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執着旦那と愛の子作り&子育て編
それが僕だから。
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太陽の光が少なく薄暗い森。
肌寒かったあたりが暖かくなった。
背後から抱き込まれて口元を抑えられたが、不安はない。
それは当然だった。
「帰りましょう」
「んー?(離して?)」
視線でお願いをするように見上げるが、ガリウスは首を横に振った。
「わざわざ名前を呼んでやる必要はありません。
貴方が穢れる」
名前を呼ぶだけでそんなことがあるわけがなく、何を言ってるんだとシャリオンは呆れた。
まさかそんな事にも嫉妬しているというのだろうか。
いや、そのまさかかもしれない。
離してくれないので思考共有で話しかける。
『そんな事より、もしかしたらミクラーシュ、また洗脳を掛けられたかも知れない』
もしこの男が想像通りの男、ミクラーシュの友人であるならば、名は確か『エリック』。
ミクラーシュはその友人に洗脳を掛けられたと見ているが、その洗脳はヴィスタが掛けたもの。
そして、この男はガリウスを・・・恋人だと思っている。
シャリオンはガリウスに振り返り見上げれば、口元に添えられていた手は解けた。
代わりにシャリオンが何をしでかすか想像できているのか苦い表情を浮かべている。
「・・・、ガリィ」
「こんな男にまで貴方の慈悲をかけてやる必要はありません」
「僕は何もしないよ」
ガリウスに未練があるからと言ってシャリオンができることはない。
譲れるわけもないからだ。
ミクラーシュの友人エリックはガリウスが現れた途端、シャリオンに向けられていた睨視が解かれ熱心線をガリウスに向けられている。
当事者ではないシャリオンが口を出すべきではない。
ただシャリオンの友人となったミクラーシュの事は別だ。
短い期間ではあるが友人にそんな事をするなんて信じられない。
けれどそれはシャリオンの価値観。
「ミクラーシュ」
「・・・なんだ」
普段よりも低い声とその態度は以前ハイシアに乗り込んできたときの様子を思い出させる。
「言っていることが信じられるかそうじゃないかではなくて、・・・僕はガリィから離れられない」
「っ」
「ミクラーシュの言っていることが事実だとしてもそれは変わらない。
それに都合が悪いからって逃げるのは違うでしょう?」
「っ」
「間違った事をしたなら、話し合って直していけば良い。
僕達はそうやってきた。これからも」
互いを思いあっているが、間違った選択をしたこともある。
だが、それは2人で乗り越えてきたつもりだ。
シャリオンは少なくともそう思っているし、ガリウスもそうであってほしい。
ミクラーシュは驚いた様にしながらも視線を下した。
「っ・・・何故、そうなんだ」
「聞き分けは悪い方だと思うよ。ごめんね」
「・・・シャリオンが聞き分けが悪いならこの世界の人間はみんなそうだ。俺だって」
そう言いながらも、間違ったことをしているとは思えない。
シャリオンが無理をするとガリウスやゾルに負担が掛かるが、でもシャリオンが動きやすいようにしてくれている。
そうしてしまっても、言われていること許容は出来なかった。
今はどうやって連れもどそうか、どう説得したらいいか考えていた。
そんな時だった。
「本っ当・・・嫌なやつ」
地の這うような声。
こんな憎悪向けられたのは初めてだ。
向けてきたのはミクラーシュではなく、・・・エリックだ。
「お前のそういう良い子ちゃんぶったところ、本当に気持ち悪い」
「・・・、」
なんて言い返して良いかわからない。
そもそもまだちゃんと認識できていない相手だ。
想定通りの人間だったとしてもシャリオンはこの男と会話するのは初めてだ。
「自分は何も悪いことしていないみたいな感じで、そうやって私から何かも奪っていくッ」
それは、ガリウスのことを言っているのだろう。
シャリオンと婚約を結んだときはすでにエリックの家は没落していた。
しかし、その事実をシャリオンは知らず、まさか婚約のときに2人は恋人関係にあったのだろうか?と、不安になる。
ガリウスは自分のことをシャリオンがガリウスを知るよりも前から知っており、そして好きでいてくれたと聞いて居るが、相手は貴族同士。
まさかガリウスがなんとも思っていなくとも、エリックの方には好意があり、婚約予定でもあったのだろうか?
