王子の苦悩

忍野木しか

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最終章

時を超えて

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 姫宮玲華は覚悟を決めた。
 魔女の声を響かせようにも舌を過ぎるのはヒューヒューと乾いた吐息ばかり。彼女にあと出来ることはといえば、もはや当たり前となった死という日常を平然と迎え入れるのみである。
 飢餓。病気。傷害。自殺。処刑。骨と皮ばかりとなった指を舐めた。徐々に腐っていく体を眺めた。乱暴されながらナイフで胸を裂かれた。目を見開いたまま地面に落ちた。果てない拷問の末に炎に巻かれた──それらに比べれば、この程度のこと、彼女にとっては虫に刺される程度の話であった。
「こんばんは、お嬢さん」
 岸辺惣太郎は照れたように口元を引き締め、厳かに頭を下げた。拳銃は握ったままである。その先にある金髪の青年の姿など忘れてしまっているようだった。この男もまた何処か歯車が狂ってしまっているようである。
 玲華はそっと視線を下げた。長いまつ毛が凛としなる。彼女はかつての自分を思い出そうとした。志し鮮やかで気高く恐れを知らなかった頃の自分。仲間たち。揚々と語り合った者。笑い声。変わらぬ空と海。風。純心が思い描いた夢。星空。始まりの記憶。青い光。
 原点に立ち返ろうとした。
 彼女は彼女のままでありたかった。
 そう願った。
 だが、何も思い出せなかった。 
 玲華は愕然とした。
 ショックのあまり呼吸が乱れた。
 彼女の記憶はもはや焚き火に撒かれる細かな灰のようで、時折、揺らぐ炎の隙間から黒く焦げた思い出の一部を覗けたが、それもすぐに燃え霞んだ灰となって消えていった。
 赤い唇が震える。
 魔女は人の器を揺さぶる声を持っていた。当然ながらそれは人の器に生きる魔女自身にも影響を及ぼす力である。たとえ自分の声であろうとも、たとえ対象を定めていようとも、その力を行使し続ける限り、強制的に乖離させられる肉体と魂の隙間から滲み落ちる精神の流動を止めることは出来なかった。魔女の記憶は僅かずつ青い海の底に沈んでいってしまった。
 玲華は苦悩した。始まりの魔女の一人である彼女は自分の本当の役目を思い出そうと唇を噛み締めた。
 銃声が鳴り響く。
 キーンと鼓膜が痺れる。ツンと鼻の奥が熱くなる。
 髪を掴まれたままでは自由に身体を動かせない。だが、牛のような男を相手に、女の細腕で敵うはずもない。玲華はそれでも必死になって視線を動かした。
 足を撃たれたらしい田中太郎が苦悶の表情で「いてぇ……。いてぇ……」と呻いている。その手前で鴨川新九郎が力なく蹲っている。三発目の銃弾が貫いたのは新九郎の広い肩だった。おおよそ致命傷は避けているであろう箇所。獲物をいたぶるのが趣味なのだろう。それまでは玲華を食い入るように見つめていた惣太郎だったが、今や痛みに苦しむ二人に興味津々といった様子で鼻息を荒くしていた。
 玲華はグッと喉元を押さえた。乾いた舌に唾液を絡ませる。喉を動かそうと血を飲み込む。だが、やはり声は出てこない。黒い髪。黒い目。それは遥か東方の体だった。どうにも魔女の器には相応しくないらしい。
 ここが限界なのだろうか。
 玲華は声を響すのを諦めた。それでも──彼女は想った。自分以外の犠牲は出したくなかった。髪を掴む男の腕を掴み、さらにその太い腕の先──男の手に鈍く光る拳銃を奪い取ろうとする。女の細腕では敵うはずもない相手である。だが、それで良かった。
 声を響かせるのみが魔女の力ではない。死後の遊動こそが彼女たちの本領である。
 その時、ダッと鋭い音が薄暗い廊下に響いた。
 皮膚を破る無慈悲な銃声ではない。それは足音のようだった。
 と、突然体が軽くなった。バランスを崩した玲華の体が廊下に倒れ込む。そんな彼女の体に誰かが覆い被さる。沸るように熱い。それでいて優しげな抱擁である。玲華はそっと視線を上げた。いったい何が起こったのか。いったい誰が現れたのか。そのほっそりとした首を傾げながら、玲華は「王子?」と赤い唇を開いていった。
「王子だよ! 玲華ちゃああああん!」
 涙と鼻水にグチャグチャとなった水口誠也の顔面がアップで現れる。
 ゾッと背筋が凍りついた。
「キモッ!」という声が咄嗟に飛び出てくると共に、玲華の渾身のビンタが誠也の頬を弾き飛ばした。


