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1話 薔薇の王子と青薔薇の王子
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「婚約破棄をしてくれって? ……嫌だね」
学園の美しい薔薇が咲く花園の片隅で、私は一人の男性に婚約破棄を願い出ていた。
金髪の髪を風にゆらし。私を見つめる瞳はまるで宝石のように美しく気高い、その碧眼で見られているだけで魂まで吸い込まれそうになる。
まるでミケランジェロの彫刻かと言わんばかり完璧な顔立ちの彼は、真剣な表情で私を見つめる。
あまりの美しさに壁に追いやられた私は逃げようとするが彼はそれを許さず左手を捕まえ壁に押さえつけた。
私よりも頭二つほど大きい彼から私は逃れる術がなかった。
大人しくなった私を見て彼は私に優しく微笑む。
好きになってはいけない人でも、そんな笑顔を見せられれば。私ならずとも顔を赤らめてしまう。
前世の記憶がなければ簡単に落ちてしまっていたことだろう。
前世と言ったのは私には、この世界に生まれる前の記憶があるからだ。そして彼の顔も名前も生前から知っていた。
彼の名前はレオン・ド・ローズ、この国の王位継承権第一位で第二王子だ。
そして私が生前プレイしていた、乙女ゲーム『トキメキ学園 花園の貴公子』の最難易度攻略対象でもあるのだ。
そして私はヒロインのアリエル・エーデルワイスでは無く、悪役令嬢のクラリス・リザードテイル。
この世界のキャラクターの家名は皆花の名前である。リザードテイルも一応花だ。ドクダミの英名なのだ。
まさに悪役令嬢にふさわしい家名だなと生前の私はほくそ笑んだものだが、実際自分がその身になってみるとひどい家名だと思う。
「絶対に婚約破棄はしない。良い加減、俺のモノになれよクラリス」
吐息が当たるほどの距離でそう囁く彼の声に私の背筋がゾクゾクと震える。正直、このまま彼のモノになってもいいと彼氏なし三十年、喪女の私が呟くが、ここで彼のモノになったら私は一生投獄されることになるのだ。
特に今起きているイベントは絶対に回避しなければいけない。なにせ『花園の貴公子』のオープニングシーンなのだ。ここでキスをしてしまえばゲームが始まってしまう。
ただオープニングでは悪役令嬢クラリスが無理矢理レオンの唇を奪うのだが……。
なぜレオンと婚約破棄をしなければいけないのか。それはヒロインがレオンを選ぶ選ばないに関わらず、ざまぁ対象である私はカビ臭い牢獄に一生投獄される運命なのだ。
だから、この舞台から早急に降りる必要がある。メイン攻略対象の婚約者でさえ無くなれば私はただのモブキャラになれるのだから。
「レオン様、婚約者と言えど、無理矢理キスをねだるなんて紳士にあるまじき行為ですわよ」
私はキスをされないように残った左手で唇を隠した。キスをしてしまえば乙女ゲームが始まってしまう。絶対にそれだけは阻止したい。
だけど、レオンは唇を隠した私の左手を無理矢理引き離し両手を拘束した。
当然、私は拘束から逃れようと身をよじったが体格差や男女の力の差には抗えずなかった。
さらにレオンは私の両足の間に足を入れっると完全私を壁に固定した。
これではどう足掻いても逃げることは無理だった。
完全に動けなくなった私は彼にされるがままになり、キスは逃れられないと言う事実に涙を流した。
一生牢屋暮らしなんて嫌……。運命からは逃げられない。私は諦め目を閉じた。
レオンが唇が私の唇を奪う瞬間、彼の動きがとまった。
「レオン、君の国では泣いている女性の唇を無理矢理奪うのが紳士の作法なのかい?」
その声の主は留学生であるラインハルト・デル・ブルーローズ、隣国の王子であり、トキメキ学園のパクリゲーム『ドキドキ学園 フラワープリンス』の最難易度攻略対象である。