しかし、・・・先にもあったようにエリックの記憶がない。
婚約前後に貴族をやっている相手なら、いくら何でも覚えているはずなのだが。
隣にいるガリウスに聞けば早いのだろうが、簡単に言えばシャリオンは他人からの罵詈雑言に少々混乱していた。
こんな時どうしたらいいか良くわからない。
「貧弱で力も魔力もなくて、頭がいいわけでもない。
あるのは、家の力の顔だけじゃないか!
お前なんか公爵家に産まれなかったら男娼くらいしか生きる道がないね!!・・・ふぐぅっ」
エリックが言っている言葉は正しい。
謹慎していた時もシャリオンは足を引っ張っていた自覚がある。
けれど、言われた言葉は胸を刺す。
『男娼しかない』と言うがそんな技術だっていつまでたってもガリウスに慣れない自分は、男娼だって出来ない気がする。
そんなときだった。
自分の首を必死に抑えて苦しがるエリック。
「!」
どうしたのか尋ねようとしたシャリオンの肩を強くつかむガリウス。
何故止めるのか視線で訴えると不自然な笑みを浮かべたガリウス。
「静かになりましたね。
帰りましょう。子供達も待っていますよ」
「えっな、・・・え?」
強行手段を取ろうとするガリウスのその手には転移の魔法石が握られている。
「リックーっ!ッ・・・貴様っ」
苦しむエリックにミクラーシュは焦りながら、ガリウスに腰に携えていた剣を抜き取り向けた。
『リック』とは愛称だろうか。
洗脳の話を聞いたときは、それほど仲の良い友人には聞こえなかったのだが、・・・そうではないようだ。
「み、ミクラーシュ!待って!・・・ガリィ!!」
ガリウスがこんな手荒な事をするとは思えなかったが、ミクラーシュはガリウスだと目を付けているようだ。
2人のことに口を出す気はないが、こんな状態のまま返されるのは納得がいかない。
シャリオンは慌ててガリウスの手から転移の魔法石を取り上げる。
「彼を助けてっ」
必死な懇願にもガリウスは表情を変えない。
助けたくないという表れのようだった。
「この世界にはわかり合えない人間もいるのですよ」
それは何度か聞いた言葉だ。
けれど、シャリオンが言う言葉も決まっている。
「だからって見捨てられないでしょう?!」
「言ったはずです。私は貴方以外どうでも良いのです」
「!っ・・・」
エリックはガリウスの逆鱗に触れてしまったようだ。
シャリオンのことを貶めるような言い方に最愛の伴侶が許容できるわけがない。
シャリオンが逆の立場でも激怒していると思う。
どう止めようか言葉を選んでいるシャリオンにガリウスはつづけた。
「彼は貴族の頃を含め、私に3度敵意を向けてきました」
エリックはガリウスへの好意を『敵意』と言われたことにショックを受ける。
「それは・・・」
「勿論警告もしました。
シャリオン。良く聞いてください。
次は子供達に向かうかも知れません」
「・・・!」
ガリウスはシャリオンが気にするものを良くわかっている。
顔が同じだという事でヴィスタに寄っていったエリックが、子供達に目を付けないわけがない。
シャリオンもそれに気が付いたのかその言葉に息を飲む。
「私はそんな危険な芽を取っておきたくありません」
暗に『シャリオンもそうですね?』と含ませられた。
言いたい事は分かる。分かるが。
ちらりとエリックの方を見れば、苦しみもがきその視線はガリウスを見ている。
「・・・!子供達にはガリウスもゾル達もいるっ
今まで僕が危険な目にあっても助けてくれてるじゃないか!」
混乱しすぎて説得力のない事を言ってしまった。
危険な目に遭う回数が多いことなど、安心できる要素ではない。
今日大丈夫たがら明日も大丈夫だ!なんて、そこまで楽観的ではないが、大丈夫なようにするしかないのだ。
すると、ガリウスも少々腹がたったのか、目を細めた。
「では、次期宰相を辞退するので、私を領主にしてくれますか」
「え?」
「公爵も私に譲って下さい」
「どう・・・して?」
「貴方を屋敷から出しません。
・・・そうして下さるのならば、この男を生かしても良いですよ」
シャリオンは息を飲んだ。
もう分かっているが、これは地位が欲しい訳ではない。
ガリウスは良くシャリオンを監禁したがる。
それは特に危険な目にあった時だ。
つまり、子供達はフェイクでガリウスはシャリオンの安否を恐れているのだとわかる。
どこまでも自分のことを考えてくれるガリウスにシャリオンは力が抜けた。
「いいよ」
「・・・」
「子供達には屋敷にいるならたまには会えるんだよね・・・?
