358 / 371
【第六部:終わりと始まり】第九章
疑惑と真実
しおりを挟む
今までまったく思いもよらなかった考えが、突然全員を支配した。
「まさか……そんな」
「そのまさかだよ。敵は、封印のかけらの力を使って、封じ込めたんだ。そう考えればすべての謎が解ける。神の民でもあり悪魔の手先でもあるリキュスになら、できるんだ。皮肉なもんだね……悪魔が、神の力を利用するなんてな」
全員がその考えに飲まれそうになったとき、エルシャが反論した。
「だが、フェランの記憶が封じられたとき、リキュスはまだ五歳かそこらだった。そんな子供にイルマの焼き討ちや記憶を封じるなんてできるのか? 当時すでに大人だったワーグナやほかの王族の可能性だってあるだろう」
「ワーグナは王族専用口の鍵を持っていない。こっそり王族から鍵を盗んでもとに戻すか、ほかに王族の協力者がいないと盗難事件が成立しない。それにな、イルマ襲撃事件、詳しく思い出してみろよ。あのとき捕まった実行犯は、なんと証言していた? 襲撃を指示する紙と金を持った少年が、見知らぬ男からの預かり物だといってそれを渡したんだ。当然、当時少年は何も知らない頼まれ役だと解釈されていた。だが、そもそも見知らぬ男など存在していないとしたら?」
エルシャは言葉を失った。そして同時に、思い出した――実行犯たちは、その後宮殿の敷地にある石牢に運ばれ、それ以降突然、口がきけなくなったのだ。そう、まるで言葉を封じられたように――。
「だが……だが、リキュスは自分がサラマ・アンギュースであることすら自覚していなかった。あれは演技なんかではないはずだ。まるで記憶を封じられているように苦しみ悶えていた。あれはすべて真実だ」
少なくとも自分には、真実に見えた。図書室に現れ、生まれて初めてエルシャに感謝を伝えたリキュスも、裏庭で今こそ恩返しがしたいといったリキュスも、すべて本物だった。演技などには到底見えなかった。
思わず、ジュノレのほうを見た。ジュノレもまた、リキュスと確固たる信頼関係を築いていたはずだ。しかしそのジュノレも、今は曇った表情で苦し気にエルシャを見つめ返していた。
「実は、おまえにいわれてからリキュス周辺の動きを確認していたんだが……。リキュスが即位してからの一年間で、不可解な人事が多発している。評価の高い衛兵の一部が、左遷や事実上の解雇となっている。代わりに、新しく雇われたり妙な昇進人事が行われている。それらすべて、リキュス直属の近衛兵と、王宮所属の衛兵たちだ。これらの異動はすべて、リキュス本人による指示で間違いない。新国王が即位するたびに、信頼のおける兵士を選別するのは当然のことだが、履歴書や実績を見る限り、今回はリキュスらしからぬ乱暴な人事で異例としかいいようがない。すべてリキュス管理下の兵士たちだから表立った問題にはなっていないが……」
ジュノレは言葉を切った。続けようとするが、いい方を選べない。代わりにテュリスが引き取った。
「なるほど。いざというときのために、身内で周りを固めたか」
「なんだよ、国王もその周りも悪魔の手先みたいないい方しやがって! てめえいい加減にしろよ、エルシャの弟なんだぞ!?」
ゼムズがたまらずテュリスの胸ぐらを掴んだ。ナイシェとディオネがそれを制す。ラミがフェランにしがみついたまますすり泣き始めた。
「そう、エルシャの腹違いの弟だ。そうするとエルシャ、おまえにも少なからず悪魔の血が流れているということになるのか? どうだ、記憶のかけらを埋めたとき、傷は痛んだか? かけらはおまえをどの程度受け入れた? 笑えるね、神託を賜った、悪魔の血が流れる第一級神官とはね」
「きさまぁ!」
せせら笑うテュリスの襟ぐりをねじり上げて、激高したゼムズが右の拳を振り下ろした。ナイシェの悲鳴があがる。固く握られた拳がテュリスの顔面を弾き飛ばす寸前に、エルシャの右腕がそれを止めた。
「ゼムズ、やめてくれ。俺は大丈夫だから」
静かにいう。
「だけどよ、俺は許せねえ!」
なおも興奮するゼムズとテュリスの間に、エルシャが割って入った。先ほどまでとは打って変わって、冷静で無表情なエルシャに、ゼムズもテュリスから手を離さざるを得なかった。エルシャが目を伏せたままいった。
「リキュスと俺は、血は繋がっていない。リキュスは……ナキア殿と、前の夫との子だ」
