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第一章 百鬼夜行編
#40 来人VS『赫』の鬼
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「――総員、周囲の鬼の掃討にかかれ! 俺は親玉を叩く!」
「「うおおおおおお!!!!」」
天界軍の神々は来人の号令を合図に、進軍を始める。
そして、来人たちはこの大異界の主であり、秋斗の仇――『赫』の鬼の元へと向かう。
大異界の主である『赫』の鬼の元へと辿り着くまでに、数多の小鬼の軍勢が来人たちの前に立ち塞がる。
来人は二本の剣で、そしてガーネは咥えた日本刀で次々と雑魚を薙ぎ払って行く。
しかし――、
「くそう、流石に数が多いな」
「天界軍の数も足りてなくて、処理が追いつていないネ」
来人が『赫』の鬼と対峙する為に行った情報操作によって、ここ中国部隊に配置された天界軍の数は他の部隊よりも少ない物になっていた。
それもあって、一匹一匹の強さは大したことの無い小鬼でも群れを成して数の暴力で襲い掛かって来られると、処理が間に合わなくなっている。
「仕方ないな。俺も“奥の手”を使おう」
そう言ってテイテイは前に出て、首から下げた十字架のアクセサリー、絆の三十字を握り締める。
すると、テイテイの周囲の地面が熱を帯び、ボコボコと吹き上がり始めた。
「これは……、溶岩!?」
「これが、俺のもう一つの色――怒りに燃え滾る『マグマ』だ」
テイテイの使う『鎖』の色は来人由来の物であり、使用する器のリソースは来人の物だ。
つまり、理論上はテイテイももう一つの色を有する事は可能。
秋斗を守れなかった弱い自分への怒りがルーツとなり、テイテイの色となる。
「――『炎鎖葬滅』!!」
テイテイは鎖を纏った拳を地面に叩き付ける。
すると、地面に大きく亀裂が産まれ、そこから『マグマ』が吹き上がり、それと同時に『鎖』も亀裂の隙間から生み出される。
『マグマ』と『鎖』の二重の嵐が吹き荒れ、テイテイの拳の直線状に居た小鬼は一掃されていった。
「お前、本当に人間だネ?」
「当然だろ、普通の人間だよ」
テイテイは人間であり、波動量も器の大きさも神々には大きく劣る。
そのはずなのに、自力だけで新たな色を構築し、その力を振るって見せた。
鍛え上げられたテイテイの肉体と精神は、明らかに人間のそれを超越していた。
しかし、それでも小鬼の軍勢は無限に湧いて来る。
その上、上空にも翼を生やした鳥の鬼の群れが居て、やはり鬼の数に対して天界軍の数が足りていない。
「俺も『赫』の鬼を一発殴ってやりたかったが、この分だと難しそうだ。俺とガーネで道を切り開く。来人、お前は奴に借りを返しに行け」
「だネ! こいつらを全部やっつけたら、すぐにらいたんに追い付くネ!」
「二人共……。分かった、ありがとう」
来人は頷き、二人を天界軍の応援に回す。
「ガーネ、行くぞ」
「ネ!」
(来人の為に!)(らいたんの為に!)
