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第五章 転生忍者吸血鬼出現編
第三百十三話 変わり果てたもの
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こいつらの特徴として、昼間は出歩かないというのがある。このタイプは太陽の光に極端に弱いから。
純粋な吸血鬼は太陽の下でも平気で動けるみたいだけど、こいつらはそうじゃないらしい。
だからこそ、太陽が落ちて薄暗くなってから出てきたのだろう。
「……火蜥蜴の息吹!」
だけど、それがどうした。こいつらはタフだが不死身というわけじゃない。そこがアンデッドとの違い。アンデッドみたいに特別聖なる力に弱いってことではないけど、倒そうと思えば倒せない相手ではない。
「ウグウウウウアアァアア!」
体が燃え、うめき声を上げた。痛みに強くなっていても燃えると苦しむ。だけど躊躇してはいられない。
そもそもこの姿になった人はもう助からない。人に戻ることもない。村人が犠牲になったのは傷ましいことだけど、放っておけば無駄に被害者が増えるだけ。
私が育った村の皆は薬の実験体にされ上で最後、吸血鬼に弄ばれ、彼らみたいに化け物に成り果てて死んでいった。
「……あんなのはもう沢山――」
「ガウガウ!」
マガミも風を乗せた爪の斬撃でモドキ達を倒していっている。ただ、風の攻撃だと一撃二撃じゃ倒れない。
だから私のサラマンダーの力で援護する。大丈夫この程度なら問題ない。
「あ、あの……」
モドキにやられていた村人が不安そうにこっちを見ていた。そんなところにいられても邪魔。
「……速く逃げる!」
「は、はい!」
村人たちが逃げていくのが見えた。それでいい。ここにいられちゃ迷惑。
「ギャッ!」
だけど、悲鳴が耳に届く。振り返ると、二人の騎士の姿があった。そしてその手には今逃げていった村人の頭。周囲には村人の死体が転がっていた。
髪の毛を掴みブラブラさせ、そして見せつけるように頭を掲げ首からぼたぼたと流れ落ちる血を開いた口で受け止めた。
ごくごくと喉が鳴っていた。血で喉を潤すその騎士には見覚えがあった。
「ガ、ガルゥウ……」
騎士の姿に気がついたマガミの声にも戸惑いが感じられる。
「ふゥ、とてもいイ味ダ。喉ガね。乾イて乾イて、仕方ないンだヨ」
普通に喋っているようで、途中途中の言葉に独特の濁りを感じた。不協和音が声の中に混じっていた。
私を見る二人の騎士の目は真っ赤だった。そう、吸われたんだそして成り果てた。
「それ二しても、君、どこカで会ったことアるかな?」
「……お前とはない。お前なんて知らない。お前は私が知っているお前じゃない」
そう告げると、カイエンだった者の口元が歪む。その隣りにいた騎士が急にゲラゲラと笑い出した。
「ギャハハハハハ! 団長ー振られテるじゃないッスかぁ、みっともないなァ、けけッけけ、キェキェキェキェキエキェキェ!」
笑い声も不快。どうして吸血鬼やそれに属する連中の声は、こんなにも人を苛つかせるのか。
「あハは、酷イなァ、ダルクは、でも、いイかぁ、どうせ、変わラない。君ハ騎士達の餌ダから」
「……達?」
地面がボコッと盛り上がり、そして私を囲むように四人の騎士が地面から飛び出してきた。
土の中からわざわざ――
「ガウ!」
「……大丈夫。シルっぴ!」
振り下ろされた四本の剣、それを全て風の膜で受け止めた。そして風圧で全員吹っ飛ばす。
「へェ、やルね、君」
「なら今度ハ、僕ちャんが、殺っっちャおう、かナぁ!」
ダルクと呼ばれていた男が飛びかかってくる。
「ガウガウガウ!」
だけど、マガミが躍り出て、剣戟を牙で受け止めた。
「へェ、生意気ナ、狼ダねぇ」
「グルルルウゥウウゥウウ!」
「おわッ!」
マガミが体を振って、ダルクを投げ飛ばした。
「ガウッ!」
こっちは任せてとでも言ってるようにマガミが吠えてくれた。マガミは頼りになる。
なら、私はカイエンモドキを狙う。
「火蜥蜴の熱球」
手から火球を放つ。あいつの体を呑み込むぐらいの大きさがある火球。
「はァあァア!」
だけど、振られた刃で火球がスパッと割れた。風を纏った魔法剣?
