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第2章 球技を扱う冒険者編
第58話 解決策は、ゴルフ?
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「えっと、これはなんですか?」
とにかくキングは今のアドレスの条件に当てはまりそうなスポ根漫画を思い出し、ボールに出してもらい彼女の前に置いた。
当然突然出された本にアドレスは戸惑っている。
「うむ。これは球技が学べる本だ」
「球、技?」
キングが答える。アドレスはやはり?顔だ。聞き慣れない言葉に戸惑っているようだ。
「球技というのは主に球を使った戦闘術。闘球術とも言うな」
「え! せ、戦闘ですか? ですが私が扱うのは主に治療魔法でして……」
アドレスが申し訳無さそうな顔で答えた。せっかく教えてくれたのに自分には役立たないかもしれず、それを申し訳ないと思っているのだろう。
「いやあくまで基本的な話だ。そしてこの本に載ってる内容ならきっとアドレスの魔法にも役立つ」
「私の魔法に?」
キングが自信ありげに伝えるとアドレスが目をパチクリさせた。
「おぉ。流石だねその本は。それで一体どんな内容なんだい?」
ハスラーが興味津々といった顔で聞いてきた。自分も救われたスポ根漫画だけに次は一体どんななのか気になるのだろう。
「うむ。この本に乗ってるのはプロゴルファーは野猿という話でな」
「ぷ、ぷろごるふぁ? 猿はわかるけど」
「キュ~」
ウィンが腕を組み首を傾げた。キングの頭の上ではボールが飛び跳ねている。
「猿ならいるしな。猿系のモンスターなんて物を盗んだり結構厄介だが、まさかそれが鍵なのか!」
「ぬ、盗むのはちょっと……」
「いや違うな」
ハスラーがこれだ! といった顔を見せたが残念ながらそうではなかった。そもそも盗みだとしてアドレスが嫌がる。
「これで重要なのは孔球だ。内容だが主人公は一匹の猿。山で暮らしていたこの野猿はいたずら好きな上落ち着きがなく人々に煙たがられていた。だがある日かつて伝説とも称されるゴルファーのボールを拾ったことがきっかけでゴルフの指導を受けることとなり精神的に成長し人間、いや猿のゴルファーとして成長していくという物語なんだ」
「えっと……」
「う~ん」
「キュ~?」
「お、おさるさん?」
キングが話して聞かせるが全員ピンっと来てないようだ。
「その、なんだ。猿がゴルフとやらをやったとしてキング。それがどうしてアドレスの魔法がうまくなることに繋がるんだ?」
「確かに今の話だとイマイチピンっとこないわね」
「うむ。大事なのは落ち着きがなく悪戯好きだった猿がゴルフを学ぶことで段々と落ち着いてゴルフに取り組むようになったこと。つまりゴルフを通じて猿はメンタルを鍛えられたんだ」
「め、メンタルですか?」
キングの話にアドレスが食いついた。何故なら今のアドレスにおそらく一番足りない物だからだ。
「そう。実はこのゴルフという球技は何よりメンタルが物を言う球技なようでな。精神的に強くならなけれればゴルフをマスターすることは出来ない。しかしゴルフを通じてメンタルを鍛えれば野猿もプロのゴルファーとして活躍できるようになる。これをアドレスに置き換えると――」
「あ、そうか! ゴルフを学べばメンタルが鍛えられゴルフを通して治療魔法がマスター出来る!」
「うむ」
「キュッ♪ キュ~!」
そうやらウィンはキングの意図を汲んでくれたようだ。
「ゴルフで私も魔法が失敗しなくなるんですか?」
「理論的にはそうだ」
「なるほどな。だが確かにキングの球技は凄いからな。僕もビリヤードで欠点を克服出来そうだし」
「そうね。私はテニスで精霊魔法を使いこなせそうだし」
ハスラーとウィンがうんうん、とうなずく。確かに二人とも球技に救われた。
「ですが、そのゴルフというのは本当hに私に使いこなせるのでしょうか?」
「そうだな……とにかくまずは読んでみるのはどうかな? 簡単な内容は教えておこう。特殊な文字だがコツさえ掴めば内容を理解するのはそう難しいものではない筈だ」
こうしてキングはプロゴルファーは野猿の本をアドレスに貸し先ずは読むことからはじめてもらうことにするのだった――
