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第四章 転生忍者魔法大会編
四-五話 転生忍者、見舞いを終える
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「ふん。何だ貴様もわかってるじゃないか。それと貴様ら一体どれだけ食う気だ!」
「モグモグ、このバナナってのは美味いなぁ」
「ウキィ~」
「ガウガウ」
「……うまうま」
「止まらない旨さじゃな」
「何か悪い気がするけど美味しいね」
「俺にも一本いいか?」
「もう帰れお前ら!」
やれやれ兄貴も沸点が低いな。
「とにかくだ。確かにラポムには打算もあっただろうさ。モグッ、お、マジ美味い」
「そうかお前ら全員私を馬鹿にしてるんだな」
バナナを食いながら話を続けるデック。そして兄貴は肩をプルプルさせていた。
「……馬鹿にはしてない。馬鹿だと思ってる」
「ウキキッ」
「ガウガウ」
「マグちゃんもう少し言葉を選ぼう!」
マグがはっきりと事実を言う。流石だな忌憚がない。
「なぁ、打算があったらそんなに悪いのか?」
「……何?」
兄貴が不機嫌になる中デックが問いかけ兄貴が眉を顰めた。
「確かにあいつにも、お前と仲良くしておけば将来自分の為になるって考えはあっただろうさ。だけどそんなの誰でもあることだろう。俺だって最初は剣の稽古を付けてもらおうと思ってジンに近づいた。それだって打算と言えばそうだろうよ」
デックに言われ思い出した。確か最初はしつこく対戦を申し込まれてその後稽古をつけてくれってしつこく頼まれたんだったな。あの時はここまで長い付き合いになるとは思ってなかった。
「でもよ例え打算があったとしても相手に何かあれば心配する。それが友だちってもんだろう? あいつがわざわざここまでやってきたのもそういう気持ちがあったからだ」
「――フンッ。だとしたら何だ? 友だちなどくだらん! 私にはそんなもの必要ない。大体あんな鬱陶しい男などゴメンだ!」
「……本当にそう思ってるのだとしたらもう何も言えねぇけどな。だけどなお前みたいのをあそこまで慕う奴、あいつ以外いないと思うぞ」
「馬鹿言うな。本来なら私は男より異性に好かれるタイプなのだ」
「……正直その自信が気持ち悪い」
「マグちゃんそんなハッキリ言っちゃ!」
「うむ。だが確かにキモいのう」
「ガウガウ」
「ウキッキ~」
あ、兄貴がうつむいてまたプルプルしだした。
「……言うことも言えたし俺はもう行くぜ。それと食わないならこっちの果物ももらっていくぜ。あいつも元気無くしてるだろうから渡してやんないとな」
そして俺に向けて、先に悪いなと言い残し、デックが先に出ていった。
「――何だかんだであいつもバーモンドを心配してるってことだな」
「フンッ。全くあいつは馬鹿か。流石貴様のような愚弟が友だちだというだけあるな」
「聞き捨てならないな。あいつのどこが馬鹿だって言うんだ」
兄貴の言葉にいらっときて言い返してしまった。
「……いや馬鹿だろう。バーモンドが持ってきたお土産を本人への土産にしてどうするつもりだあの馬鹿は!」
あ、はい。それ言われると確かに……
「――だけど、まぁ俺も同じ気持ちだ。そしてちょっとは見直したよバーモンドを。あんたは馬鹿だが」
「クッ! いいかげんにしろ! 大体なんだその口の聞き方は!」
「今更猫かぶっても仕方ないだろう? まぁこっちが素ってことだ」
「うむ。ジンはそっちの方がいいと思うのじゃ。ま、妾の知るジンには遠く及ばんが」
いさ、それ俺だし。
「……確かに今の方がいい。前に頭がおかしかったジンはもういらない」
「えっと、確かにちょっと変だったことあるけど……」
それは俺じゃない分身だ!
