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しおりを挟む「あはは、周りにこの子の魅力が分かっちゃ堪らないよ。
で、何があったのかな?オレとしては、あまり碓氷先生と2人きりになって欲しくないんだけど」
「あれ?もしかしてヤキモチですか?黒田先生って可愛いところあるんですねぇ、...もっと嫉妬させてみたいな」
「もう...勘弁してよ。若王子先生とは良好な関係でいたいんだから」
お弁当を広げた黒田の隣に座り、クールバッグを受け取る。
ようやく昼飯にありつけた俺は、若王子の存在を完全に消し去りお弁当の蓋を開けた。
「それは僕も同じ気持ちです。
実は今朝、姫神先生に抱き着いている男を見ましてね。隣に碓氷先生もいたので問いただしてみたんですが、どうやら姫神先生の弟だったらしくて」
「弟...?」
「ええ。スーツで、裏門前に高級車停めて、めちゃくちゃデカい男を何人も連れて歩いていたので...どんな方なんだろうなって」
お弁当を頬張る黒田が首を傾げながら、「ヤバい男なのかな?」と呑気に口にする。
「椿さん...光悦って、姫神先生の弟らしいぞ」
「......え?...あー!確かに、光悦の苗字って姫神だったか。長い付き合いだから、忘れちゃってたよ。それにしても世間は狭いんだねー...」
気付く気付かないの前に、光悦の苗字すら忘れていたんだな。
「黒田先生も弟さんのことをご存知なんですか?」
「うん、あいつとは学生時代からの腐れ縁だよ」
「なるほど...そう言うことでしたか。
教えてください、その光悦さんとやらのこと。さもないと、碓氷先生と同じ前髪になりますよ」
...はっ!前髪の鬱陶しさを感じさせないこのスタイルの心地よさにすっかり忘れていた...!
慌てて前髪を解く俺を見て、黒田は微かに笑いながら「何でも聞いて」と言うではないか。
「やはり黒田先生は話が早いですね。どこかの誰かさんと違って」
痛い痛い、視線が痛い。
いや、確かに光悦のことをよく知っているのは彼なのだが...、光悦の職業上軽々しく話してしまうのはいけない気がする。
少なくとも彼は裏社会の人間なのだから。
「光悦さんのご職業は?」
「月城組の幹部だね」
そんなあっさり言っていいのか!?
「..........またまた、ご冗談を」
流石に信じないだろう。
自分の恋人の弟(ブラコン)が極道の方ともなると...。
「え?まさか本気ですか?」
「うん、しかもトップ層の人間だよ。
月城組直下の組は3つだけみたいなんだけど、そのうちの白鳳組の頭だったかな...」
「...じゃあ、もし僕が政宗さんの旦那と知れたら、どうなりますかね。外から見てただけで重度のブラコンだと分かったのですが」
辺りが静寂で満ちる。
「大丈夫、悪い奴ではないから」
「その間が僕を不安にさせましたよ」
「確か...昔は自分の兄のことを世界で1番愛していると言っていたよ。訳あって離れ離れになってしまったから、兄の生存が心配だ...何か酷い目にあっていたらどうしよう...、兄に付く悪い虫は絶対僕が排除するってマジトーンで言ってたけど」
若王子が手に持った煙草をぽとり、と地面に落とす。
「もうきっと大丈夫でしょ」
「一体何を根拠に言ってるんですか。元々ノンケだったあの人が男と、しかも三角関係でズブズブの仲だって知ったら僕達殺されますよ」
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