中だが、まるでデートみたいで嬉しいし楽しい。
見回りの合間に出し物を楽しむ。
恋人同士と思われてるから色々サービスもして貰える。
一緒に写真撮ってくれたり、お揃いの物をくれる。
食べ物は二人で一つのを仲良く分け合うが、かき氷・ソフトクリーム・チョコバナナは恥ずかしいから二つ用意して欲しかった。
食べてる間滅茶苦茶周りから写真撮られたり黄色い声を上げられた。
「ん。美味しい」
口に付いた食べカスをペロリ舐め取られ
「…………っ……!」
腰が抜けたらそのまま抱き上げられ、周囲から歓声が上がった。
もう恥ずかしいから止めて?
一度各クラスと部活の出し物等を中断し、再び体育館に集まる。
出し物の続きは明日の一般公開時。
体育館では合唱コンクールと演劇とスピーチコンテストを行う。
因みに合唱は各学年上位3クラス、計9クラスが歌う。
演劇は2・3年全クラス。
僕と翠葵のクラスは白雪姫。何故か僕が姫で翠葵が王子。
女子も居るのに何故この配役。
クラスに聞いたら会長だから主役しないとって言われた。
なら王子でも良かったんじゃ?
そう考えたのだが、そうしたら姫の選別で女子同士が血みどろの死闘を繰り広げる事になる。言われ、泣く泣く姫役を受け入れた。
原作よりもディ〇ニーの方が人気がある為、映画を忠実に再現する。
なのでミュージカル風。
滅茶苦茶恥ずかしいし難しかったが、必死に頑張った。
ラスト真似だけで良かったのに本当にされたキス。
パニックになりかけたが、必死に演技で誤魔化した。
「お疲れ様」
1日目が完全に終わり、生徒会室で紅茶を口にする。
「ん?」
無意識に見てしまう唇。
さっき劇の時されたキス。
思い出して顔に熱が集まった。
「何?恥ずかしかったの?キス」
耳元で揶揄う様に囁かれ
「本当にしちゃダメだろバカ……」
小さく口にする。
「可愛い」
良い雰囲気になった瞬間
「会計ばっかりズルい。俺もする」
ペロリ斑鳩が僕の唇を舐める。
「なら俺も」
そういって三輪迄顔を近付けた。
流石にこの流れは止めた方が良い。
ペチンッ、近付く三輪の顔を掌で押さえると
「今日の反省会と明日の流れの説明するから席に座って」
皆を席に座らせた。
「え~俺だけ除け者とか寂しい~」
なんか言ってる三輪はスルー。
「合唱と劇の報告書纏めた。褒めて?」
おお。珍しく斑鳩仕事が早い。
ヨシヨシ頭を撫でたら
「星流好き~」
キュッ抱き着かれた。
ほんっと大型わんこだな斑鳩は。
可愛い。癒される。
斑鳩を甘やかしていたら
「はいはい。星流はコッチね」
抱き上げられ翠葵の膝上に乗せられそのまま会議は進む。
僕に抱き着いて離れない斑鳩を翠葵が無理矢理自分の席に戻す。
生徒会室での話し合いはいつもこんな感じ。
皆仲良く楽しくしています。
初恋もキスも失恋も全て翠葵が教えてくれた。
だが、S〇Xは先輩だった。
αは子孫を残す為に性欲が強いが、それは先輩にも当て嵌るらしい。
「ちょっ、もう、無理ですって。抜いて下さい」
「ヤダ、まだしたい」
あざとく頬を膨らまかしても可愛くありません。
って美形だから気持ち悪くはないけれど。
未だに心は翠葵を好きなままだが、数え切れない位抱かれ大切に扱われているからか
「分かりましたよ。疲れましたのであと10分だけですよ?それ以上は僕の体力が持ちません」
僕は彼を受け入れる様になっていた。
大体この人ズルいんだよ。
頭脳・運動能力・性格・人付き合い、全てにおいて完璧なクセに、僕が側に居ないと寂しいって甘える。
二人っきりの時はまるで小さな子供みたいで、どっちが年上だよ?って言いたくなる始末。
人前では物凄く格好良くて尊敬出来る憧れの存在になるのに、何このギャップ。
僕の前でだけ甘えたになるとか、可愛過ぎる。
何この人、僕を殺す気?
