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えっちな呪い

5.それは解呪という名で隠した下心

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「⋯ん、ぁ⋯っ」

ぬるりとしたキャロンの舌が、俺の唇をなぞるように舐める。
促されるように薄く唇を開けると、少し急いたようにぬるりと侵入した舌が俺の舌を絡め取った。

ちゅくちゅくと漏れる音が少し恥ずかしく、しかしそんな事を口に出す余裕などないほど強く扱き吸われるせいで呼吸すらままならない。

そして苦しいほどキャロンに求められる事が、俺には何よりも嬉しくて――


「ん、んっ、きゃろ、キャロン⋯っ」
「あ?あー、悪い、がっつきすぎたか⋯?」

無意識に名前を呼ぶと、唇を離したキャロンがどこか気恥ずかしそうに聞いてくる。


“⋯呪いのせいってわかってるのに”

そんな言い方ひとつすら愛おしく感じ舞い上がる自分がどこか虚しく、そしてその相手が自分であることが堪らない。


「んーん、もっと⋯」

キャロンの首へ回した腕にぎゅ、と力を入れた俺はさっきまでとは違う角度で唇を重ねる。
ちゅ、ちゅと小さく音をたてながら啄んでいると、それがじれったかったのかキャロンの大きな右手が俺の後頭部を包むように添えられ、左腕が俺の腰をしっかり抱えて。


「――ん、わぁ⋯っ!?」

そのまま転がるように、気付けば俺はベッドに組み敷かれていた。


「き、キャロン⋯っ!?」

突然変わった体勢に驚くと、そんな俺を見下ろすキャロンの瞳が劣情を孕んで少し揺れる。


「ー⋯悪いが、もう手遅れだからな」

ポツリと呟くようにそう告げられ、何か言わなくてはいけない気になった俺が口を開くと、言葉を発する前に口内に彼の親指が入れられた。


「ん、ん⋯っ!」

俺の舌と絡めるように、俺の歯列を確認するようにえずかないギリギリを見極めながら親指を動かされる。

“舐めた方がいいのかな”

どういう意図か図りかねつつ、思考をキャロンに委ねた俺が必死にちゅぱちゅぱと舐めているとー⋯


「んぁ!?」

カリッ、と突然胸への刺激に襲われた。
驚いた俺が上半身を起こそうとするものの、キャロンの手が俺の顔を固定していて思うようには動かせない。

なんとか目線だけでも⋯と胸元へ動かすと、服の上から俺の胸へ軽く歯を立てたキャロンと目があって――


“ッ!!”

ドクッと胸が思い切り跳ねる。
そしてそんな鼓動すら楽しむように、俺の口に入れた反対の手が服の中に侵入した。


「――っ、んっ!」

風呂上がりに半裸で説教していたはずなのに、呪いのせいなのかキャロンの手がとても熱い。

熱い手のひらが滑るように俺の肌を這い、柔らかい乳首を起こすように親指で擦られる。

服の上と中、口と手で同時に刺激された俺の両乳首はいとも簡単にツンと主張して。

「⋯尖ってきた」
「ッ、だ⋯って、それはキャロンが⋯!」
「そうか、俺のせいか、なら俺が責任を取らないとな?」
「ひ⋯っ、ぁあ⋯っ!?」

ガバッと服を捲ったキャロンは、露になった先端に吸い付いた。

「あ⋯ッ、き、キャロ⋯っ、吸わないで⋯っ」
「何故」

“何故⋯?”
何故って、それは⋯

そんな質問が返ってくるなんて思わなかった俺は、一瞬戸惑い――


「俺の胸は、女の人と違って何も出ない、し⋯」
「女性だって常に母乳が出るわけじゃないだろう」
「女の人みたいに柔らかくだってないし⋯っ!」
「⋯俺は女を抱こうとしてるんじゃない、エイベル
を抱くんだ」
「え⋯?」

俺の口から指を抜いたキャロンが、捲っていた服をそのまま脱がしバサリとベッドサイドにあったソファへ落とす。

「呪いを解く為の慈善事業のつもりなのかもしれないが――、忘れるな、俺はお前じゃなきゃこんなことしない」
「え?――っ、ぁ⋯!?」

その勢いのまま俺のズボンを下着ごとズラしたキャロンは、散々俺に舐めさせていた親指をつぷ、と尻穴に挿れた。

「女を抱いてるんじゃない、エイベルを、だ。勝手に女と比べるな⋯!」
「や、きゃろ、キャロン⋯っ!」
「ん、良かった、こっちを刺激してもちゃんと勃ったままだな」
「へ⋯?」


俺を見るキャロンの視線が劣情に揺れる。

“女の人の代わりじゃなく、俺を⋯?” 