領民の事はちゃんと考えてね。
税収は僕よりガリィのが得意そうだから大丈夫か。
あと、父上と父様にもちゃんと心配かけないように説得してね」
素直に応諾するとは思っていなかったのだろう。
驚いていたガリウスだったが、最後の一言に苦笑を浮かべた。
すると、咳き込むエリックは大変な事態は免れたようで、ミクラーシュがそれを介抱している。
ホッとしていると、それを見ていたシャリオンの視線をガリウスに戻される。
「レオン様とシャーリー様を説得するなんて無理ですよ」
「そう?ガリィなら容易いと思うよ。
聞いてると考えが変わってることなんてよくある」
「そんな説得が上手いなら貴方にしています。
今だってすぐさまハイシアに帰りたいです」
「それもそうか。・・・良いかな?」
「駄目だと言っても聞かないでしょう?」
「そうだね。ありがとう。ガリィ」
困ったように微笑みを浮かべるガリウス。
シャリオンはエリックへと視線を向ける。
「初めまして・・・ではないのかな?
以前会ってるのかな」
その言葉にジロリと睨まれたが、その視線はすぐにそらされた。
シャリオンには見えてないが、視線で人でも殺せるのではないかと思うほどの睨視をガリウスに送られたからである。
魔力で威圧し完膚なきまで押さえつけたいところだが、シャリオンの手前それはしない。
「貴方の言う通り、僕一人では何も出来ないよ」
「・・・ッ」
「父上や父様のお陰で領主も次期公爵という立場にもなれてる。
それにガリウスや・・・その他にたくさんの人に助けられている。領民にもね」
貴族としてやるべきことはやっている。
だが、もっと器用に効率良く出来たらと思うことは多々ある。
「僕は貴方に何をしたんだろう」
「っ」
憶測はいくらでもできる。
けれどそれで動くのは危険である。
そう尋ねるとエリックは支えていたミクラーシュを突き飛ばしてシャリオンの前まで歩み寄ってきた。
「っ・・・ガリウスを返せ!」
「私は貴方のものになったことなど一瞬たりともありませんが」
「っ・・・どうして!
私とお前はこんなにもよく似ているのにっ・・・どうしてこんなに一人で何もできないやつが良いんだ!」
そう言うとまた日陰になったのだろうか。
あたりが寒くなった。
すると、ガリウスの声が低くなる。
「確かに。・・・貴方と似ている部分はあります」
「が・・・りぃ?」
「ですが、だから何だというのですか」
「っ」
「それに貴方が思っているシャリオンの認識と私のものは違いますね。
出来れば貴方が言うようにシャリオンには何もできなかった方が都合がよかった」
「え」
ガリウスには「何もできない奴」とは思われていないようだが、それもどうなのだろうか。
「そしたら私が全て行い、私に頼らざる負えなくなるでしょう?」
「・・・、・・・、・・・えっと、それはいいことに聞こえないんだけど」
「先ほど言ったように屋敷に閉じ込めて、そして私を待つだけの生活に出来たらどれだけ安心が出来るか」
「・・・、・・・、」
久しぶりにガリウスの重い愛情を聞いて、シャリオンは困惑する。
ガリウスは止まらない。
「ですが、シャリオンはそうではありません。
大丈夫。・・今の貴方もちゃんと愛しています」
「えっと、・・・うん」
視線が痛い。愛憎を向け激怒をしている人間の前で良くそんなことができる。
エリックにちらりと視線を向ければ・・・やはり憤っているのが分かる。
「ところで何故私なのでしょうか」
「それはっ・・・同じ子爵で同じ歳でそれで・・・」
「そんなのいくらでもいるでしょう」
「っ」
「シャリオンと結ばれず、家の為に結婚せざる負えなかったとしても貴方だけはないです」
「!」
「政略の為結婚するならば同格の者を選ぶわけがない。
貴方の家はそれほど潤沢に資金が回っていなかった。故に今はもうないでしょう」
現在ないのはガリウスの警告を聞かず止まらなかった、エリックの所為である。
「っ・・・それはっ」
「それに。私は貴方が嫌いです」
「!!」
言い濁しもせずはっきりと言ったガリウスにシャリオンは驚いた。
シャリオンを愛していたから、エリックを選ばなかったのではなくそういう理由なら仕方がないのかもしれない。