「「――『マグマ・ブリザード』!!」」
テイテイとガーネは『マグマ』と『氷』の相反する二つの力を合わせて自分たちの大将の進む道を切り開き、来人は『赫』の鬼を目指して、真っ直ぐとその二人の作った道を突き進む。
そして、来人は鎖を使ったワイヤーアクションで鳥の鬼を踏みつけてながら岩山を駆け登り、頂上へ。
赤黒い血の様な甲殻に覆われた、つるりとした頭部の人型の鬼――『赫』の鬼の元へと辿り着く。
「よう、久しぶりだな。と言っても、お前は覚えていないだろうが」
来人は周囲に『泡沫』の色で作り出したバブルを展開し、両手の金色の剣を構えて、臨戦態勢を取る。
「イいヤ、そのハドウ……。覚えているゾ」
「――!!」
目の前に居る『赫』の鬼が、言葉を喋った。
その事実に来人は驚いて、一歩後退る。
「ドうした、鬼人を見るのは初めてか?」
『赫』の鬼は少しずつ、流暢に喋り出す。
来人の記憶の中の『赫』の鬼は、喋る事は無かった。
奇怪な鳴き声を発する怪物だったはずだ。
つまり、この八年間の間に奴にも変化が起きているという事。
「鬼人……?」
「いつだったか、女の魂を喰ったんだ、そしたらこの通り。頭がすっきりして、気持ちがいい! 最高の気分だ!」
『赫』の鬼は何が面白いのか、頭部を二つに割る程に裂けた口を大きく開いてケタケタと高らかに笑う。
「……お前は、何人殺したんだ」
「さあなァ。生前から数えようとすると、もう指が足りねえよ」
来人はかっと頭に血が昇り、地を蹴る。
しかし――、
「おせぇよ、雑魚が」
『赫』の鬼は人差し指一本を立てて、そこから“赤い稲妻”を放つ。
その稲妻は来人の肩口を貫き、そのまま来人の身体は後方へと投げ飛ばされ、周囲に来人の持っていた“何か”が散らばる。
「ライジンだったか、あの時はアイツのせいで一番美味そうなお前の魂を喰い損ねたからな。――だが、今回は馬鹿みてえに一人で突っ込んで来やがった。意味が分かんねえが、美味しく頂いてやんよ」
『赫』の鬼はじゅるりと裂けた口から伸ばした長い舌で舌なめずりをした後、再び指先から赤い稲妻を放つ。
しかし、今度はその稲妻が来人の元へ届く事は無かった。
赤い稲妻が来人に届く前に、それは搔き消える。
「何だ、そ――」
『赫』の鬼がそう言いかけた時、今度は“来人の剣先から”赤い稲妻が放たれ、『赫』の鬼の片腕を吹き飛ばす。
見れば、来人の周囲を漂っていたバブルから鎖が伸び、その先は来人の持つ剣の柄へと繋がっている。
そして、バブルの中には“赤い稲妻の記憶”が浮き漂っていた。
それは、来人の器の世界に有った記憶の泡と同じ物だ。
来人はそこからイメージを膨らませて、“相手の色を記憶するバブル”を色として作り出していた。
これまで誰にも見せて来なかった来人の奥の手、相手の攻撃を反射する、『泡沫』の色の真の力だ。
「――ぶっ殺す」
『赫』の鬼は怒りに全身の赤い甲殻を更に赤く染め上げ、バチバチと赤い稲妻を全身に纏う。
吹き飛ばした腕も、ぐちゃぐちゃと蠢く肉塊が生え、すぐに再生。
本気を出した、『赫』の鬼との激闘。
連続で放射される稲妻、固い甲殻で覆われた拳、激しい攻撃の雨が来人を襲う。
稲妻を剣で受け、『泡沫』で反射するが、連続で繰り出されてはその全てを返し切れない。
来人は剣を弾かれ、取りこぼす。
しかし――、
「まだだ!!」
ボロボロになっても、何度でも立ち上がる。
来人は拳に鎖を纏う。
それはテイテイから伝授された、鎖を扱う拳法――『鎖拳』だ。
『赫』の鬼の拳に、鎖の拳をぶつける。
鎖は回転し、まるでドリルの様に赤い甲殻を打ち砕く。
そして、ボロボロの両手を後方へ伸ばすと、弾かれて地に落ちた二本の剣は来人の手元へと帰って来る。
そして、両の剣を振り下ろす。
「小賢しい真似をッ!!」
『赫』の鬼は自身の腕を剣の形へと変える。
そして、数度の剣と剣の打ち合いの末。
「ぐあああああああ!!!!」
『赫』の鬼は来人の剣を弾き、返しの刃で来人両腕を切り落とす。
「終わりだ」
