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「身分を隠すことによって、平民の痛みや悩み、そして生活を知ることができました。得る物は多かったと思います」
「私と同じことをなさっていたのですね……」
キラ様は感慨深そうに微笑を浮かべ、私にそう言った。
彼も私と同じように、学びのために身分を隠していたようだ。
キラ様と同じ……それがなんだかとても嬉しくて、誇らしかった。
「ティファ様……」
「はい?」
キラ様は照れくさそうに私を見つめる。
そして意を決したのか、咳払いをして、語り始めた。
「私の家なのですが……まぁそういうことでして、招待することができなかったのです。今は宿で生活をしていて」
「ああ……そういうことだったのですね」
「はい。だから……」
彼は真剣な表情を私に向ける。
私も真面目な顔を彼に向けた。
「だから……色んな意味で、あなたを我が家に招待したいのです」
「色んな意味……」
それは両親に私を紹介したいということだろうか。
そしてその考えは正しかったようだ。
彼は少し顔を染め、緊張している様子。
私は喜びで胸をいっぱいにし、彼に答える。
「よろしくお願いいたします。是非、私をキラ様のお宅へ招待してくださいませ」
「ティファ様……ありがとうございます!」
キラ様は私の手を握る。
私もまた、キラ様の手を握り返した。
私たちは同じように身分を隠し、そして同じような価値観を持っている。
これから同じペースで道を歩み、同じ物を見て行くのだろう。
類は友を呼ぶ。
そんな言葉がある。
きっと私たちは、出逢うべくして出逢ったのだろう。
彼の手の温もりを感じながら、私はそう考えていた。
キラ様の笑顔に私も笑顔を返す。
きっとこれからも、今と同じように、笑顔を向け合って生きていくのだろう。
ずっと。
幸せに。
おわり
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