「ウキィ……」
「ガウ……」
そしてどことなくマガミとエンコウも、あいつには苦労したみたいな雰囲気を醸し出していた。二度と使いたくないぞ。
「――ふん。いい加減疲れた。もう私は寝るぞ!」
「ふて寝かよ」
「誰がふて寝だ!」
全く。だけど、割と元気そうではあるか。
「……あの、バーモンドさんはきっと本当に貴方を心配していたと思いますよ。それだけ忘れないであげてくださいね」
「…………」
デトラが兄貴に声を掛けたが反応はなかった。仕方ないから俺たちは部屋を出たが廊下を歩いていると父上にばったり出会った。
「ジン。見舞いにきていたのか。皆もバカ息子の為にもうしわけなかった」
父上が頭を下げるとデトラが手を振って恐縮した。しかし父上も言うようになったな。
そして俺たちが見舞いが終わって出るところだと伝えると父上から注意を呼びかけられた。
「ここに来て町中で急に暴れだす連中が増えてきたようだ。皆も十分気をつけてくれ――」
町中で暴れだすか……そういえばちょっと前にマシムが言っていたが、俺が見つけたアジトの壊滅でかなりの薬が廃棄されたようだが、まだ町中では蔓延していて発狂しだすのも結構いるらしい。
全くあの大叔父もとんでもない置き土産を残してくれたもんだよな――
「モグモグ、このバナナってのは美味いなぁ」
「ウキィ~」
「ガウガウ」
「……うまうま」
「止まらない旨さじゃな」
「何か悪い気がするけど美味しいね」
「俺にも一本いいか?」
「もう帰れお前ら!」
やれやれ兄貴も沸点が低いな。
「とにかくだ。確かにラポムには打算もあっただろうさ。モグッ、お、マジ美味い」
「そうかお前ら全員私を馬鹿にしてるんだな」
バナナを食いながら話を続けるデック。そして兄貴は肩をプルプルさせていた。
「……馬鹿にはしてない。馬鹿だと思ってる」
「ウキキッ」
「ガウガウ」
「マグちゃんもう少し言葉を選ぼう!」
マグがはっきりと事実を言う。流石だな忌憚がない。
「なぁ、打算があったらそんなに悪いのか?」
「……何?」
兄貴が不機嫌になる中デックが問いかけ兄貴が眉を顰めた。
「確かにあいつにも、お前と仲良くしておけば将来自分の為になるって考えはあっただろうさ。だけどそんなの誰でもあることだろう。俺だって最初は剣の稽古を付けてもらおうと思ってジンに近づいた。それだって打算と言えばそうだろうよ」
デックに言われ思い出した。確か最初はしつこく対戦を申し込まれてその後稽古をつけてくれってしつこく頼まれたんだったな。あの時はここまで長い付き合いになるとは思ってなかった。
「でもよ例え打算があったとしても相手に何かあれば心配する。それが友だちってもんだろう? あいつがわざわざここまでやってきたのもそういう気持ちがあったからだ」
「――フンッ。だとしたら何だ? 友だちなどくだらん! 私にはそんなもの必要ない。大体あんな鬱陶しい男などゴメンだ!」
「……本当にそう思ってるのだとしたらもう何も言えねぇけどな。だけどなお前みたいのをあそこまで慕う奴、あいつ以外いないと思うぞ」
「馬鹿言うな。本来なら私は男より異性に好かれるタイプなのだ」
「……正直その自信が気持ち悪い」
「マグちゃんそんなハッキリ言っちゃ!」
「うむ。だが確かにキモいのう」
「ガウガウ」
「ウキッキ~」
あ、兄貴がうつむいてまたプルプルしだした。
「……言うことも言えたし俺はもう行くぜ。それと食わないならこっちの果物ももらっていくぜ。あいつも元気無くしてるだろうから渡してやんないとな」
そして俺に向けて、先に悪いなと言い残し、デックが先に出ていった。
「――何だかんだであいつもバーモンドを心配してるってことだな」
「フンッ。全くあいつは馬鹿か。流石貴様のような愚弟が友だちだというだけあるな」
「聞き捨てならないな。あいつのどこが馬鹿だって言うんだ」
兄貴の言葉にいらっときて言い返してしまった。
「……いや馬鹿だろう。バーモンドが持ってきたお土産を本人への土産にしてどうするつもりだあの馬鹿は!」
あ、はい。それ言われると確かに……
「――だけど、まぁ俺も同じ気持ちだ。そしてちょっとは見直したよバーモンドを。あんたは馬鹿だが」
「クッ! いいかげんにしろ! 大体なんだその口の聞き方は!」
「今更猫かぶっても仕方ないだろう? まぁこっちが素ってことだ」
「うむ。ジンはそっちの方がいいと思うのじゃ。ま、妾の知るジンには遠く及ばんが」
いさ、それ俺だし。
「……確かに今の方がいい。前に頭がおかしかったジンはもういらない」
「えっと、確かにちょっと変だったことあるけど……」
それは俺じゃない分身だ!
「ウキィ……」
「ガウ……」
そしてどことなくマガミとエンコウも、あいつには苦労したみたいな雰囲気を醸し出していた。二度と使いたくないぞ。
「――ふん。いい加減疲れた。もう私は寝るぞ!」
「ふて寝かよ」
「誰がふて寝だ!」
全く。だけど、割と元気そうではあるか。
「……あの、バーモンドさんはきっと本当に貴方を心配していたと思いますよ。それだけ忘れないであげてくださいね」
「…………」
デトラが兄貴に声を掛けたが反応はなかった。仕方ないから俺たちは部屋を出たが廊下を歩いていると父上にばったり出会った。
「ジン。見舞いにきていたのか。皆もバカ息子の為にもうしわけなかった」
父上が頭を下げるとデトラが手を振って恐縮した。しかし父上も言うようになったな。
そして俺たちが見舞いが終わって出るところだと伝えると父上から注意を呼びかけられた。
「ここに来て町中で急に暴れだす連中が増えてきたようだ。皆も十分気をつけてくれ――」
町中で暴れだすか……そういえばちょっと前にマシムが言っていたが、俺が見つけたアジトの壊滅でかなりの薬が廃棄されたようだが、まだ町中では蔓延していて発狂しだすのも結構いるらしい。
全くあの大叔父もとんでもない置き土産を残してくれたもんだよな――
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