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―――土曜日。
義孝はゆっくりと目を覚ました。今日は、定期健診の日だ。久しぶりに病院に行くということで、義孝はソワソワとしつつ支度する。どうしてか、心が落ち着かなかった。いつも通りの、Tシャツにジーパンといったひねりのもない私服を着て、出かける準備をした。
ぼうっとした頭のなかには、様々な感情が巡る。それを振り払って、義孝は病院に向かうため、ドアを開けた。ぼんやりとしていたらいつの間にか病院に着いていたらしい。
病院に入ると、清潔感のある匂いがした。受付へ行き順番を待っていようとしばらく椅子に腰をかけていたら、声をかけられた。
「こんにちは。久しぶりですね」
後ろを振り向くと、端正な顔の男性が立っていた。
「伊勢さん」
立っていたのは――伊勢透(いせ とおる)だった。義孝をあの事故から助けてくれた、張本人で自分にとっては食事もしあう友人だ。彼はM総合病院で働く医者であり、綺麗にアイロンされている白衣を着て立っていた。
清潔感溢れる人だと思う。周りにはイオンが漂っていそうなほど、透明感があった。だが、それ以上に色気がある人だと感じる。
「定期健診ですか?」
優し気な笑みを浮かべそう問うた。
「ええ、そうですね」
透と会ったのは久しぶりだ。なんだか嬉しくて、自然と笑みが零れる。
透に最後にあったのはお酒を飲んで自分の部屋に泊まらせたとき以来だ。その泊まった家に、侵入者が来たということを彼は知らないはずだ。知っていたら、きっと彼なら駆けつけてきたはずだから。
「久しぶりですよね。あれからちゃんと帰れました?」
義孝が聞くと、一瞬透は固まった。どうしたのだろうと考える前に、笑顔で答えたので義孝はそのことに気づかなかった。
「ええ、帰れましたよ。すいません、お酒で酔ってしまって…とめてもらって、たいした礼もできずに…」
深々と頭を下げられて、義孝に注目が集まった。もちろん、義孝を蔑むような視線だ。ただでさえ透は目立つのに、頭を下げられていたら義孝に対してどんな感情が芽生えるか分からない。慌てて義孝は喋った。
「頭をあげてくださいっ。謝らないでください…、俺がいつも世話になってるんで…」
「…え?」
透は顔をあげ、驚いた顔でこちらをみている。
「いやー…だからえっと…あっ、その傷どうしたんですか?」
言葉が見つからず、目を右往左往させていると、透の白衣の間から見えた手首にあるシップが目に入った。彼は義孝が指摘したことにいたずらが見つかった子供のような顔になって、真っ青になった。
「えっ…これは…前ぶつかってしまって」
確かにシップは大きかった。よく見たら、首にも小さくシップが貼ってある。これは、ずいぶんと派手にぶつかったんだなと義孝は感じた。大きな怪我にならなくてよかったと、ほっとした。義孝は、大丈夫かと聞く。
「そうなんですか。痛そうですね、大丈夫ですか?」
きっと透はぶつかったときの痛みを思い出して、嫌な顔になっているのだろう。複雑そうな顔で、義孝の目線を外した。
「えぇ…すっかりよくなりましたよ」
「よかった」
でも、まだシップが貼ってあるということはまだ痕や痛みが残っているのだろう。透はしきりにシップのあるところを気にしていた。気を紛らわせようと、あの夜あったところを透に伝えた。
「そういえば、伊勢さんは寝てて分からなかったと思うんですけど、夜中に変な人が部屋が入ってきたんですよ」
「えっ…」
透は、驚いているようだった。それもそうだろう。彼は、このことを初めて知ったのだから。
「俺が蹴ったり踏んだりしたんで逃げましたよ」
「大丈夫でしたか?」
「平気です。ケツ触られたんで、撃退しましたよ。むしろ怪我したのは、あっちのほうです。ほんと何者だったんでしょうね。お金うちにあるわけないのに」
「……」
透は苦笑してみせる。