長く続いた未練を、その一言で終わらせるには少々心無い気もする。
ショックを受け動けなくなっているエリックの隣で、うつむいたミクラーシュが呟いた。
「・・・を・・・けるな」
「先に傷つけたのは彼ですが」
「っ・・・お前がいつまでもはっきりしないからリックはこんなになったんじゃないか!!」
「アレで気づかない方が頭がおかしいと思います」
「っ・・・!き、さまっ」
激高したミクラーシュはガリウスに切りかかろうとするのを、シャリオンが咄嗟に庇おうとする。
それが当たることはもちろんない。振り下ろされた剣はガリウスの結界によって砕かれた。
「ぐっ」
結界に当たり破壊されるほどの力が手にかかったわけで、ミクラーシュは両手に走る痛みに言葉を飲んだ。
騎士であった彼は痛みを堪えているが、想像以上の負荷だ。
「シャリオン・・・こういうとき前に出ては駄目です」
「だってガリィが!」
「シャリオンが怪我をしたら、私も子供達も悲しいです。
それにセレスのタリスマンを身に着けている間は大丈夫です」
「っ・・・」
「そうでした。先ほどタリスマンを無効化した魔法道具を出して下さい。
トカゲから貰っているでしょう」
そう言うと思い出したようにミクラーシュに視線を向ける。
「トカゲ・・・?」
「キュリアスのトカゲですよ」
「・・・、」
名前を呼びたくないらしいガリウス。
余程嫌いになったようだ。
シャリオンもできればもう会いたくあないが、これからハイシアに頻繁に来るであろうヴィスタ。
面倒なことになりそうだが、今はミクラーシュみ視線を向ける。
「ヴィスタからそういう魔法道具を渡されたの?」
「ッ・・・ヴィ・・、スタとは?」
片膝を地面についたままのミクラーシュにようやく異変に気付いた。
「ど・・・どうしたの?」
「・・・っ・・・なんでもない」
「来るなっ!!」
近寄ろうとしたシャリオンに牙をむいたのはエリックだ。
ショックを受けていたが、近づいたシャリオンを拒否をする。
「ヴィスタなんて知らない!!」
「え?」
「それよりもミクに何をしたんだ!」
「そんな男のことなどどうでも良いのです。私にそっくりな男に渡されたものですよ」
「!!・・・そんな・・・名前だったのか」
そのエリックのつぶやきにシャリオンは驚いた。
名前を教えてなかったとは思わなかった。
しかし、悔しそうに顔を歪めた後、エリックはガリウスを睨んだ。
「あれは私が貰ったものだ!
欲しければこんな男と離縁して私と結婚して」
ここまで嫌悪を示された相手によくそんなことが言える。
それ程までにエリックはガリウスを手に入れたいのだ。
相手の気持ちを考えてしまうシャリオンには考えられないことだが、ガリウスには面倒だがよくわかる。
手に入るなら手段を択ばない。
そういうところは確かによく似ていて、自分で嫌いなところである。
シャリオンを手に入れるためになんでもする。
だが、それは同時にシャリオンには絶対に隠しておきたい自身だ。
どんなに汚いことに手を染めようとも、それ自体に抵抗はないがシャリオンに知られるのだけは回避する。
「それが答えですか。残念です」
「・・・っ」
その目の冷たさにエリックとミクラーシュだけはどんな結果になるのか未来が見えた。
まるでガリウスの暗躍を止めるかのようにあたりに強風が吹き荒れた。
木々で生い茂っていたが風で退かれるとあたりが明るくなる。
ミクラーシュとエリックは突如現れたドラゴンに息を飲んだ。
エリックはドラゴン型を見るのは初めてのようだ。
ドラゴン型で話せる人間は数が少ないらしいから当然だ。
ヴィスタはシャリオンの前に降り立つと人型になり、ようやく2人もわかったようだ。
「ヴィ・・・ヴィスタ。どうしたの」
「忘れ物をした」
そういうヴィスタにガリウスはすぐさまシャリオンを引き寄せた。
ヴィスタはガリウスの結界がうまく効かないのだ。
「今度からハイシア宛に送ってくだされば結構ですよ」
「お前たちにじゃない」
厳しい態度のガリウスにヴィスタはため息を吐くとくるりと振り向き、エリックの前に立った。
「っ・・・な、なに。
また、『愛』が欲しくなったの?
