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執着旦那と愛の子作り&子育て編

びっくりしたー。

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あれから2週間が過ぎた。

シャリオンはデスクに向かい、ガリウスにいつ言い出そうか悩む。

早く知らせた方が良いんだろうけど、・・・違かったらな

そう思うと中々言い出せなくて小さくため息をついた。
悩みは別に後ろめたいことではない。
領地のことも先日相談を受けた件も順調だ。
アベルやゾイドス家に至っては、政治的な要素が含まれるとのことでガリウスが任せて欲しいというので任せてしまっている。

それなのに、悩んでいるというのは、シャリオンの体調についてだった。
ここ、最近少し体がだるい。
まるで、蛇口から少しずつ流れる水の様に、魔力を吸い取られている気がする。
そのせいで眠くなったり、頭痛がしたりしているのだが、休むほどでもない。
もやもやとするのは何故なのだろうか。
そんなことを思っていると、部屋に入ってきて早々にゾルは眉を顰めた。
そして、額に手を置かれると、小さくため息をつかれたかと思うと、急に抱き上げられる。

「なっ・・・なに!?」
「熱があるのに仕事をするな」
「え?」
「今医者を呼ぶ」
「いや・・・そこまでしなくても」

大げさなゾルにそう言ったのだが、それは却下される。
というか、犬猫の様にひょいひょい抱き上げるのはやめてもらいたいのだが・・・。
そう言って下ろしてもらったのは結局寝室のベッドの上だった。

「それは、あの男に話した上で決めてくれ。
俺の主人はシャリオンだが、あの男も含まれる」

そんなことを言うゾルは『着替えて楽にしていろ』と言って出て行ってしまった。

「うちの人間てなんでこうも過保護なんだろう・・・」

なんて呆れながらも、シャリオンは服を着替え始める。
大人しく従って医者に診てもらえば、ゾルも安心するだろうと思ったからだ。

暫くして・・・というか着替え終わったころに部屋に入ってきたガリウスに呆然としてみる。
まぁ十中八九ゾルが言ったことで心配してやってきたのだろう。

「ゾル。医者は必要ありません」

シャリオンの顔を見るなりそう言うガリウス。
そんなことだろうと思ったのだ。

「だよね?ゾルが大げさなんだよ」

ガリウスはそれに苦笑を浮かべる。
ゾルは眉を顰めたが、ガリウスの方に視線を戻す。

ではないということか」
「あぁ。専門医を」

ガリウスと2人きりの時は、大抵この口調なのだそうだが、シャリオンがいる時は敬語で話しているのに、
口調が崩れている。

「大丈夫ですよ、シャリオン。心配しなくても平気です」

そう言ってくれるガリウスの方が心配をしている。
ゾルもどことなく焦っているように見えた。

2人のその態度にシャリオンは困惑してしていると、ガリウスは安心させるようにシャリオンの手を握ってくれる。

「・・・大げさだよ、2人とも」
「シャリオンは楽観的過ぎる」

ゾルはそう言うとガリウスの方に目配せすると、そのまま出て行ってしまった。
2人きりになるとガリウスを見上げる。

「・・・、その・・・子供を授かっただけじゃないのか」
「・・・、」

そう言うガリウスがこちらを見て止まられると、そうでは無くて別の悪い病気なのかと感じてしまう。
ヒヤリと背筋に冷たいものが走った瞬間だった。

「気付いていたのですか・・・?」
「・・・なんとなく・・・?」
「・・・」
「えっと・・・、確証持てなかったから、・・・おなか大きくなってからでもいいかなって?」

その言葉にガリウスが珍しくわかりやすく驚いた。
そして、しばらくするとクスクスと笑い出した。

「なるほど。えぇ。わかりました」
「・・・ガリウス・・・?」
「次からもっと注視しておきます」

そういうとにっこりと浮かべる笑みになんだか怒気が含まれているように見えて、思わずたじろぐ。
すいっと視線を逸らした。

「あー・・・祭典までに落ち着けばいいな」
「・・・。出るおつもりで?」
「え?うん。だって僕後継ぎだし」

なんてそれらしいことを言うが実のとことはガリウスを1人で、そういうところに行かせたくないのだ。
そういうと、ガリウスはベッドの淵に掛けると頬を撫でた。

「・・・どうしてもですか?」
「え?」
「初期段階は安定しないと聞きます。子供もですが、・・・シャリオンが心配です」
「ガリウス・・・」
「貴方は無意識に無理をしますから」
「そんなこと、・・・ある?」

納得してはいないが、ガリウスがそういうならそうなのだろうか。
訝し気にしながらそう答えれば、クスリと笑みを浮かべた。
愛おしそうに額に口づけられた。

「あります。貴方だけの体ではないのですから大切に。・・・レオン様がなさるくらいに過保護にしてください」

そう言われてるとおかしくて笑ってしまった。
シャリオンも常々思っているが、やはりレオンが過保護と言うのは誰から見てもそうみえるようだ。
ガリウスがここに来たというなら、レオンもそろそろ来そうだ。
なんて思っていると勢いよく開かれた扉の向こうには噂をしたレオンがたっていた。

「過保護ではない!!」
「っ・・・びっくりした」
「!・・・すまない、大丈夫か?シャリオン」

こちらは息を切らしており、どうやら走ってきたのが分かる。
と言う事はやはり、ガリウスは魔法石を使ったのだろうか?
レオンの問いかけにシャリオンは苦笑を浮かべた。

「大丈夫です。皆して大げさですよ。病気じゃないのですから、今のうちに動いておかないと」
「それで無茶をして、」

声を荒げるレオンに体がびくつくと、ガリウスがシャリオンの肩を抱き寄せた。
覗き込んで来たアメジストが優しくきらめいていて、慰めてくれている様だった。
レオンがそうしたのは心配してくれたのは分かっているが、急な荒い声には体が過剰に反応してしまうようだ。
シャリオンが思っている以上に、体は敏感になっている。

