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「身分を隠すことによって、平民の痛みや悩み、そして生活を知ることができました。得る物は多かったと思います」
「私と同じことをなさっていたのですね……」

 キラ様は感慨深そうに微笑を浮かべ、私にそう言った。
 彼も私と同じように、学びのために身分を隠していたようだ。
 
 キラ様と同じ……それがなんだかとても嬉しくて、誇らしかった。

「ティファ様……」
「はい?」

 キラ様は照れくさそうに私を見つめる。
 そして意を決したのか、咳払いをして、語り始めた。

「私の家なのですが……まぁそういうことでして、招待することができなかったのです。今は宿で生活をしていて」
「ああ……そういうことだったのですね」
「はい。だから……」

 彼は真剣な表情を私に向ける。
 私も真面目な顔を彼に向けた。

「だから……色んな意味で、あなたを我が家に招待したいのです」
「色んな意味……」

 それは両親に私を紹介したいということだろうか。
 そしてその考えは正しかったようだ。
 彼は少し顔を染め、緊張している様子。

 私は喜びで胸をいっぱいにし、彼に答える。

「よろしくお願いいたします。是非、私をキラ様のお宅へ招待してくださいませ」
「ティファ様……ありがとうございます!」

 キラ様は私の手を握る。
 私もまた、キラ様の手を握り返した。

 私たちは同じように身分を隠し、そして同じような価値観を持っている。
 これから同じペースで道を歩み、同じ物を見て行くのだろう。

 類は友を呼ぶ。
 そんな言葉がある。
 きっと私たちは、出逢うべくして出逢ったのだろう。
 彼の手の温もりを感じながら、私はそう考えていた。

 キラ様の笑顔に私も笑顔を返す。

 きっとこれからも、今と同じように、笑顔を向け合って生きていくのだろう。
 ずっと。
 幸せに。

 おわり
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みんなの感想(25件)

美夕
2021.07.18 美夕
ネタバレ含む
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蠣崎若狭守
2021.07.17 蠣崎若狭守
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セライア(seraia)
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