勝手に消えて戻ってきて、随分かってなんじゃない?」
そう言いながらもエリックはどこか嬉しそうだ。
ヴィスタは無表情のなまま、エリックの額に人差し指でツンと小突いた。
その途端。
エリックは後ろにふらつき、それを助けようとしたミクラーシュも一緒に倒れこんだ。
肌寒かったあたりが暖かくなった。
背後から抱き込まれて口元を抑えられたが、不安はない。
それは当然だった。
「帰りましょう」
「んー?(離して?)」
視線でお願いをするように見上げるが、ガリウスは首を横に振った。
「わざわざ名前を呼んでやる必要はありません。
貴方が穢れる」
名前を呼ぶだけでそんなことがあるわけがなく、何を言ってるんだとシャリオンは呆れた。
まさかそんな事にも嫉妬しているというのだろうか。
いや、そのまさかかもしれない。
離してくれないので思考共有で話しかける。
『そんな事より、もしかしたらミクラーシュ、また洗脳を掛けられたかも知れない』
もしこの男が想像通りの男、ミクラーシュの友人であるならば、名は確か『エリック』。
ミクラーシュはその友人に洗脳を掛けられたと見ているが、その洗脳はヴィスタが掛けたもの。
そして、この男はガリウスを・・・恋人だと思っている。
シャリオンはガリウスに振り返り見上げれば、口元に添えられていた手は解けた。
代わりにシャリオンが何をしでかすか想像できているのか苦い表情を浮かべている。
「・・・、ガリィ」
「こんな男にまで貴方の慈悲をかけてやる必要はありません」
「僕は何もしないよ」
ガリウスに未練があるからと言ってシャリオンができることはない。
譲れるわけもないからだ。
ミクラーシュの友人エリックはガリウスが現れた途端、シャリオンに向けられていた睨視が解かれ熱心線をガリウスに向けられている。
当事者ではないシャリオンが口を出すべきではない。
ただシャリオンの友人となったミクラーシュの事は別だ。
短い期間ではあるが友人にそんな事をするなんて信じられない。
けれどそれはシャリオンの価値観。
「ミクラーシュ」
「・・・なんだ」
普段よりも低い声とその態度は以前ハイシアに乗り込んできたときの様子を思い出させる。
「言っていることが信じられるかそうじゃないかではなくて、・・・僕はガリィから離れられない」
「っ」
「ミクラーシュの言っていることが事実だとしてもそれは変わらない。
それに都合が悪いからって逃げるのは違うでしょう?」
「っ」
「間違った事をしたなら、話し合って直していけば良い。
僕達はそうやってきた。これからも」
互いを思いあっているが、間違った選択をしたこともある。
だが、それは2人で乗り越えてきたつもりだ。
シャリオンは少なくともそう思っているし、ガリウスもそうであってほしい。
ミクラーシュは驚いた様にしながらも視線を下した。
「っ・・・何故、そうなんだ」
「聞き分けは悪い方だと思うよ。ごめんね」
「・・・シャリオンが聞き分けが悪いならこの世界の人間はみんなそうだ。俺だって」
そう言いながらも、間違ったことをしているとは思えない。
シャリオンが無理をするとガリウスやゾルに負担が掛かるが、でもシャリオンが動きやすいようにしてくれている。
そうしてしまっても、言われていること許容は出来なかった。
今はどうやって連れもどそうか、どう説得したらいいか考えていた。
そんな時だった。
「本っ当・・・嫌なやつ」
地の這うような声。
こんな憎悪向けられたのは初めてだ。
向けてきたのはミクラーシュではなく、・・・エリックだ。
「お前のそういう良い子ちゃんぶったところ、本当に気持ち悪い」
「・・・、」
なんて言い返して良いかわからない。
そもそもまだちゃんと認識できていない相手だ。
想定通りの人間だったとしてもシャリオンはこの男と会話するのは初めてだ。
「自分は何も悪いことしていないみたいな感じで、そうやって私から何かも奪っていくッ」
それは、ガリウスのことを言っているのだろう。
シャリオンと婚約を結んだときはすでにエリックの家は没落していた。
しかし、その事実をシャリオンは知らず、まさか婚約のときに2人は恋人関係にあったのだろうか?と、不安になる。
ガリウスは自分のことをシャリオンがガリウスを知るよりも前から知っており、そして好きでいてくれたと聞いて居るが、相手は貴族同士。
まさかガリウスがなんとも思っていなくとも、エリックの方には好意があり、婚約予定でもあったのだろうか?
しかし、・・・先にもあったようにエリックの記憶がない。
婚約前後に貴族をやっている相手なら、いくら何でも覚えているはずなのだが。
隣にいるガリウスに聞けば早いのだろうが、簡単に言えばシャリオンは他人からの罵詈雑言に少々混乱していた。
こんな時どうしたらいいか良くわからない。
「貧弱で力も魔力もなくて、頭がいいわけでもない。
あるのは、家の力の顔だけじゃないか!
