Cotton Candy

いちご

文字の大きさ
上 下
16 / 37
第一章

15.

しおりを挟む
学校の用意をし
「行ってきます」
「お邪魔しました」
青葉と共に向かう学校。

って、ヤバイ。俺昨日凛茉にも三浦にも連絡してない。
絶対青葉と一緒に現れたら凛茉びっくりする。
つか、青葉電車に乗せて良いのか?
スッゴイ人多いぞ?
高級車に乗る様な高貴な人間をあんなギュウギュウ詰めの車内に乗せて良いワケない。

「えっと青葉、俺電車だけど大丈夫か?」
不安で尋ねたが
「何心配してるんですか?よく利用してますよ電車もバスも地下鉄も」
どうやら高級車ばかり使用しているワケではない様だ。
「なら大丈夫だな」
安心して2人で駅に向かった。

LINEを開くと沢山来ていたメッセージ。
全部凛茉と三浦からだった。
大丈夫か?今何処だ?
かずちゃん大丈夫?逢いたいよ。
2人共俺を心配してくれていた。

ありがとう、送信する。
嬉しくて笑顔になると
「先輩。俺と一緒の時は他の人の事考えるの禁止です」
青葉が拗ねたからiPhoneを鞄に直した。

何だコイツ。スッゲェ可愛い。
背伸びをし、ヨシヨシ頭を撫でると
「……っ」
チュッ、奪われた唇。
瞬時に真っ赤になった。

バカ、此処外だぞ。他に人居るんだぞ。
恥ずかしくて下を向いたが、キスは嫌じゃなかった。
そのまま青葉の制服の裾を軽く掴み歩いた。

扉を背に抱き締められる形で乗った電車。
青葉のお陰で潰されずに済んだが、物凄く恥ずかしかった。
あと、スッゴクドキドキした。

改札口を出ると
「かずちゃんっ」
駆け寄って来た凛茉。
嗚呼、今日も俺の天使は世界一可愛い。
「おはよ」
「おはよう」
笑顔で挨拶を交わすと
「え?青葉くん?」
青葉の存在に気付いた凛茉が目を見開いていた。

「おはようございます、白水先輩」
「……おはよ」
なんだろう?
なんか不穏な空気を感じるぞ?
「行こ?かずちゃん」
「え、ちょっ、凛茉?!」
凛茉は青葉を振り切り俺の手を繋いで歩き出した。
珍しい事もあるものだ。

可愛く拗ねる事はあるが、基本怒らない凛茉が初めて見せる苛つき。
ヤキモチ、かな?
「凛茉?」
名前を呼ぶと
「かずちゃんは僕のだもん」
可愛く口を尖らせた。


教室に入るなり
「鳴海っ!!」
走り寄ってきた三浦。
「おはよ」
挨拶すると
「良かったぁ」
三浦は俺を抱き締め、大きく息を吐いた。

「LINE既読付かないし、家にも居ないし、スッゴク心配したんだからな?」
あ~LINE見たの電車に乗る前だもんな。
昨日は全く見る余裕なかったし。
って、何思い出してんだよ俺。
慌てて脳内に甦った青葉との行為を打ち消す為、左右に首を振った。

「鳴海?ほんっと大丈夫か?無理してない?」
「かずちゃん保健室行く?それとも屋上か中庭の空気吸いに行く?」
昨日あのまま早退した上に連絡取れなかったからだろう。
2人は本気で心配してくれている。

「ありがとう。なら屋上行きたい、かも」
「よし。ならみうちゃんかずちゃん抱っこして?」
「了解」
三浦に抱き上げられ、凛茉と一緒に屋上に向かった。

凛茉に膝枕され、寝転ぶ。
日陰を選んでくれたお陰で日差しもなく心地良い風が吹き、気持ち良い。
2人に頭を撫でられ、ウトウト微睡んだ。


目を開けると太陽は先程より登っていて、日差しから俺を守る様に三浦が目の前に居た。
「おはよ、かずちゃん」
優しく名前を呼びながら髪を梳かれ
「ごめん。俺寝てた」
慌てて謝る。

「気分少しは良くなったか?」
スッキリ寝たお陰か、かなり楽になっていた。
寧ろ天使パワー充電でいつもより元気になった気がする。
「うん」
笑顔で返すと
「良かったぁ」
「戻るか?教室に」
2人は優しく微笑んだ。