 山田春雄は軽いステップを踏んだ。
 踵で廊下を蹴り、爪先でブレーキを踏む。
 上体は動かさず腰を捻る。膝のバネで体全体を押し上げる。その流れのままに左のアッパーを放つ。
 それはボクサーである彼が数え切れないほど繰り返してきた一連の動作だった。
 岸辺惣太郎の鳩尾に青い拳がめり込んだ。ゴハアッと表情の歪んだ男の口から唾液が溢れる。返す刀でこめかみに右拳を下ろし、左のフックを頬に入れた。右のアッパーカットでその四角い顎を弾くと、がら空きの脇腹にボディブローをめり込ませる。意識が飛んでしまったのか、突然のショックに動けないでいるのか、自らを守ろうとする惣太郎のガードはひどく怠慢だった。そんな男の無防備な体に春雄の拳が次々と打ち込まれていった。
 水口誠也と共に講堂を後にしたのはつい先ほどのことだった。どうにも誠也は黒い少女の霊の身を案じていたらしい。ズンズンと木造の校舎を突き進んでいく彼に対して、春雄はいかにも消極的だった。もう亡霊も殺人鬼も青い目をした少女もこりごりだ、と。だが、出口は分からない。こんな訳の分からない場所で一人きりにはなりたくない。そんな情けない思いから春雄は仕方なしに誠也の後を追いかけたのである。頼りになる味方との邂逅を願いながら。そうして敵であるはずの鴨川新九郎の元に辿り着いたのは、或いは“火龍炎”の総長である彼のことを、心の底から認めていたからかもしれない。誠也も同様であり、山本千代子のことを本気で心配しながらも、その根底に燻る姫宮玲華への想いに導かれていった。
「ぬうぅ」
 惣太郎の野太い腕がしゃにむに動く。その牛のような体がのそりと前に出る。だが、春雄には掠りもしない。
 キュッとバックステップで距離を取った春雄はその長い腕の先で男の平たい鼻を弾いた。どれほど心が乱されていようとも、どれほど視界が狭まっていようとも、その流れるような動作だけは正確だった。一定の距離を保ちながら、軽いジャブを織り交ぜ、フックを繰り出し、右のストレートを顔面に打ち込む。すると、大きく仰け反った惣太郎の岩のような体がガラスの並んだ廊下の壁に叩き付けられる。
 なおも追撃しようとした春雄だったが、全身が鉛のように重くなっていることに気がつき、慌てて息を吸った。あまりの鼓動の高まりに呼吸を忘れていたのだ。それほどまでに衝撃的な光景だった。血塗れで横たわった青年たち。髪を掴み上げられた女性。殺人鬼の手に黒光りする拳銃。
 突如として現れた残虐な現場に春雄は感情の暴走を抑え切れなくなった。
「玲華ちゃん! 玲華ちゃーん!」
 水口誠也の悲痛な叫び声ばかりが聞こえてくる。春雄はそっと背後の様子を伺った。涙と鼻水と鼻血に顔の潰れた水口誠也はいざ知らず、嫌悪感を露わにする姫宮玲華の五体は至って無事のようである。ただ、横たわったままの二人の状態は深刻だった。田中太郎は撃たれたらしい右足の太ももを押さえながら苦痛に呻いており、さらに彼の手前で四つん這いとなった鴨川新九郎の周囲には血が溜まり始めていた。どちらも肌に血の気がなく、特に新九郎の方は一刻の猶予もないだろう。春雄は滝のように溢れ出る汗を拭うと、ともかく二人の血を止めねばと、半歩体の向きをズラした。
「痛いではないかぁ」
 春雄は咄嗟に身を屈めた。
 それが功を奏したか、それとも元々あらぬ方向に弾かれていたのか、銃撃による無情な死は訪れなかった。それでもその銃声の凄まじさに心臓が跳ね上がる。春雄の右ストレートを顔面にモロに受けたにも関わらず、惣太郎は平然とした様子で、右手の拳銃から煙を立ち昇らせていた。
 春雄の動きは意外にも素早かった。自分でも驚くほどの冷静さだった。身を屈めた姿勢からウェービングするようにサイドステップを踏んだ彼は、ト、ト、ト、と床を蹴り、上体を揺らし、決して的を絞らせなかった。それは戦中を生きる惣太郎が知る由もないボクサーの動きだった。薄暗がりの中でそんな春雄を捉えるのは至難の業である。
 春雄の左フックがまた惣太郎の顔面を弾く。次いで右フックで頬を払う。左アッパーで四角い顎を打ち上げる──と、惣太郎の左腕が伸びた。いかにも頑強そうな拳──ただ、その動きは牧草を喰む牛のように呑気である。
 気にするまでもない拳のようだった。が、それをスウェイバックで丁寧に交わした春雄はさらに数発の左のジャブを繰り出すと、相手との距離を開けた。一撃で相手を沈められる拳を繰り出そうと。春雄はとある違和感の湧き上がりに冷たい汗を流し始めた。
 この男は──。
 惣太郎の首がヌウッと前に出た。昼下がりの野原を歩く牛のようである。ただ、その明らかに太い骨格と右手に握られた拳銃が、いつ何どき猛り狂わん闘牛の鋭い角を思わせた。春雄は警戒していた。それでも冷静に動き続けた。スッと足を横に滑らすと、手のひらで惣太郎の目をパシンと叩く。大袈裟な悲鳴を上げた彼の鳩尾にフックを入れる。さらにアッパーを──。ジャブを──。
