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追いかけるのはどちらの役目

19.いつも側にいるために

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怒ってるだろうか、とか。
呆れてるだろうか、とか。

そもそも扉を開けてくれなかったらどうしようか、とか⋯


“俺すっっっっっごく不安だったんですけどっ!!?”


目の前のキャロンはどこからどうみても怒ってないし、呆れてもない。
というかどうみても得意気というか楽しそうというか⋯


「⋯え、ごめんちょっとキャパオーバーしたからノックするとこからやり直していい?で、キャロンは気怠げにため息を吐きながらの扉オープンでお願いします」
「お前は何を言っている?」
「あっ、いつものキャロンだホッとした⋯」
「おい」


俺の言葉に不可思議そうな表情になったキャロン。

“いやいやいや、不可思議そうな顔したいのこっちですけど!?”


どう考えても最近の俺達はギクシャクしていたはずだが、このあまりにもいつも通りの雰囲気に脱力⋯しすぎた俺はその場にへたりこんでしまって。


「ちょ、エイベルどうした!?」
「あ⋯、なんかちょっと力が抜けたっていうか⋯」

そんな俺を見たキャロンが、慌てて抱き上げそのまま部屋に入れてくれる。


“扉すら開けて貰えないかも、なんて思ってたのになぁ⋯”

そしてごく自然にベッドに俺を座らせ、冷たいフルーツウォーターを差し出してくれた。

たったそれだけの行動だったが、それだけで俺の胸がいっぱいになる。
それはこの数日の全てがまるで俺の勘違いだったかのような錯覚を起こしたが――


「任務で何かあったか?副団長とペアだったんだから怪我するよう事にはならないと思ったんだが⋯」

キャロンのその一言で、俺は一気に現実に引き戻された。


“そうだ、俺はキャロンの相方を外されて⋯”


「キャロン」
「なんだ?」
「まずは、あの日この部屋を飛び出してごめん。祝ってくれようとしてたのに、俺⋯」

静かに話し出した俺の言葉にキャロンはしっかり耳を傾けてくれる。
その事に俺は安堵して。


「けど、やっぱり俺は納得⋯できて、なくて」

でも、納得出来ないからと逃げ出すのは間違っていたと今ならわかるから。

真っ直ぐキャロンの目を見つめると、一瞬驚いたのか目を見開いたキャロンは少しだけ瞼を閉じ、そひてすぐに俺を射貫くように見つめた。

「だからキャロン――」
「⋯好きな奴が、やっと認められたんだ。嬉しいし祝いたいに決まってるだろう?」
「ッ!」

“好きな奴⋯”
ハッキリそう告げられじわりと目頭が熱くなる。


「で、でも。俺が魔法塔に行くってことはもう相方じゃいられなくなるんだぞ。距離だって⋯遠くて⋯っ」
「相方じゃなくなっても俺達は恋人だろう?違うのか」
「ちが⋯わ、ない⋯」

“俺、ちゃんとまだキャロンの恋人なんだ⋯”
当たり前のように断言されたその言葉が、じわりと俺の中に染み込んだ。



「――ここ数日の俺の活躍は見たか?」
「あ、うん⋯凄かったよ。やっぱりキャロンは俺じゃ⋯」
「あぁ。エイベルじゃ“なくても”成果をあげられることを証明した」
「⋯俺、じゃ、なくても?」


微妙なニュアンスに引っ掛かる。
その言い方だと、まるで⋯

「まるで、俺との時も成果をあげてたみたいな⋯」
「は?」
「ひょえっ」
「⋯確かに、目に見える成果を出したのはエイベルだがな」

“スライムのこと、かな⋯?”