そして、トドメの一撃を振り下ろそうとした時。
「――終わらせて、堪るかよ」
「――ギリギリ、間に合ったネ」
雑魚を蹴散らしたテイテイとガーネが、助けに来た。
ガーネが『赫』の鬼の剣を受け止め、テイテイがそのがら空きの胴に鎖の拳を叩き込む。
『赫』の鬼はその拳の一撃で吹っ飛ばされ、岩山の壁にその身体を埋める。
「らいたん、まだ立てるネ!?」
「あたり、まえだ……」
来人はゆっくりと立ち上がる。
腕の傷口の隙間から鎖が伸び、それが新たな腕を形作る。
天界でのティルとの戦いで一度見せた、イメージによる肉体の修復。
今回はあの時よりも、より大きく、より強靭な腕。
鎖で構築した腕で、再び剣を握る。
しかし、その刃はもう先程までの激しい戦闘でボロボロだ。
来人は剣に鎖を巻き付け、刃の代わりとする。
『赫』の鬼はまるで堪えていないみたいに、依然立ち上がり、またケタケタと気味悪く笑いながらテイテイの方を見る。
「お仲間が来たかと思えば、ただの人間じゃねぇか」
「――『赫』の鬼、やっと会えたな」
「ああん? 誰だよ。雑魚の事なんかいちいち覚えてねえよ」
両者、激突。
拳と拳、赤い稲妻とマグマ、両者の力を激しくぶつけ合う。
しかし、テイテイがどれだけ強いと言ってもやはり人間だ。
鬼の中でも最強格の『赫』の鬼を相手では、押し負けてしまう。
しかし、それでもテイテイは一人ではない。
「後ろだネ!――『氷斬』!!」
『赫』の鬼の背後から、ガーネが斬りかかる。
氷を纏った斬撃。
しかし、『赫』の鬼はすぐさまそれに反応し、一瞬の内に片腕を剣の形に変形させて、その斬撃を相殺。
そのままもう片方の手で赤い稲妻を放ち、ガーネを一蹴した。
「てめえら雑魚に用はねえんだよ」
『赫』の鬼が二人を倒し、再び来人に狙いを定める。
しかし――、
「――今だ!!」
テイテイは倒れたまま、全力で大地を殴りつける。
その強烈な振動で、地に散らばっていた無数の“金のリング”が弾き上がる。
それは一番最初に来人が散らしておいた布石。
カンガスという獣人の男から入手した隠し玉――“サブウェポン”だ。
これまでのテイテイとガーネの動きは全て、後ろで準備を整えていた来人の為の攪乱だ。
「――『光輪』。このリングは全てが“隙間”だ」
武器屋のカンガスが選んだサブウェポン、それは元は投擲武器としての用途で造られた光輪だった。
それを『鎖』の色の“あらゆる隙間から鎖を生成する”という特徴を活かす為だけに利用したのだ。
来人はその光輪の輪の隙間から鎖を産み出し、鎖の牢獄を『赫』の鬼の周囲に創り出し、縛り上げる。
「なっ――!? 小癪な真似を――」
そして、来人の鎖の腕は先程よりも巨大化していた。
同じくその手に握る剣の刃に巻き付く鎖も幾重にも重なり、巨大な一本の丸太の様になっている。
巨大な鎖の腕に、巨大な鎖の刃。
テイテイとガーネが作り出した時間で、来人は『赫』の鬼を殺す為の準備を万全に整えていた。
「やめろ、やめろやメロ、ヤメロォォォ!!!」
『赫』の鬼は身体を暴れさせ、抵抗する。
「いいや、ここでお前は終わりだ」
「だネ!」
しかし、光輪から伸びた鎖の上から、テイテイが更に鎖できつく何重にも縛り上げ、ガーネが氷漬けにする。
もう、逃げられない。
「――父さん、僕の欲が何なのか、分かったよ」
最後の攻撃の時、来人は誰にも聞こえないくらいの声で呟く。
「――僕は陸と違って、家族も居て、裕福な良い暮らしもしている。でも、それじゃあ満足出来ないんだ」
来人は親友の秋斗を奪われた。
それは富も、家族も、恋人も、全てを持っていた来人がこれまでの人生の中で唯一失った物だ。
「――僕は、全てが欲しい。たった一つでもこの手から取りこぼす事が、許せない」
“全て”を求める半神半人の王子、来人。
「秋斗の仇――、お前は、ここで殺す」
振り下ろされる巨大な鎖の刃は回転し、『赫』の鬼の甲殻を砕き、肉を抉り取る。
「グギャアアアアアア!!!!」
