ぬくもりのキャンディー

2

もう大丈夫。

　男の子はまだ、おおつぶの涙なみだをぽろぽろぽろぽろこぼしていました。
　春の妖精ようせいはとなえました。


「もう、だいじょうぶよ」


　そっと春の妖精ようせいが男の子の涙なみだをぬぐいました。
　まあ、どうしたことでしょう。
　ぽろぽろとこぼれた涙なみだが、くるんと小さなまるいかたまりに変かわっていきます。
　夏の魔女まじょはとなえました。


「よくがんばったニャ」


　まあ、どうしたことでしょう。
　くるんと小さなまるいかたまりになった涙なみだがひかりきらめきだしました。
　秋の妖精ようせいはとなえました。


「泣なくことは、はずかしいことではないピ」


　まあ、どうしたことでしょう。
　ひかりきらめいている涙なみだが色いろとりどりのつつみがみにくるまれていきます。
　冬の魔法まほうつかいはとなえました。


「しんじてカリコリ。あまえてカリコリ。たよってキュッキュ。おくれっキュッ！」


　まあ、どうしたことでしょう。
　色いろとりどりのつつみがみにくるまれた涙なみだが、ガラスのびんのなかでかがやいています。


「わあ、すごい」
「とっても、きれい」


　男の子も、女の子も、少女も、少年もも。
　みんな、口をわーっと大きくあけて、　ぱちぱちと手をたたいてほめました。
　よにんは、いつの間にかわらっていました。
　そして、その目はキラキラとかがやいていました。