その後の授業は頑張った。
昨日も今日もサボったから遅れを取り戻さねば。
まぁ、簡単だから苦労はしないけどね。


昼休みになったと同時に
「せ~んぱいっ」
青葉が教室に来た。

「一緒にお昼食べませんか?」
嬉しそうに誘われるが
「だぁ~め。かずちゃんは僕と食べるの」
「そうそう。鳴海は俺達と食べるから邪魔者は帰れ帰れ」
「え~?みうちゃんも邪魔だよぉ」
凛茉と三浦に阻止された。

「……先輩…」
あ~なんか泣きそうな顔してる。
「一緒に居たいです先輩」
……ぅっ、か、可愛い。
「…………ダ…メ、ですか?」
ダメ、じゃない。
全然ダメじゃない。
けれど
「しつこい男は嫌われるよ?青葉くん」
「そうそう。潔く身ぃ引きな?」
どうやら鉄壁のガードが発動した様だ。

この2人ほんっと最近過保護だよなぁ。
甘やかされるのは嫌じゃないんだけど、余り心配しなくても大丈夫だって。

シッシッ追い払われるも
「せんぱ~い」
泣きそうな顔と声で諦めない青葉。
なんかこれじゃ埒が明かない。

「あ~もぉ、しゃ~ねぇ~な」
「今日だけだからね?」
諦めたのは凛茉と三浦。
「ありがとうございます」
青葉は上機嫌な声を出した。


仲良く皆で食べる昼食。
楽しい筈なのに、何だコレ?
俺は頭を抱えた。
理由は何故か俺の座る場所について、争いが起こっているからだ。

凛茉に手を繋がれて向かった空き教室。
普段全く使用されていないが、掃除の時間は学校内全てを清掃する為、ゴミ1つ落ちていない。
机をくっ付けて食べるか、好きな席に座れば良いのに、何故か俺は凛茉の命令により三浦の膝上に座らされた。

「先輩。三浦先輩より俺の方が座り心地良いですよ?」
おいで?手を広げる青葉に
「ダメ!!青葉くんはなんかヤダ。みうちゃんかずちゃん取られないようギュッってしてて」
シャーッ!猫の様に威嚇する凛茉。

「あのさ、1人で座っちゃ……ダメ?」
沢山机も椅子もあるんだ。
何も膝上に座らなくても良い気がする。

「みうちゃんが降ろしたら絶対スグ青葉くんがかずちゃん抱っこするでしょ?」
「しますね。折角先輩と一緒なんですから密着させて下さい」
「はぁ?かずちゃんは僕のなの。青葉くんには渡さないよ」
えっと、あの、2人とも、ご飯食べませんか?

無駄に過ぎていく時間。

「……………………お腹…空いた」
ポツリ呟くと
「ごめんね?」
「すみません」
謝られ、漸くお昼ご飯タイムが始まった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

隠れヤンデレは自制しながら、鈍感幼なじみを溺愛する

知世
BL
大輝は悩んでいた。 完璧な幼なじみ―聖にとって、自分の存在は負担なんじゃないか。 自分に優しい…むしろ甘い聖は、俺のせいで、色んなことを我慢しているのでは? 自分は聖の邪魔なのでは? ネガティブな思考に陥った大輝は、ある日、決断する。 幼なじみ離れをしよう、と。 一方で、聖もまた、悩んでいた。 彼は狂おしいまでの愛情を抑え込み、大輝の隣にいる。 自制しがたい恋情を、暴走してしまいそうな心身を、理性でひたすら耐えていた。 心から愛する人を、大切にしたい、慈しみたい、その一心で。 大輝が望むなら、ずっと親友でいるよ。頼りになって、甘えられる、そんな幼なじみのままでいい。 だから、せめて、隣にいたい。一生。死ぬまで共にいよう、大輝。 それが叶わないなら、俺は…。俺は、大輝の望む、幼なじみで親友の聖、ではいられなくなるかもしれない。 小説未満、小ネタ以上、な短編です(スランプの時、思い付いたので書きました) 受けと攻め、交互に視点が変わります。 受けは現在、攻めは過去から現在の話です。 拙い文章ですが、少しでも楽しんで頂けたら幸いです。 宜しくお願い致します。

僕のために、忘れていて

ことわ子
BL
男子高校生のリュージは事故に遭い、最近の記憶を無くしてしまった。しかし、無くしたのは最近の記憶で家族や友人のことは覚えており、別段困ることは無いと思っていた。ある一点、全く記憶にない人物、黒咲アキが自分の恋人だと訪ねてくるまでは────

