一夜の男

詩織

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一夜の男

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う、うそでしょ!?

目が覚めたら、ここは多分ホテルだ。

そして横には...男。

冷静な判断も何もできない。

私は音を立てず急いで服を着て、その場を後にした。



ま、間違いない。

裸だったし、何となく覚えてる。

やってしまってはいる。

ただ顔は思い出せない。

どこで会ってそうなったんだ?

思い出そうとしても思い出せない。

会社の人と二次会まで行ったのはしっかり覚えてる。


その後…

ああ、バーに行った。

帰る時に、こんなところにバーがあったのかっと思って入ったんだった。

そして、そのあと、えっと...

家に帰ってシャワーを浴びる。

よかった昨日金曜日で。もし今日仕事だったら考えて仕事どころではない。


「ひぃ」

無数の体中のキスマーク。

ちょ、ちょっと、これなに?

どんだけ凄かったの!?

いや、凄いとかそういうことでない。何してるんだ私。


記憶をたどったが、バーに入って何かカクテルを飲んだような当たりから記憶がなくなってる。

か、会社の人でないよな?会社の人だったらどうしよう?

頭はそこでいっぱいだった。

元木美衣子もときみいこ。26歳、衣料品会社の販売推進部に所属。やっと最近任される仕事も増えてきてやる気に満ちてる時、昨日も私がやってた仕事がうまくいって、お祝いだ!っと言って課のみんなと飲んでいた。


週明け出勤し、もう心臓が壊れそうだ

「元木さん」

ドキッとする

「おはようございます」

ただの挨拶だ

「おはようございます」

もう、それすらも心臓に悪い。

周りを少しみた。

だ、大丈夫だよな?

肩を叩かれる

「なに?どうしたの?」

同期の黒田篤子くろたあつこに、声かけられた。

「いや、別に」

「なんか様子変」

「そお?」

そ、そんなこと言えないでしょう

それから2週間、その件について誰からも声がかからなかったので、社内ではないのかっと安堵し始めてた。


「今日は本社の方が来て会議があるので、悪いけど用意手伝ってくれないかな?」

部長からヘルプがきて課で数人が手伝いに行くことになった。

その中に私も入っていた。

どうも急な会議になったらしく、資料のコピーやら、席の確保やらで準備の手伝いをする。

本社から10人以上がくるようで、かなりの大きな会議になるようだ。

「悪いけど、誰かお茶人数分買ってきてくれる?」

「あ、私行きます!」

売店にいってお茶を人数分買ってきてほしいということなので、お金を貰い行ってきた。

あと30分で会議が始まるあたりで準備ができ、私たちは会議室を後にした。

その時目の前から、本社の方々が歩いてきた。

立ち止まり頭を下がる。


その時、

目の前に男性もののハンカチが落ちた。

私はハンカチを拾い

「あ、それ私のです」

1人の男性が、こっちに来た。

背も高く、サラサラヘアの好青年って感じの男性だった。

「あ、どうぞ」

「すいません」

っと言って

「起きたら居ないって卑怯じゃない?」

と低い声で妖艶な顔で言われた。

!?

ま、まさか...

彼は本社の人達と会議室に向かっていった。

私はしばらく呆然とするだけだった。


本社の人と私...

で、でもあの人は誰?

全く面識がなかった。



「え?私がですか?」

「2か月ほど、本社に行ってほしいんだが」

このタイミングでまさかの...

たまに本社のほうで人手が足りなく、ヘルプで行くことはこの部署ではよくあるのだが、よりにもよって今って...

結局断ることができず明日から2か月、本社に行くことになった。

「失礼します。F支店よりまいりました。本日より2か月お世話になります元木と言います。」

本社の販売推進部に入り、入口で挨拶をして入った。

「ああ、ヘルプの方ね。部長と課長はあそこにいるから」

っと言われ、言われた方にいって挨拶をする。

「よろしおねがいします」

とまずは部長に挨拶にしにいた。

その後、課長に挨拶をしようとしたが、ちょうど電話しながらメモをしてたので下を向いていて

ああ、挨拶後でもいいかなって思ったときに電話が終わった。

ちょうどよかったっと思い

「失礼します。本日から2か月間...」

「ああ、元木さんね。よろしくお願いします」

そ、そんな...

あの時のあの人が目の前にいる。

「あ、ああ、あの、よろしくおねがいします」

これで仕事できるのか?

課長だし、直接接することはないと思うけど、見るところに居るとなると気になって仕方ない。

そうは言っても、仕事しないとだし

複雑な気持ちを押さえ、仕事に集中するよう頑張った。


1週間もしたころ、仕事には慣れたがやっぱり課長が気になる。

課長の名前は、深田智哉ふかたともや。多分私より5~6歳くらい年上かと思う。

会社を出て歩いたとき

「何か言いたいんじゃないの?」

と言われ、後ろを振り向くと深田課長だった。

「気になるんでしょ?あの夜のこと」

直球に言われ、言葉を失う私。

「覚えてないとか?」

図星過ぎてまたしても言葉を失う。

「す、すいません」

頭を下がるしかないか、もう。


「で、どうする?」

「え?」

どうするって?

「あんな熱い夜、1度きり?」

熱い目で見られ

「忘れたなら思い出させるけど」

身体が熱くなり、言葉が出ない。

私の腕をひっぱり、着いた先は

「ここって、課長のマンションですか?」

「そう俺の家。どうする?」

と言って、

「あの夜を思い出したいなら」

と言って、顔を見る

止まった脚が緩み、そのまま課長のマンションに入っていった。

部屋に入った途端思いっきりキスをされた。

「あっ」

「あの時の君もキスだけで声を出してた」

だって、こんなキス、やばいでしょ?

そしてその後、ベットに運ばれ、服を脱がされる。

「あっ、課長」

「あの時は、智哉って呼んでくれたんだが」

そう言って、服を脱がす手は止めない。

「どお?思い出した?」

といって、首筋にキスをする

「美衣子が感度いいから、燃えるんだけど」

という言葉にゾクっとして


『美衣子のこと知ってたよ前から、俺のこと知ってる?』

『智哉は私のこと知ってるの?』

『ああ、前から知ってる。美衣子は俺のことわからないんだね、美衣子んは感度いいね』


ああ、私、智哉と呼んでた。

少し動きが止まったことで

「どお?思い出した?」

「す、少しだけ」

ニヤって笑い

「じゃこれから、一杯思い出そう」

私はこの先も少しずつ思い出しながら、課長と甘すぎる時間を過ごした。

気が付くと

「え?」

ガッチリと抱きしめられている。

「あ、あの」

「また逃げられてもな」

バーで飲んでた時、元木さん?って声かけてくれて、私は知らなかったけど相手が知ってたので気が緩み意気投合したんだった。

そしてまさかのホテルで

その後はもう...

「美衣子は、身体で終わり?それとも...」

少し間があり

「身体から始める?」

「え?」

「身体の相性はバッチリだし、あとはお互いの相性だと思うけど」

「あ、あの」

「恋人欲しいって言ってたよね?どお?とりあえず俺にしといたら?」


こんないい男に言われて結構です!って断れないよ

私は、彼をぎゅっと抱きしめた。

「いい返事だね」

っと言われ、キスが返ってきた。
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