とにかくキングは今のアドレスの条件に当てはまりそうなスポ根漫画を思い出し、ボールに出してもらい彼女の前に置いた。
当然突然出された本にアドレスは戸惑っている。
「うむ。これは球技が学べる本だ」
「球、技?」
キングが答える。アドレスはやはり?顔だ。聞き慣れない言葉に戸惑っているようだ。
「球技というのは主に球を使った戦闘術。闘球術とも言うな」
「え! せ、戦闘ですか? ですが私が扱うのは主に治療魔法でして……」
アドレスが申し訳無さそうな顔で答えた。せっかく教えてくれたのに自分には役立たないかもしれず、それを申し訳ないと思っているのだろう。
「いやあくまで基本的な話だ。そしてこの本に載ってる内容ならきっとアドレスの魔法にも役立つ」
「私の魔法に?」
キングが自信ありげに伝えるとアドレスが目をパチクリさせた。
「おぉ。流石だねその本は。それで一体どんな内容なんだい?」
ハスラーが興味津々といった顔で聞いてきた。自分も救われたスポ根漫画だけに次は一体どんななのか気になるのだろう。
「うむ。この本に乗ってるのはプロゴルファーは野猿という話でな」
「ぷ、ぷろごるふぁ? 猿はわかるけど」
「キュ~」
ウィンが腕を組み首を傾げた。キングの頭の上ではボールが飛び跳ねている。
「猿ならいるしな。猿系のモンスターなんて物を盗んだり結構厄介だが、まさかそれが鍵なのか!」
「ぬ、盗むのはちょっと……」
「いや違うな」
ハスラーがこれだ! といった顔を見せたが残念ながらそうではなかった。そもそも盗みだとしてアドレスが嫌がる。
「これで重要なのは孔球だ。内容だが主人公は一匹の猿。山で暮らしていたこの野猿はいたずら好きな上落ち着きがなく人々に煙たがられていた。だがある日かつて伝説とも称されるゴルファーのボールを拾ったことがきっかけでゴルフの指導を受けることとなり精神的に成長し人間、いや猿のゴルファーとして成長していくという物語なんだ」
「えっと……」
「う~ん」
「キュ~?」
「お、おさるさん?」
キングが話して聞かせるが全員ピンっと来てないようだ。
「その、なんだ。猿がゴルフとやらをやったとしてキング。それがどうしてアドレスの魔法がうまくなることに繋がるんだ?」
「確かに今の話だとイマイチピンっとこないわね」
「うむ。大事なのは落ち着きがなく悪戯好きだった猿がゴルフを学ぶことで段々と落ち着いてゴルフに取り組むようになったこと。つまりゴルフを通じて猿はメンタルを鍛えられたんだ」
「め、メンタルですか?」
キングの話にアドレスが食いついた。何故なら今のアドレスにおそらく一番足りない物だからだ。
「そう。実はこのゴルフという球技は何よりメンタルが物を言う球技なようでな。精神的に強くならなけれればゴルフをマスターすることは出来ない。しかしゴルフを通じてメンタルを鍛えれば野猿もプロのゴルファーとして活躍できるようになる。これをアドレスに置き換えると――」
「あ、そうか! ゴルフを学べばメンタルが鍛えられゴルフを通して治療魔法がマスター出来る!」
「うむ」
「キュッ♪ キュ~!」
そうやらウィンはキングの意図を汲んでくれたようだ。
「ゴルフで私も魔法が失敗しなくなるんですか?」
「理論的にはそうだ」
「なるほどな。だが確かにキングの球技は凄いからな。僕もビリヤードで欠点を克服出来そうだし」
「そうね。私はテニスで精霊魔法を使いこなせそうだし」
ハスラーとウィンがうんうん、とうなずく。確かに二人とも球技に救われた。
「ですが、そのゴルフというのは本当hに私に使いこなせるのでしょうか?」
「そうだな……とにかくまずは読んでみるのはどうかな? 簡単な内容は教えておこう。特殊な文字だがコツさえ掴めば内容を理解するのはそう難しいものではない筈だ」
こうしてキングはプロゴルファーは野猿の本をアドレスに貸し先ずは読むことからはじめてもらうことにするのだった――
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◇なので感想欄閉じます(笑)
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