【完結・BL】DT騎士団員は、騎士団長様に告白したい!【騎士団員×騎士団長】

彩華
BL
とある平和な国。「ある日」を境に、この国を守る騎士団へ入団することを夢見ていたトーマは、無事にその夢を叶えた。それもこれも、あの日の初恋。騎士団長・アランに一目惚れしたため。年若いトーマの恋心は、日々募っていくばかり。自身の気持ちを、アランに伝えるべきか? そんな悶々とする騎士団員の話。 「好きだって言えるなら、言いたい。いや、でもやっぱ、言わなくても良いな……。ああ゛―!でも、アラン様が好きだって言いてぇよー!!」

周りが幼馴染をヤンデレという(どこが?)

ヨミ
BL
幼馴染 隙杉 天利 (すきすぎ あまり)はヤンデレだが主人公 花畑 水華(はなばた すいか)は全く気づかない所か溺愛されていることにも気付かずに ただ友達だとしか思われていないと思い込んで悩んでいる超天然鈍感男子 天利に恋愛として好きになって欲しいと頑張るが全然効いていないと思っている。 可愛い(綺麗?)系男子でモテるが天利が男女問わず牽制してるためモテない所か自分が普通以下の顔だと思っている 天利は時折アピールする水華に対して好きすぎて理性の糸が切れそうになるが、なんとか保ち普段から好きすぎで悶え苦しんでいる。 水華はアピールしてるつもりでも普段の天然の部分でそれ以上のことをしているので何しても天然故の行動だと思われてる。 イケメンで物凄くモテるが水華に初めては全て捧げると内心勝手に誓っているが水華としかやりたいと思わないので、どんなに迫られようと見向きもしない、少し女嫌いで女子や興味、どうでもいい人物に対してはすごく冷たい、水華命の水華LOVEで水華のお願いなら何でも叶えようとする 好きになって貰えるよう努力すると同時に好き好きアピールしているが気づかれず何年も続けている内に気づくとヤンデレとかしていた 自分でもヤンデレだと気づいているが治すつもりは微塵も無い そんな2人の両片思い、もう付き合ってんじゃないのと思うような、じれ焦れイチャラブな恋物語

記憶の欠けたオメガがヤンデレ溺愛王子に堕ちるまで

橘 木葉
BL
ある日事故で一部記憶がかけてしまったミシェル。 婚約者はとても優しいのに体は怖がっているのは何故だろう、、 不思議に思いながらも婚約者の溺愛に溺れていく。 --- 記憶喪失を機に愛が重すぎて失敗した関係を作り直そうとする婚約者フェルナンドが奮闘! 次は行き過ぎないぞ!と意気込み、ヤンデレバレを対策。 --- 記憶は戻りますが、パッピーエンドです! ⚠︎固定カプです

[本編完結]彼氏がハーレムで困ってます

はな
BL
佐藤雪には恋人がいる。だが、その恋人はどうやら周りに女の子がたくさんいるハーレム状態らしい…どうにか、自分だけを見てくれるように頑張る雪。 果たして恋人とはどうなるのか? 主人公 佐藤雪…高校2年生  攻め1 西山慎二…高校2年生 攻め2 七瀬亮…高校2年生 攻め3 西山健斗…中学2年生 初めて書いた作品です!誤字脱字も沢山あるので教えてくれると助かります!

なんでも諦めてきた俺だけどヤンデレな彼が貴族の男娼になるなんて黙っていられない

迷路を跳ぶ狐
BL
 自己中な無表情と言われて、恋人と別れたクレッジは冒険者としてぼんやりした毎日を送っていた。  恋愛なんて辛いこと、もうしたくなかった。大体のことはなんでも諦めてのんびりした毎日を送っていたのに、また好きな人ができてしまう。  しかし、告白しようと思っていた大事な日に、知り合いの貴族から、その人が男娼になることを聞いたクレッジは、そんなの黙って見ていられないと止めに急ぐが、好きな人はなんだか様子がおかしくて……。

陰キャ系腐男子はキラキラ王子様とイケメン幼馴染に溺愛されています!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 まったり書いていきます。 2024.05.14 閲覧ありがとうございます。 午後4時に更新します。 よろしくお願いします。 栞、お気に入り嬉しいです。 いつもありがとうございます。 2024.05.29 閲覧ありがとうございます。 m(_ _)m 明日のおまけで完結します。 反応ありがとうございます。 とても嬉しいです。 明後日より新作が始まります。 良かったら覗いてみてください。 (^O^)

処理中です...