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第3章 入団までの1年間(2)、帝国の陰謀とグラナダ迷宮
71:アルフォンス(アルフレッド)は迷宮探索に行きたい
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目の前で、詠唱省略の転移魔法なんてとんでもないモノを使い、覆面の男が・・・・勇者が掻き消えた。
「ハッ。逃げられたか・・・・」
周囲を見渡し、神殿の庭には誰もいないことを確かめ、オレ、<レイ皇国王弟>アルフォンス・レイこと、<A級冒険者>のアルフレッド・ブラッドレイはぽつりとそうこぼす。
軽く剣を振りながら、自分の全身を、確かめる。
転移する直前、あの覆面の勇者はオレに<ヒーリング>というこの世界では誰も使えない、回復魔法をかけていった。
「こりゃ、すげぇなぁ。・・・・いまなら飛竜でも一撃で倒せそうだ」
さっきまで血が足りなくて、視界がぼんやりしていた。なのに、いまは体中、力がみなぎっている。
左手首を見ると、そこは生まれたての赤ん坊のような肌になっていた。
ここには昔負った古傷があったはずなのに、それすら治っていた。
・・・だが・・・・。
「ん?・・・・なんだこの痣」
代わりと言っては何だが、見たことのない痣が左の手のひらの内側にできていた。
それこそ飛竜のような形にも見えるものが。
「・・・回復魔法の代償か?それとも、何かされたかぁ・・・・・?」
まぁ、いま悩んでも分からないのだ、気にしてもしょうがない。
また会いに来るっつってたし、その時にでも聞けばいい。
命令さえされていなければ、人を殺したいとも思ってなさそうな奴だったしな。
頭を掻きつつ、空をながめる。・・・・・まだ日が昇っていない。
「しゃあない。逃げられたし、フレドが目を覚ますまで、やっぱりライゼのところにでも行くか」
ここに来た当初の目的を思い出し、ハッと鼻をならす。
そして、あいつが起きるまでの暇つぶしをするため、改めて厩舎に足を向ける。
今の出来事を王族として、兄である王に伝える必要がある。
兄なら何かしら、勇者の隷属の腕輪を取る方法を知っているかもしれないし、勇者を隷属化して何か企む国がある以上、できるだけ早急に対処する必要もある。
が・・・・・・連絡をとるにしても、病室にあるカバンを漁らなきゃできない。
だが・・・・あいつが起きるまであの部屋には・・・・・戻れねぇ。
だから、やっぱりやることは変わらない。
そうして、足を向けたところで、後ろから声を掛けられた。
「アル!・・あ~、よかった。急にいなくなったから、心配したんだぞ」
同じ病室のひげ面男、B級冒険者のイェルクだ。
「お前なぁ。散歩できる体調じゃないだろ?何やってんだよっっ!」
「うるせぇ、もう治った。・・・というか、お前こそどこ行ってたんだぁ?」
そういや、こいつはオレが起きたとき、病室にいなかった。
もしいたら、オレは、さすがに色々我慢できたはずなのに・・・・
・・・・・・いや、いても我慢できねぇな。
「娼館だよ」
「はぁ、その腕で・・・?バッカじゃねぇの」
まさかの答えに、オレはけらけら笑う。
「うるせぇ!日が昇ったら朝の回診だ・・・戻るぞ!!」
だが・・・・まだ日が昇っていない。あいつは起きてないだろうなぁ。一瞬、迷ったが、イェルクと戻ることにした。
もう一度・・・あいつが起きる前に、女の服を着ているあいつの姿を目に焼き付けたいと思ったのだ。
そうして病室に戻ったオレは拍子抜けした。
あいつは起きていたし・・・・起き抜けに見た女性服は幻だったのかと思うほど・・・・しっかりと男性冒険者の服を着こんでいたから。
