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 カリーナが帰り、私はホッと一息つく。
 正直彼女がいる時は疲れるのよね。
 そう考えると、なんであの子と友人なんてやっているのかしら?
 カリーナとの付き合いに疑問を感じ始める私。

 そう言えば、昔っから愚痴ばかりだったな、あの子。
 モテるのもそうだけれど、モテる裏でカリーナの声をかけてきた男の子のことをグチグチ言って、表ではいつもいい顔をして……
 いや、本当になんで友人をしているのだろう。
 まぁ一方的に向こうが家に来るというのが正しいのだけれど。
 私から向こうの家に出向いたことは一度としてない。

 しかし外面は完璧なようで、お父様もお母様もカリーナが不平不満ばかり言っているのは知らないはずだ。
 自分が可愛いことをよく理解した、最強スマイルを常に張り付けているのだから。

 ある日のこと、そんな彼女との関係に疑問を感じていた私のもとに、ある連絡が来た。
 それはカリーナの家に来てほしいという連絡だ。

「はぁ……」

 向こうが来るのは別にいいとしても、こちらから出向くのは億劫だ。
 カリーナが家に来るときは愚痴ばかりだが、呼び出しをされた時は決まって自慢話ばかり。
 次は何を聞かされるのだろう。

 数日後、断る理由も特になかったので、仕方なく彼女の家に向かうことにした。
 馬車に揺られながら流れる景色を眺める。

 私にもいつか素敵な男性が現れるのだろうか……
 景色を見つめながらふとそんなことを考える私。
 これまで一度たりともモテたことのない人生。
 いつもモテるカリーナが羨ましいと思ったこともある。
 だから彼女の愚痴を聞いていたら余計に腹立たしいのよね。
 こっちは愚痴を言うだけの相手もいないのよって。

 まぁ特別焦ってもいないのだけれど。
 
 考え事をしている間にカリーナの家に到着する。
 馬車を下り、彼女の屋敷に足を踏み入れる。

「あ、エリック様」
「やあ、エリーゼ」

 屋敷に入ると、そこにはエリック様がいた。

 少し長い金色の髪は目元を隠し、隙間から見える青い瞳は暗く重い。
 服装はきっちりしているが、自信という物を一切感じない、どこか常に怯えているような、そんな人。
 
「エリック様もいらしたのですね」
「うん……話があるからと、カリーナに呼び出されたんだ」
「エリック様もですか?」

 婚約者にも話がある……一体私はどんな自慢話を聞かされるのだ。
 そんな風に考えていた時であった。

 カリーナは大きな階段から下りて、こちらにやって来る。
 だが、階段から下りてくるのは彼女一人では無かった。
 カリーナの隣に、男性の姿もある。

 その二人の姿を見て、私とエリック様は唖然としていた。
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