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 みるみるうちに商売が上手くいくエリオ。
 私も仕事を手伝い忙しい毎日を送っていたが、彼にには以前にも増して笑顔が増えていた。

「サラが来てくれてから商売が上手くいくようになったよ! 君は幸運の女神だね」
「そう言っていただけると嬉しいですわ」

 彼はいつからか、私に対して丁寧な言葉を使わなくなっていた。
 二人の距離が縮まったような気がして、私はそれが嬉しかった。

 商売が上手くいき、お金がドンドン舞い込んでくる。
 しかしそれでも、エリオは今までと変わらない。
 困っている人は助け、金持ちだということを鼻にかけるようなこともしなかった。

「エリオ! いつもありがとうね。あんたのおかげで村が潤ってきたよ」
「俺の力だけじゃないよ。皆の力だ。サラもいてくれるしね」
「あはは。そうかも知れないね。いつもあんた、サラが幸運の女神だー、可愛いーなんて興奮して言ってるものね」
「ちょ、彼女の前でそんなこと言わないでくれよ!」

 顔を林檎のように真っ赤にするエリオ。
 そんな彼を見て、私もほんのり顔を赤くする。

「き、気にしないでね……俺たちをからかっているだけだから」
「……そうとっても良いのですか?」
「あ、いや……おおお俺は本気だけどさ! あ、いや……皆は俺をからかって楽しんでるだけだから!」

 慌てふためくエリオ。
 彼の様子に大笑いする人々。

「ははは! さっさとプロポーズしろ、エリオ!」
「お、おじいちゃん! 黙っててくれよ……」

 プロポーズ……
 エリオはそういうつもりなのかしら?
 そのワードに私は戸惑うことはなかった。
 本当にプロポーズをしてくれたら、どれぐらい嬉しいだろう。
 嬉しすぎて卒倒してしまうかもしれない。
 そう考えるぐらい、エリオのことを私は想っていた。
 ジーク様に振られて良かった。そんな風に思う自分がいる。

 商売が軌道に乗り、村が豊かになっていく。
 手に入れたお金を躊躇することなく村へ還元していくエリオ。
 いつの間にか、笑顔が溢れる村になっていた。

 だがしかし、さらに幸運なことは続いてゆく。

「す、すまない……誰か助けてくれないか?」
「どうしたのですか?」

 仕事が順調にいっていたある日のこと、怪我を負い足を引きずった男性が村へとやって来た。
 聞くところによると、近くの山で馬車が転落してしまったようだ。

 エリオは村の人を数人引き連れ、馬車が転落したという場所まで急いだ。
 運が良いことに、馬車に乗っていた人は全員命に別状がなかった。
 命に別状がなかったのはいいが、大問題が一つあり、エリオは帰ってくるなり真っ青な表情を浮かべる。

「どうしたのですか?」
「あの……助けに行ったのはいいんだけど」
「はい」
「……助けた人が国王様だった」
「……はい?」
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