萌え死ぬわ、コノヤロウ。
出逢ったのは高1だったが、早いもので先輩は大学生に、僕は高3になった。
来年僕が高校を卒業したら、籍を入れる事が決まっている。
「北原会長」
呼ばれ振り向く。
3年になると同時に僕は生徒会会長に就任した。
一般的にΩは劣等種と決め付けられ、差別やイジメの対象に陥りやすい。
だが僕はΩだから仕方ない。そう考えるのはおかしいって感じた。
何もせずに落ちこぼれのレッテルを貼られるのも、先輩のお荷物になるのも嫌だ。
ジムに通いながら、雨天時以外欠かさず毎日先輩と朝食前に家の周辺と公園でランニングもした。
頭脳明晰な先輩に家庭教師をして貰い、苦手科目を全て克服した。
嘆きたくなる位全く筋肉は身に付く気配がないが、スタミナ・体力は維持出来ているし、運動能力も向上した。
成績も常に学年トップをキープしている。
Ωでも努力すれば伸し上がる事が出来る。
αじゃない事を理由に全てを諦めてはいけない。皆見習って日々を頑張りなさい。そういう意図を込めて、学校側から僕は生徒会会長に推薦された。
実際どうでも良かったが、特別断る理由もない。
分かりました。頑張ります。
そう返事し会長になった。
「星流、これ確認して貰って良い?」
「流石翠葵仕事が早いね」
会計になった翠葵は作業のスピードが速い上に正確だ。
絶対に提出期限を過ぎる事がない。
「斑鳩この前のまだ出来てないの?」
「三輪風紀との話し合いはどうなった?」
生徒会は会長 = 僕・副会長 = 三輪・書記 = 斑鳩・会計 = 翠葵の計4人で構成されている。
仕事の出来る翠葵と違い、副会長の三輪と書記の斑鳩は常にヤル気がなくいつも期限ギリギリで仕事を終わらす。
やれば出来るのに困った人達だ。
「じゃ、仕事終わったから部活行ってくる」
「うん、ありがとう。行ってらっしゃい、頑張ってね」
会計の仕事を終えると直ぐに翠葵は弓道部に向かう。
自分の仕事が終わった僕は予習復習をしながら残りの二人の仕事終わりを待ち、全員の作業が片付き次第下校する。
お陰で毎日帰りが遅いのだが
「お疲れ様星流」
良い感じで先輩が迎えに来れる時間になるので毎日一緒に帰宅している。
「そろそろ学園祭だな」
他校はまだまだだが、我が校の学園祭は5月中旬にある。
理由は2つ。
1つ目は少しでも早く新入生に学校の事を知って貰う為。
2つ目は3年生の為。
余り遅い時期にすると受験の追い込みと重なり、心から楽しむ事が出来ない。
高校生活最後の文化祭なのにそれでは残念だ。
なので少しでも心にゆとりがある時期にしてしまおう。
学校側の配慮で決まったらしい。
先輩は去年会長を務めていたので、色々アドバイスをくれる。
どの部活に幾ら予算が必要か、空き教室の使い方、メイン会場となる体育館での進行、各クラスの企画と予算、地域ボランティア・保護者・役員の方々への対応方法、警備・運営、等々。
不安な事だらけだったが、経験者からの的確な意見や指導のお陰で心配の種が少し減った。
先輩様々だ。
「お~い、斑鳩。起きろぉ~」
寝る子はよく育つ。
その言葉の通り、斑鳩は背が高い。
初めての大きな行事の準備で目まぐるしく、気が付くともう、今日は学園祭初日。
常に眠たげな斑鳩。いつもは寝てても怒らないが、流石に今回は無理矢理頑張らせて仕事をさせた。
猫の手も借りたい位忙しかったからだ。
睡眠時間が足りず、眠たいのだろう。
今から学園祭が始まるのにうつらうつらしている。
「折角の学祭。楽しまなきゃ勿体ないぞ?」
軽く肩を揺すりながら起こす。
が
「ん~、眠い」
僕の方に倒れてきた。
ポスンッ。膝の上に置かれる頭。
あ~あ、こうなったらダメだ。
これ本格的に寝る体勢。
案の定スヤァ~、心地好い寝息が聞こえ始める。
完全に気を許して甘えてくる斑鳩は大型犬みたいで可愛いが、今はダメ。
このまま膝枕してたら僕も仕事が出来ない。
心を鬼にして
「コラ斑鳩、起きなさい。起きないと怒るぞ?」
軽く無防備な耳朶を引っ張った。
半分目を閉じたまま寝惚け状態の斑鳩を引き摺りながら向かう体育館。
ほぼ会場の準備を終わらせた翠葵に
「頑張ろうな」
頭を撫でられ
「うん」
コツン、互いの拳を合わせた。
学園祭は2日間あり、1日目は自分達だけだが、2日目は一般公開される。
最初は体育館で開祭式。
校長を含めた教師だけでなく生徒会と風紀も軽く一言ずつ挨拶をする。
「それでは皆さん。最後迄全力で楽しんで下さいね」
笑顔で閉めると
「はい!!」
物凄くお利口さんな返事が全校生徒から聞こえる。
皆ノリが良いなぁ。可愛い。
ニコニコしていると
「あんまり可愛い顔見せないで」
皆から隠す様に翠葵が僕の顔を自分の胸元に押し付けた。
生徒会と風紀は教師や来賓と同じく体育館前方の壁際に居る。
結構目立つ場所に居る為かなり注目されて恥ずかしかったが、周囲の視線よりこの行為の方が恥ずかしい。