お前なんか公爵家に産まれなかったら男娼くらいしか生きる道がないね!!・・・ふぐぅっ」
エリックが言っている言葉は正しい。
謹慎していた時もシャリオンは足を引っ張っていた自覚がある。
けれど、言われた言葉は胸を刺す。
『男娼しかない』と言うがそんな技術だっていつまでたってもガリウスに慣れない自分は、男娼だって出来ない気がする。
そんなときだった。
自分の首を必死に抑えて苦しがるエリック。
「!」
どうしたのか尋ねようとしたシャリオンの肩を強くつかむガリウス。
何故止めるのか視線で訴えると不自然な笑みを浮かべたガリウス。
「静かになりましたね。
帰りましょう。子供達も待っていますよ」
「えっな、・・・え?」
強行手段を取ろうとするガリウスのその手には転移の魔法石が握られている。
「リックーっ!ッ・・・貴様っ」
苦しむエリックにミクラーシュは焦りながら、ガリウスに腰に携えていた剣を抜き取り向けた。
『リック』とは愛称だろうか。
洗脳の話を聞いたときは、それほど仲の良い友人には聞こえなかったのだが、・・・そうではないようだ。
「み、ミクラーシュ!待って!・・・ガリィ!!」
ガリウスがこんな手荒な事をするとは思えなかったが、ミクラーシュはガリウスだと目を付けているようだ。
2人のことに口を出す気はないが、こんな状態のまま返されるのは納得がいかない。
シャリオンは慌ててガリウスの手から転移の魔法石を取り上げる。
「彼を助けてっ」
必死な懇願にもガリウスは表情を変えない。
助けたくないという表れのようだった。
「この世界にはわかり合えない人間もいるのですよ」
それは何度か聞いた言葉だ。
けれど、シャリオンが言う言葉も決まっている。
「だからって見捨てられないでしょう?!」
「言ったはずです。私は貴方以外どうでも良いのです」
「!っ・・・」
エリックはガリウスの逆鱗に触れてしまったようだ。
シャリオンのことを貶めるような言い方に最愛の伴侶が許容できるわけがない。
シャリオンが逆の立場でも激怒していると思う。
どう止めようか言葉を選んでいるシャリオンにガリウスはつづけた。
「彼は貴族の頃を含め、私に3度敵意を向けてきました」
エリックはガリウスへの好意を『敵意』と言われたことにショックを受ける。
「それは・・・」
「勿論警告もしました。
シャリオン。良く聞いてください。
次は子供達に向かうかも知れません」
「・・・!」
ガリウスはシャリオンが気にするものを良くわかっている。
顔が同じだという事でヴィスタに寄っていったエリックが、子供達に目を付けないわけがない。
シャリオンもそれに気が付いたのかその言葉に息を飲む。
「私はそんな危険な芽を取っておきたくありません」
暗に『シャリオンもそうですね?』と含ませられた。
言いたい事は分かる。分かるが。
ちらりとエリックの方を見れば、苦しみもがきその視線はガリウスを見ている。
「・・・!子供達にはガリウスもゾル達もいるっ
今まで僕が危険な目にあっても助けてくれてるじゃないか!」
混乱しすぎて説得力のない事を言ってしまった。
危険な目に遭う回数が多いことなど、安心できる要素ではない。
今日大丈夫たがら明日も大丈夫だ!なんて、そこまで楽観的ではないが、大丈夫なようにするしかないのだ。
すると、ガリウスも少々腹がたったのか、目を細めた。
「では、次期宰相を辞退するので、私を領主にしてくれますか」
「え?」
「公爵も私に譲って下さい」
「どう・・・して?」
「貴方を屋敷から出しません。
・・・そうして下さるのならば、この男を生かしても良いですよ」
シャリオンは息を飲んだ。
もう分かっているが、これは地位が欲しい訳ではない。
ガリウスは良くシャリオンを監禁したがる。
それは特に危険な目にあった時だ。
つまり、子供達はフェイクでガリウスはシャリオンの安否を恐れているのだとわかる。
どこまでも自分のことを考えてくれるガリウスにシャリオンは力が抜けた。
「いいよ」
「・・・」
「子供達には屋敷にいるならたまには会えるんだよね・・・?