そんなキャロンの表情に目を奪われていると、突然後ろだけでなく前にも刺激が与えられて。

「――ッ!?」

さっきまで俺の胸を愛撫していた手がいつの間にか移動し、俺のを軽く握る。
そして握られた俺の裏筋を親指の腹でなぞったキャロンは、期待が滲んだ先端をグリッと擦った。


「おい、そんなに締めたら解せないだろう」
「や、だめ⋯っ、一緒に、しちゃ⋯!」

我慢汁を塗りつけるように動かすその刺激が俺の背中に快感を走らせ、無意識に挿れられた反対の親指を締め付ける。

その強い刺激にじわりと目尻に涙が滲むが、それに気付いたキャロンが零れる前に舐め取った。


そのまま唇を頬に滑らせたキャロンが、貪るようだった最初の口付けとは違い俺の唇を軽く食むようにそっと重ねて。

「――きだ」
「ひゃ、ぁあ⋯っ!」

根元から扱かれた俺は嬌声をあげる。


“キャロン、今――?”

自分の声で掻き消したキャロンの声に引っ掛かりを覚えるが、扱く手を止めてくれないせいですぐに思考は奪われてしまって。


「イきそうか?」
「や、ぁ⋯っ!んぁあ⋯っ」

裏筋からカリを何往復もさせつつ、その合間に先端をも擦られると俺のソコは簡単に張り詰めて。

「だめ、イっちゃ、そんなにしたら俺だけ、イっちゃ⋯から⋯!」
「いいぞ、一度イった方が楽にもなるだろ、ほら⋯!」
「や、きゃろ、んぁあっ」

再び乳首に吸い付いたキャロンが軽く歯を立てると、もう限界だった俺はビクビクと達してしまった。

はぁはぁと荒い呼吸を繰り返していると、自身の腹に飛んだ俺の精液を少し掬ったキャロンがよりにもよってペロリと舐めて。


「――ッ!?ちょ、キャロ⋯っ」
「ん?はは、そんなに元気がまだあるならすぐに続けても問題ないな」
「何⋯ひゃぁあ!?」

慌てて俺の精液を掬った手を掴もうと動くと、そんなこと言いながらキャロンの口元が薄く弧を描く。

その表情だけでゾクリと甘い痺れを感じた俺は、馴染ませる為か挿れたまま動かなかったキャロンの親指が突然動きだしてまた嬌声を溢れさせた。


「そのまま力抜いてろ」
「やっ、あっ、あっ⋯!」

ぐにぐにと抽挿するが、俺の唾液だけではやはりいまいち滑りが良くなかったのか親指を抜いたキャロンは俺の両太股を広げるように折り曲げて。

「!!!」

ハッとした時にはもうキャロンが俺のソコに唇を寄せていた。


「だめだって、汚いから⋯っ!」
「そんなことない。それにほら、また勃ってきてるぞ?」
「う⋯っ」

なんとか制止しようと必死に腕を伸ばすが、達したばかりのせいか腕に力が入らずキャロンの淡いハニーブロンドの髪に触れるだけで精一杯で⋯

そしてそんな俺に気付いたのか、少しだけ顔を上げたキャロンが少し眉尻を下げてふっと微笑んだ。


「⋯ッ!」

“いつもは苦笑ばっかなのに”

確かに向けられたその優しげな笑みは確かに俺に向けられたもので、そしてそれだけで俺はまた絶頂に促される。

“今その顔は本当にズルいー⋯”


苦笑だって、好き。
もちろん微笑みだって。

俺はどうしたってキャロンの事が好きなんだ。

だから。


2度目の絶頂を迎えたせいでさっきより荒く呼吸していると、少しだけ心配そうなキャロンと目があった。


「エイベル平気か?俺はここでやめても⋯」
「それだとキャロンの呪い、解けないだろ」
「だが⋯」

気遣うキャロンの言葉を遮るように首を振った俺は、手を伸ばして再びキャロンの見た目よりも柔らかい髪を撫でる。


「⋯俺が、キャロンに抱かれたいんだ」

だから、お願い。

「抱いて、キャロン」


達したばかりで声が上手く出ず、少し掠れてしまうがそれでもしっかり聞き取ってくれたらしいキャロンの喉がごくりと上下する。

上体を起こし、ガリガリと少し考えるように頭を掻いたキャロンは、俺の太股を大きく開き体を寄せて。


「挿れるぞ」

ぼんやりとした頭にポツリとどこか現実味のない言葉が聞こえ、そして俺の穴に固く熱いものがグリッとあてがわれ――


「――ッ!」
「く、きついな⋯」

指と舌で馴らしたソコは、それでもキャロンのを受け入れるにはまだ少し不十分だったのか突っかかる。

「一度、抜くか?」

初めての痛みに歯を食い縛る俺をどこか不安そうに窺うキャロンに、俺は再び首を左右に振って。


「いい、痛くてもいいから⋯っ、そのまま⋯!」


――この行為は呪いを解く為。
だったら忘れないくらい刻んで欲しい。

だって俺は今、好きな人に抱かれているのだから。


“⋯本当は好きだと言いたいけど”

こんなに迷惑をかけてしまっているキャロンを、これ以上困らせたくはないからー⋯

そう思った俺は、『好き』の代わりに彼の名前を必死で呼んだ。
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