「ああ、アルフレッド殿・・・・いえ、アル。おはようございます」
そう言ってほほ笑むフレドの顔。
すげぇ胸が高鳴る。
フレドの姿を上から下まで眺める。
オレが買った冒険者服じゃないが、金色の髪に碧眼の、こいつの色に妙になじんでいる服だった。
(ああ、抱きしめてぇなぁ・・・)
・・・・・だが、イェルクならまだしも、神殿の人間に見られたらさすがにまずいか・・・・。
まぁ、オレは気にしないが、こいつは冒険者登録しているとはいえ、公爵家子息だ。
神殿関係者には、貴族の子息が割といる。こいつのこと知ってるやつがいて、妙な噂でも立ったら、貴族社会で生きづらいだろう。
いっそ、瑕疵でもできて、結婚できなくなれば・・・と思うが、そうもいかねぇだろうし。
こいつを不幸にもしたくねぇ。
ああ、なんだって、こいつは公爵家嫡男なんだ。
未来のない現実が・・・・すっげぇ苦しい。
オレらしくもなく、少し感傷に浸っていたら、少し冷たい指先が首筋に触れた。
「・・・・・っっ」
「熱はなさそうですね・・・・?」
背が足りなかったのか、額ではなく、首元で熱を測ったのだろう。
そう首を傾げながら、フレドは呟いた。
首元に触れる手の感触が、イヤに艶めかしく感じる。
(ああ・・・っ、こいつは・・・・・・・・我慢できねぇな・・・・・)
ぐいっとあいつの手を掴み、耳元に顔を寄せる。
「今日は、一緒に迷宮に行こうな?」
うん。やっぱ迷宮しかねぇな。二人きりになりやすいし、オレたち二人なら中階層までなら雑魚しかいねぇ。つまり、いろいろやりやすい。
フレドの顔をそっと覗くと、潤んだ瞳でこちらを見上げていた。顔が真っ赤だ。耳まで赤い。
(やべぇ、すげぇ可愛い・・・・)
思わず、口角が上がる。
「いや。・・・アルは、しばらく療養じゃないですか。それに・・・・私は今日から、指名依頼で2・3週間ほどは迷宮に潜る約束をしていますので・・・・・」
「・・・・あ”ぁ?」
誰だ、オレのフレドを勝手に迷宮に誘ったやつは。
せっかく上機嫌だったのに、その一言で、オレの機嫌は一気に降下した。
「ハッ。逃げられたか・・・・」
周囲を見渡し、神殿の庭には誰もいないことを確かめ、オレ、<レイ皇国王弟>アルフォンス・レイこと、<A級冒険者>のアルフレッド・ブラッドレイはぽつりとそうこぼす。
軽く剣を振りながら、自分の全身を、確かめる。
転移する直前、あの覆面の勇者はオレに<ヒーリング>というこの世界では誰も使えない、回復魔法をかけていった。
「こりゃ、すげぇなぁ。・・・・いまなら飛竜でも一撃で倒せそうだ」
さっきまで血が足りなくて、視界がぼんやりしていた。なのに、いまは体中、力がみなぎっている。
左手首を見ると、そこは生まれたての赤ん坊のような肌になっていた。
ここには昔負った古傷があったはずなのに、それすら治っていた。
・・・だが・・・・。
「ん?・・・・なんだこの痣」
代わりと言っては何だが、見たことのない痣が左の手のひらの内側にできていた。
それこそ飛竜のような形にも見えるものが。
「・・・回復魔法の代償か?それとも、何かされたかぁ・・・・・?」
まぁ、いま悩んでも分からないのだ、気にしてもしょうがない。
また会いに来るっつってたし、その時にでも聞けばいい。
命令さえされていなければ、人を殺したいとも思ってなさそうな奴だったしな。
頭を掻きつつ、空をながめる。・・・・・まだ日が昇っていない。
「しゃあない。逃げられたし、フレドが目を覚ますまで、やっぱりライゼのところにでも行くか」
ここに来た当初の目的を思い出し、ハッと鼻をならす。
そして、あいつが起きるまでの暇つぶしをするため、改めて厩舎に足を向ける。
今の出来事を王族として、兄である王に伝える必要がある。
