友達の彼氏

詩織

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友達の彼氏

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友達の彼氏を好きになって半年。

実ることはない恋。

それでも諦められない。

綾田陽菜あやたはるな、20歳。

友達もその彼も同じ大学。

友達は里田梨衣子さとだりいこ、19歳。読者モデルもたまにしている。

その彼、山下駿やましたしゅん、20歳。イケメンで優しいからモテまくってる。

私は別にイケメンだからってわけでないが、よく3人でいることも多いので、その居心地良さにいつの間にか恋をしてしまった。

イケメン、美女カップルなのでお似合いの2人。そこになんで私はみたいな普通のがよくいるの?となるが私は2人のキューピッド役だったので感謝されてる。2人からは大事な友達として…ということかな。

「陽菜、今日バイト?」

「うん」

「最近、陽菜バイト結構入れてるよね」

学食で3人で話してて、たまには3人で遊ぼうと言いたかったのかもかなー

でも、最近はバイトばかり入れてる。

「欲しいものあって、ちょっとね」

曖昧に答えて、少し距離を取りたいんだよね。

2人は優しくってほんと大事に思われてるんだけど…

それもそろそろ辛い。

バイトはカフェ。駅から少し離れてるので激混ってことはあまりない。

「綾田さん最近毎日入ってるね。こっちは有り難いけどね、なんか欲しいのでもあるの?」

「まぁ、そんなことろですかね」

店長さんと、そんな話をしてたら

「綾田さん、頑張り屋ですね」

もう一人のバイトの林田はやしだ君に言われ、そんなんじゃないんだけどなーと思った。

閉店までいて、帰えろうとしたら

「一緒に帰りませんか?」

林田君に言われて一緒に帰った。

林田君は大学1年生。私より1学年下。

大学は同じだけど、学部が違うので学校で会ったことはない。

「綾田さん」

「ん?」

「俺と付き合ってくれませんか?」

「えっ?」

ビックリした。

林田君は爽やか系で、背も高くスポーツ青年みたいな感じ。山下君とはまた別な分類のかっこよさはあるが…

「ちょっとまって、なんで私?」

「なんでって…」

「私平凡でしょ?見た目も」

「そんなこと、ないですよ」

「私みたいな…」

「私みたいなって言い方ダメですよ。綾田さんは気配りあるし、優しさもあるし、それに…」

目をじっと見られ

「自分が好きなのに、友達のだからって応援してるでしょ?」

え?

「学校では会ってないと思ってるようですが、俺はよく3人でいるの見てますよ。楽しく3人で話してる。でも俺、綾田さんのこと好きだから解るんですよ」

「な、なにが?」

「2人のこと好きだからこそ、辛いのが」

私は今まで山下君のこと好きで泣いたことないけど、涙してしまった。

「同情?」

「いやそんなんじゃないです。純粋に綾田さんが好きです」

「林田君…」

「俺と一緒に前に進みませんか?はじめは代わりでもいい。友達からでもいい。きっと俺のこと好きにさせます」

私はただ、泣くしかなかった。



私は林田君とまずは友達からということで、付き合うことにした。

「え?彼氏?」

「いやーまだ友達からってことでね」

山下君と梨衣子はビックリしてる。

「そっかぁー、いつかWデートとかしてみたいね」

「そうだね」

梨衣子は嬉しそうに言っていた。


今日は初デート、なんか緊張するな。

授業が終わり、片付けて待ちあわせ場所に向かおうとしたら

「陽菜」

山下君が後ろにいた。

「これからデート?」

「まぁ、そういうことになるかな」

「行くなって言ったらどうする?」

え?

「ど、どうしたの?」

「俺…」

どういうこと?

「俺、陽菜も好きなんだ」

陽菜も?

「別に二股とかじゃないつもりだけど、でも陽菜も好きなんだ」

「山下君…」

「陽菜も俺のこと…」

この先は聞いちゃダメだ

「山下君!」

泣きそう。でも…

「梨衣子をしっかり捕まえないとダメだよ!幸せにね」

そう言って私は、山下君から背を向けてあるき出した。

山下君は少し呆然としてたのが見えた。

私が進まないと、山下君も進めないのかも。

だから、これでよかったんだ。



「陽菜さん」

そう言って手を差し伸べてくれる林田君。

だから、その手を取って今は進みたい。
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