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第一章
第二話 18 入山蒼
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聖月はよくわからなくて、首をかしげた。 どうしてあの青年は自分をこんなにも見ているのだろうか。
落ち着いた聖月の様子に安心したのか、ケイはもう食べ終わって空になった自分の食事をそのままにして、隣にいる聖月に気になっていたらしい質問をしてきた。
「ねえ、ねえ。聖月って高校生?」
身を乗り出して問いかけるケイに、聖月はたどたどしく答える。
「…うん。いま、高2だよ」
そんな言葉をいったケイは、とたんに楽しそうにはしゃいだ声になった。
「へえ!もっと若く見えるね! 高2かぁー、俺の1個上だねっ」
「いっこうえって…、ケイは高1なの?」
聖月は驚きの表情を隠せないまま、恐る恐る聞く。
「うん。だけど、タメ語でいい?」
気にするのはそこじゃない!
と、思わず叫んでいいそうになった聖月であったが、それをグッと抑え込んだ。それをいったら、彼の機嫌を損ねてしまうだろう。
かなり聖月は内心驚いていた。こう言ってはケイに怒られてしまうのだろうが、ケイは子供のように愛くるしく天使みたいに可愛らしいのだ。
――――ケイが17才? つまりは高校生だったのか!と聖月は思わず叫びそうになってしまった。
聖月自身も童顔だが、ケイの場合はもっと幼く見えるのである。まだ彼のことを中学生だと思っていた聖月にとって、そのケイの告白は衝撃的だった。どう見ても、ケイは中学生ぐらいにしか見えないからだ。
ついさっき顔を近づけられた時ケイが、一瞬美術品に見えた。聖月はそのケイの容姿の美しさに引きこまれ、ケイは男だと分かっているのにドキドキしてしまった。
ケイが今聖月に目が綺麗だといったが、そのままその言葉を彼に返したかった。ケイの瞳はブラウン色で透き通っている。まるでガラス玉のようだった。
「あは、もしかして中学生かと思った?」
結構見られるんだよねぇとその後ケイは話す。
図星を言われ聖月の手が固まった。
「ちっ、ち、違うよっ…」
慌てて否定したが、不自然過ぎるほどどもって返したので完全にケイにそのことがばれてしまったようだった。「あ~、そうデスカ」と軽く言われ、聖月は落ち込んだ。
傷つけてしまったのかと、聖月はケイの顔を覗き込んだ。
「ふぅん、そう。…あのさ、ずっとこっち見てる人いるよね」
ケイは聖月の少し震えている右手をとって、自分のほうへと引き寄せた。
聖月の体がケイのほうにずれて、上半身がケイに預けるような形になった。なんでこんな風になっているのかと、聖月は混乱する。
視界にはケイが聖月の耳に自らの赤い唇を寄せる姿が映る。そして熱い息を聖月に吹きかけた。
急なことに驚いていると、そんな聖月を無視して小声でケイがくすぐったいような甘い声で囁いた。
ケイの熱い吐息が耳にあたり、聖月は身を震わせる。くすぐったかった。
「2つ離れた、ストレートの黒髪で席は左のいちばんはじっこのところのイケメン」
「え……? あ、う、うん」
それは熱っぽい視線を聖月に送っていた青年だった。こっそりと盗み見ると、その青年はご飯を頬張っている最中だった。
ケイもそのことに―――彼の視線について気づいていたようだった。
「あれね、俺の友達なんだ」
ケイの近づけた体からは甘いフローラルの香りがして、聖月は慄(おおの)いた。
同じ男だと云うのにその甘い香りに聖月はうっとりとしてしまう。美少年のケイの顔が側にあって、自分も男だというのに聖月は心臓を早くした。
むせ返るような甘美な芳醇な香りに、聖月は眩暈がした。
こんなに人の体臭で、うっとりしたことがなかったので、なんだか聖月は自分が変態になってしまったようだと思っていた。
それほどにいい匂いがした。このケイという年下の青年は。聖月は自分の変な思考回路に苦笑いしそうになった。
「そう、なんだ」
聖月がつっかえたようにいうと、ケイは小悪魔のようないたずらな笑みを浮かべにっこりとした。
なんでそんな風に笑うのか、聖月には判らなかった。
「入山 蒼(いりやま あおい)っていうんだ。たしか、高2で聖月と同じだね」
「へぇ………」
二つ奥のテーブルのはじっこの椅子で腰掛けている、その入山 蒼という青年に聖月は窺い見た。
だが、それを聖月は後悔した。
また、見ていたのだ。蒼というストイックそうな青年は、ケイを…いや、聖月だけを見つめていたのだ。
落ち着いた聖月の様子に安心したのか、ケイはもう食べ終わって空になった自分の食事をそのままにして、隣にいる聖月に気になっていたらしい質問をしてきた。
「ねえ、ねえ。聖月って高校生?」
身を乗り出して問いかけるケイに、聖月はたどたどしく答える。
「…うん。いま、高2だよ」
そんな言葉をいったケイは、とたんに楽しそうにはしゃいだ声になった。
「へえ!もっと若く見えるね! 高2かぁー、俺の1個上だねっ」
「いっこうえって…、ケイは高1なの?」
聖月は驚きの表情を隠せないまま、恐る恐る聞く。
「うん。だけど、タメ語でいい?」
気にするのはそこじゃない!