そして、しばらくして重い表情になる。もしかしたら、彼は感じる必要のない責任を感じているのかもしれない。そんなことがあったとは知らなかった――と、自分を恥じている表情だった。義孝は、そうじゃないんだと口を開く。
「伊勢さん、あなたは何も感じなくていいんですよ。結局何もなかったですし」
「……義孝さん」
名前で言われた気にもせず、義孝は透を見詰めた。二人の空気が危ない雰囲気になっていたとき、カバンのなかの携帯が震えた。透が、小さく眉を顰める。その表情を見て、義孝も顔をしかめる。タイミングが悪い。病院にいるときに、電話がかかるなんて。義孝は携帯の表示されている文字を見て、ため息をつきそうになる。
「すみません、ちょっと出てきます」
迷惑になるだろうと、席を立とうとしたら静止の声がかけられた。
「いいですよ。ここで」
「え?」
透は、にこにことどうぞといっている。いいのだろうかと思いながら、義孝は電話に出た。
「どうした」
『どうした?じゃないよ、お兄ちゃん! 昨日の雑誌のこと白状してよね!』
甲高い、女性の声。妹のユイの声だった。
今度会ったときに、と自分からいっていたのに、もうガマンできなくなったのだろう。今の状況からしてそんな妹をタイミングを計れない彼女を微笑ましい気持ちでは受け入れられない。タイミング、というものはつくづく大切だと感じた。
「はぁ? 今、病院だっつうの。帰ったらたっぷりしてやるから」
『そうなの?! タイミング悪かった?』
驚いた様子のユイが、大声を出している。甲高い声が、耳に痛かった。
「悪い、悪い。夜帰って電話してやるからそれまでガマンしてろ」
『はーい。あっ、今日何つくればいいと思う?』
結局、これだ。今日のだんなさんのご飯何がいいと思うかと、ユイは自分自身で決められないときにこうやって聞いてくる。ため息をつきながら、投げやりな回答を送った。
「スパゲッティでいいんじゃねーか?」
『たらこ?』
「そうそう。好きだろ、お前」
『ありがと、お兄ちゃん。夜電話してね!』
「わかったわかった。ちゃんと電話するから。じゃーな」
『じゃぁね!』
終話ボタン押し、義孝ははぁ、と息を吐く。隣をみたら、いつも通りの美形の透がいた。静かだったので、どこかへ行ったのかと思ったが、どうやら待っていてくれていたらしい。
「あ、すいませ――」
そのことを、謝ろうとした義孝に透の美しい口から、威力のある言葉が発せられた。
「彼女ですか?」
「えぇっ」
また、誤解されてる――!?
どう考えても、前から彼女がいると誤解されている気がする。あんなに否定したというのに、何故そこまで疑われるのだろう。
「だから、彼女じゃない――…」
『鈴岡様ー、鈴岡義孝さまー』
アナウンスの声に気を取られていたら、風のように透は消えていた。
町山先生の検診の結果は、簡単なものだった。
――経過良好。リハビリに異常なし。また次も来るように。と、いうことだった。
すぐに終わったので、透を探そうとしたけれど、見つからなかった。なんとなく、透のことが気になった義孝だったが、見つからなかったのでその気になるということを打ち消した。きっと、何か用事があって、いなくなった、それだけだ。
なのに、どうしてこんなに悲しいんだろう。後ろ髪を引かれるような気分で病院を去った。
家に帰って、テレビをぼんやりと見る。特にすることもないので、ユイに電話をすることにした。
「もしもし、義孝だけど」
『あれっ、お兄ちゃんまだ夜じゃないよ』
すぐに妹は出てきた。夜にかけるといった義孝だったが、予定よりもずいぶん早くなってしまった。時間はまだ17時過ぎだった。
「いや、暇だったから電話してみた。いま平気か?」
『うん、いまてきとーにテレビ見てるからへーき』
「俺と一緒だ」
あはは、と二人で笑いあう。やはり、兄妹だからか、会話をしていて落ち着く。同じ家族というのに、何故母と打ち解けられなかったのだろうと、義孝は思う。
『で、あの雑誌どういうことなの?』
興奮しきった様子の、ユイに義孝は、また息をつきたくなる。
だが、息をはいて、義孝はユイに説明していった。