でも嫌じゃないし、寧ろ嬉しい。
その後翠葵は周囲を牽制する様に式が終わる迄ずっと僕の手を繋いでいた。
卒業する時先輩は不本意だが仕方ないと言いながら僕の護衛を翠葵に頼み、ゴシックな首輪みたいなのをくれた。
Ωは発情期の性交時にαに項を噛まれたら自動的にその人の番になってしまう。
一度番になるとαからは出来るがΩからは解消出来ないし、解消後何も支障がないαと違いΩは悪い事尽くめ。
解消後のΩはその後誰とも番になれない。
閉経迄発情期は終わらないし、フェロモンの放出もずっと続く。
人によっては番解消のストレスとショックで精神を病む事もあるらしい。
自分以外の誰かに番にされたくない。自分の番を守る為先輩は僕に首輪を着けた。
装着したくないが、好きでもない人に無理矢理番にされるのはもっと嫌だ。
渋々出来るだけオシャレなデザインのを選んで貰い身に着けた。
因みに鍵付きなので外せれるのは先輩のみだ。
項保護の首輪装着のせいで僕はバレバレだが、プライバシー保護の為此処の学校では性別を公表しない。
別に隠す必要はないので聞かれたら普通に答えているが、余りズケズケと聞きまくると教師から注意される。
弓道部の副部長と会計を兼任している翠葵は格好良く成長し、今では可愛かった面影は一切ない。
多忙ながらも毎回成績は上位5位以内。
勿論運動神経も良い為、翠葵はβだがαだと思われている。
なので先輩を知らない人達の中には僕と翠葵を恋人同士と勘違いしている人が多い。
実際は違うのだが、勘違いさせている方が守るのに色々と都合が良い。
先輩と翠葵は否定せずそれを利用している。
会計の翠葵は学園祭の間特に大きな仕事はない。
僕の仕事の補佐と護衛の為常に側に居てくれる。
本当は副会長の三輪が補佐をするのだが
「面倒だから嫌」
想像通りの事を言われ、諦めた。
まぁ、そのお陰で翠葵と居られるから此方としてもありがたい。
ずっと手を繋いでいるから仕事中だが、まるでデートみたいで嬉しいし楽しい。
見回りの合間に出し物を楽しむ。
恋人同士と思われてるから色々サービスもして貰える。
一緒に写真撮ってくれたり、お揃いの物をくれる。
食べ物は二人で一つのを仲良く分け合うが、かき氷・ソフトクリーム・チョコバナナは恥ずかしいから二つ用意して欲しかった。
食べてる間滅茶苦茶周りから写真撮られたり黄色い声を上げられた。
「ん。美味しい」
口に付いた食べカスをペロリ舐め取られ
「…………っ……!」
腰が抜けたらそのまま抱き上げられ、周囲から歓声が上がった。
もう恥ずかしいから止めて?
一度各クラスと部活の出し物等を中断し、再び体育館に集まる。
出し物の続きは明日の一般公開時。
体育館では合唱コンクールと演劇とスピーチコンテストを行う。
因みに合唱は各学年上位3クラス、計9クラスが歌う。
演劇は2・3年全クラス。
僕と翠葵のクラスは白雪姫。何故か僕が姫で翠葵が王子。
女子も居るのに何故この配役。
クラスに聞いたら会長だから主役しないとって言われた。
なら王子でも良かったんじゃ?
そう考えたのだが、そうしたら姫の選別で女子同士が血みどろの死闘を繰り広げる事になる。言われ、泣く泣く姫役を受け入れた。
原作よりもディ〇ニーの方が人気がある為、映画を忠実に再現する。
なのでミュージカル風。
滅茶苦茶恥ずかしいし難しかったが、必死に頑張った。
ラスト真似だけで良かったのに本当にされたキス。
パニックになりかけたが、必死に演技で誤魔化した。
「お疲れ様」
1日目が完全に終わり、生徒会室で紅茶を口にする。
「ん?」
無意識に見てしまう唇。
さっき劇の時されたキス。
思い出して顔に熱が集まった。
「何?恥ずかしかったの?キス」
耳元で揶揄う様に囁かれ
「本当にしちゃダメだろバカ……」
小さく口にする。
「可愛い」
良い雰囲気になった瞬間
「会計ばっかりズルい。俺もする」
ペロリ斑鳩が僕の唇を舐める。
「なら俺も」
そういって三輪迄顔を近付けた。
流石にこの流れは止めた方が良い。
ペチンッ、近付く三輪の顔を掌で押さえると
「今日の反省会と明日の流れの説明するから席に座って」
皆を席に座らせた。
「え~俺だけ除け者とか寂しい~」
なんか言ってる三輪はスルー。
「合唱と劇の報告書纏めた。褒めて?」
おお。珍しく斑鳩仕事が早い。
ヨシヨシ頭を撫でたら
「星流好き~」
キュッ抱き着かれた。
ほんっと大型わんこだな斑鳩は。
可愛い。癒される。
斑鳩を甘やかしていたら
「はいはい。星流はコッチね」
抱き上げられ翠葵の膝上に乗せられそのまま会議は進む。
僕に抱き着いて離れない斑鳩を翠葵が無理矢理自分の席に戻す。
生徒会室での話し合いはいつもこんな感じ。
皆仲良く楽しくしています。
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