ジャリジャリと鎖の擦れる金属音と共に、『赫』の鬼の最後の絶叫が地の色に染まる岩山の世界に木霊する。
宿敵が最後に口にしたのは人の言葉ではなく、鬼の奇怪な鳴き声だった。
『赫』の鬼の核が、ごとりと重い音を立てて落ち、異界の膜がじんわりと溶けて降りて行く。
「――終わったネ」
「来人、やったな」
戦いを終え、来人の元へと駆けて来る二人。
来人の髪色も、白金が抜けて茶へと戻る。
「ガーネ、テイテイ君、ありがとう――」
「おっと」
来人はそう言うと、緊張の糸が切れたみたいにふらりと倒れ、それをテイテイが受け止める。
いつの間には、来人の腕は鎖の鉛色から元の肌色に戻っていた。
「ごめん」
「言っただろ、来人の事は守るって。今度は、親友を失わずに済んだ……」
「ああ、格好良かったよ、親友」
来人は姿勢を立て直し、テイテイと拳を合わせ健闘を称え合う。
幼き頃に親友を殺した『赫』の鬼は来人のその手で殺された。
仇討ちを果たしたのだ。
しかし、親友の秋斗はもう帰って来ない。
復習を果たしても、気持ちは晴れる事は無かった。
全てを求める来人は、満たされない。
(王の力が有れば、秋斗を――)
失った物を、取り戻す。
秋斗を、生き返らせる。
来人は決意を新たに、覇道を突き進む。
中国の百鬼夜行、『赫』の鬼は討たれた。
残すはティルの南極部隊のみ、大異界はあと一つだ。
「「うおおおおおお!!!!」」
天界軍の神々は来人の号令を合図に、進軍を始める。
そして、来人たちはこの大異界の主であり、秋斗の仇――『赫』の鬼の元へと向かう。
大異界の主である『赫』の鬼の元へと辿り着くまでに、数多の小鬼の軍勢が来人たちの前に立ち塞がる。
来人は二本の剣で、そしてガーネは咥えた日本刀で次々と雑魚を薙ぎ払って行く。
しかし――、
「くそう、流石に数が多いな」
「天界軍の数も足りてなくて、処理が追いつていないネ」
来人が『赫』の鬼と対峙する為に行った情報操作によって、ここ中国部隊に配置された天界軍の数は他の部隊よりも少ない物になっていた。
それもあって、一匹一匹の強さは大したことの無い小鬼でも群れを成して数の暴力で襲い掛かって来られると、処理が間に合わなくなっている。
「仕方ないな。俺も“奥の手”を使おう」
そう言ってテイテイは前に出て、首から下げた十字架のアクセサリー、絆の三十字を握り締める。
すると、テイテイの周囲の地面が熱を帯び、ボコボコと吹き上がり始めた。
「これは……、溶岩!?」
「これが、俺のもう一つの色――怒りに燃え滾る『マグマ』だ」
テイテイの使う『鎖』の色は来人由来の物であり、使用する器のリソースは来人の物だ。
つまり、理論上はテイテイももう一つの色を有する事は可能。
秋斗を守れなかった弱い自分への怒りがルーツとなり、テイテイの色となる。
「――『炎鎖葬滅』!!」
テイテイは鎖を纏った拳を地面に叩き付ける。
すると、地面に大きく亀裂が産まれ、そこから『マグマ』が吹き上がり、それと同時に『鎖』も亀裂の隙間から生み出される。
『マグマ』と『鎖』の二重の嵐が吹き荒れ、テイテイの拳の直線状に居た小鬼は一掃されていった。
「お前、本当に人間だネ?」
「当然だろ、普通の人間だよ」
テイテイは人間であり、波動量も器の大きさも神々には大きく劣る。
そのはずなのに、自力だけで新たな色を構築し、その力を振るって見せた。
鍛え上げられたテイテイの肉体と精神は、明らかに人間のそれを超越していた。
しかし、それでも小鬼の軍勢は無限に湧いて来る。
その上、上空にも翼を生やした鳥の鬼の群れが居て、やはり鬼の数に対して天界軍の数が足りていない。
「俺も『赫』の鬼を一発殴ってやりたかったが、この分だと難しそうだ。俺とガーネで道を切り開く。来人、お前は奴に借りを返しに行け」
「だネ! こいつらを全部やっつけたら、すぐにらいたんに追い付くネ!」
「二人共……。分かった、ありがとう」
来人は頷き、二人を天界軍の応援に回す。
「ガーネ、行くぞ」
「ネ!」
(来人の為に!)(らいたんの為に!)
