ラブ米書いてみた

永久保セツナ

文字の大きさ
上 下
9 / 11
ラブ米書いてみた~スリーアウト~

第9話 狗郎と雪華の登校風景

しおりを挟む
「あ、にゃんこ」
登校中に、突然隣で姫月ひめづき雪華ゆきかが言った。
雪華の視線を追うと、確かに道の端に猫がいる。
「ホントだ。猫だ」
俺、下田しもだ狗郎くろうはそう返した。
「ちょっと触ってきていいですか」
雪華は相変わらずの無表情で俺に問う。
「ああ、いいよ。まだ時間あるし」
俺はケータイを取り出し、時間を確認して言った。
っていうか、『にゃんこ』って言ったよ雪華。可愛いなオイ。
雪華は、そっと猫に近寄って、目の前に手を差し出す。人懐っこい猫らしく、くんくんと雪華の手の匂いを嗅ぐと、ペロッとなめ始めた。
俺も雪華の手なめたいハアハア。
雪華は俺の邪心に気づいたのか、眉間にしわを寄せて俺を睨んだ。時々、雪華は俺の心が読めるらしい。そこまで俺を想っているのか、と思いきや、本人いわく、『先輩の考えていることは単純でわかりやすいです。っていうか、知りたくもないのにダダ漏れです。やめて下さい迷惑なんで』らしい。
みんな、わかってあげて! この子恥ずかしがり屋なの! 一種のツンデレなの! 可愛いな全く!
と考えている間に、雪華と猫は打ち解けたらしい。猫は雪華に身を任せ、雪華はかすかに笑みを浮かべながら猫の頭や体をなでている。
その光景があまりに可愛く和やかだったので、手に持っていたケータイで撮影した。
ピロリロリン♪
予想以上にシャッター音が大きかった。
猫はその音に驚いて、一瞬毛を逆立てて逃げてしまった。
「あ……」
雪華は残念そうな声を上げて、逃げ去る猫を見送った。
「……あ、そろそろ時間だぞ。行こう行こう」
俺は雪華に声をかけた。
「下田先輩てめえ何さらしとんじゃゴルアアア!」
雪華は俺のみぞおちを回転を加えて思いっきり殴った。
「グッハウ!」
俺は思わず変な声を出してうずくまる。
「謝れ……お前まず謝れ……」
雪華はうずくまる俺の胸ぐらをつかんで、俺を見下してボソボソ呟いた。とても先輩にする仕打ちとは思えない。
「……すいませんでした……あの……ほんとにすいません……」
散々な朝だったが、雪華の微笑写真が撮れたので、まあ良しとしよう。

〈続く〉
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

JKがいつもしていること

フルーツパフェ
大衆娯楽
平凡な女子高生達の日常を描く日常の叙事詩。 挿絵から御察しの通り、それ以外、言いようがありません。

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

校長先生の話が長い、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
学校によっては、毎週聞かされることになる校長先生の挨拶。 学校で一番多忙なはずのトップの話はなぜこんなにも長いのか。 とあるテレビ番組で関連書籍が取り上げられたが、実はそれが理由ではなかった。 寒々とした体育館で長時間体育座りをさせられるのはなぜ? なぜ女子だけが前列に集められるのか? そこには生徒が知りえることのない深い闇があった。 新年を迎え各地で始業式が始まるこの季節。 あなたの学校でも、実際に起きていることかもしれない。

女子高生は卒業間近の先輩に告白する。全裸で。

矢木羽研
恋愛
図書委員の女子高生(小柄ちっぱい眼鏡)が、卒業間近の先輩男子に告白します。全裸で。 女の子が裸になるだけの話。それ以上の行為はありません。 取って付けたようなバレンタインネタあり。 カクヨムでも同内容で公開しています。

美少女幼馴染が火照って喘いでいる

サドラ
恋愛
高校生の主人公。ある日、風でも引いてそうな幼馴染の姿を見るがその後、彼女の家から変な喘ぎ声が聞こえてくるー

夜の公園、誰かが喘いでる

ヘロディア
恋愛
塾の居残りに引っかかった主人公。 しかし、帰り道に近道をしたところ、夜の公園から喘ぎ声が聞こえてきて…

壁の薄いアパートで、隣の部屋から喘ぎ声がする

サドラ
恋愛
最近付き合い始めた彼女とアパートにいる主人公。しかし、隣の部屋からの喘ぎ声が壁が薄いせいで聞こえてくる。そのせいで欲情が刺激された両者はー

お漏らし・おしがま短編小説集 ~私立朝原女学園の日常~

赤髪命
大衆娯楽
小学校から高校までの一貫校、私立朝原女学園。この学校に集う女の子たちの中にはいろいろな個性を持った女の子がいます。そして、そんな中にはトイレの悩みを持った子たちも多いのです。そんな女の子たちの学校生活を覗いてみましょう。

処理中です...