 タイミングを見計らった。
 春雄は、ト、と廊下を蹴った。
 男の顎が無防備に上を向いた。完璧なタイミングだった。絶妙な位置にいた。硬く握り締められた右の拳。それは力任せに振るう為のものではない。あくまでも普段通りに、力を押し流すようにして、足の先から腰へ、背筋から三角筋へ、上腕三頭筋から肘へ、手首へ、右の拳へ、相手の顔面へ。完璧な動きで繰り出された春雄の渾身の右ストレートが、惣太郎の左の頬を夜の闇ごと弾き飛ばした。
「はっ、はっ」
 心地良い痺れが後に残った。
 嵐が過ぎた後のような静けさに包み込まれた。
 完璧なタイミングだった。
 絶妙な位置にいた。
 渾身の右ストレートだった。
 なのに男は倒れなかった。
 惣太郎はさも痛々しげに頬を押さえながら、それでも拳銃を手放さず、ジッと春雄の顔を見上げていた。
「チクショウが……!」
 この男はダウンしないのだ──。
 そう察した。
 そういう者が稀に存在するということを春雄は知っていた。
 脳震盪を起こし難いのか。そういう体質なのか。太い骨が脳への振動を抑えているのか。それとも脳自体が揺れ難いのか。ダメージに鈍感なのか。過敏ゆえにダメージの残り難い動きを無意識でこなしているのか。原因などいくら考えたところでどうしようもない。それは体格差の為だった。肉を裂き、痛みは与えようとも、ウェイトで劣る春雄の拳が惣太郎の野太い骨に届くことはなかった。
「よく跳ねる男だなぁ」
 惣太郎の右手が上がった。その動きはやはり何処か怠慢に感じられる。それは春雄に対する興味の薄さの表れである。その細い銃口と春雄の視線が重なろうとした。すると春雄の口から我を忘れたような奇声が上がった。さながら怯えた犬のようである。春雄は無我夢中となってパンチの連打を始めた。そこに彼らしい流れるような動作はない。ただ、その長い腕を、足を、やみくもに振り回すのみであった。
 ドンッと胸を押された。
 あっと目を見開く前から春雄は既にバランスを崩していた。
 尻餅を付いた春雄はそのショックからしばし呆然と息を止めてしまう。そうしてハッと立ち上がろうとした春雄だったが、眼前に置かれた拳銃の黒い穴と目が合うと、そのまま金縛りにあったように動けなくなった。
「どうした? ほれ、飛び跳ねてみせろ」
 惣太郎はそう首を傾げ、銃口をゆらゆらと見せびらかしながら、つま先で春雄の顔面を蹴り上げた。脳が弾けたような衝撃に春雄の視界が黄色くなる。それまでの怠慢だった動きとは打って変わって、その蹴りには生き生きとした躍動が備わっていた。
「ほれ、ワンと吠えてみせろ」
 惣太郎は勃起していた。自分より強者だろうと思った相手が唐突に怯えを見せたのだ。そこに沸き立つような興奮を感じた。その為に、ひとえに殺してしまうのを躊躇った。
「ほれほれほれ、どうしたどうしたどうした」
 そう何度も何度も蹴り上げる、踏み付ける、殴り付ける。やがて春雄が頭を抱えたまま蹲ると、ハァハァと興奮が頂点に達した惣太郎は、わななく指を引き金に掛けた。
「おおおおおおおっ!」
 低い雄叫びが上がった。大柄な男の影が夜を走った。そうして惣太郎の牛のような体が背後に吹っ飛んだ。
「し、新九郎!」
 春雄はヨロヨロと体を起こした。銃弾をその身に受け、呼吸もままならない筈の鴨川新九郎が、それでもなお仲間の為に殺人鬼に飛び掛かったのだ。その勇猛さ。漢気。熱誠。優しさ。
 何とか立ち上がった春雄はすぐに彼の加勢に向かおうと拳を上げた。だが、その輝かんばかりの威勢も、銃声の前にすぐに翳ってしまうのだった。
「全く敵わん。敵わんよ。全く。木偶など、どうでもよいのだ」
 新九郎の巨体が押し退けられる。惣太郎は気怠げに立ち上がると、ブツブツと不平を呟きながら、右手を上げた。そうして何の躊躇もなく、足を押さえて呻く田中太郎に向かって、銃口を構えた。
「やめっ!」
 止める間もなかった。
 銃声。冷酷な雄叫び。
 残響が徐々に薄れていく。無情の証明として闇夜に取り残されたのは、崩れ去った青年の体のみだった。
「チクショウ……! チクショウ……!」
 春雄の頬を涙が伝った。
 悲しみが、怒りが、悔しさが、どうしようもない感情たちの暴走が、彼の心を爆発させた。
 そこに恐怖はなかった。ただ、冷静さもなかった。血の躍動を止めるものは何もなかった。
 赤く激った拳を顎の前に構える。春雄はスッと体を前に倒した。そうして昂る感情そのままに雄々しく飛び出していった。
「どうでもよい」
 銃声に貫かれる。
 その絶望的なまでの熱に肉体が焼かれていくのを感じる。
「チ、チクショウ……」
 拳が砕かれた。
 膝から崩れ落ちた。
 負けた──。
 痛みはない。恐怖もない。
 ただ、悔しかった。
 最後に兄の背中を思い浮かべた春雄は、砕け散った拳を何とか拾い集めようと、右手を握り締めた。