領民の事はちゃんと考えてね。
税収は僕よりガリィのが得意そうだから大丈夫か。
あと、父上と父様にもちゃんと心配かけないように説得してね」
素直に応諾するとは思っていなかったのだろう。
驚いていたガリウスだったが、最後の一言に苦笑を浮かべた。
すると、咳き込むエリックは大変な事態は免れたようで、ミクラーシュがそれを介抱している。
ホッとしていると、それを見ていたシャリオンの視線をガリウスに戻される。
「レオン様とシャーリー様を説得するなんて無理ですよ」
「そう?ガリィなら容易いと思うよ。
聞いてると考えが変わってることなんてよくある」
「そんな説得が上手いなら貴方にしています。
今だってすぐさまハイシアに帰りたいです」
「それもそうか。・・・良いかな?」
「駄目だと言っても聞かないでしょう?」
「そうだね。ありがとう。ガリィ」
困ったように微笑みを浮かべるガリウス。
シャリオンはエリックへと視線を向ける。
「初めまして・・・ではないのかな?
以前会ってるのかな」
その言葉にジロリと睨まれたが、その視線はすぐにそらされた。
シャリオンには見えてないが、視線で人でも殺せるのではないかと思うほどの睨視をガリウスに送られたからである。
魔力で威圧し完膚なきまで押さえつけたいところだが、シャリオンの手前それはしない。
「貴方の言う通り、僕一人では何も出来ないよ」
「・・・ッ」
「父上や父様のお陰で領主も次期公爵という立場にもなれてる。
それにガリウスや・・・その他にたくさんの人に助けられている。領民にもね」
貴族としてやるべきことはやっている。
だが、もっと器用に効率良く出来たらと思うことは多々ある。
「僕は貴方に何をしたんだろう」
「っ」
憶測はいくらでもできる。
けれどそれで動くのは危険である。
そう尋ねるとエリックは支えていたミクラーシュを突き飛ばしてシャリオンの前まで歩み寄ってきた。
「っ・・・ガリウスを返せ!」
「私は貴方のものになったことなど一瞬たりともありませんが」
「っ・・・どうして!
私とお前はこんなにもよく似ているのにっ・・・どうしてこんなに一人で何もできないやつが良いんだ!」
そう言うとまた日陰になったのだろうか。
あたりが寒くなった。
すると、ガリウスの声が低くなる。
「確かに。・・・貴方と似ている部分はあります」
「が・・・りぃ?」
「ですが、だから何だというのですか」
「っ」
「それに貴方が思っているシャリオンの認識と私のものは違いますね。
出来れば貴方が言うようにシャリオンには何もできなかった方が都合がよかった」
「え」
ガリウスには「何もできない奴」とは思われていないようだが、それもどうなのだろうか。
「そしたら私が全て行い、私に頼らざる負えなくなるでしょう?」
「・・・、・・・、・・・えっと、それはいいことに聞こえないんだけど」
「先ほど言ったように屋敷に閉じ込めて、そして私を待つだけの生活に出来たらどれだけ安心が出来るか」
「・・・、・・・、」
久しぶりにガリウスの重い愛情を聞いて、シャリオンは困惑する。
ガリウスは止まらない。
「ですが、シャリオンはそうではありません。
大丈夫。・・今の貴方もちゃんと愛しています」
「えっと、・・・うん」
視線が痛い。愛憎を向け激怒をしている人間の前で良くそんなことができる。
エリックにちらりと視線を向ければ・・・やはり憤っているのが分かる。
「ところで何故私なのでしょうか」
「それはっ・・・同じ子爵で同じ歳でそれで・・・」
「そんなのいくらでもいるでしょう」
「っ」
「シャリオンと結ばれず、家の為に結婚せざる負えなかったとしても貴方だけはないです」
「!」
「政略の為結婚するならば同格の者を選ぶわけがない。
貴方の家はそれほど潤沢に資金が回っていなかった。故に今はもうないでしょう」
現在ないのはガリウスの警告を聞かず止まらなかった、エリックの所為である。
「っ・・・それはっ」
「それに。私は貴方が嫌いです」
「!!」
言い濁しもせずはっきりと言ったガリウスにシャリオンは驚いた。
シャリオンを愛していたから、エリックを選ばなかったのではなくそういう理由なら仕方がないのかもしれない。
長く続いた未練を、その一言で終わらせるには少々心無い気もする。
ショックを受け動けなくなっているエリックの隣で、うつむいたミクラーシュが呟いた。