その彼が私の窮地に現れたのだ。
学園の美しい薔薇が咲く花園の片隅で、私は一人の男性に婚約破棄を願い出ていた。
金髪の髪を風にゆらし。私を見つめる瞳はまるで宝石のように美しく気高い、その碧眼で見られているだけで魂まで吸い込まれそうになる。
まるでミケランジェロの彫刻かと言わんばかり完璧な顔立ちの彼は、真剣な表情で私を見つめる。
あまりの美しさに壁に追いやられた私は逃げようとするが彼はそれを許さず左手を捕まえ壁に押さえつけた。
私よりも頭二つほど大きい彼から私は逃れる術がなかった。
大人しくなった私を見て彼は私に優しく微笑む。
好きになってはいけない人でも、そんな笑顔を見せられれば。私ならずとも顔を赤らめてしまう。
前世の記憶がなければ簡単に落ちてしまっていたことだろう。
前世と言ったのは私には、この世界に生まれる前の記憶があるからだ。そして彼の顔も名前も生前から知っていた。
彼の名前はレオン・ド・ローズ、この国の王位継承権第一位で第二王子だ。
そして私が生前プレイしていた、乙女ゲーム『トキメキ学園 花園の貴公子』の最難易度攻略対象でもあるのだ。
そして私はヒロインのアリエル・エーデルワイスでは無く、悪役令嬢のクラリス・リザードテイル。
この世界のキャラクターの家名は皆花の名前である。リザードテイルも一応花だ。ドクダミの英名なのだ。
まさに悪役令嬢にふさわしい家名だなと生前の私はほくそ笑んだものだが、実際自分がその身になってみるとひどい家名だと思う。
「絶対に婚約破棄はしない。良い加減、俺のモノになれよクラリス」
吐息が当たるほどの距離でそう囁く彼の声に私の背筋がゾクゾクと震える。正直、このまま彼のモノになってもいいと彼氏なし三十年、喪女の私が呟くが、ここで彼のモノになったら私は一生投獄されることになるのだ。
特に今起きているイベントは絶対に回避しなければいけない。なにせ『花園の貴公子』のオープニングシーンなのだ。ここでキスをしてしまえばゲームが始まってしまう。
ただオープニングでは悪役令嬢クラリスが無理矢理レオンの唇を奪うのだが……。
なぜレオンと婚約破棄をしなければいけないのか。それはヒロインがレオンを選ぶ選ばないに関わらず、ざまぁ対象である私はカビ臭い牢獄に一生投獄される運命なのだ。
だから、この舞台から早急に降りる必要がある。メイン攻略対象の婚約者でさえ無くなれば私はただのモブキャラになれるのだから。
「レオン様、婚約者と言えど、無理矢理キスをねだるなんて紳士にあるまじき行為ですわよ」
私はキスをされないように残った左手で唇を隠した。キスをしてしまえば乙女ゲームが始まってしまう。絶対にそれだけは阻止したい。
だけど、レオンは唇を隠した私の左手を無理矢理引き離し両手を拘束した。
当然、私は拘束から逃れようと身をよじったが体格差や男女の力の差には抗えずなかった。
さらにレオンは私の両足の間に足を入れっると完全私を壁に固定した。
これではどう足掻いても逃げることは無理だった。
完全に動けなくなった私は彼にされるがままになり、キスは逃れられないと言う事実に涙を流した。
一生牢屋暮らしなんて嫌……。運命からは逃げられない。私は諦め目を閉じた。
レオンが唇が私の唇を奪う瞬間、彼の動きがとまった。
「レオン、君の国では泣いている女性の唇を無理矢理奪うのが紳士の作法なのかい?」
その声の主は留学生であるラインハルト・デル・ブルーローズ、隣国の王子であり、トキメキ学園のパクリゲーム『ドキドキ学園 フラワープリンス』の最難易度攻略対象である。
その彼が私の窮地に現れたのだ。
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