ぬくもりのキャンディー

葉月百合

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本当の気持ちと白い子犬と謎の声。

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 急に少年はうつむいてしまいました。


「ゆうすけおにいちゃんは、だいじょうぶ?」
「ゆうすけおにいちゃんは、げんき?」
「ゆうすけくん、どうしたの?」


 さんにんは心配になって、少年をのぞきこみました。


「ぼくは、もう、つかれちゃった」


 少年が声にだしてこぼしました。
 長い間ずっと、少年は本当のきもちをむねの中にしまっていました。
 

「ぼくは、泣くばしょもないんだ」


『わたしも』と、少女は言いました。


「本当は、だいじょうぶじゃないの」


 女の子も言いました。


「ゆうかちゃんも、へいきじゃない」


 男の子も言いました。


「ぼく。ひとりぼっち。やだよ」 


 男の子は、『えーん、えーん』と泣きだしてしまいました。

 そこへとつぜん、よにんのまんなかに 白いこいぬがあらわれました。
 こいぬが『ワンッ』と大きなこえでほえました。するとあたりいちめんが白いもやでおおわれていきます。

 いったいぜんたい、白いもやのなかで なにがおきているのでしょうか。
 しばらくすると、なぞのこえがきこえてきました。


「しょくんの『たすけて』が、われわれにきこえたとき!われわれは、あらわれる!」


『ワンワンッ』と、こいぬのなきごえもきこえます。そして、白いもやがゆっくり晴れていきました。



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