「「――『マグマ・ブリザード』!!」」
テイテイとガーネは『マグマ』と『氷』の相反する二つの力を合わせて自分たちの大将の進む道を切り開き、来人は『赫』の鬼を目指して、真っ直ぐとその二人の作った道を突き進む。
そして、来人は鎖を使ったワイヤーアクションで鳥の鬼を踏みつけてながら岩山を駆け登り、頂上へ。
赤黒い血の様な甲殻に覆われた、つるりとした頭部の人型の鬼――『赫』の鬼の元へと辿り着く。
「よう、久しぶりだな。と言っても、お前は覚えていないだろうが」
来人は周囲に『泡沫』の色で作り出したバブルを展開し、両手の金色の剣を構えて、臨戦態勢を取る。
「イいヤ、そのハドウ……。覚えているゾ」
「――!!」
目の前に居る『赫』の鬼が、言葉を喋った。
その事実に来人は驚いて、一歩後退る。
「ドうした、鬼人を見るのは初めてか?」
『赫』の鬼は少しずつ、流暢に喋り出す。
来人の記憶の中の『赫』の鬼は、喋る事は無かった。
奇怪な鳴き声を発する怪物だったはずだ。
つまり、この八年間の間に奴にも変化が起きているという事。
「鬼人……?」
「いつだったか、女の魂を喰ったんだ、そしたらこの通り。頭がすっきりして、気持ちがいい! 最高の気分だ!」
『赫』の鬼は何が面白いのか、頭部を二つに割る程に裂けた口を大きく開いてケタケタと高らかに笑う。
「……お前は、何人殺したんだ」
「さあなァ。生前から数えようとすると、もう指が足りねえよ」
来人はかっと頭に血が昇り、地を蹴る。
しかし――、
「おせぇよ、雑魚が」
『赫』の鬼は人差し指一本を立てて、そこから“赤い稲妻”を放つ。
その稲妻は来人の肩口を貫き、そのまま来人の身体は後方へと投げ飛ばされ、周囲に来人の持っていた“何か”が散らばる。
「ライジンだったか、あの時はアイツのせいで一番美味そうなお前の魂を喰い損ねたからな。――だが、今回は馬鹿みてえに一人で突っ込んで来やがった。意味が分かんねえが、美味しく頂いてやんよ」
『赫』の鬼はじゅるりと裂けた口から伸ばした長い舌で舌なめずりをした後、再び指先から赤い稲妻を放つ。
しかし、今度はその稲妻が来人の元へ届く事は無かった。
赤い稲妻が来人に届く前に、それは搔き消える。
「何だ、そ――」
『赫』の鬼がそう言いかけた時、今度は“来人の剣先から”赤い稲妻が放たれ、『赫』の鬼の片腕を吹き飛ばす。
見れば、来人の周囲を漂っていたバブルから鎖が伸び、その先は来人の持つ剣の柄へと繋がっている。
そして、バブルの中には“赤い稲妻の記憶”が浮き漂っていた。
それは、来人の器の世界に有った記憶の泡と同じ物だ。
来人はそこからイメージを膨らませて、“相手の色を記憶するバブル”を色として作り出していた。
これまで誰にも見せて来なかった来人の奥の手、相手の攻撃を反射する、『泡沫』の色の真の力だ。
「――ぶっ殺す」
『赫』の鬼は怒りに全身の赤い甲殻を更に赤く染め上げ、バチバチと赤い稲妻を全身に纏う。
吹き飛ばした腕も、ぐちゃぐちゃと蠢く肉塊が生え、すぐに再生。
本気を出した、『赫』の鬼との激闘。
連続で放射される稲妻、固い甲殻で覆われた拳、激しい攻撃の雨が来人を襲う。
稲妻を剣で受け、『泡沫』で反射するが、連続で繰り出されてはその全てを返し切れない。
来人は剣を弾かれ、取りこぼす。
しかし――、
「まだだ!!」
ボロボロになっても、何度でも立ち上がる。
来人は拳に鎖を纏う。
それはテイテイから伝授された、鎖を扱う拳法――『鎖拳』だ。
『赫』の鬼の拳に、鎖の拳をぶつける。
鎖は回転し、まるでドリルの様に赤い甲殻を打ち砕く。
そして、ボロボロの両手を後方へ伸ばすと、弾かれて地に落ちた二本の剣は来人の手元へと帰って来る。
そして、両の剣を振り下ろす。
「小賢しい真似をッ!!」
『赫』の鬼は自身の腕を剣の形へと変える。
