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第3章 入団までの1年間(2)、帝国の陰謀とグラナダ迷宮
46:鍛錬2日目・神殿の夜
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南の領地、迷宮都市<アッシド>にある神殿。
ちょうど1時間後、厩舎から戻った私は、予定通りアルフレッド(アルフォンス)を連れて、緊急処置用の部屋から、経過観察用の部屋に移った。
まだアルフレッドは目を覚まさないので、アルフレッドを抱え廊下を歩く。
先ほどと同じ神官見習いの女性に案内されて着いた経過観察用の部屋。
その部屋に入るとそこは、6人ほどの相部屋だった。
均等にベッドが置かれ、その間に仕切りのような板が申し訳程度に立っている。
6人部屋とはいえ、いまはそれほど患者がいないのか、アルフレッドの他には、40代ほどの渋い顔をした<ひげ面の男>がいるだけだった。
両腕が固定されているところを見ると、骨折での入院だろう。
その<ひげ面男>は、私を見た瞬間、ぽかんと口を開けた。
まぁ、確かに160cmほどしか身長のない少年がアルフレッドのような巨漢を楽々と抱えていたら、確かに驚くかもしれない、そう心の中で納得する。
目が合ったので、挨拶がてら、とりあえず微笑む。公爵子息教育で得たあの優雅なほほ笑みだ。
すると、男は眉間にしわを寄せた後、ふいっと視線をそらした。
その様子に思わず、私は肩をすくめる。
「こちらが、アルフレッドさんのベッドになります」
神官見習いの女性がそんな私たちの様子に気付かず、ベッドに近寄り、膝をつきながら声をかけてくれた。18歳前後だろうか。私の方を潤んだ瞳で見上げてきて、可愛い。
(やはりこの世界は美形率が高いな)
心の中で納得しながら、お礼がてら微笑む。やはり公爵子息教育で得たあの優雅なほほ笑みだ。
「・・・あっ。あの、私クラーラって言います!何かあったら、すぐ私を呼んでください!!な・・なんでもしますから!!!」
突然そう叫ぶと、顔を真っ赤にした彼女は一礼して、出て行った。よく分からないが、いい子らしい。肩をすくめつつ、ベッドに近づく。
教えてもらったベッドのある位置は窓際で、扉付近の<ひげ面の男>とはちょうど対極。仕切り板のおかげでお互いの姿は見えなくなっている。
アルフレッドをそっとベッドに寝かせると、なんだか私も眠くなってきた。
まだ夕方だというのに。
(今日いろいろあったせいだろう。寝るか・・・・。
夕ご飯は食べていないが、手持ちのお金がないからどうしようもないしな。
・・・とりあえず服がほこりまみれ、血まみれだ。・・・着替えだけはするか・・・)
そうぼんやり思考するが、アルフレッドに強引に連れてこられたせいで、着替えさえ持っていないことに気づいた。
(まぁ、不可抗力だ・・・・・アルフレッドの服・・・・借りよう)
「・・・・服、借りますね」
一応意識のないアルフレッドの耳元で声をかけてから、アルフレッドのカバンを勝手に漁る。すると、ちょうどいい具合の白いシャツを見つけた。
それに着替えると身長差のせいか、裾がひざ下まであった。
(これなら、トラウザーズは借りなくても大丈夫そうだな)
そう1人納得し、寝る態勢に入る。
しかし見渡しても、病人用のベッドしかなく、日本の病院のように付添い用の簡易ベッドやソファーはなさそうだ。
空いている病人用のベッドに勝手に寝るのは、さすがにまずいだろう。
チラッとアルフレッドを見ると、彼の大きさにも関わらず、そのベッドには余裕があった。病人用のベッドはかなり大きめのようだ。
おもむろに近づき、アルフレッドの横に寝っ転がる。
(やはり、私が隣で寝ても、全然余裕だな)
念のために、周囲に<気配察知>魔法とあらゆるモノから対象を守る風魔法<エアロ>をかけ、目を閉じる。