ギロッと睨んだキャロンは、すぐに目を伏せため息混じりに話を続けて。

「それでも、俺は⋯いや、俺達は任務をこなし着実に積み上げていただろう。魔力を持たない騎士は魔力を持った魔物に圧倒的に不利だ、違うか?」
「それはそう⋯だけど」


だがキャロンはその能力で『俺とさえ組まなければ』出世確実と言われていたのだ。
どう考えても俺が足を引っ張っていたはずで⋯


「⋯俺がちゃんと任務をこなせているのは、魔法師であるお前がいたからだ、エイベル。お前は最高の相方だ」
「そん、な⋯それは、俺の方こそで⋯」

キャロンは。

“そんな風に俺のことを思ってくれていたんだな⋯”

キャロンの言葉が嬉しくて、まるで今までの俺が報われたように感じた。


「だが、もう大丈夫だ。俺はお前が相方じゃなくても成果をあげられることを証明した。――安心して、行け」
「――ッ、でも、それは⋯っ」
「俺もすぐに追うから」
「⋯⋯へ?」

まるで別れを告げるような言葉のあとに続けられた追うという台詞に、俺はぽかんと顔を上げる。


「折角エイベルと恋人になれたんだ、離れる訳ないだろう?お前は帝都で、俺はここで⋯なんて絶対嫌だぞ」

フン、と鼻を鳴らすキャロンはやはりどこか得意気に見えてこんな話をしているのに少し可笑しい。


「すぐに成果をあげて俺も帝都に栄転する。帝都といえば騎士団本部もあるからな」
「そこを目指す⋯って、こと?」
「バカか」
「えっ!」

“ま、まさかの罵倒!”

確認の言葉をバカという一言で一蹴された俺は唖然とし⋯


「――目指すのは、お前の側だろ」


キャロンの口付けでそれ以上の言葉を封じられた。


数日ぶりに交わすキャロンとのキスは、俺が散々泣いていたせいかどこかしょっぱくて。
そしてそれが、キャロンの恋人だという実感にも繋がり⋯


「ん、ん⋯っ、もっと⋯」
「?どうしたんだエイベル、お前から求めるなんて珍しいな?」
「だって⋯足りない、足りないんだ」
「ッ、あぁ、それは俺もだ」


本能に任せキャロンの体に腕を回したまま座っていたベッドに倒れ込む。
二人してベッドに転がると、ゆっくりキャロンの手が服の裾から中に入ってきた。

「このまま脱がすぞ」
「ん⋯」

“そういや俺、ちゃんとキャロンとするの初めてか⋯?”


初めての時のキャロンは呪われていたし、2回目は強化されていた。
恋人になっての初めてはキャロンが2人に増えてたし⋯

「――ッ」

ある意味これが俺達の初めてだと思うと、急激に意識してしまって。


「なんだ、もうここ勃ちはじめてるぞ」
「ぅ⋯あ、待⋯っ!」

期待から芯を持ちはじめていた俺のソコをキャロンが擦り、輪にした親指と人差し指で軽く扱く。
軽いその刺激だけで俺のはもうふるりと勃ち、先端がじわりと濡れた。


「好きだエイベル」
「俺も」

食むように唇を挟まれたと思えば貪るように舌が入れられて。
キャロンの舌が俺の舌と絡み強く吸われる。

息苦しいほど深く口付けされるだけでもう堪らなくて⋯


「⋯今日は、俺が舐める」
「なっ」

むくりと上体を起こした俺はキャロンのズボンを下着ごとずり下ろすと、既に大きくなっていたキャロンのを一気に喉の奥まで含んだ。

“う⋯ちょっと苦しいかも”

でもその『苦しさ』こそがキャロンが俺を求めてそうなっているのだと思うと堪らなく愛おしくも感じて⋯

「ん、んん⋯っ、きもち、い?」

唇に力を入れながらカリを中心に扱き、舌先で先端をグリグリと刺激する。
根本に添えた指の腹で擦るように血管をなぞり裏スジを刺激した。

“キャロンにもっと気持ち良くなって欲しい⋯”