痴漢されていた人をたすけたら、その人がモデルだったということ。その人がお礼にと、モデルの撮影会を見学させてもらったこと。そしてそこで、何故か有名なカメラマンの人のモデルを頼まれたこと。写真を、使わせて貰う言われて承諾したら、広告になっていたこと。
一気に喋ったら、疲れてしまった。そんな義孝の疲れを吹き飛ばすように、ユイが興奮している。
『なにそれすっごい! モデルできるんじゃない、お兄ちゃんっ』
「いやいや、出来ないから」
やんわりと否定すると、電話越しでも拗ねていると分かる声音になった。
『えーなんでよー』
「なんでって、これは奇跡の一枚だから。もうこんなカッコよくとれねえって」
『たしかに~。でもこれめっちゃカッコいいじゃん。よかったね、お兄ちゃん』
否定しないところが、ユイらしくておかしかった。義孝は褒められ慣れていないので、なんだか恥かしい。
「まぁな」
『あっ、そういえばこのお兄ちゃんの写真、大きく電車にのってたよ』
「はああああ?」
思わず驚きと疑問が交じり合って、とてもキツイけんか腰の大声を出した。
――自分の写真が、電車に貼ってある? そんな全国規模で? あの雑誌だけじゃないのか? なんの冗談だ? そう、考えただけで、羞恥心でどうにかなってしまいそうだった。仰天している義孝に、彼女は不思議そうにいう。
『え、見てないのお兄ちゃん』
「見てるわけないだろ! そんなの、聞いてねえよ!」
『うちにいっても知らないよ~…」
「そうだけどさぁ…」
妹のユイにいったってなんの変わりがないことを知っていた。意味のない八つ当たりだ。でも叫ばないとやっていけなかった。
「ウソじゃないよな」
『嘘なんてつくいみないでしょー』
「…だよな」
ユイの言葉に、思わず肩を落としたのだった。
義孝はゆっくりと目を覚ました。今日は、定期健診の日だ。久しぶりに病院に行くということで、義孝はソワソワとしつつ支度する。どうしてか、心が落ち着かなかった。いつも通りの、Tシャツにジーパンといったひねりのもない私服を着て、出かける準備をした。
ぼうっとした頭のなかには、様々な感情が巡る。それを振り払って、義孝は病院に向かうため、ドアを開けた。ぼんやりとしていたらいつの間にか病院に着いていたらしい。
病院に入ると、清潔感のある匂いがした。受付へ行き順番を待っていようとしばらく椅子に腰をかけていたら、声をかけられた。
「こんにちは。久しぶりですね」
後ろを振り向くと、端正な顔の男性が立っていた。
「伊勢さん」
立っていたのは――伊勢透(いせ とおる)だった。義孝をあの事故から助けてくれた、張本人で自分にとっては食事もしあう友人だ。彼はM総合病院で働く医者であり、綺麗にアイロンされている白衣を着て立っていた。
清潔感溢れる人だと思う。周りにはイオンが漂っていそうなほど、透明感があった。だが、それ以上に色気がある人だと感じる。
「定期健診ですか?」
優し気な笑みを浮かべそう問うた。
「ええ、そうですね」
透と会ったのは久しぶりだ。なんだか嬉しくて、自然と笑みが零れる。
透に最後にあったのはお酒を飲んで自分の部屋に泊まらせたとき以来だ。その泊まった家に、侵入者が来たということを彼は知らないはずだ。知っていたら、きっと彼なら駆けつけてきたはずだから。
「久しぶりですよね。あれからちゃんと帰れました?」
義孝が聞くと、一瞬透は固まった。どうしたのだろうと考える前に、笑顔で答えたので義孝はそのことに気づかなかった。
「ええ、帰れましたよ。すいません、お酒で酔ってしまって…とめてもらって、たいした礼もできずに…」
深々と頭を下げられて、義孝に注目が集まった。もちろん、義孝を蔑むような視線だ。ただでさえ透は目立つのに、頭を下げられていたら義孝に対してどんな感情が芽生えるか分からない。慌てて義孝は喋った。
「頭をあげてくださいっ。謝らないでください…、俺がいつも世話になってるんで…」
「…え?」
透は顔をあげ、驚いた顔でこちらをみている。
「いやー…だからえっと…あっ、その傷どうしたんですか?」