 あの人に会わなきゃならない。
 そう思った。
 けれども吉田障子は及び腰だった。
 青い薔薇を片手に。視線は落とし気味に。
 木造の校舎は彼にそこが夢の世界であるような印象を与えていた。だが、その陽の温かさは現実のものと変わらず、ともすると夢と現実の境界が曖昧になる。その度に障子は青い薔薇の匂いを嗅いだ。
 今さら会ったところで──。 
 障子は戦争とは無縁の時代に生まれた気弱な少年だった。が、どういうわけか、山本千代子という戦中の少女の記憶を受け継いでいた。その記憶を思い出すにあたっては白黒の写真を眺めるような客観的な視点を得たが、夢と現実の境界が曖昧になるにつれて徐々に戦中の写真は鮮明な映像となり、やがてはヴァーチャルリアリティのような実体験を伴う非現実に迷い込むのだった。そこに至ると今度は彼自身の記憶がさざなみの立つ水面に映る空のように曖昧となって、自分が誰だか分からなくなってしまう。それが恐ろしかった。彼は彼のままでありたかった。そんな事をやっと考えるようになった。
 それでも会わなければならない。そう思った。それは彼女たちの魂が入れ替わったままだったからだ。
 視界の端に白い影が揺れる。
 そっと視線を動かした障子は教室に並んだ四角い机を見た。気まぐれな雲に陽光が遮られたのだろう。障子はさして気にすることなく、また青い薔薇に視線を落とした。
 耐え難い記憶だった。
 決して償えない裏切りだった。  
 障子は苦しんだ。彼は彼女のことを思い出したくなかった。が、それでも目を逸らすことは不可能だった。純粋だったのだ。彼は彼自身の意志で彼女に会いたいと決意していた。
 時折、というか頻繁に、何もないところで転びそうになる。その度に隣を歩く早瀬竜司が彼の背中を叩く。ため息まじりに「しっかりしろ」とその細い腕を引いた。
 窓の向こうではシダレヤナギの若木が瑞々しい青葉を靡かせていた。細やかな木影がひらひらと校舎のあちこちに広がっては消える。
 気が付けば講堂の中にいた。
 野洲孝之助が興味深げに広間を見渡した。板張りの壁は見るからに薄く、天井付近に並んだ高窓の不透明で、巨大な棺を壁際に押しやったような舞台は簡素である。いったいいつ建てられた校舎なのかは定かではなかった。だが、床の光沢から比較的新しい校舎のように思える。つまり戦争の訪れがこの校舎の造設を貧しいものにしてしまったのだろう。と、そんな事を考えた。
 障子は後ろを振り返り、竜司に向かって首を傾げた。どうしようか、と。そのまま何となく広間の中央まで歩みを進める。それ以上先には誰もいないだろうと肩をすくめてしまう。そもそもが当てのない歩みだった。途方に暮れた障子は青い薔薇をくるくると手の中で回し始めた。
「いやはや」
 ヒヤリと校舎の温度が下がった。太陽が雲に隠れたように講堂が暗くなった。
「これはこれは……」
 障子は驚いて顔を上げた。柔らかく温かみのある声だった。竜司や孝之助が発する尖った口調とは正反対のもの。何やら自信に満ち溢れたような声で、もしや生徒会長の足田太志がこの場に現れたのではないかと、障子は慌てて背筋を伸ばした。
「驚いた。本当に」
 いいや、足田太志ではなかった。
 講堂の出入り口から姿を現したのは白い羽織りを纏った見知らぬ青年だった。
「時を超えたのか」
 
 
 
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