私の中の貴族令嬢・レティシアが何か言っている気がするが、今の私は全く気にならない。
なぜなら、今の私は最高に眠いのである。
ちょうど1時間後、厩舎から戻った私は、予定通りアルフレッド(アルフォンス)を連れて、緊急処置用の部屋から、経過観察用の部屋に移った。
まだアルフレッドは目を覚まさないので、アルフレッドを抱え廊下を歩く。
先ほどと同じ神官見習いの女性に案内されて着いた経過観察用の部屋。
その部屋に入るとそこは、6人ほどの相部屋だった。
均等にベッドが置かれ、その間に仕切りのような板が申し訳程度に立っている。
6人部屋とはいえ、いまはそれほど患者がいないのか、アルフレッドの他には、40代ほどの渋い顔をした<ひげ面の男>がいるだけだった。
両腕が固定されているところを見ると、骨折での入院だろう。
その<ひげ面男>は、私を見た瞬間、ぽかんと口を開けた。
まぁ、確かに160cmほどしか身長のない少年がアルフレッドのような巨漢を楽々と抱えていたら、確かに驚くかもしれない、そう心の中で納得する。
目が合ったので、挨拶がてら、とりあえず微笑む。公爵子息教育で得たあの優雅なほほ笑みだ。
すると、男は眉間にしわを寄せた後、ふいっと視線をそらした。
その様子に思わず、私は肩をすくめる。
「こちらが、アルフレッドさんのベッドになります」
神官見習いの女性がそんな私たちの様子に気付かず、ベッドに近寄り、膝をつきながら声をかけてくれた。18歳前後だろうか。私の方を潤んだ瞳で見上げてきて、可愛い。
(やはりこの世界は美形率が高いな)
心の中で納得しながら、お礼がてら微笑む。やはり公爵子息教育で得たあの優雅なほほ笑みだ。
「・・・あっ。あの、私クラーラって言います!何かあったら、すぐ私を呼んでください!!な・・なんでもしますから!!!」
突然そう叫ぶと、顔を真っ赤にした彼女は一礼して、出て行った。よく分からないが、いい子らしい。肩をすくめつつ、ベッドに近づく。
教えてもらったベッドのある位置は窓際で、扉付近の<ひげ面の男>とはちょうど対極。仕切り板のおかげでお互いの姿は見えなくなっている。
アルフレッドをそっとベッドに寝かせると、なんだか私も眠くなってきた。
まだ夕方だというのに。
(今日いろいろあったせいだろう。寝るか・・・・。
夕ご飯は食べていないが、手持ちのお金がないからどうしようもないしな。
・・・とりあえず服がほこりまみれ、血まみれだ。・・・着替えだけはするか・・・)
そうぼんやり思考するが、アルフレッドに強引に連れてこられたせいで、着替えさえ持っていないことに気づいた。
(まぁ、不可抗力だ・・・・・アルフレッドの服・・・・借りよう)
「・・・・服、借りますね」
一応意識のないアルフレッドの耳元で声をかけてから、アルフレッドのカバンを勝手に漁る。すると、ちょうどいい具合の白いシャツを見つけた。
それに着替えると身長差のせいか、裾がひざ下まであった。
(これなら、トラウザーズは借りなくても大丈夫そうだな)
そう1人納得し、寝る態勢に入る。
しかし見渡しても、病人用のベッドしかなく、日本の病院のように付添い用の簡易ベッドやソファーはなさそうだ。
空いている病人用のベッドに勝手に寝るのは、さすがにまずいだろう。
チラッとアルフレッドを見ると、彼の大きさにも関わらず、そのベッドには余裕があった。病人用のベッドはかなり大きめのようだ。
おもむろに近づき、アルフレッドの横に寝っ転がる。
(やはり、私が隣で寝ても、全然余裕だな)
念のために、周囲に<気配察知>魔法とあらゆるモノから対象を守る風魔法<エアロ>をかけ、目を閉じる。
私の中の貴族令嬢・レティシアが何か言っている気がするが、今の私は全く気にならない。
なぜなら、今の私は最高に眠いのである。
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