こいつ、自我が残っているタイプだけに、元の特技も使いこなせてる。その上、吸血鬼に噛まれたことで戦闘力も強化されている。
「今度ハ、私ノ番ダ!」
次は剣が炎に包まれた。振り下ろされた刃に合わせて地面を炎が伝う。
だけど、この程度――
「ハッハァーーーー!」
「……え?」
炎を避けると同時に何かが高速で飛び込んできた。目に片方だけの眼鏡、こいつ――
「フンッ!」
「……ガッ!」
空中からの回転しながらの蹴り。頭にもろに受けた。まさか、他にいたなんて、気配を消していた? しかもこいつ。
「……お前、あの馬鹿の下にいた」
地面に倒されたまま見上げる。こいつはあの馬鹿の家令だった奴!
「カカカッ、覚えていてくれて光栄だよ。しかしあの馬鹿ね。まぁ確かにあいつは馬鹿だった。馬鹿でどうしようもなかったが、私が上を目指すための役には立ってくれたよ」
「……何を言って、ぐっ!」
髪を引っ張られて無理やり起こされ、そのまま首に手が掛かった。くっ、苦しい。
「お前が知る必要もないさ。しかし、驚いたな。今気がついたが、お前、さては混ざりものだな? 全く忌々しい長耳の糞混じりとはな」
こ、こいつ、私の秘密に気がついた。
「ドルド様、その女ノ血は、私二お譲り頂ケませんか?」
「残念だが駄目だ。別にケチで言ってるんじゃない。こいつがアレの混ざりものなら我々にとっては毒になる」
「……毒?」
ドルドはカイエンモドキの話を一蹴して、わけのわからないことを。こいつの言っている意味がわからなかった。そして手の力が強く――
「どっちにしろ私にとっては貴様など無価値な生き物だ。このまま死――」
『アオォオォオォオオォオオオォオオォオオン!』
「な! ガッ!」
ドルドの力が更に強まったかと思った、マガミの遠吠えが聞こえた。するとどういうわけか、ドルドが急にうめき出す。
しめた、力が弱まった!
「……汚い手を、放せ! 精風剣!」
怯んでいる隙に、風の精霊の力を剣に変えてドルドの腕を切り飛ばした。
「ぐ、ぐぉぉぉぉぉおおおお!」
「……ざまぁない」
腕を切られたドルドが悲鳴を上げる。それにしてもこいつが吸血鬼だった……だったら、ここでやられるわけにはいかない――
純粋な吸血鬼は太陽の下でも平気で動けるみたいだけど、こいつらはそうじゃないらしい。
だからこそ、太陽が落ちて薄暗くなってから出てきたのだろう。
「……火蜥蜴の息吹!」
だけど、それがどうした。こいつらはタフだが不死身というわけじゃない。そこがアンデッドとの違い。アンデッドみたいに特別聖なる力に弱いってことではないけど、倒そうと思えば倒せない相手ではない。
「ウグウウウウアアァアア!」
体が燃え、うめき声を上げた。痛みに強くなっていても燃えると苦しむ。だけど躊躇してはいられない。
そもそもこの姿になった人はもう助からない。人に戻ることもない。村人が犠牲になったのは傷ましいことだけど、放っておけば無駄に被害者が増えるだけ。
私が育った村の皆は薬の実験体にされ上で最後、吸血鬼に弄ばれ、彼らみたいに化け物に成り果てて死んでいった。
「……あんなのはもう沢山――」
「ガウガウ!」
マガミも風を乗せた爪の斬撃でモドキ達を倒していっている。ただ、風の攻撃だと一撃二撃じゃ倒れない。
だから私のサラマンダーの力で援護する。大丈夫この程度なら問題ない。
「あ、あの……」
モドキにやられていた村人が不安そうにこっちを見ていた。そんなところにいられても邪魔。
「……速く逃げる!」
「は、はい!」
村人たちが逃げていくのが見えた。それでいい。ここにいられちゃ迷惑。
「ギャッ!」
だけど、悲鳴が耳に届く。振り返ると、二人の騎士の姿があった。そしてその手には今逃げていった村人の頭。周囲には村人の死体が転がっていた。
髪の毛を掴みブラブラさせ、そして見せつけるように頭を掲げ首からぼたぼたと流れ落ちる血を開いた口で受け止めた。
ごくごくと喉が鳴っていた。血で喉を潤すその騎士には見覚えがあった。
「ガ、ガルゥウ……」
騎士の姿に気がついたマガミの声にも戸惑いが感じられる。
「ふゥ、とてもいイ味ダ。喉ガね。乾イて乾イて、仕方ないンだヨ」