必死にちゅうちゅうと吸っていると、突然俺の顔をキャロンの手が押さえて抜く。


「えっと、気持ちよく、なかった⋯?」

思わずそう聞くと、うっと言葉を詰まらせたキャロンがどこか気まずそうに目を逸らして。


「⋯いや、正直堪らなかった」
「なら!」
「でも、出すならここがいい」
「ッッ」

俺の体を再びベッドに引っ張り上げたキャロンが、『ここ』と指差したのはもちろん俺の下腹部でー⋯


「⋯待って、すぐに準備するから」

顔だけでなく頭の中まで熱くなったような気がしつつ、そっと自分の指を肛孔に這わせると、そんな俺の腕を掴んだキャロンはそのままごろりと俺を転がしうつ伏せにした。


「!?ちょ⋯っ、キャロ⋯」
「俺がする」
「ま⋯っ、んぁ⋯!?」


そのまま腰を上げさせられた俺は、すぐにぬるりとした熱いものが触れた事に気が付いて。

「だ、だめだからっ、そんなとこ汚⋯っ」
「エイベルに汚いとことかないぞ」
「まっ、舐めながら喋んないで⋯っ、ひぅっ」

ぬぷ、と舌が挿入られる。

「ひゃ、ぁあ⋯!ちが、舌、だめだからぁ⋯っ」
「話すなと言ったから挿入れただけだが?」
「へりくつぅ⋯」

くすりとキャロンが少し笑い、そしてすぐにズポリと今度は親指が抉じ開けるように挿入されて。
その指を追うようにナカを舐められながら解される。

キャロンの唾液のせいか俺のソコからはぐちゅぐちゅと音が溢れていた。



「⋯ほんとはもっとゆっくり解してやりたいんだが」
「ん、俺も⋯も、我慢できな⋯から」
「くっ」

うつ伏せになったままの俺は、右手を後ろに回し自分のそこを広げる。
そんな俺に促されるように自身のソコをあてがったキャロンが、ゆっくり腰を押し進め⋯

ぬぷ、と俺のナカを抉じ開けた。

先端が全部挿入ったタイミングで一気に奥まで貫かれた俺は息を詰める。
苦しさからか、それとも再びキャロンと繋がれた嬉しさからか俺の視界が潤み揺らめいた。

後ろから覆い被さったキャロンが何度も奥を突くと、その反動で俺のが揺れ先端がシーツで擦れる。

その強い刺激ともどかしい刺激が堪らなく俺の頭を痺れさせ、掠めるように俺もシーツで先端を刺激して。


「エイベルはここも感じれたよな?」
「ぁ、⋯⋯ッ!?」

そんな俺に気付いたのか、挿入したままキャロンが軽く体重をかけ俺の耳を噛む。
ガジガジと甘い刺激を与えられた俺は、突然乳首をつねられて。

「ひゃ⋯っ!?ぁ、あぁんっ」
「イってもいいぞ。エイベルがイってもやめないがな」
「や、ぁんっ、あ⋯ッ」

奥をグリグリと刺激しながら指先でカリカリと乳首を引っ掛かれ嬌声が溢れて止まらない。
そんな俺の声すらも楽しむように弄っていたキャロンは、唐突に乳首を解放したかと思ったら俺のをきゅっと握って。


「⋯勝手にシーツで気持ち良くなってたのか?」
「あ、や⋯っ、言わないで⋯っ」
「ごめんなさいは?」
「ごめ、なさ⋯っ!勝手に⋯っ、一人で気持ち良くなって、ごめん⋯なさ⋯っ」
「あぁ、エイベルは悪い子だな。⋯シーツじゃなくて、俺ので気持ち良くならなきゃだろう」
「ひゃぁあっ!」


ぢゅぽぢゅぽと音を立てながら手と腰を同時に動かされる。
その強い刺激が俺の背を、体を駆け巡りぱちぱちと瞳の奥が白く弾けて。


「エイベルのナカ⋯っ、絡み付くようだ⋯!」
「あっ、あんっ、んぁぁっ!」
「くそ、出す、俺もイくからな⋯っ」
「んっ、きてっ、あんっ、きゃろ、出して⋯っ!ナカにちょ⋯だいっ」
「くっ、エイベルっ、エイベル⋯!」

抽挿のスピードを上げたキャロンが、ナカを抉るようにゴツゴツと奥を突き最奥まで捩じ込んで。

どぴゅ、と震えナカで熱いものが広がった。
キャロンが放つと同時に達した俺のもピュッピュとキャロンの手とシーツを汚したのだった。
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