言葉が見つからず、目を右往左往させていると、透の白衣の間から見えた手首にあるシップが目に入った。彼は義孝が指摘したことにいたずらが見つかった子供のような顔になって、真っ青になった。
「えっ…これは…前ぶつかってしまって」
確かにシップは大きかった。よく見たら、首にも小さくシップが貼ってある。これは、ずいぶんと派手にぶつかったんだなと義孝は感じた。大きな怪我にならなくてよかったと、ほっとした。義孝は、大丈夫かと聞く。
「そうなんですか。痛そうですね、大丈夫ですか?」
きっと透はぶつかったときの痛みを思い出して、嫌な顔になっているのだろう。複雑そうな顔で、義孝の目線を外した。
「えぇ…すっかりよくなりましたよ」
「よかった」
でも、まだシップが貼ってあるということはまだ痕や痛みが残っているのだろう。透はしきりにシップのあるところを気にしていた。気を紛らわせようと、あの夜あったところを透に伝えた。
「そういえば、伊勢さんは寝てて分からなかったと思うんですけど、夜中に変な人が部屋が入ってきたんですよ」
「えっ…」
透は、驚いているようだった。それもそうだろう。彼は、このことを初めて知ったのだから。
「俺が蹴ったり踏んだりしたんで逃げましたよ」
「大丈夫でしたか?」
「平気です。ケツ触られたんで、撃退しましたよ。むしろ怪我したのは、あっちのほうです。ほんと何者だったんでしょうね。お金うちにあるわけないのに」
「……」
透は苦笑してみせる。
そして、しばらくして重い表情になる。もしかしたら、彼は感じる必要のない責任を感じているのかもしれない。そんなことがあったとは知らなかった――と、自分を恥じている表情だった。義孝は、そうじゃないんだと口を開く。
「伊勢さん、あなたは何も感じなくていいんですよ。結局何もなかったですし」
「……義孝さん」
名前で言われた気にもせず、義孝は透を見詰めた。二人の空気が危ない雰囲気になっていたとき、カバンのなかの携帯が震えた。透が、小さく眉を顰める。その表情を見て、義孝も顔をしかめる。タイミングが悪い。病院にいるときに、電話がかかるなんて。義孝は携帯の表示されている文字を見て、ため息をつきそうになる。
「すみません、ちょっと出てきます」
迷惑になるだろうと、席を立とうとしたら静止の声がかけられた。
「いいですよ。ここで」
「え?」
透は、にこにことどうぞといっている。いいのだろうかと思いながら、義孝は電話に出た。
「どうした」
『どうした?じゃないよ、お兄ちゃん! 昨日の雑誌のこと白状してよね!』
甲高い、女性の声。妹のユイの声だった。
今度会ったときに、と自分からいっていたのに、もうガマンできなくなったのだろう。今の状況からしてそんな妹をタイミングを計れない彼女を微笑ましい気持ちでは受け入れられない。タイミング、というものはつくづく大切だと感じた。
「はぁ? 今、病院だっつうの。帰ったらたっぷりしてやるから」
『そうなの?! タイミング悪かった?』
驚いた様子のユイが、大声を出している。甲高い声が、耳に痛かった。
「悪い、悪い。夜帰って電話してやるからそれまでガマンしてろ」
『はーい。あっ、今日何つくればいいと思う?』
結局、これだ。今日のだんなさんのご飯何がいいと思うかと、ユイは自分自身で決められないときにこうやって聞いてくる。ため息をつきながら、投げやりな回答を送った。
「スパゲッティでいいんじゃねーか?」
『たらこ?』
「そうそう。好きだろ、お前」
『ありがと、お兄ちゃん。夜電話してね!』
「わかったわかった。ちゃんと電話するから。じゃーな」
『じゃぁね!』
終話ボタン押し、義孝ははぁ、と息を吐く。隣をみたら、いつも通りの美形の透がいた。静かだったので、どこかへ行ったのかと思ったが、どうやら待っていてくれていたらしい。
「あ、すいませ――」
そのことを、謝ろうとした義孝に透の美しい口から、威力のある言葉が発せられた。
「彼女ですか?」
「えぇっ」
また、誤解されてる――!?
