フラ令嬢は他国に嫁ぐことになりました

 公爵令嬢である、ロズリーヌ・エルフェは恋愛を夢見ていた。
 上級貴族の間では政略結婚が未だにあるとはいえ、政略結婚が主流だったのは遠い昔のこと。
 今の主流は恋愛結婚だ。
 好きな人と恋をして、好きな人を愛して。
 好きな人と過ごし、好きな人と添い遂げる。
 いつか自分にも、自分だけの愛する王子様が現れるのだと信じていた。
 初めての恋は七歳の時。二回目の恋は十歳。三回目の恋は十五歳。
 もう、恋はしない。そう思っていたロズリーヌだが、十八歳になり封印していたはずの感情が解かれ、四回目の恋をした。
 ある日、卒業後に他国の王との縁談話が公爵家に舞い込んで来た。
 ロズリーヌが夢見た結婚とは真逆の政略結婚だ。
 父のエルフェ公爵は断ってもいいと言ってくれたが、四回目の恋が実らなければ公爵家の為にも縁談を受けることにした。
 ロズリーヌには、二つ名があった。
 学園の中や陰で呼ばれている。ロズリーヌ本人が望んでつけらたものでは無い。

『フラ令嬢』

 これがロズリーヌの二つ名だった。
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