「・・・を・・・けるな」
「先に傷つけたのは彼ですが」
「っ・・・お前がいつまでもはっきりしないからリックはこんなになったんじゃないか!!」
「アレで気づかない方が頭がおかしいと思います」
「っ・・・!き、さまっ」
激高したミクラーシュはガリウスに切りかかろうとするのを、シャリオンが咄嗟に庇おうとする。
それが当たることはもちろんない。振り下ろされた剣はガリウスの結界によって砕かれた。
「ぐっ」
結界に当たり破壊されるほどの力が手にかかったわけで、ミクラーシュは両手に走る痛みに言葉を飲んだ。
騎士であった彼は痛みを堪えているが、想像以上の負荷だ。
「シャリオン・・・こういうとき前に出ては駄目です」
「だってガリィが!」
「シャリオンが怪我をしたら、私も子供達も悲しいです。
それにセレスのタリスマンを身に着けている間は大丈夫です」
「っ・・・」
「そうでした。先ほどタリスマンを無効化した魔法道具を出して下さい。
トカゲから貰っているでしょう」
そう言うと思い出したようにミクラーシュに視線を向ける。
「トカゲ・・・?」
「キュリアスのトカゲですよ」
「・・・、」
名前を呼びたくないらしいガリウス。
余程嫌いになったようだ。
シャリオンもできればもう会いたくあないが、これからハイシアに頻繁に来るであろうヴィスタ。
面倒なことになりそうだが、今はミクラーシュみ視線を向ける。
「ヴィスタからそういう魔法道具を渡されたの?」
「ッ・・・ヴィ・・、スタとは?」
片膝を地面についたままのミクラーシュにようやく異変に気付いた。
「ど・・・どうしたの?」
「・・・っ・・・なんでもない」
「来るなっ!!」
近寄ろうとしたシャリオンに牙をむいたのはエリックだ。
ショックを受けていたが、近づいたシャリオンを拒否をする。
「ヴィスタなんて知らない!!」
「え?」
「それよりもミクに何をしたんだ!」
「そんな男のことなどどうでも良いのです。私にそっくりな男に渡されたものですよ」
「!!・・・そんな・・・名前だったのか」
そのエリックのつぶやきにシャリオンは驚いた。
名前を教えてなかったとは思わなかった。
しかし、悔しそうに顔を歪めた後、エリックはガリウスを睨んだ。
「あれは私が貰ったものだ!
欲しければこんな男と離縁して私と結婚して」
ここまで嫌悪を示された相手によくそんなことが言える。
それ程までにエリックはガリウスを手に入れたいのだ。
相手の気持ちを考えてしまうシャリオンには考えられないことだが、ガリウスには面倒だがよくわかる。
手に入るなら手段を択ばない。
そういうところは確かによく似ていて、自分で嫌いなところである。
シャリオンを手に入れるためになんでもする。
だが、それは同時にシャリオンには絶対に隠しておきたい自身だ。
どんなに汚いことに手を染めようとも、それ自体に抵抗はないがシャリオンに知られるのだけは回避する。
「それが答えですか。残念です」
「・・・っ」
その目の冷たさにエリックとミクラーシュだけはどんな結果になるのか未来が見えた。
まるでガリウスの暗躍を止めるかのようにあたりに強風が吹き荒れた。
木々で生い茂っていたが風で退かれるとあたりが明るくなる。
ミクラーシュとエリックは突如現れたドラゴンに息を飲んだ。
エリックはドラゴン型を見るのは初めてのようだ。
ドラゴン型で話せる人間は数が少ないらしいから当然だ。
ヴィスタはシャリオンの前に降り立つと人型になり、ようやく2人もわかったようだ。
「ヴィ・・・ヴィスタ。どうしたの」
「忘れ物をした」
そういうヴィスタにガリウスはすぐさまシャリオンを引き寄せた。
ヴィスタはガリウスの結界がうまく効かないのだ。
「今度からハイシア宛に送ってくだされば結構ですよ」
「お前たちにじゃない」
厳しい態度のガリウスにヴィスタはため息を吐くとくるりと振り向き、エリックの前に立った。
「っ・・・な、なに。
また、『愛』が欲しくなったの?
勝手に消えて戻ってきて、随分かってなんじゃない?」
そう言いながらもエリックはどこか嬉しそうだ。
ヴィスタは無表情のなまま、エリックの額に人差し指でツンと小突いた。
その途端。
エリックは後ろにふらつき、それを助けようとしたミクラーシュも一緒に倒れこんだ。
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