そして、数度の剣と剣の打ち合いの末。
「ぐあああああああ!!!!」
『赫』の鬼は来人の剣を弾き、返しの刃で来人両腕を切り落とす。
「終わりだ」
そして、トドメの一撃を振り下ろそうとした時。
「――終わらせて、堪るかよ」
「――ギリギリ、間に合ったネ」
雑魚を蹴散らしたテイテイとガーネが、助けに来た。
ガーネが『赫』の鬼の剣を受け止め、テイテイがそのがら空きの胴に鎖の拳を叩き込む。
『赫』の鬼はその拳の一撃で吹っ飛ばされ、岩山の壁にその身体を埋める。
「らいたん、まだ立てるネ!?」
「あたり、まえだ……」
来人はゆっくりと立ち上がる。
腕の傷口の隙間から鎖が伸び、それが新たな腕を形作る。
天界でのティルとの戦いで一度見せた、イメージによる肉体の修復。
今回はあの時よりも、より大きく、より強靭な腕。
鎖で構築した腕で、再び剣を握る。
しかし、その刃はもう先程までの激しい戦闘でボロボロだ。
来人は剣に鎖を巻き付け、刃の代わりとする。
『赫』の鬼はまるで堪えていないみたいに、依然立ち上がり、またケタケタと気味悪く笑いながらテイテイの方を見る。
「お仲間が来たかと思えば、ただの人間じゃねぇか」
「――『赫』の鬼、やっと会えたな」
「ああん? 誰だよ。雑魚の事なんかいちいち覚えてねえよ」
両者、激突。
拳と拳、赤い稲妻とマグマ、両者の力を激しくぶつけ合う。
しかし、テイテイがどれだけ強いと言ってもやはり人間だ。
鬼の中でも最強格の『赫』の鬼を相手では、押し負けてしまう。
しかし、それでもテイテイは一人ではない。
「後ろだネ!――『氷斬』!!」
『赫』の鬼の背後から、ガーネが斬りかかる。
氷を纏った斬撃。
しかし、『赫』の鬼はすぐさまそれに反応し、一瞬の内に片腕を剣の形に変形させて、その斬撃を相殺。
そのままもう片方の手で赤い稲妻を放ち、ガーネを一蹴した。
「てめえら雑魚に用はねえんだよ」
『赫』の鬼が二人を倒し、再び来人に狙いを定める。
しかし――、
「――今だ!!」
テイテイは倒れたまま、全力で大地を殴りつける。
その強烈な振動で、地に散らばっていた無数の“金のリング”が弾き上がる。
それは一番最初に来人が散らしておいた布石。
カンガスという獣人の男から入手した隠し玉――“サブウェポン”だ。
これまでのテイテイとガーネの動きは全て、後ろで準備を整えていた来人の為の攪乱だ。
「――『光輪』。このリングは全てが“隙間”だ」
武器屋のカンガスが選んだサブウェポン、それは元は投擲武器としての用途で造られた光輪だった。
それを『鎖』の色の“あらゆる隙間から鎖を生成する”という特徴を活かす為だけに利用したのだ。
来人はその光輪の輪の隙間から鎖を産み出し、鎖の牢獄を『赫』の鬼の周囲に創り出し、縛り上げる。
「なっ――!? 小癪な真似を――」
そして、来人の鎖の腕は先程よりも巨大化していた。
同じくその手に握る剣の刃に巻き付く鎖も幾重にも重なり、巨大な一本の丸太の様になっている。
巨大な鎖の腕に、巨大な鎖の刃。
テイテイとガーネが作り出した時間で、来人は『赫』の鬼を殺す為の準備を万全に整えていた。
「やめろ、やめろやメロ、ヤメロォォォ!!!」
『赫』の鬼は身体を暴れさせ、抵抗する。
「いいや、ここでお前は終わりだ」
「だネ!」
しかし、光輪から伸びた鎖の上から、テイテイが更に鎖できつく何重にも縛り上げ、ガーネが氷漬けにする。
もう、逃げられない。
「――父さん、僕の欲が何なのか、分かったよ」
最後の攻撃の時、来人は誰にも聞こえないくらいの声で呟く。
「――僕は陸と違って、家族も居て、裕福な良い暮らしもしている。でも、それじゃあ満足出来ないんだ」
来人は親友の秋斗を奪われた。
それは富も、家族も、恋人も、全てを持っていた来人がこれまでの人生の中で唯一失った物だ。