普通に喋っているようで、途中途中の言葉に独特の濁りを感じた。不協和音が声の中に混じっていた。
私を見る二人の騎士の目は真っ赤だった。そう、吸われたんだそして成り果てた。
「それ二しても、君、どこカで会ったことアるかな?」
「……お前とはない。お前なんて知らない。お前は私が知っているお前じゃない」
そう告げると、カイエンだった者の口元が歪む。その隣りにいた騎士が急にゲラゲラと笑い出した。
「ギャハハハハハ! 団長ー振られテるじゃないッスかぁ、みっともないなァ、けけッけけ、キェキェキェキェキエキェキェ!」
笑い声も不快。どうして吸血鬼やそれに属する連中の声は、こんなにも人を苛つかせるのか。
「あハは、酷イなァ、ダルクは、でも、いイかぁ、どうせ、変わラない。君ハ騎士達の餌ダから」
「……達?」
地面がボコッと盛り上がり、そして私を囲むように四人の騎士が地面から飛び出してきた。
土の中からわざわざ――
「ガウ!」
「……大丈夫。シルっぴ!」
振り下ろされた四本の剣、それを全て風の膜で受け止めた。そして風圧で全員吹っ飛ばす。
「へェ、やルね、君」
「なら今度ハ、僕ちャんが、殺っっちャおう、かナぁ!」
ダルクと呼ばれていた男が飛びかかってくる。
「ガウガウガウ!」
だけど、マガミが躍り出て、剣戟を牙で受け止めた。
「へェ、生意気ナ、狼ダねぇ」
「グルルルウゥウウゥウウ!」
「おわッ!」
マガミが体を振って、ダルクを投げ飛ばした。
「ガウッ!」
こっちは任せてとでも言ってるようにマガミが吠えてくれた。マガミは頼りになる。
なら、私はカイエンモドキを狙う。
「火蜥蜴の熱球」
手から火球を放つ。あいつの体を呑み込むぐらいの大きさがある火球。
「はァあァア!」
だけど、振られた刃で火球がスパッと割れた。風を纏った魔法剣?
こいつ、自我が残っているタイプだけに、元の特技も使いこなせてる。その上、吸血鬼に噛まれたことで戦闘力も強化されている。
「今度ハ、私ノ番ダ!」
次は剣が炎に包まれた。振り下ろされた刃に合わせて地面を炎が伝う。
だけど、この程度――
「ハッハァーーーー!」
「……え?」
炎を避けると同時に何かが高速で飛び込んできた。目に片方だけの眼鏡、こいつ――
「フンッ!」
「……ガッ!」
空中からの回転しながらの蹴り。頭にもろに受けた。まさか、他にいたなんて、気配を消していた? しかもこいつ。
「……お前、あの馬鹿の下にいた」
地面に倒されたまま見上げる。こいつはあの馬鹿の家令だった奴!
「カカカッ、覚えていてくれて光栄だよ。しかしあの馬鹿ね。まぁ確かにあいつは馬鹿だった。馬鹿でどうしようもなかったが、私が上を目指すための役には立ってくれたよ」
「……何を言って、ぐっ!」
髪を引っ張られて無理やり起こされ、そのまま首に手が掛かった。くっ、苦しい。
「お前が知る必要もないさ。しかし、驚いたな。今気がついたが、お前、さては混ざりものだな? 全く忌々しい長耳の糞混じりとはな」
こ、こいつ、私の秘密に気がついた。
「ドルド様、その女ノ血は、私二お譲り頂ケませんか?」
「残念だが駄目だ。別にケチで言ってるんじゃない。こいつがアレの混ざりものなら我々にとっては毒になる」
「……毒?」
ドルドはカイエンモドキの話を一蹴して、わけのわからないことを。こいつの言っている意味がわからなかった。そして手の力が強く――
「どっちにしろ私にとっては貴様など無価値な生き物だ。このまま死――」
『アオォオォオォオオォオオオォオオォオオン!』
「な! ガッ!」
ドルドの力が更に強まったかと思った、マガミの遠吠えが聞こえた。するとどういうわけか、ドルドが急にうめき出す。
しめた、力が弱まった!
「……汚い手を、放せ! 精風剣!」
怯んでいる隙に、風の精霊の力を剣に変えてドルドの腕を切り飛ばした。
「ぐ、ぐぉぉぉぉぉおおおお!」
「……ざまぁない」
腕を切られたドルドが悲鳴を上げる。それにしてもこいつが吸血鬼だった……だったら、ここでやられるわけにはいかない――
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