さすがにテュリスも驚きの表情を見せ、他の者はエルシャがテュリスに対し真実を告げたことに驚いていた。
「……なんだって? あいつは、叔父上の子ですらないのか?」
一瞬呆気にとられたテュリスだったが、やがて声をあげて笑い出した。
「はっ、とんだ茶番だな! 我らが国王は、王族の血を一滴も継がないただの庶民だったというわけだ。それも、かけらを持つ女を孕ませて逃げるようなクズの血を引いている」
「テュリス! 言葉を慎め!」
ジュノレが怒鳴った。
「だがそのとおりだろう? 神官の弟が悪魔の手先。これで納得だよ。よかったじゃないかエルシャ、血が繋がっていないなら、おまえは遠慮なく弟を殺すことができる」
止める間もなく、ジュノレの右手がテュリスの頬を張った。テュリスはふんと鼻を鳴らすと、冷ややかな目でエルシャを見た。
「そろそろおまえも、認める覚悟が決まったんだろう? だから俺に、本当のことを話したんじゃないのか」
エルシャはただ静かに視線を落とした。不自然なほどに、表情がなかった。
「……ナキア殿にかけらを埋められたとき……リキュスの背中には、大きな傷があったそうだ。ワーグナがいっていた。大きな、傷……。ナキア殿が愛する息子に、そんな傷を負わせるはずはない。だとしたら、それはかけらが――」
ディオネがエルシャの腕を掴んだ。
「エルシャ! まだあんたの弟が悪魔の手先だと決まったわけじゃない! こいつのいうことなんか真に受けちゃだめだよ!」
しかしエルシャは首を振った。
「いや……可能性が少しでもある限り、無視はできない。ここで判断を誤れば、俺たちは負けるんだ」
テュリスが嬉しそうに笑う。
「そう。それでこそエルシャだ。俺の推察どおりなら、リキュスは今すぐにでも、おまえたちを殺しに来るぞ」
「ですが、リキュス様が封印の民であることも、まず間違いありません。エルシャとの約束どおり、イシュマ・ニエヴァの封印を解いてくださる可能性もあります。リキュス様が……あのリキュス様が、十年以上も僕たちを欺き続けていたなんて、信じられません。信じたくありません……」
フェランが声を絞り出す。
「悪魔の手先とは、その意志までも、悪魔の思いのまま……」
ぽつり、とジュノレが呟いた。
「真実のリキュスとは、いったい誰なのか……彼の中で、何が起こっているのか……」
「待ってよみんな。リキュス様はいつだって優しくて親切だった。あんな方が悪魔の手先だなんて、私には信じられない。どうしてリキュス様を信じようとしないの?」
ナイシェが泣きそうな顔で訴える。しかしエルシャは険しい表情を崩さなかった。
「俺だって、あいつを疑いたくない。あいつとの今までの二十年間は、すべて真実だ。もし彼に悪魔の血が流れているとするならば……神のかけらと、悪魔の血。それらが共存できるとするならば、彼の中でいったい今何が起こっているのか……。俺にだって、わからない。だが、ひとつだけわかっていることがある。俺たちは、この戦いで負けるわけにはいかない。負けないために、あらゆる可能性を考えなければならない」
そう告げるエルシャの唇は震え、そのまなざしは射るように鋭く一点を凝視していた。
不意に部屋の扉を叩く音がして、廊下からジュノレの衛兵の声がした。
「失礼いたします。宮廷長ワーグナ様がいらっしゃいました」
「まさか……そんな」
「そのまさかだよ。敵は、封印のかけらの力を使って、封じ込めたんだ。そう考えればすべての謎が解ける。神の民でもあり悪魔の手先でもあるリキュスになら、できるんだ。皮肉なもんだね……悪魔が、神の力を利用するなんてな」
全員がその考えに飲まれそうになったとき、エルシャが反論した。
「だが、フェランの記憶が封じられたとき、リキュスはまだ五歳かそこらだった。そんな子供にイルマの焼き討ちや記憶を封じるなんてできるのか? 当時すでに大人だったワーグナやほかの王族の可能性だってあるだろう」
「ワーグナは王族専用口の鍵を持っていない。こっそり王族から鍵を盗んでもとに戻すか、ほかに王族の協力者がいないと盗難事件が成立しない。それにな、イルマ襲撃事件、詳しく思い出してみろよ。あのとき捕まった実行犯は、なんと証言していた? 襲撃を指示する紙と金を持った少年が、見知らぬ男からの預かり物だといってそれを渡したんだ。当然、当時少年は何も知らない頼まれ役だと解釈されていた。だが、そもそも見知らぬ男など存在していないとしたら?」