「――僕は、全てが欲しい。たった一つでもこの手から取りこぼす事が、許せない」
“全て”を求める半神半人の王子、来人。
「秋斗の仇――、お前は、ここで殺す」
振り下ろされる巨大な鎖の刃は回転し、『赫』の鬼の甲殻を砕き、肉を抉り取る。
「グギャアアアアアア!!!!」
ジャリジャリと鎖の擦れる金属音と共に、『赫』の鬼の最後の絶叫が地の色に染まる岩山の世界に木霊する。
宿敵が最後に口にしたのは人の言葉ではなく、鬼の奇怪な鳴き声だった。
『赫』の鬼の核が、ごとりと重い音を立てて落ち、異界の膜がじんわりと溶けて降りて行く。
「――終わったネ」
「来人、やったな」
戦いを終え、来人の元へと駆けて来る二人。
来人の髪色も、白金が抜けて茶へと戻る。
「ガーネ、テイテイ君、ありがとう――」
「おっと」
来人はそう言うと、緊張の糸が切れたみたいにふらりと倒れ、それをテイテイが受け止める。
いつの間には、来人の腕は鎖の鉛色から元の肌色に戻っていた。
「ごめん」
「言っただろ、来人の事は守るって。今度は、親友を失わずに済んだ……」
「ああ、格好良かったよ、親友」
来人は姿勢を立て直し、テイテイと拳を合わせ健闘を称え合う。
幼き頃に親友を殺した『赫』の鬼は来人のその手で殺された。
仇討ちを果たしたのだ。
しかし、親友の秋斗はもう帰って来ない。
復習を果たしても、気持ちは晴れる事は無かった。
全てを求める来人は、満たされない。
(王の力が有れば、秋斗を――)
失った物を、取り戻す。
秋斗を、生き返らせる。
来人は決意を新たに、覇道を突き進む。
中国の百鬼夜行、『赫』の鬼は討たれた。
残すはティルの南極部隊のみ、大異界はあと一つだ。
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フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
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25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。
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この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
悪行貴族のはずれ息子【第1部 魔法講師編】
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「お前みたいな無能は分家がお似合いだ」
幼い頃から魔法を使う事ができた本家の息子リーヴは、そうして魔法の才能がない分家の息子アシックをいつも笑っていた。
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自分が無能と嘲笑っていたアシックが努力し続けた結果、書庫に眠っていた魔法を全て習得し終えていたことを。そして、本家よりも街の人間達から感心を向けられ、分家の力が強まっていることを。
やがて、リーヴがその事実に気付いた時にはもう遅かった。
アシックに追い抜かれた焦りから魔法を再び学び始めたが、今さら才能が実ることもなく二人の差は徐々に広まっていくばかり。
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※登場する人物・団体・名称はすべて現実世界とは全く関係がありません。この物語はフィクションでありファンタジーです。
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