「レオン様。それ以上は私が説明しますので。・・・レオン様をサロンへお連れしろ」
「はい。かしこまりました」
「!ガリウスッ貴様ッ」
「今のシャリオンの前であまり怒鳴らないで下さい。子供に悪影響があったらどうするのです」
「っ」

そういうとレオンは押し黙る。
それでも視線では納得いってないようで、ガリウスを睨んでいた。

「父上。お医者様に見てもらった後で伺いますので、サロンで・・・いえ。お忙しいと思うので執務が終わったら」
「!いや。大丈夫だ。皆がいるし急ぎの件は連絡が来る」

そもそも、2TOPがここに居て良いのだろうか。
シャリオンは気にせず戻る様に言うが、2人とも戻る気は無いようだ。

「私はサロンで待っているが、無理をするんじゃないぞ?」

シャリオンの言葉にレオンはころりと笑みを浮かべると、サロンに向かっていく。
医者に診てもらうのに、何を無理することがあるのだろうか。

「父上は僕をガラス細工か何かだと思っているのかな」
「それ以上に壊れやすいと思っていると思いますよ」

呆れたようにつぶやくシャリオンに、ガリウスはクスクスと笑いながらそう答えた。

「そんな儚いものじゃない」
「ですが、レオン様の言いたいこともわかりますよ。
先ほど言った通り、気を付けてくださいね」
「うん」
「すでに知ってはいると思いますが、我々は核を使うことで子供を授かることができます。
しかし、男女よりも確立が低いこと以外に、体に負担がかかっているのを忘れないで下さいね」
「わかった」
「なので祭典は別室でお待ちいただけますか?」

今の流れで『諦めてくれ』と、言われると思っていた。
しかし、そんな言葉にシャリオンは顔を上げる。

「!・・・行っても、いいの?」
「えぇ。殿下たちにお祝いを言いたいのでしょう?」

そうだ。言われてみればそうだった。
自分の感情が先走っていたのが恥ずかしく頬が熱くなった。

「あー・・・うん」
「・・・」

その様子にガリウスは理由が違うことに気付いたのか、こちらをじっと見てくる。

「大した事じゃ、ないんだ」
「では教えていただけますか?」
「っ・・・」

言いごまかしたら面倒になりそうなのだけは分かる。

「・・・笑わない?」
「はい」
「本当に、つまらないことなんだけど」
「シャリオンのことでつまらないことなど、何一つありません」

それはいかにせ盲目すぎる。
思わず苦笑を浮かべたが、これ以上やきもきさせても仕方がないので、シャリオンは火照った体を冷ますように、手でパタパタと仰いだ。

「はぁ・・・熱い。
その・・・式典とかだと、ガリウスも正装するでしょう?それを他の誰かに見せるの嫌だなって」
「・・・」
「でも、相手シャリオンが居たら、そんな変な気は起こさないかなって思っただけ。
海外のおk」
「出ましょうか」

シャリオンの『お客様も来る』という、言葉を遮ってガリウスは答えた。

「え?」
「その様に手配します。個室を設けましょう。ただし絶対に無理しては駄目ですよ」

何故急に出て良いと言ったのか分からないが、シャリオンは嬉しそうに頷いた。

「うん!」
「子供が出来たことは安定するまでは黙っておきましょうか」
「そうだね」

そう言いあうとフフっと笑いあった。
まだ平たい状態のおなかあたりをふとみると、そっと撫でた。
ガリウスがその手の上に重ねると、魔力がじんわりと温かくなっていく。
すると、不思議と先ほど感じていた気怠さが薄れていく。
どうやら魔力が流れているような感覚は、子供に流れているからのようだ。

「魔力補充が必要ですね」
「そっか・・・。日中なくなったとき様に、売っているもの買っておくと良いって父様にきいたんだった」

子供が宿ると大量の魔力が必要になる。
それを補うために、魔力だけを込めた魔法石が売られており、それを代用するとシャーリーから教えてもらっている。
シャーリーもシャリオンが出来た時に、その魔法石を持ち魔力切れを防いでいたそうだ。
魔力が切れてしまうと、子供もシャリオンも危なくなるからそれは必須である。
しかし、ガリウスの笑顔がピタリと止まる。

「それは良くないですね」
「え?」
「売られているものは粗悪なものも含まれるのです。なので私の魔力をシャリオンに移します」
「でも」
「大丈夫です。これだけ城から近い距離なのですから容易いですよ。
それにやはり、私の魔力の方が安定しますので」
「だけど」
「それとも市販品の魔力の方がいいと?」
「そんなことはないけど。・・・忙しいじゃないか」
「レオン様の下にいるのですよ?こういうときは有効活用するべきです」

そう言ったガリウスの笑みは少し黒く見えた。

「さぁ。お医者様が見える前に、魔力が切れてしまわないよう、たくさんキスをしましょうか?」
「っ・・・うん」

魔力を体に流されるだけでも魔力は得られるが、やはり体液を交わした方が効率も効果も良い。
昼間からそんなキスをするなんて恥ずかしくも感じたが、そのぬくもりは心地よく夢中になる。
シャリオンは無意識に求めるようにガリウスに強請っていた。

┬┬┬
魔法世界の男性妊娠でありがちな、魔力補充大好きです♥
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