スターエル号殺人事件

スターエル号 No.1

僕は星見スイ。しがない探偵だよっ。今日はどんな話を君にしようかな。そうだなー。僕が初めてお手柄を立てた殺人事件について今日は話そうかな！あの時はヨウちゃんも大活躍だったなー。それでは、ごゆっくりー！


ー今から7年前　2017年、7月ー

「ヨウちゃーん！」

「なんだよスイ、今日もうるさい野郎だな。」

「まあまあ、そういうなよ。君のためにバカンスの予定を組んでおいたんだからさ。」

俺は目を見開く。

「なんだって？」

「だからあ、君のためにバカンスの予定を組んだって。もう豪華客船も予約しちゃってるんだから。」

３秒ほど思考停止した。何を言ってるんだこいつは。久々に会いに来たと思ったらまた振り回されることになるのか。こいつには高校時代から振り回されてばかりだ。

しかし、実際のところそういうところが好きである。

「お前な、俺たちはもう高校生じゃなくて社会人だ。探偵をやるのはお前の勝手だが、ちゃんとそこの予定どうこうは事前に言ってもらわないと困るぞ。」

そういいつつも、俺もお盆はちょうど暇だったところだった。

「仕方ないな。」

「いえーい！」

スイは無邪気に喜ぶそぶりを見せた。

「でねでね、行先はーメキシコ！船のっていくぞー！」

「どれどれ、ちょっとサイト見せてくれ。」

「スターエル号ね。」


この船が二人にとっての大きな人生の岐路になることを、彼らはまだ知らない。