エルシャは言葉を失った。そして同時に、思い出した――実行犯たちは、その後宮殿の敷地にある石牢に運ばれ、それ以降突然、口がきけなくなったのだ。そう、まるで言葉を封じられたように――。
「だが……だが、リキュスは自分がサラマ・アンギュースであることすら自覚していなかった。あれは演技なんかではないはずだ。まるで記憶を封じられているように苦しみ悶えていた。あれはすべて真実だ」
少なくとも自分には、真実に見えた。図書室に現れ、生まれて初めてエルシャに感謝を伝えたリキュスも、裏庭で今こそ恩返しがしたいといったリキュスも、すべて本物だった。演技などには到底見えなかった。
思わず、ジュノレのほうを見た。ジュノレもまた、リキュスと確固たる信頼関係を築いていたはずだ。しかしそのジュノレも、今は曇った表情で苦し気にエルシャを見つめ返していた。
「実は、おまえにいわれてからリキュス周辺の動きを確認していたんだが……。リキュスが即位してからの一年間で、不可解な人事が多発している。評価の高い衛兵の一部が、左遷や事実上の解雇となっている。代わりに、新しく雇われたり妙な昇進人事が行われている。それらすべて、リキュス直属の近衛兵と、王宮所属の衛兵たちだ。これらの異動はすべて、リキュス本人による指示で間違いない。新国王が即位するたびに、信頼のおける兵士を選別するのは当然のことだが、履歴書や実績を見る限り、今回はリキュスらしからぬ乱暴な人事で異例としかいいようがない。すべてリキュス管理下の兵士たちだから表立った問題にはなっていないが……」
ジュノレは言葉を切った。続けようとするが、いい方を選べない。代わりにテュリスが引き取った。
「なるほど。いざというときのために、身内で周りを固めたか」
「なんだよ、国王もその周りも悪魔の手先みたいないい方しやがって! てめえいい加減にしろよ、エルシャの弟なんだぞ!?」
ゼムズがたまらずテュリスの胸ぐらを掴んだ。ナイシェとディオネがそれを制す。ラミがフェランにしがみついたまますすり泣き始めた。
「そう、エルシャの腹違いの弟だ。そうするとエルシャ、おまえにも少なからず悪魔の血が流れているということになるのか? どうだ、記憶のかけらを埋めたとき、傷は痛んだか? かけらはおまえをどの程度受け入れた? 笑えるね、神託を賜った、悪魔の血が流れる第一級神官とはね」
「きさまぁ!」
せせら笑うテュリスの襟ぐりをねじり上げて、激高したゼムズが右の拳を振り下ろした。ナイシェの悲鳴があがる。固く握られた拳がテュリスの顔面を弾き飛ばす寸前に、エルシャの右腕がそれを止めた。
「ゼムズ、やめてくれ。俺は大丈夫だから」
静かにいう。
「だけどよ、俺は許せねえ!」
なおも興奮するゼムズとテュリスの間に、エルシャが割って入った。先ほどまでとは打って変わって、冷静で無表情なエルシャに、ゼムズもテュリスから手を離さざるを得なかった。エルシャが目を伏せたままいった。
「リキュスと俺は、血は繋がっていない。リキュスは……ナキア殿と、前の夫との子だ」
さすがにテュリスも驚きの表情を見せ、他の者はエルシャがテュリスに対し真実を告げたことに驚いていた。
「……なんだって? あいつは、叔父上の子ですらないのか?」
一瞬呆気にとられたテュリスだったが、やがて声をあげて笑い出した。
「はっ、とんだ茶番だな! 我らが国王は、王族の血を一滴も継がないただの庶民だったというわけだ。それも、かけらを持つ女を孕ませて逃げるようなクズの血を引いている」
「テュリス! 言葉を慎め!」
ジュノレが怒鳴った。
「だがそのとおりだろう? 神官の弟が悪魔の手先。これで納得だよ。よかったじゃないかエルシャ、血が繋がっていないなら、おまえは遠慮なく弟を殺すことができる」
止める間もなく、ジュノレの右手がテュリスの頬を張った。テュリスはふんと鼻を鳴らすと、冷ややかな目でエルシャを見た。
「そろそろおまえも、認める覚悟が決まったんだろう? だから俺に、本当のことを話したんじゃないのか」
エルシャはただ静かに視線を落とした。不自然なほどに、表情がなかった。
「……ナキア殿にかけらを埋められたとき……リキュスの背中には、大きな傷があったそうだ。ワーグナがいっていた。大きな、傷……。ナキア殿が愛する息子に、そんな傷を負わせるはずはない。だとしたら、それはかけらが――」
ディオネがエルシャの腕を掴んだ。