と、思わず叫んでいいそうになった聖月であったが、それをグッと抑え込んだ。それをいったら、彼の機嫌を損ねてしまうだろう。
かなり聖月は内心驚いていた。こう言ってはケイに怒られてしまうのだろうが、ケイは子供のように愛くるしく天使みたいに可愛らしいのだ。
――――ケイが17才? つまりは高校生だったのか!と聖月は思わず叫びそうになってしまった。
聖月自身も童顔だが、ケイの場合はもっと幼く見えるのである。まだ彼のことを中学生だと思っていた聖月にとって、そのケイの告白は衝撃的だった。どう見ても、ケイは中学生ぐらいにしか見えないからだ。
ついさっき顔を近づけられた時ケイが、一瞬美術品に見えた。聖月はそのケイの容姿の美しさに引きこまれ、ケイは男だと分かっているのにドキドキしてしまった。
ケイが今聖月に目が綺麗だといったが、そのままその言葉を彼に返したかった。ケイの瞳はブラウン色で透き通っている。まるでガラス玉のようだった。
「あは、もしかして中学生かと思った?」
結構見られるんだよねぇとその後ケイは話す。
図星を言われ聖月の手が固まった。
「ちっ、ち、違うよっ…」
慌てて否定したが、不自然過ぎるほどどもって返したので完全にケイにそのことがばれてしまったようだった。「あ~、そうデスカ」と軽く言われ、聖月は落ち込んだ。
傷つけてしまったのかと、聖月はケイの顔を覗き込んだ。
「ふぅん、そう。…あのさ、ずっとこっち見てる人いるよね」
ケイは聖月の少し震えている右手をとって、自分のほうへと引き寄せた。
聖月の体がケイのほうにずれて、上半身がケイに預けるような形になった。なんでこんな風になっているのかと、聖月は混乱する。
視界にはケイが聖月の耳に自らの赤い唇を寄せる姿が映る。そして熱い息を聖月に吹きかけた。
急なことに驚いていると、そんな聖月を無視して小声でケイがくすぐったいような甘い声で囁いた。
ケイの熱い吐息が耳にあたり、聖月は身を震わせる。くすぐったかった。
「2つ離れた、ストレートの黒髪で席は左のいちばんはじっこのところのイケメン」
「え……? あ、う、うん」
それは熱っぽい視線を聖月に送っていた青年だった。こっそりと盗み見ると、その青年はご飯を頬張っている最中だった。
ケイもそのことに―――彼の視線について気づいていたようだった。
「あれね、俺の友達なんだ」
ケイの近づけた体からは甘いフローラルの香りがして、聖月は慄(おおの)いた。
同じ男だと云うのにその甘い香りに聖月はうっとりとしてしまう。美少年のケイの顔が側にあって、自分も男だというのに聖月は心臓を早くした。
むせ返るような甘美な芳醇な香りに、聖月は眩暈がした。
こんなに人の体臭で、うっとりしたことがなかったので、なんだか聖月は自分が変態になってしまったようだと思っていた。
それほどにいい匂いがした。このケイという年下の青年は。聖月は自分の変な思考回路に苦笑いしそうになった。
「そう、なんだ」
聖月がつっかえたようにいうと、ケイは小悪魔のようないたずらな笑みを浮かべにっこりとした。
なんでそんな風に笑うのか、聖月には判らなかった。
「入山 蒼(いりやま あおい)っていうんだ。たしか、高2で聖月と同じだね」
「へぇ………」
二つ奥のテーブルのはじっこの椅子で腰掛けている、その入山 蒼という青年に聖月は窺い見た。
だが、それを聖月は後悔した。
また、見ていたのだ。蒼というストイックそうな青年は、ケイを…いや、聖月だけを見つめていたのだ。
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