どう考えても、前から彼女がいると誤解されている気がする。あんなに否定したというのに、何故そこまで疑われるのだろう。
「だから、彼女じゃない――…」
『鈴岡様ー、鈴岡義孝さまー』
アナウンスの声に気を取られていたら、風のように透は消えていた。
町山先生の検診の結果は、簡単なものだった。
――経過良好。リハビリに異常なし。また次も来るように。と、いうことだった。
すぐに終わったので、透を探そうとしたけれど、見つからなかった。なんとなく、透のことが気になった義孝だったが、見つからなかったのでその気になるということを打ち消した。きっと、何か用事があって、いなくなった、それだけだ。
なのに、どうしてこんなに悲しいんだろう。後ろ髪を引かれるような気分で病院を去った。
家に帰って、テレビをぼんやりと見る。特にすることもないので、ユイに電話をすることにした。
「もしもし、義孝だけど」
『あれっ、お兄ちゃんまだ夜じゃないよ』
すぐに妹は出てきた。夜にかけるといった義孝だったが、予定よりもずいぶん早くなってしまった。時間はまだ17時過ぎだった。
「いや、暇だったから電話してみた。いま平気か?」
『うん、いまてきとーにテレビ見てるからへーき』
「俺と一緒だ」
あはは、と二人で笑いあう。やはり、兄妹だからか、会話をしていて落ち着く。同じ家族というのに、何故母と打ち解けられなかったのだろうと、義孝は思う。
『で、あの雑誌どういうことなの?』
興奮しきった様子の、ユイに義孝は、また息をつきたくなる。
だが、息をはいて、義孝はユイに説明していった。
痴漢されていた人をたすけたら、その人がモデルだったということ。その人がお礼にと、モデルの撮影会を見学させてもらったこと。そしてそこで、何故か有名なカメラマンの人のモデルを頼まれたこと。写真を、使わせて貰う言われて承諾したら、広告になっていたこと。
一気に喋ったら、疲れてしまった。そんな義孝の疲れを吹き飛ばすように、ユイが興奮している。
『なにそれすっごい! モデルできるんじゃない、お兄ちゃんっ』
「いやいや、出来ないから」
やんわりと否定すると、電話越しでも拗ねていると分かる声音になった。
『えーなんでよー』
「なんでって、これは奇跡の一枚だから。もうこんなカッコよくとれねえって」
『たしかに~。でもこれめっちゃカッコいいじゃん。よかったね、お兄ちゃん』
否定しないところが、ユイらしくておかしかった。義孝は褒められ慣れていないので、なんだか恥かしい。
「まぁな」
『あっ、そういえばこのお兄ちゃんの写真、大きく電車にのってたよ』
「はああああ?」
思わず驚きと疑問が交じり合って、とてもキツイけんか腰の大声を出した。
――自分の写真が、電車に貼ってある? そんな全国規模で? あの雑誌だけじゃないのか? なんの冗談だ? そう、考えただけで、羞恥心でどうにかなってしまいそうだった。仰天している義孝に、彼女は不思議そうにいう。
『え、見てないのお兄ちゃん』
「見てるわけないだろ! そんなの、聞いてねえよ!」
『うちにいっても知らないよ~…」
「そうだけどさぁ…」
妹のユイにいったってなんの変わりがないことを知っていた。意味のない八つ当たりだ。でも叫ばないとやっていけなかった。
「ウソじゃないよな」
『嘘なんてつくいみないでしょー』
「…だよな」
ユイの言葉に、思わず肩を落としたのだった。
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