兄なら何かしら、勇者の隷属の腕輪を取る方法を知っているかもしれないし、勇者を隷属化して何か企む国がある以上、できるだけ早急に対処する必要もある。
が・・・・・・連絡をとるにしても、病室にあるカバンを漁らなきゃできない。
だが・・・・あいつが起きるまであの部屋には・・・・・戻れねぇ。
だから、やっぱりやることは変わらない。
そうして、足を向けたところで、後ろから声を掛けられた。
「アル!・・あ~、よかった。急にいなくなったから、心配したんだぞ」
同じ病室のひげ面男、B級冒険者のイェルクだ。
「お前なぁ。散歩できる体調じゃないだろ?何やってんだよっっ!」
「うるせぇ、もう治った。・・・というか、お前こそどこ行ってたんだぁ?」
そういや、こいつはオレが起きたとき、病室にいなかった。
もしいたら、オレは、さすがに色々我慢できたはずなのに・・・・
・・・・・・いや、いても我慢できねぇな。
「娼館だよ」
「はぁ、その腕で・・・?バッカじゃねぇの」
まさかの答えに、オレはけらけら笑う。
「うるせぇ!日が昇ったら朝の回診だ・・・戻るぞ!!」
だが・・・・まだ日が昇っていない。あいつは起きてないだろうなぁ。一瞬、迷ったが、イェルクと戻ることにした。
もう一度・・・あいつが起きる前に、女の服を着ているあいつの姿を目に焼き付けたいと思ったのだ。
そうして病室に戻ったオレは拍子抜けした。
あいつは起きていたし・・・・起き抜けに見た女性服は幻だったのかと思うほど・・・・しっかりと男性冒険者の服を着こんでいたから。
「ああ、アルフレッド殿・・・・いえ、アル。おはようございます」
そう言ってほほ笑むフレドの顔。
すげぇ胸が高鳴る。
フレドの姿を上から下まで眺める。
オレが買った冒険者服じゃないが、金色の髪に碧眼の、こいつの色に妙になじんでいる服だった。
(ああ、抱きしめてぇなぁ・・・)
・・・・・だが、イェルクならまだしも、神殿の人間に見られたらさすがにまずいか・・・・。
まぁ、オレは気にしないが、こいつは冒険者登録しているとはいえ、公爵家子息だ。
神殿関係者には、貴族の子息が割といる。こいつのこと知ってるやつがいて、妙な噂でも立ったら、貴族社会で生きづらいだろう。
いっそ、瑕疵でもできて、結婚できなくなれば・・・と思うが、そうもいかねぇだろうし。
こいつを不幸にもしたくねぇ。
ああ、なんだって、こいつは公爵家嫡男なんだ。
未来のない現実が・・・・すっげぇ苦しい。
オレらしくもなく、少し感傷に浸っていたら、少し冷たい指先が首筋に触れた。
「・・・・・っっ」
「熱はなさそうですね・・・・?」
背が足りなかったのか、額ではなく、首元で熱を測ったのだろう。
そう首を傾げながら、フレドは呟いた。
首元に触れる手の感触が、イヤに艶めかしく感じる。
(ああ・・・っ、こいつは・・・・・・・・我慢できねぇな・・・・・)
ぐいっとあいつの手を掴み、耳元に顔を寄せる。
「今日は、一緒に迷宮に行こうな?」
うん。やっぱ迷宮しかねぇな。二人きりになりやすいし、オレたち二人なら中階層までなら雑魚しかいねぇ。つまり、いろいろやりやすい。
フレドの顔をそっと覗くと、潤んだ瞳でこちらを見上げていた。顔が真っ赤だ。耳まで赤い。
(やべぇ、すげぇ可愛い・・・・)
思わず、口角が上がる。
「いや。・・・アルは、しばらく療養じゃないですか。それに・・・・私は今日から、指名依頼で2・3週間ほどは迷宮に潜る約束をしていますので・・・・・」
「・・・・あ”ぁ?」
誰だ、オレのフレドを勝手に迷宮に誘ったやつは。
せっかく上機嫌だったのに、その一言で、オレの機嫌は一気に降下した。
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