「エルシャ! まだあんたの弟が悪魔の手先だと決まったわけじゃない! こいつのいうことなんか真に受けちゃだめだよ!」
しかしエルシャは首を振った。
「いや……可能性が少しでもある限り、無視はできない。ここで判断を誤れば、俺たちは負けるんだ」
テュリスが嬉しそうに笑う。
「そう。それでこそエルシャだ。俺の推察どおりなら、リキュスは今すぐにでも、おまえたちを殺しに来るぞ」
「ですが、リキュス様が封印の民であることも、まず間違いありません。エルシャとの約束どおり、イシュマ・ニエヴァの封印を解いてくださる可能性もあります。リキュス様が……あのリキュス様が、十年以上も僕たちを欺き続けていたなんて、信じられません。信じたくありません……」
フェランが声を絞り出す。
「悪魔の手先とは、その意志までも、悪魔の思いのまま……」
ぽつり、とジュノレが呟いた。
「真実のリキュスとは、いったい誰なのか……彼の中で、何が起こっているのか……」
「待ってよみんな。リキュス様はいつだって優しくて親切だった。あんな方が悪魔の手先だなんて、私には信じられない。どうしてリキュス様を信じようとしないの?」
ナイシェが泣きそうな顔で訴える。しかしエルシャは険しい表情を崩さなかった。
「俺だって、あいつを疑いたくない。あいつとの今までの二十年間は、すべて真実だ。もし彼に悪魔の血が流れているとするならば……神のかけらと、悪魔の血。それらが共存できるとするならば、彼の中でいったい今何が起こっているのか……。俺にだって、わからない。だが、ひとつだけわかっていることがある。俺たちは、この戦いで負けるわけにはいかない。負けないために、あらゆる可能性を考えなければならない」
そう告げるエルシャの唇は震え、そのまなざしは射るように鋭く一点を凝視していた。
不意に部屋の扉を叩く音がして、廊下からジュノレの衛兵の声がした。
「失礼いたします。宮廷長ワーグナ様がいらっしゃいました」
0
お気に入りに追加
41
あなたにおすすめの小説
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
頭が花畑の女と言われたので、その通り花畑に住むことにしました。
音爽(ネソウ)
ファンタジー
見た目だけはユルフワ女子のハウラナ・ゼベール王女。
その容姿のせいで誤解され、男達には尻軽の都合の良い女と見られ、婦女子たちに嫌われていた。
16歳になったハウラナは大帝国ダネスゲート皇帝の末席側室として娶られた、体の良い人質だった。
後宮内で弱小国の王女は冷遇を受けるが……。
愚かな父にサヨナラと《完結》
アーエル
ファンタジー
「フラン。お前の方が年上なのだから、妹のために我慢しなさい」
父の言葉は最後の一線を越えてしまった。
その言葉が、続く悲劇を招く結果となったけど・・・
悲劇の本当の始まりはもっと昔から。
言えることはただひとつ
私の幸せに貴方はいりません
✈他社にも同時公開
未来人が未開惑星に行ったら無敵だった件
藤岡 フジオ
ファンタジー
四十一世紀の地球。殆どの地球人が遺伝子操作で超人的な能力を有する。
日本地区で科学者として生きるヒジリ(19)は転送装置の事故でアンドロイドのウメボシと共にとある未開惑星に飛ばされてしまった。
そこはファンタジー世界そのままの星で、魔法が存在していた。
魔法の存在を感知できず見ることも出来ないヒジリではあったが、パワードスーツやアンドロイドの力のお陰で圧倒的な力を惑星の住人に見せつける!
【完結】亡き冷遇妃がのこしたもの〜王の後悔〜
なか
恋愛
「セレリナ妃が、自死されました」
静寂をかき消す、衛兵の報告。
瞬間、周囲の視線がたった一人に注がれる。
コリウス王国の国王––レオン・コリウス。
彼は正妃セレリナの死を告げる報告に、ただ一言呟く。
「構わん」……と。
周囲から突き刺さるような睨みを受けても、彼は気にしない。
これは……彼が望んだ結末であるからだ。
しかし彼は知らない。
この日を境にセレリナが残したものを知り、後悔に苛まれていくことを。
王妃セレリナ。
彼女に消えて欲しかったのは……
いったい誰か?
◇◇◇
序盤はシリアスです。
楽しんでいただけるとうれしいです。
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる